王子が恥辱の果てに王妃となるまで

ものずきし

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大きな転換

 リキニウスの言葉の後、部屋の空気が異様に張り詰めるのを、セルギウスもマルチリアもリキニウス自身も感じた。空間の緊迫は魔術で良くみられる現象だった。マルチリアは落ち着きを失ってきょろきょろと辺りを見回した。
「何が起きたの?」
 マルチリアは不安に駆られて思わず叫んだ。すると、セルギウスとリキニウスに巻き付く金属の蔦が緩んで、みるみる縮み、最後には跡形もなく消え去った。二人は自由になった。
「私の魔術が!」マルチリアは驚愕した。
 さらにマルチリアとセルギウスがまとう衣が徐々に色褪せ、時を早回しするように、ぼろぼろに朽ちていった。二人の衣は失われ、全身が露出した。マルチリアは小麦色の滑らかな肌で、曲線的かつ肉感があり、胸もお尻も大きく、豊かな体だった。
「寒い、寒いわ」
 マルチリアは手足をさすり、身体を抱いた。奇妙なことにその成熟した身体が徐々に痩せ、女性的な曲線が失われていった。大きな双丘もみるみるしぼみ、子供のように平らな胸になってしまった。丸かったお尻は肉がそげ落ち、筋肉や骨の凹凸が浮き出てきた。
「私の体が!」
 マルチリアは身体のあちこちを触り、頭を巡らして身体を確認した。
「ああ!それだけは!」
 マルチリアは股を開いて、指で自らの女陰を広げて覗き込んだ。驚くことに、亀裂を縁取る複雑な襞が縮み、深い窪みは埋まって、女陰は単純で浅い割れ目に変わってしまった。大事な孔は失われ、残ったのは小さな尿口と後ろの肛門だけだった。マルチリアの全身は子供がそのまま大きくなったような姿に変わり果て、それは今のセルギウスとよく似ていた。
「そんな」
 マルチリアがそう言って崩れ落ちるのをセルギウスは眺めていた。

 セルギウスは絶頂が落ち着き冷静になっていた。しかし、再びお尻の奥で奇妙な熱が始まり、次第に強くなるのを感じた。その熱は体の重心から手足の隅々まで広がるようだった。
 リベリオニスの儀式に敗北したことで、セルギウスの顔は男らしい無骨さを失い、子供のように変わっていた。ひげもなくつるりとして、大きな目が印象的だったが、マルチリアを眺める間に睫毛が長くなり目元が華やかになった。頬は少し膨らんで、薄かった唇は厚みが出て艷やかになった。
 セルギウスは身体が温まるにつれて、痩せた手足と胴体に肉が付いていくのを感じた。それは筋肉ではなく、手で押してみると柔らかかった。セルギウスの身体は細く凹凸が目立っていたが、丸みを帯びて柔らかい輪郭に変わった。
「なんだこれは?」
 セルギウスはいぶかった。その声はさらに少し高くなっており、可憐な響きがあった。
「あん!」
 突然、ツンと快感がセルギウスの乳首を打った。もともと男にしては大きくなっていたが、さらにぷっくりと立ち上がり、乳輪も色鮮やかになって広がった。さらに乳首の裏にじくじくとした痛痒さを覚え、それに戸惑うセルギウスの目の前で、自分の胸が徐々に盛り上がり始めた。
「まさかこれは!?」
 セルギウスは両手で胸を押さえつけた。しかし膨らむ胸はそれを押し返して成長を続け、指の隙間からはみ出した。最終的に両手からこぼれて抱えるほどの大きさになり、マルチリアに負けない立派な双丘に育った。その間、セルギウスは気づかなかったが、座り込んだセルギウスの尻も後ろと左右に張り出すように骨格が広がり、柔らかい肉がついて、大きな丸いお尻に変化した。
 セルギウスは立ち上がったがバランスを崩してよろめいた。白くて丸くて柔らかいその体は重心が変化している。胸には立派な双丘が自然に垂れ下がり、体を回すとお尻が揺れた。両脚の付け根の間隔が広がったことで、セルギウスは普通に立ったつもりでも、自ずと内股になってしまう。
「返して! 私の女を返して!」
 マルチリアが泣き叫んだ。その身体は哀れなほど貧相だった。セルギウスには返す言葉が見つからなかった。

「セルギウス様、これはどういうことでしょう?」
 リキニウスがセルギウスの隣に立って言った。
「……もしかすると、リベリオニスの儀式が起こったのかもしれない」
 セルギウスは自分の声が知らない女性の声のように聞こえた。
「まさか、マルチリアの立場を奪ったということですか?」
「そうかもしれな……うっ!」
 セルギウスは途中で言葉を詰まらせた。股間で何かが収縮するような、何かを引っ張り込むような、ただならぬ感覚に襲われた。セルギウスは下腹部に手を当て、思わず座り込んだ。
 今や肉感的になった太ももの間に、萎縮した陰茎が震えていた。その後ろには平坦になった陰嚢が張り付いていたが、その中央に浅い亀裂が生じた。セルギウスはむず痒さを感じて思わず指を這わせたが、亀裂は徐々に深くなり前後に伸びて、明らかな割れ目に変わった。浅黒い陰嚢の名残は割れ目に引き込まれ、鮮やかなピンク色に変わった。セルギウスは指先を動かすと、指先からこれまで感じたことがない快感が染み込むようだった。
「んっ!」
 セルギウスは不意に甘い声を出してしまった。割れ目はいつの間にか濡れていた。セルギウスは己の陰茎がぴくぴくと収縮するのを感じ、先端から透明な汁が流れ出るのを見た。その後すぐに強烈な引力を陰茎に感じて、思わず指先で摘まんだ。
「あああん!」
 電撃のような快感がセルギウスを襲った。緩んだ指先を陰茎はすり抜け、すぐ後ろの割れ目に引き込まれて沈んでいった。その皮は割れ目を縁取る襞と一体化した。
 セルギウスが恐る恐る自分の股間を覗き込むと、割れ目の間にピンク色の襞が覗いていた。両手でそっと広げてみると、それはこれまでにない奇妙な感覚だった。襞の間には小さな粒が隠れており、恐る恐る触ってみた。それは亀頭を触る感じに似ていた。萎縮した陰茎はとうとう陰核に変わってしまい、当然その先に孔はなく、何かを出すこともない。
 そうしている間にも下腹部の中、股間の奥で何かがうごめいている感覚があった。それは少し不快だった。その感覚は奥から手前へ移動し、セルギウスの新しい割れ目に近づいてきた。セルギウスが目を離せないでいると、濡れた割れ目の底がひくひくと動き、すぼめた口のようなシワが生じて、その真ん中に孔ができた。指先でゆっくりと探ると、指先は中に沈んだ。ぞわぞわした快感を伴い、からだの中の粘膜を直接触るようなものだった。セルギウスは怖くなって途中で止めた。
 割れ目はピンク色の襞に縁取られ、その中に可愛らしい陰核、その後ろに小さな尿口、そして最後に神秘の孔が隠されていた。それは紛れもなく女陰だった。セルギウスの新しい持ち物だった。紆余曲折の果てにセルギウスは女へと転換を果たした。
 その事実を意識すると、セルギウスは急に恥ずかしくなった。股をきゅっと閉じ合わせて、片手でそこを隠し、もう片方の手で申し訳程度に胸を隠した。その仕草はきわめて女性的だったが、そのことを気にする余裕もなかった。
 リキニウスはその様を見ていたが、赤面して目を背けた。
「返して!返して!」
 マルチリアは悔しげに泣き続けていた。
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