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幼馴染み

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いつもの朝 。
目覚ましの音を止め、ベッドから起き上がる 。

「……いい天気…」

カーテンを開けてみると、昨日の大雨が嘘だったかのように雲ひとつない青空が広がっていた 。

「乃衣~!遅刻するよ~!」

お母さんの声が家中に響く。
遅刻なんてしてられない 。
だって今日は入学式 。

パジャマを脱ぎ捨て、買ったばかりの新しい制服に袖を通した。

「…制服だ……私、今日から高校生なんだ…」

この前 中学を卒業したばかりだというのに、もう入学式 。
制服が可愛いという理由だけで、選んでしまった高校に、私はついていけるのだろうか……と不安は少しだけあった 。

「…なーに鏡ガン見してんだよ」

そしてこれもいつものことだ 。

「……あんたねぇ、ちゃんとドアから入ってきてよ」

「別にいーじゃんよ。窓からの方が速ぇし」

そう言いながらズカズカと私の部屋に入ってくるのは、幼馴染みの藤堂 莉都 。
小さい頃から家が隣同士で、生まれた日も、産まれた病院も同じだった。

「…ったく なんで高校までお前と同じなんだよ」

「莉都が私と同じ高校にしたんじゃん!」

莉都はこう言うけど、本当は嬉しいはずなんだ 。
なんだかんだいって、私がいないと寂しいとと思うから。










10年前…









「莉都……」

「………」

それは突然だった 。

不良の事故で莉都の両親は亡くなった。大雨の日だった。道路を走行中、前方から来た大型トラックがスリップを起こし、そのまま莉都の家族が乗る車に正面衝突したのだ。運転していた莉都のお父さんと助手席に乗っていたお母さんは即死。後ろに乗っていた莉都は奇跡的に軽い傷ですんだ。

莉都の両親の葬儀の日、莉都は涙一つ流さなかった。私は不思議でたまらなかった。
私ならきっと泣いてしまうから。

葬儀が終わり出席者が帰った後、
ぽつんと遺影の前に座る人影があった。
私は莉都の名前を呼ぶと、莉都は少し間をおいて振り返り、私に優しく微笑んだ。
…その笑顔はあまりにも悲しくて寂しくて切なすぎた 。
そんな莉都に私はすーっと引き寄せられるように駆け寄り、そっと抱きしめた。

「…莉都は1人じゃないよ。私がずっと側にいるから」

「…乃衣ちゃん……」

きっと我慢してたんだ。
莉都の体はどんどん熱くなって、私の肩はいつの間にか莉都の涙で濡れていった。


それから私はずーっと莉都といる。側にいたいと思うから。1人にしちゃ壊れちゃうとわかったから。10年前のあの日、そう決めた。

「…ほら。行くよ莉都!遅刻しちゃう~」

「…乃衣を待ってたのに」

「つべこべ言わない!お母さん行ってきまーす!」

私は莉都の手を引っ張り玄関のドアを開けた ……


そして1日が始まる 。
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