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入学式
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「…あ!あったよ!莉都!また同じクラスじゃん!」
「…まじかよ……」
「なによその反応は。本当は嬉しいくせに」
入学式 。
私達は地元の 丘の上高校に入学した。
「乃衣~藤堂~おはよう」
「ヨリちゃんおはよう!」
彼女は 風早 世里 ちゃん。
中学校からのお友達。
「2人とも何組だった?同じクラス?」
「A組だった!ヨリちゃんは?」
「おっ一緒じゃん!」
今年も3人揃って同じクラスだった。
なぜか中学1年の時からずっとクラスは離れたことがない。そのせいか周りよりも少しだけ友情も深いと自分では思ってるつもり。
「教室行こっかヨリちゃん!莉都も行くよ~」
「……」
「莉都?どしたの?」
「……いや、なんでもない」
その時、莉都が何を見ていたのか、何を思っていたのかはあとから知ることとなった 。
教室に入ると、黒板の前に人だかりができていた。
「なんだろう……」
ヨリちゃんに手を引かれて見に行くと、座席表だった。
「嘘でしょ?! 私、1番前なんだけど……」
そう言ったヨリちゃんはとても困り顔だった。
「……私は……」
自分の名前を探していると、
「…窓側の1番後ろ」
そっと耳元で囁かれた。
ぱっと後ろを見ると、莉都が立っていた。
「びっくりするじゃんかー!」
私は苦笑いをした莉都の肩を叩いた。
すると莉都も少しだけ微笑んだ。
「莉都は?どこだった?」
「お前の隣」
奇跡的に莉都とは隣同士でだった。とりあえず、ぼっちは避けられたと安心した。
座席表通りに窓側の1番後ろの席に座り横を見ると、莉都は席に座った途端に伏せて寝てしまった。
ヨリちゃんを見てみると固まっているかのように自分の席から動こうとはしなかった。
ヨリちゃんは人見知りだから、席が離れて、さらに一番前の席だったのがショックだったのだろうと思った。
「莉都も寝てるしヨリちゃんは遠いし……」
私は大きなため息をついた。
「おっきなため息だね~ 幸せ逃げてくよ~?」
聞いたことのない声がした。
「え?」
私は思わず顔を上げた。
「……?」
目の前に立っていたのは、恐らく前の席であろう人物。
キャラメル色のカーディガンを羽織った長身の男子だった。
「…名前、なんて言うの?」
「……柏木 乃衣です…」
「乃衣か!よろしくな!乃衣!」
いきなり呼び捨てかよ。
と、心の中で囁いた。
「…よろしくお願いします」
「俺、小野寺 慶太!慶太でも慶ちゃんでも好きな呼び方で呼んで!」
「…あ、うん……」
なんてフレンドリーなんだろう。
初対面の人にこんなにもフレンドリーになれるものだろうかと自分に問いかけてみたけど、絶対無理だ。
「…そいつ、誰?」
莉都の声が聞こえて、横を見ると
寝てたはずの莉都がじっとこっちを睨みつけていた。
「あっ、小野寺 慶太くんだって。前の席の……」
「…小野寺?」
莉都はムスッとした顔で小野寺くんを見ていた。
「なに?乃衣の知り合い?」
「うん。幼馴染みの莉都。」
「あっ!しってる!藤堂 莉都だろ?!」
小野寺くんは目を丸くして莉都を指さした。
「いや~まさか同じクラスだったとはね~」
「莉都のこと知ってるの?」
「知ってるも何も女子たちが噂してたからね」
「噂?噂ってどんな?」
「あれ?知らねーの?新入生の藤堂 莉都ってやつがイケメンだって騒いでるの。もうあちこちでキャーキャー言ってたのに気づかなかった?」
私も莉都もポカーンとしてしまった。
「…そんなの最初のうちだけだろ」
とどめを刺すかのように莉都が呟いた。
「…なーに?余裕ってやつ?笑」
「そんなんじゃねぇよ
だいたい、中身も知らねぇやつ
のことをキャーキャー騒ぎ立て
て何が楽しいんだか」
「...ちょ、莉都っ……」
あまりにも莉都が喧嘩ごしに言うもんだから、私は慌てて止めた。
「……イケメンか…」
確かに莉都は、背も高くて、優しくて、勉強もスポーツもできて、そこら辺の男子と比べたらかっこいいかもしれない 。
だけど、莉都がイケメンだって話は今に始まったことじゃない。
幼稚園の時には、クラスの女子みんなからバレンタインのチョコをもらったし、小学校の時は大半の女子が莉都のことを好きだった。
中学校の時なんて、もっとすごい。
入学してたったの3日!たったの3日しか経ってないのになぜだか莉都の周りには女子が群がる。
いわゆる “モテる” ってやつか。
「...もういいだろ~その話は...」
そう言って話をやめようとするけど、莉都はまんざらでもなさそうだ。
「ま、とりあえず、君は俺のライバルってこと!それだけは覚えといてね!」
そう言い残して、小野寺くんは廊下に出ていってしまった。
「...ライバルってなんだろうね」
「……知らね」
莉都はまた机に伏せて寝てしまった。
隣には幼馴染みの莉都。
前にはよくわからない小野寺くん。
これから先、どんな出来事が待っているのかな 。。。
「…まじかよ……」
「なによその反応は。本当は嬉しいくせに」
入学式 。
私達は地元の 丘の上高校に入学した。
「乃衣~藤堂~おはよう」
「ヨリちゃんおはよう!」
彼女は 風早 世里 ちゃん。
中学校からのお友達。
「2人とも何組だった?同じクラス?」
「A組だった!ヨリちゃんは?」
「おっ一緒じゃん!」
今年も3人揃って同じクラスだった。
なぜか中学1年の時からずっとクラスは離れたことがない。そのせいか周りよりも少しだけ友情も深いと自分では思ってるつもり。
「教室行こっかヨリちゃん!莉都も行くよ~」
「……」
「莉都?どしたの?」
「……いや、なんでもない」
その時、莉都が何を見ていたのか、何を思っていたのかはあとから知ることとなった 。
教室に入ると、黒板の前に人だかりができていた。
「なんだろう……」
ヨリちゃんに手を引かれて見に行くと、座席表だった。
「嘘でしょ?! 私、1番前なんだけど……」
そう言ったヨリちゃんはとても困り顔だった。
「……私は……」
自分の名前を探していると、
「…窓側の1番後ろ」
そっと耳元で囁かれた。
ぱっと後ろを見ると、莉都が立っていた。
「びっくりするじゃんかー!」
私は苦笑いをした莉都の肩を叩いた。
すると莉都も少しだけ微笑んだ。
「莉都は?どこだった?」
「お前の隣」
奇跡的に莉都とは隣同士でだった。とりあえず、ぼっちは避けられたと安心した。
座席表通りに窓側の1番後ろの席に座り横を見ると、莉都は席に座った途端に伏せて寝てしまった。
ヨリちゃんを見てみると固まっているかのように自分の席から動こうとはしなかった。
ヨリちゃんは人見知りだから、席が離れて、さらに一番前の席だったのがショックだったのだろうと思った。
「莉都も寝てるしヨリちゃんは遠いし……」
私は大きなため息をついた。
「おっきなため息だね~ 幸せ逃げてくよ~?」
聞いたことのない声がした。
「え?」
私は思わず顔を上げた。
「……?」
目の前に立っていたのは、恐らく前の席であろう人物。
キャラメル色のカーディガンを羽織った長身の男子だった。
「…名前、なんて言うの?」
「……柏木 乃衣です…」
「乃衣か!よろしくな!乃衣!」
いきなり呼び捨てかよ。
と、心の中で囁いた。
「…よろしくお願いします」
「俺、小野寺 慶太!慶太でも慶ちゃんでも好きな呼び方で呼んで!」
「…あ、うん……」
なんてフレンドリーなんだろう。
初対面の人にこんなにもフレンドリーになれるものだろうかと自分に問いかけてみたけど、絶対無理だ。
「…そいつ、誰?」
莉都の声が聞こえて、横を見ると
寝てたはずの莉都がじっとこっちを睨みつけていた。
「あっ、小野寺 慶太くんだって。前の席の……」
「…小野寺?」
莉都はムスッとした顔で小野寺くんを見ていた。
「なに?乃衣の知り合い?」
「うん。幼馴染みの莉都。」
「あっ!しってる!藤堂 莉都だろ?!」
小野寺くんは目を丸くして莉都を指さした。
「いや~まさか同じクラスだったとはね~」
「莉都のこと知ってるの?」
「知ってるも何も女子たちが噂してたからね」
「噂?噂ってどんな?」
「あれ?知らねーの?新入生の藤堂 莉都ってやつがイケメンだって騒いでるの。もうあちこちでキャーキャー言ってたのに気づかなかった?」
私も莉都もポカーンとしてしまった。
「…そんなの最初のうちだけだろ」
とどめを刺すかのように莉都が呟いた。
「…なーに?余裕ってやつ?笑」
「そんなんじゃねぇよ
だいたい、中身も知らねぇやつ
のことをキャーキャー騒ぎ立て
て何が楽しいんだか」
「...ちょ、莉都っ……」
あまりにも莉都が喧嘩ごしに言うもんだから、私は慌てて止めた。
「……イケメンか…」
確かに莉都は、背も高くて、優しくて、勉強もスポーツもできて、そこら辺の男子と比べたらかっこいいかもしれない 。
だけど、莉都がイケメンだって話は今に始まったことじゃない。
幼稚園の時には、クラスの女子みんなからバレンタインのチョコをもらったし、小学校の時は大半の女子が莉都のことを好きだった。
中学校の時なんて、もっとすごい。
入学してたったの3日!たったの3日しか経ってないのになぜだか莉都の周りには女子が群がる。
いわゆる “モテる” ってやつか。
「...もういいだろ~その話は...」
そう言って話をやめようとするけど、莉都はまんざらでもなさそうだ。
「ま、とりあえず、君は俺のライバルってこと!それだけは覚えといてね!」
そう言い残して、小野寺くんは廊下に出ていってしまった。
「...ライバルってなんだろうね」
「……知らね」
莉都はまた机に伏せて寝てしまった。
隣には幼馴染みの莉都。
前にはよくわからない小野寺くん。
これから先、どんな出来事が待っているのかな 。。。
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