イフライン・レコード ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!

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第二章

048「家族会議①」

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 いつものように朝起きてからの『ルーティン』を処理していく俺。

 両親や妹も同じように各自『ルーティン』をこなす。

 そんな、いつも見慣れた変わらない日常⋯⋯⋯⋯⋯⋯とはならなかった。


「あ、お兄ちゃんの写真⋯⋯⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯」


 今、テレビでは俺たちの探索者集団シーカー・クラン新進気鋭アップスタート』を紹介しており、同時に俺たち三人の顔写真が映っていた。⋯⋯あれ? この世界では学生の写真とか名前とかの個人情報をテレビで出してコンプラ的にオッケーなの? あ、いや、別に悪いニュースじゃないからいいのか。

 などと、一人『現実逃避』的な思いに耽っていると⋯⋯、

「おお、ソラだ! ははは、可愛い写真じゃないか」
「あらあら⋯⋯。でも、もっと良い写真を使って欲しかったわねー」
「⋯⋯⋯⋯」

 最初、両親はいつも通りのリアクションを取っていたが、しかし、

——プツン

「!」

 ここで突然、母さんがテレビを消した。そして、その行動に誰も何も指摘しない。

 いや、むしろ俺以外の三人の中では『予定調和』のようなフシさえ感じる。

「ソラ? お話⋯⋯してくれるわね?」
「お兄ちゃん? イチから⋯⋯⋯⋯いいえ、ゼロから詳しく説明してね?」
「⋯⋯ソラ、観念しなさい?」
「っ!!!!!!!!」

 どうやら逃げられないようだ。


********************


「⋯⋯かくかくしかじか、です」

 朝食を終えると、ソファのほうへと移動。そこで三人にこれまでの経緯を説明した。

 一応、説明上どうしても『恩寵ギフト』の話は避けて通れなかったので説明したが『転移者』については伏せてある。

「『恩寵ギフト』?⋯⋯初めて聞くわね?」

 母さんがそう言って首をかしげる。

「⋯⋯そうだな。何だろうね?」

 父さんも同じく首を傾げる。しかし、

「ていうか、お兄ちゃん! どうして、私に先に言ってくれなかったのっ! ひどいじゃない!!」

 と、ゆずはだいぶ、おかんむり・・・・・だ。

「いや、何となく、言うに言えなくて⋯⋯」
「何でよぉぉ?! 私は大切な妹なんでしょ? 大好きな妹なんでしょ? だったら、言ってもいいじゃない!?」
「っ!? ゆ、ゆず⋯⋯」

 ゆずがいつもと違って、だいぶ俺に甘えてくる。

 あ、あれ~? いつもは辛口なのに⋯⋯?

「私はお兄ちゃん大好きなのに! お兄ちゃんも私のこと好きなんでしょ?! 兄妹相思相愛じゃないのぉーっ!!!!」

 だいぶ、ゆずが暴走している。⋯⋯ていうか、何だよ、兄妹相思相愛って!?

「⋯⋯ゆず、落ち着きなさい。いつもよりだいぶ『甘えん坊さん』になってるわよ」
「やだ、やだ! お兄ちゃん大好きだもん! もう、我慢するのヤダもん!!」

 そう言うと、ゆずが俺の腕にしがみつくと体をくっつけてきた。

「お、おい、ゆずっ!?」
「お兄ちゃんのバカっ! もう隠すのやめた!」
「か、隠す⋯⋯?! 何を⋯⋯?」
「うっさい!」

 そう言って、さらにぎゅ~としがみついた腕に力を入れながら俺の腕におでこを当ててグリグリしだす。

「あらあら、ゆずったら⋯⋯⋯⋯これじゃあ、ソラがつらいじゃないの? しょうがいないわねぇ⋯⋯」

 そう言って、母さんがゆずを引き剥がそうとしたが、

「いいよ、母さん⋯⋯そのままで。別にこのままでも話せるから」
「そう?」
「うん」
「じゃあ、何か聞きたいことはある?」
「え? う、う~ん、そうねぇ~⋯⋯」
「⋯⋯⋯⋯」

 おかしい。

 結構な告白カミングアウトだったはずなのに二人とも妙に落ち着いている。まるで⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯前からこの事がわかっていたかのように・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 だっていくらなんでも、リアクション薄すぎだろ?

 別に二人が「探索者シーカーに興味がない」というのならまだしも、普段、朝食の時にテレビで探索者シーカーのニュースが出たら盛り上がるくらいには好きなはず。なのに、俺が全国でも数少ない『高校生探索者シーカーになった』となれば、こんな薄い反応であるはずがない。すると、

「⋯⋯セーラ。もういいよ」
「っ?! ケ、ケンジさん⋯⋯?」
「ソラはどうやら気づいている・・・・・・ようだからね」
「えっ?!」

 ここで、突然父さんがそんなことを口にした。

「⋯⋯そうだな。聞きたいことは山ほどあるが、まずその前に私⋯⋯いや、私と母さんの『秘密』を話す必要があるな」
「え? 父さんと母さんの⋯⋯秘密?」
「その話、詳しくっ!!」
「「「ゆずっ!!!!」」」

 さっきまで俺の腕に顔をうずめていたゆずが、いつの間にか復活して話に入ってきた。

「⋯⋯はは。ゆずも復活したか。なら、ちょうどいい」

 そう言って、父さんが笑いながらコホンと一つ咳払いをする。

「これから話す内容を、絶対に他の誰にも話しちゃダメだぞ。⋯⋯いいね?」
「っ!? あ、ああ⋯⋯」
「っ!? う、うん⋯⋯」

 ゴクリ。

 いつも家では『のほほん』としている父さんが、真面目な顔で⋯⋯しかも少し、圧をかけるような感じで呟いた。そんな父さんの圧に俺とゆずは思わず緊張し過ぎて、同じタイミングでゴクリと唾を飲み込んだ。

「まず、私と母さんは⋯⋯⋯⋯⋯⋯元B級ランカーの探索者シーカーだ」
「ええっ?!」
「び、B級ランカーの⋯⋯探索者シーカーっ!?」

 初手から、いきなりの告白カミングアウトだった。
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