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第二章
097「クランを作ろう!(1)」
しおりを挟む「え~と、とりあえず会議ってことだけど⋯⋯つまり、クラン名をどうするかとか、リーダーをどうするかとか、そういう話でいいか~?」
「「意義な~し」」
理恵たんパパンが出ていった後、佐川が司会という形で会議が始まった。
「あーでもその前にいくつか教えてほしいことがあるんだけど⋯⋯。えーと、一人以上で魔物と戦って倒したときの経験値とかどうなるんだ?」
「えーと、魔物を倒すのにクリティカルなダメージを与えた人を優先に経験値が割り振られますね」
「へー、そうなんだ」
「俺も知らなかった⋯⋯」
「なんだ? 佐川もぼっちかよ」
「ぼっち言うな!」
「ぼっちでしょ? 今の佐川ならともかく、以前のあんたならごめんだもの」
「ちょっ! 雨宮、俺に対してまだちょっと当たりキツくない?」
「うるさいわねー、しょうがないでしょ? 身から出た錆と思って受け止めなさい」
「ぐぬぬ⋯⋯」
「⋯⋯」
あ、あれ~?
この二人⋯⋯なんか、いい感じになってな~い?
たしかに、理恵たんの物言いはたしかにキツくはあったけど、最初に二人が出会った頃に比べたら、だいぶマシになっている⋯⋯。いや、それ以上に、理恵たんの佐川に対しての当たりが柔らかくなっているように見える。
い、いや、ていうかこの二人から⋯⋯ラブコメの波動を感じるぅぅ~~っ!!!!
と、俺が一人悶えていると、
「ん? どうした、タケル?」
「どうしたの、タケル君?」
「えっ!? いえいえいえいえ! ど、どどど、どうぞ、お構いなくぅぅ~!!!!」
全力でごまかした(ごまかせたかは不明)。
********************
「え、え~と⋯⋯そんなわけで、クラン結成となると3人で決めなきゃいけないものが、いろいろとあるのですが⋯⋯」
現在、司会進行しているのは理恵たん。やはりここはD級探索者ということもあり「是非に!」とお願いした。え? 佐川? なんかムカつくから理恵たんに交代した。
「まず、何よりも最初に決めるべきは⋯⋯『クラン名』です」
「あ~クラン名か~」
「⋯⋯」
まー、一丁目一番地はそこになるよな。
「ちなみに、言い出しっぺのタケルはど~なのよ? クラン結成しようと言ったのならそれくらい、すでに考えているんだろ~?」
と、佐川が俺に軽く煽りを入れてきた。
フッ⋯⋯バカめ!
「もちのろん! ていうか、クラン名はこれで是非決定としたい! 佐川の意見はノー考慮。理恵たんの意見はしっかりと聞き入れます」
「な⋯⋯なんだよ、それぇぇ!」
「うるさい。佐川⋯⋯ハウス!」
俺は煽ってきた佐川を問答無用で切り捨てる。
「あ、あの、タケル君。別に私のことも気にしなくていいですよ? それに私的にもタケル君が決めたクラン名で全然いいです。そもそもこのクランはタケル君がリーダーのクランですので⋯⋯」
「え? 俺がリーダーですか?」
「もちろんです!」
「まぁ、でもそっか。言い出しっぺだもんなぁ⋯⋯」
ということで、俺は理恵たんの後押しもあって『リーダー』を務めることとなった。
「で、タケルが考えてきたクラン名ってのは?」
「フン、よくぞ聞いてくれた! 聞いて驚け、佐川! 俺の考えたクラン名は⋯⋯『英雄旅団』!」
「え、英雄⋯⋯」
「⋯⋯旅団」
ふふん! これは俺が異世界で『英雄』と言われたのをモチーフに考えついたクラン名だ。どうだ? かっこいいだろう?
シーン⋯⋯。
あ、あれ? 二人が固まっちゃった⋯⋯? リ、リアクション⋯⋯ぷりーず。
「タ、タケル⋯⋯」
「な、なんでしょう?」
「え~⋯⋯何というか、ずいぶん厨二的な要素が多分に含まれている気がするんだが⋯⋯」
「ええ~、そうか~? 理恵たんは?」
「えっ?! わ、私⋯⋯! え、え~と⋯⋯タケル君が決めたことなので良いと思いますが⋯⋯その~、ちょっと『悪目立ち』しそうといいますか⋯⋯『名前負け』しそうといいますか⋯⋯」
「ん? あ、ああ、そっか」
そうだよな~。理恵たんや佐川は俺が異世界に行って魔王を倒して英雄になったってこと⋯⋯知らないんだよな⋯⋯。
そりゃ、魔王倒して英雄になったことを知らない二人からしたら『厨二病ネーミング』ってなるよな~。
そうだな。⋯⋯しょうがないよな。
「そっか。それじゃ⋯⋯変えよっか」
俺は少し残念がったがすぐに切り替えて、別のクラン名を考えようと二人に提案しようとした。すると、
「い、いや、ちょっと待てよ、タケル!」
「佐川?」
「正直、厨二病っぽいネーミングに感じるけど、これはこれでお前らしいからいいと思うぞ」
「さ、佐川⋯⋯」
「⋯⋯クス、そうですね。それに今注目のDストリーマー『オメガ』も『厨二病罹患者』みたいですし、ある意味『厨二病』はトレンドなのでいいんじゃないですか!」
「っ!?」
「お、おおお、理恵たん!」
まさか、理恵たんが『オメガ』の話を持ち出してくるとは⋯⋯少しビビった。ていうか、なんで佐川がビビってるんだ?
にしても、たしかに理恵たんの言う通りかもしれない。実際『オメガ』は今一番のトレンドになっているもんな。
「とはいえ、雨宮の言う通り⋯⋯『名前負け』しないか少し心配だけどな」
「そうですね⋯⋯。何せ『英雄』て言葉が入っているクラン名ですから。正直⋯⋯『名前負けしないよう頑張ろう!』と言うのは簡単ですが、実際それを形にするには⋯⋯」
と、二人が難しい顔をしながら呟く。たしかに二人の意見はもっともだ。
しかし、俺はこのクラン名を気に入っているのでどうしても通したい。というわけで、
「大丈夫! お、俺たちなら⋯⋯絶対に大丈夫だからっ!!」
俺はとにかく勢いで二人にゴリ押しした。
まー実際、二人からしたら『根拠のない自信』にしか聞こえないのだろうなぁ。それに、そもそも3人の中で、F級になったばかりのダンジョン探索もしていないぺーぺーの俺の根拠のない自信の言葉なんか、二人には届かな⋯⋯、
「わかりました。タケル君がそこまで言うなら、頑張ってみたいと思います!」
「わ、わかったよ。お前がそこまで言うなら、やってやるよ!」
「あ、あれ?」
え⋯⋯嘘? いいの?
「ん? どうしたタケル?」
「あ、いや、この中じゃ探索者として一番ペーペーの俺の意見がまさか採用されるなんて⋯⋯思ってもみなくて⋯⋯」
「えっ!? あ、い、いや⋯⋯それはその⋯⋯痛ぇぇっ!?」
佐川が俺の言葉を聞いてあたふたしながら答えてると、横から理恵たんが佐川のくるぶしを蹴り上げた。何してんだろ?
「わ、私たちは、大切な仲間じゃないですか! そんな仲間の、しかもクランリーダーの言葉なら信じられますよ! それに何かを決断する時こそリーダーの言葉を信じる⋯⋯これが『信頼感』や『連帯感』につながるんですから!」
「な、なるほど⋯⋯?」
俺は理恵たんの鬼気迫る説明に思わず納得させられた。
ま、まぁ、いいっか⋯⋯。
とりあえず俺の考えたクラン名が採用されたんだし。
というわけで、俺たちのクラン名は『英雄旅団』に決定した。
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