イフライン・レコード ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!

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第二章

050「家族会議③」

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 その後、父さんから今後についての話もされた。

「ソラ⋯⋯いいか、もうお前はこれからマスコミに追われるような生活になるだろう。そして、それは同時に一般の人たちからも好奇な目に晒されるということになる。つまり、芸能人や有名人みたいに見られるということだ」
「そ、そんな、大袈裟な⋯⋯」
「お兄ちゃん!」
「うわっ?! ゆ、ゆず!! お前、気がついたのか!!!!」

 さっきまでポカーン状態だったゆずがいつの間にか復活していた。

「お兄ちゃん、甘い、甘いよ! スウィーティーだよ!」
「え? な、何が⋯⋯?」
「私のスマホにはもうすでに100件近く⋯⋯お兄ちゃんに会わせてメールとかDMが送られてきているからね?」
「⋯⋯え?」

 100件⋯⋯だとっ!?

 で、でも、俺のスマホには唐沢と胡桃沢のDMしか来てないけど⋯⋯⋯⋯⋯⋯あ、友達二人だけだったわ。

「これからお兄ちゃんには、いろんな『捕食者』が狙って声をかけてくると思うの!」

 捕食者?

「うん、捕食者!⋯⋯つまり、お兄ちゃんの名声・権力・お金を利用したい連中だよ。でも、心配しないで! そんな奴らは私がすべて撃退するから! 私の・・お兄ちゃんに指一本触れさせないから! 私だけがお兄ちゃんの側にいることを許された女なんだからー!」
「お、おい⋯⋯ゆず?」
「す、少し、落ち着きなさい⋯⋯ゆず」

 ゆずが、父さん母さんの目の前で兄妹らしからぬ不穏な言葉を使い始めたのを見て、不安顔でゆずに注意しようとする父さんだったが、

「だって私はお兄ちゃんのことが本気で好きだもんっ!!」
「ゆ、ゆず⋯⋯」
「この子はずっと前からブラコンだからね~」
「ええっ!? そ、そうなの!! ずっとツンケンしてたんじゃ⋯⋯」
「強がりだよ、ソラ。ゆずは昔っからこうだよ。あんたに見せてこなかっただけ」
「ええっ!? な、何で⋯⋯?」
「さあ? なんかこの子なりに考えがあったみたいだけどね。まーでも、今日からリミッター解除・・・・・・・されたから色々大変よ(笑)」
「⋯⋯⋯⋯」

 いや、笑い事じゃないよ、母さん!

「それよりもソラ⋯⋯」
「え? は、はい」

 父さんが真剣な表情で俺に声をかけた。

「今日学校に行ったら恐らくマスコミや周囲の同級生たちからいろいろなことを聞かれるだろう。でも、そんな時こそ胸を張って堂々とするんだぞ」
「え?」
「マスコミが⋯⋯⋯⋯いや、もしかしたらクラスメートもあることないこと適当なこと言ってお前を煽ったりすることもあるかもしれん。だが、もしそんな奴が本当にいたらそんな奴⋯⋯軽く鼻で笑い飛ばせ!」
「と、父さん」

 父さんはそう言って俺の背中を叩いた。

「そうよ、ソラ。何か理不尽なことがあったら笑い⋯⋯いえ、ぶっ飛ばしなさい!」
「えええっ!? か、母さん、それはさすがに⋯⋯」

 さすがにそれはダメなんじゃないかな、母さん?

 俺はお母さんみたいにキレて相手をぶっ飛ばすなんてこと⋯⋯しないからね?

「とにかく、今までどおりの生活を送りなさい、ソラ。もし、それで不都合が起きても私たちが必ず守る。⋯⋯いいね?」
「は、はい!」



 そうして、家族会議が終了した。


********************


——Side:新屋敷ゆず

 お兄ちゃんが凄い人だった! 話を聞いた私はすごく興奮した!

 私は今日という日を忘れないだろう。それくらいに強烈な話の内容だった。

「あ、あの、ボッチで有名なお兄ちゃんが探索者シーカーに合格した? しかも、ただ合格しただけじゃなくて合格して2ヶ月でD級に飛び級した⋯⋯?」

「一体誰の話をしているのだろう?」と、今でも思うくらいにいまだに信じられない話だ。

「私もお兄ちゃんと一緒にダンジョン探索したい!」

 私はお兄ちゃんと違って、小さい頃から運動神経が良かった。だから、私も探索者シーカーになることを決意した。

「私も探索者シーカーになって、お兄ちゃんのクラン『新進気鋭アップスタート』に入るんだ! そしたら、お兄ちゃんといつまでも一緒にいられるしっ!!」



 ゆずのあくなき野望(※だいぶ欲望まみれ)は止まらない。


********************


——新屋敷健二、セーラ

 家族会議が終わり、ソラとゆずは学校へと行った後、健二とセーラの二人はコーヒーを入れて寝室のほうで寛いでいた。

「いよいよ、この日が来ましたね⋯⋯ケンジさん」
「ああ、そうだね⋯⋯セーラ」
「ソラと賢者ワイズマンとの面会⋯⋯⋯⋯いつごろになるのですか?」
「そうだな⋯⋯事態は急を要するからな。できるだけ早いほうがいいだろう。少なくとも3ヶ月後の各国のギルドマスターが来日するまでには⋯⋯ね」
「⋯⋯そうでしたね。それもあるんでしたね」
「ああ。それまでには賢者ワイズマンとソラを何としても会わせる! まずはそれをしないことには次の話・・・ができんからな⋯⋯」
「次の話⋯⋯。日本本部の現ギルドマスター倶利伽羅炎呪の『組織』の話ですか?」

 セーラが厳しい顔になってそう告げる。

「まーそれも・・・あるけどそれだけじゃないよ?『転移者』たちに『並行世界線イフライン』と呼ばれるこの世界にやってきた五人の『別世界線の地球人』。そして、来日の『本当の目的』が気になる各国ギルドマスターたち。他にも、不穏な動きが最近見られるの秘密結社とか⋯⋯⋯⋯もうやることがいっぱいあり過ぎておかしなりそうだよ⋯⋯ハハ」

 真っ青な顔をして力なく吐き捨てる健二。

「あらあら、かわいそうに。じゃあ、せめて今日は私がケンジさんをたっぷり優しく・・・・・・・介抱しますね?」
「え? あ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯よ、よろしく、お願いします」



 そうして、セーラは手元にあるルームリモコンで部屋の明かりをフッと消した。
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