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第二章
035「レア物②」
しおりを挟む昨日、レア物『クイックビー』の話を聞いた後、俺は放課後、早速『関東B6』にやってきてクイックビー捜索を開始。
ちなみに現在、俺のダンジョン活動は関東B6の10階層まできており、そこを活動拠点にして動いている。というのも、この10階層はなぜか魔物が寄り付かない場所⋯⋯通称『休憩所』となっていたからだ。
あと、関東B6は2階層が『大森林』となっていたが、3階層は普通に岩のダンジョンでそれがしばらく続いたので「2階層だけが大森林?」と思ったが、8階層と9階層も大森林となっていた。
「ふ~ん、大森林はあったりなかったりランダムなのか⋯⋯」
ちなみに10階層は普通の岩のダンジョンだが、魔物が寄り付かない『休憩所』ということで、先人の探索者たちが簡易ではあるが宿泊施設を作ってくれていた。だいたい10人くらいまでなら個室で寝られる。先人に感謝である(合掌)。
ということで、まずは普通に1階層から9階層までを調べた。調べた⋯⋯と言ってもただフラフラ歩いてクイックビーを探した程度だが。
結局、その日クイックビーを見ることはなかった。
——2日目
もう一度、1階層から9階層までを探索。しかし、この日も収穫はゼロ。
ときおり、俺と同じようにレベリングや素材狙いではない動きをする探索者集団をいくつか見かけた。おそらく俺と同じ『クイックビー狙い』と感じた。
とはいえ、そんな探索者集団や単独探索者など他にはいなかった。無理もない。
「だって10年近く見つかっていないレア物だもんな」
この後、さらに1週間ほど1~9階層をくまなく歩いて探したがクイックビーと遭遇することはなかった。
——10日目
レベリングでもない、出るかどうかもわからない『クイックビー探し』に少し飽きと疲れが出てたので2日ほど休み、再度関東B6へ。
今日からは、あまり『クイックビー探し』を意識して行うことはやめて、単純にレベリングとダンジョン探索を楽しもうと方針を変えた。
ということで、今日は11階層からさらに下へと探索を開始した。
ちなみに現在の俺のステータスはこうなっている。
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名前:新屋敷ソラ
レベル:61
魔法:<初級>ファイヤバレット/ファイヤランス/ウィンドバレット/サンダーバレット/サンダーランス/ソードウィンド/コールドブレス/サンドアタック
スキル:<初級>身体強化/縮地/怪力/忍足
恩寵:自動最適化
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レベルは61になったが、魔法やスキルは以前と変わっていなかった。
まーあれ以来、先輩探索者や探索者集団と帯同していないので魔法やスキルが増えないのも言わずもがなである。
「とはいえ、今のところ特に困っていることはないがな⋯⋯」
そう、この関東B6に入って10階層まで探索してきたが相変わらずの無双状態は続いている。その上、関東C24よりも『経験値の高い魔物ばかり』なのでレベリングも今のところ順調だ。
まだ関東B6に入って10日程度だがすでにレベルが10近く上がっている。とはいえ、そろそろレベリングのスピードもゆるやかになってきたところなので、レベリングも兼ねて11階層より下を進む。
あくまで、レア物はダンジョン探索の『ついで』なので気は楽だ。
そんなこんなでダンジョン探索を進んでいくと16階層で、
「大森林⋯⋯! しかも、めちゃめちゃ規模デカそう⋯⋯」
目の前に広がるのは大森林なのだが、奥には空へと高く伸びる岩山がある。かなりの標高だ。頂上付近は雪も見える。さらに、近くに目をやると全長100メートル以上はありそうな太い幹の巨木が何本もある。
「なんか、木がデカいというよりも俺が小さくなったような気分だな」
これまで見た大森林の中で、一際スケールの大きい大森林だった。
「ワクワクするねぇ~(ニチャァ)」
スケールの大きい大森林である16階層にワクワクが止まらない俺は、この16階層をじっくりアドベンチャーしようと決意した。
********************
「デ、デカッ!? あ、あれって蝶だよな?」
目の前には、全長1メートルほどの蝶の群れがいた。アゲハ蝶をでっかくしたような魔物だ。
バサバサバサバサバサバサ⋯⋯!
すると、そのアゲハ蝶の群れは俺に向けて一斉に鱗粉を撒き散らした。しかし、
「ソードウィンド!」
俺は魔力を大量に込めたソードウィンドを展開。鱗粉を吹き飛ばすと同時に風の刃がアゲハ蝶の群れに襲い掛かり一網打尽にした。すると、
ドクン!
「お? レベルアップしたな? いや~魔物の群れとかめっちゃレベリング効率いいな~」
魔物を倒した後、心臓がドクンと跳ねるのはレベルが上がった証拠である。あと、レベルアップすると体も軽くなり体力も魔力も回復する。一応、体力回復と魔力回復のポーションは持っているが今のところ使ったことは一度もない。なんせ、毎日最低でも1回はレベルアップしているからな。
「この調子なら今日中にあと1回はレベルアップできるかもな⋯⋯」
俺はどんどん大森林の奥へと進んだ。
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