「自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-」

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第一章 幼少編

001「プロローグ」

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——やはり、俺の考えは正しかった

 俺は今、キレイな青髪の女性の乳房を吸っている。あ、いや失敬⋯⋯⋯⋯おっぱいを飲んでいる。

「あら、カイトちゃん。今日は元気よくお乳吸ってるわね~」

 俺の名は『カイト・シュタイナー』。クラリオン王国シュタイナー領の領主ベクター・シュタイナーの長男として生まれた。年は0歳6ヶ月。生まれたてホヤホヤだ。だから女性の乳房を吸っても犯罪ではない。実に一般的な食事風景である。

 あと、このおっぱいをあげている女性は俺の母親だ。名はジェーン・シュタイナー。透き通る青の髪色を纏う美人さんだ。そんな美人の母親のおっぱいを吸っているというのに感情が『性欲』ではなく『食欲』なのは俺が赤ちゃんだからなのだろう。赤ちゃんって不思議だ。

 ところで、赤ちゃんである俺がどうしてこうも『理性的』なのか⋯⋯『なろう読者』ならお分かりだろう。そう⋯⋯異世界転生だ。俺は異世界に転生したのだ⋯⋯以前の地球にいた頃の記憶を持ったまま。『なろう読者』すべての憧れである異世界転生者に俺はなったのだ!

 さて。

 とりあえず、俺がおっぱいをいっぱい貪っている間にここまでの話をしておこう。


*********************


『チート能力を持って異世界に転生する』

 これは、あくまでゲームやマンガ、ラノベの話、空想上の物語、ファンタジーである⋯⋯と年齢を重ねるにつれ気づかされ『少年』は『大人』という社会の歯車に埋没する⋯⋯これが普通の生き方だ。

 しかし稀に、ずっと『異世界転生を信じ続ける猛者』たちもいる⋯⋯⋯⋯が結局、異世界に転生されないまま年齢を重ねていき、それまで独身だったこともあり最終的に『孤独死』を迎えるということが社会問題になっているとテレビで特集していた。

 しかし、悲しいかな⋯⋯俺もまたその『異世界転生を信じ続ける猛者』の一人だった。

 そんな猛者の一人である俺『山田貞夫』も気づけば四十歳になっていた。

 それまでの俺は『異世界にはどうやったら転生できるんだろう?』とずっと考えて生活していたが、結局答えは『トラックに轢かれて死ぬ』となり、それはちょっとリスクとハードルの高さと周りへの迷惑度が高いとなって断念せざるを得なかった。

 とりあえず、俺は異世界への転生方法は横に置いといて、今度は『異世界に転生したらやりたいことリスト』を作るのに没頭した。ちなみに今は五冊目に入っている。

 そんな、俗世から離れた痛々しい四十代の俺がどうして異世界へと転生することになったのかというと、きっかけは、『とある巨大掲示板』に書いてあった『異世界に行ったかもしれないスレ』だった。そこにスレ主が『異世界に転生する方法』というのを書いてあったので俺はそれを実行した。そのやり方はこうだ。

——————————————————

『チート能力もらって異世界転生する方法』

 1.「チート能力を持って異世界に転生したい」と紙に書いて、それを枕元に置く
 2.午前0時になったタイミングで、その紙に書いた内容を大きな声で叫ぶ
 3.成功すれば叫んだ瞬間、チート能力を授ける神様みたいな人がいるところに移動する

 ※ここからは「3」を成功した後の説明です

 4.神様がルーレットを回す。そこで決定したチート能力が授けられる
 (注:ルーレットは完全運次第らしい)

 5.異世界へGO!

——————————————————

 ちなみに、この『異世界に行ったかもしれないスレ』というのは、今から二十年前に流行ったスレだ。当時このスレが流行った時、実際に実行した者がいたらしいがことごとく失敗し、さらに最悪なことに大声を叫んだところで家族にみつかり、以降、病人扱いされひどい目にあったという厨二病同志の書き込みで溢れた。結果、このスレ主は『インチキクソ野郎』という烙印を押され、このスレの流行りは終わりを告げた。

 俺がこの古いスレをみつけたのはほんの最近で、ネットで『薄い本』を探していたときにたまたまみつけたものだった。ちょうどそのスレをみつけたタイミングが両親も妹も家族旅行に行ってて家に俺一人で暇を持て余してた時だったので、何となく、ただ何ともなしに、暇つぶしにやってみたのだが⋯⋯⋯⋯なんと成功した。

 え? なんで家族旅行にお前は参加していないんだって? そんなの家族と見做みなされていないからに決まってんだろ! 言わせんな、恥ずかしい。

⋯⋯⋯⋯自分で言っててちょっと泣いた。
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