イフライン・レコード ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!

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第一章

020「え?E級じゃなくてD級?あれ?」

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 さて、いよいよ今回ダンジョンボスを倒して、完全制覇を成し遂げようと意気込む俺だったが、

「⋯⋯あ」

 と、ここまで来て『ある忘れ物』をしたことに気づく。それは、

「E級昇格の昇格対象魔物が何かって聞くの忘れてたわ」

 そう、今日はせっかくダンジョンボスを倒すというチャレンジを行うつもりで最下層まで行くつもりだったので。

「どうせならダンジョンボスとやる前に、一度『E級昇格対象魔物』を狩ろうと考えていたのに⋯⋯。すっかり忘れてた」

 俺は『ダンジョンボスへの挑戦』に集中し過ぎたあまり、E級昇格の条件となる『E級昇格対象魔物』をすっかり聞きそびれていた。

「は~⋯⋯過ぎたことは忘れよう」



「さて、行くか!」

 俺は気を取り直して、初めてのダンジョンボスとの対決にテンションを上げた。

 俺は緊張しながら、ダンジョンボス部屋の石造りのドアを押して中へ入った。すると、ちょうど目の前に5~6メートルはある『トロールオーク』が立っていた。ちなみに、強さ的にはC級でも手こずる魔物らしい。

「グゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲ⋯⋯」

 おぞましい笑い声を上げるダンジョンボス『トロールオーク』。

 一昨日、この仕事で稼いだお金で初めて買ったセール品の片手剣を俺は上段に構えると、トロールオーク目掛けて雄叫びをあげながら突っ込んでいった。

 それを見たトロールオークは、すかさず俺を掴まえようと手を伸ばしてくる!⋯⋯⋯⋯が、俺はそのタイミングで思いっきりジャンプ!

 トロールオークの頭上より高い場所まで一瞬で飛び上がった俺は、そのまま上段に構えた片手剣を両手でしっかりと握って全力で振り下ろした。


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお~~~~っ!!!!」


 剣がトロールオークの頭に食い込んだその時——何と剣に特に抵抗を感じることなく、スーッとそのまま地面まで一気に振り下ろした。俺はあまりの手ごたえの無さ・・・・・・・に、

「えっ!? ちゃんと切れたっ?!」

 と思い、地面に着地した後すぐにトロールオークの反撃に備え身構えた。

 しかし、トロールオークからの反撃はこない⋯⋯というか動かない。

「??⋯⋯どうしたんだ?」

 と、動かないトロールオークを見て「溜め攻撃とか必殺技とか何かあるのか?」と思い、警戒を怠らないまま、トロールオークに集中する。しかし、

 パカッ!

「え?」

 何と、目の前のトロールオークの体が真ん中から割れて左右に崩れ落ちた。そして、トロールオークの体がバシュッと粉状になって消えたことで倒したことを理解した。

「ええっ!! た、倒したってことかっ?! じゃー、さっきの剣の攻撃はちゃんと切れていたのかっ!!!!」

 さっきの自分の剣の攻撃は切れていなかったと思っていたが、どうやら剣速が速かったおかげでセール品で買った片手剣でもきれいに魔物の体を切ることができていた⋯⋯のかな?

 でも、まあ、うん⋯⋯⋯⋯ラッキー!

 オーバースペック万歳!


********************


 ということで、あっけなく関東C24のダンジョンボスを倒した俺は、地上に戻るとギルドの受付に琴音さんがいたのでダンジョンボス討伐の報告をした。

「え? ダンジョンボスを? 倒した? 誰が? ソラ君が? ダンジョンボスを? ソラ君が?」

 何か、琴音さんがプチ混乱していた。

「はい。何かラッキーでしたけど倒すことができました。あ! あと、これ、魔石とアイテムです!」

 トロールオークを倒した魔石は赤い魔石で、大きさも直径20センチくらいの大きさだった。アイテムは『上級ポーション』『ミスリルロングソード』それと『スキル書』だった。

 魔物からドロップされるアイテムの中で、たまに『魔法書』や『スキル書』などが出てくる。これが魔法とスキルを獲得するオーソドックスな方法だ。ただ、『魔法書』も『スキル書』も通常の魔物ではほとんど出ることはなく、出てくるとしたら今回のような『ダンジョンボス』や、会敵エンカウント率が異常に低い魔物⋯⋯通称『レア物』と言われる魔物から出てくる。

 ちなみに『魔法書』『スキル書』は中身をパラパラと流し読みするだけで獲得できます。便利です。

「す、すごい⋯⋯本当に⋯⋯倒したんですね⋯⋯」
「はい」

 どうやら、プチ混乱から正常に再起動したようだ。よかった、よかった。

「あ! ところで、ダンジョンボスってE級昇格の昇格対象の魔物ですか?」
「⋯⋯へ?」
「もしそうだったらラッキーだけどな~。あ、一応これも持ってきました」

 ボトッ。

「っ!? こ、これ⋯⋯は⋯⋯?」
「ダンジョンボス⋯⋯トロールオークの片耳です。もし、トロールオークがE級昇格の昇格対象魔物だったら判断部位が必要になると思ったのでこれも持ってきました」
「え、あ、え~と⋯⋯」
「どうですか? トロールオークはE級昇格の昇格対象魔物ですか?(ワクワク)」
「⋯⋯D級(ボソッ)」
「え?」
「D級です!」
「え? な、何が⋯⋯ですか?」
「ダ、ダダダ、ダンジョンボスであるトロールオーク討伐はD級昇格の昇格対象魔物ですよぉぉ~~~っっ!!!!」
「へ?」

 え? D級?

 つまり、E級をすっとばしてD級昇格対象の魔物を倒したってことかな?

「し、しかも⋯⋯! ただでさえ、トロールオークは探索者シーカー個人のレベルが高いE級やF級の探索者集団シーカー・クランでも倒すのは大変なのに⋯⋯それを単独で討伐⋯⋯だなんて⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯」

 引いてる、引いてる。

 いわゆる『俺、なんかやっちゃいました系』⋯⋯ぽい?

 どうやらそのような事態に直面しているようなので、

「俺、なんかやっちゃいました?」

 と、とりあえず『礼儀お約束』の一言を入れておいた。



「か、かか、関東C24⋯⋯ダンジョンボス『トロールオーク』討伐⋯⋯わたくしのほうで確認しました! よって、ギルド規定に基づき、二段階特進・・・・・となるD級昇格を認めますっっ!!!!」
「あ、ありがとうございます」

 こうして、俺はE級どころか、その次のD級へと一気に二段階特進することとなった。

 あと、デビューから2ヶ月でのD級昇格はこれまでの昇格スピードの国内最速記録タイとなることも琴音さんが教えてくれた。

 2ヶ月でD級昇格⋯⋯国内最速記録タイ⋯⋯それって、たぶん竜ヶ崎のことを言っているのだろうとすぐに理解した。

「なんせ、竜ヶ崎は3ヶ月でC級になった奴だからな」

 とはいえ、なんだかんだで遠くに見えていた竜ヶ崎の背中が、今ではだいぶ見える位置まできたんだなと実感した俺は一人喜びを噛み締めた。



 第一章 完
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