異世界帰りの英雄は理不尽な現代でそこそこ無双する〜やりすぎはいかんよ、やりすぎは〜

mitsuzoエンターテインメンツ

文字の大きさ
73 / 206
第一章

073「佐川と理恵たん〜雨宮バリューテクノロジーを添えて〜(3)」

しおりを挟む


「なるほど。いいぞ⋯⋯いいぞ! やはり私の予想・・・・に間違いはなさそうだ!!」
「柑奈⋯⋯さん?」
「如月さん?」

 如月さんから今日イチであろう『狂気の波動』が漏れ出る。綺麗な顔をしているだけにその狂気を帯びた表情の迫力は半端ない。

「⋯⋯やはり、結城タケルとは何があっても関係を持つべきだな、絶対に。⋯⋯お嬢!」
「は、はい!?」

 突然、名前を呼ばれた雨宮はビクッとしながら直立不動に立つ。

「お嬢⋯⋯タケル君のことは好きかい?」
「え⋯⋯ええええ!! な、何ですか、突然っ?!」
「じゃあ、嫌いか?」
「嫌いではない⋯⋯です」
「そうか、よし! では、彼とすぐに結婚できるよう『貞徳ていとく』に頼んでこよう!」
「え! 父さんにっ?!」
「大丈夫! 私の後押しがあれば貞徳あいつだって首を縦に振るさ。それに⋯⋯」
「それに?」
「貞徳は、私と櫻子と『あれ』を共同研究している研究者の一人だ。そして、タケル君はおそらく⋯⋯その研究とも深く関わっている可能性がある。だから、その話をすればあの・・貞徳もタケル君がお嬢の婿となることを認める⋯⋯いや、認めざるをえないだろうな」
「ちょっ!? 柑奈さん、勝手に決めないで下さい! 佐川も何か言いなさいよ!」
「いや、俺ぇぇぇ?! 正直、二人の話の間に入るのは⋯⋯ちょっと⋯⋯」
「何よ、男の子でしょ! 同級生の女の子を守る気概くらい見せなさいよ! これだから佐川は使えないのよ!」
「ええぇぇ⋯⋯」

 すげー、とばっちり受けた。

 すげー、理不尽。

「くっくっく⋯⋯なるほど、そうか」

 すると、如月さんが突然俺たちを見てニヤニヤしながらそんなことを呟く。え⋯⋯何?

「? 柑奈さん?」
「いや、すまんすまん。そうだな⋯⋯貞徳へその話を出すのはまだちょっと早いようだな。でも、とりあえず、タケル君には正体がオメガだと言うことは伝えていいと思うぞ」
「えっ?! どうしてですか!」
「タケル君がすでに佐川君に『能力』を見せてるからね。でも、そんな佐川君を彼は『友達』と言った。てことはそれなりに今の佐川君を信頼していると思われる。⋯⋯ここまで大丈夫かい、お嬢?」
「う、うん」
「そんな佐川君にタケル君へ『お嬢に治癒能力について話した』ということを言ってもらう」
「えっ?! そ、そうなったら、俺また『トラウマ処刑ムーブ』がありそうで怖いんですけど⋯⋯。ていうかタケルから『バラしたらまたやるよ?』って最後通牒受けてるんで間違いなくやられるんですけど⋯⋯」
「大丈夫だ、佐川君! タケル君は治癒能力を持っているから何度も治せるんだろう? だから⋯⋯死ぬことはない!」
「い、いや、あの⋯⋯痛みはちゃんとあるんですけど⋯⋯」
「大丈夫! そんなの⋯⋯若さで乗り切れるさっ!!」
「ええぇぇ⋯⋯」

 あ、これ、断れないやつだ。

 如月さんの中でマストなやつだ⋯⋯だって、『狂気の波動』が半端ないもの。

「ワカリマシタ、ガンバリマス(遠い目)」
「そうか! やってくれるか! さすが私の見込んだ男だ、佐川君! さて、次に⋯⋯お嬢」
「は、はいぃぃっ!?」

 如月さんに詰められていた俺を見ていた雨宮が、矛先が自分に向かったと知ると表情が一気に強張こわばり緊張を高めた。

「今度はお嬢からタケル君に『治癒能力の話を知ったこと』を話してもらいたい。そして、もう一つ⋯⋯『雨宮バリューテクノロジーの私が君のその能力を知った上で協力を願い出ている』と言って欲しい」
「か、柑奈さんの名前を出していいんですか?」
「いい。何なら君の親父さん⋯⋯雨宮バリューテクノロジー代表の『貞徳』の名前を出しても構わない。それくらい、私⋯⋯いや私やこの会社⋯⋯何ならこの『日本』にとって、彼はとても重要な存在ってことなんだよ」
「「え? に、日本⋯⋯!」」

 如月さんの話がちょっとスケールが大きくなっているのを感じた俺と雨宮はつい呆気に取られてしまう。

「それに、おそらくタケル君のほうでも『信頼ある協力者』を必要としていると⋯⋯私は踏んでいる」
「ど、どうして!? どうしてそんなことが言えるんですか!」

 あらかじめ先読みをしてこの話をしているだろう如月さんを見て、俺は思わず二人の間に入ってどういうロジックなのかを聞いた。

「それはまだ秘密だ。でも、かなり高い確率でタケル君にとっても『雨宮バリューテクノロジーこっちの協力』は魅力的に感じてくれるはずだ」
「そ、そうなんですか⋯⋯」

 わからない⋯⋯わからないけど、でも、何か、如月さんの話には物凄い説得力がある。

 もしかしたらソレは天才如月さんにしか視えていない『タケルの何か』について、今かなりの確証を得たことでの言葉なのかもしれない。

 知りたい。

「⋯⋯わかった。それじゃあ佐川、今度私と一緒にタケル君と話をするわよ。まずは『治癒能力』の話から始めて、最終的には『オメガの正体がタケル君であることを知っている』という話に持っていきましょう。⋯⋯私も覚悟を決めるわ」

 と、雨宮が自分の覚悟も込めた言葉も入れて話をまとめた。

「ああ⋯⋯あと一つだけいいか?」
「何よ、佐川?」
「タケルに⋯⋯『あの時、自分の力でトラックから逃げることができた』なんてことは言わないでくれよな?」
「あ、当たり前でしょ!」


——『記者会見』まで残り1時間10分
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。

wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。 それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。 初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。 そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。 また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。 そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。 そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。 そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。

田舎おじさんのダンジョン民宿へようこそ!〜元社畜の俺は、民宿と配信で全国初のダンジョン観光地化を目指します!〜

咲月ねむと
ファンタジー
東京での社畜生活に心身ともに疲れ果てた主人公・田中雄介(38歳)が、故郷の北海道、留咲萌町に帰郷。両親が遺したダンジョン付きの古民家を改装し、「ダンジョン民宿」として開業。偶然訪れた人気配信者との出会いをきっかけに、最初の客を迎え、民宿経営の第一歩を踏み出す。 笑えて、心温かくなるダンジョン物語。 ※この小説はフィクションです。 実在の人物、団体などとは関係ありません。 日本を舞台に繰り広げますが、架空の地名、建造物が物語には登場します。

アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい

黒城白爵
ファンタジー
 ーーある日、平穏な世界は終わった。  そうとしか表現できないほどに世界にモンスターという異物が溢れ返り、平穏かつ醜い世界は崩壊した。  そんな世界を自称凡人な男がマイペースに生きる、これはそんな話である。

《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う

なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。 スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、 ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。 弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、 満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。 そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは―― 拾ってきた野良の黒猫“クロ”。 だが命の灯が消えかけた夜、 その黒猫は正体を現す。 クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在―― しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。 力を失われ、語ることすら封じられたクロは、 復讐を果たすための契約者を探していた。 クロは瀕死のソラと契約し、 彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。 唯一のスキル《アイテムボックス》。 そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、 弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。 だがその裏で、 クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、 復讐の道を静かに歩み始めていた。 これは―― “最弱”と“最凶”が手を取り合い、 未来をやり直す物語

この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~

仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。 祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。 試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。 拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。 さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが…… 暫くするとこの世界には異変が起きていた。 謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。 謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。 そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。 その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。 その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。 様々な登場人物が織りなす群像劇です。 主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。 その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。 ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。 タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。 その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...