主人公は魔法が使えないのである。

ice cocoア

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海底牢獄チュリマー編

第70話 魔法武具シェロン再起動!

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プラッセはあまりの寒さにブルブルと震えながら目を覚ました。

「地下牢獄ってこんな風吹くのか。」

ふと隣の牢獄をのぞいて見た。

「ディ、ディグルがいない...?」

もう夜になったということにプラッセはようやく気が付いた。
さらにプラッセは自分の牢獄の鉄格子にヒビが入ってるのことに気づいた。

「これって、壊して出ろってこと...だよな?」

プラッセが少し触れると鉄格子はすぐにボロボロと崩れ落ちた。

「それにしても俺はどこに行きゃいいんだ。」

周りにも多く囚人たちがいるはずなのに全く気配が感じられない空間だった。
暗闇の中に目を凝らしてようやく見えるような奴らばかりだった。

「こいつら人なのかよ。」

プラッセは暗闇の中にかすかな音を感じた気がした。
カカンカカンと不気味な足音が鳴り響く。
すると今まで全く気配のなかった囚人たちの体内の魔素マナがあふれんばかりに感じられ、
彼らの充血したその眼はギラギラとしていた。
いきなりプラッセの近くにいた1人の囚人が狂ったように叫び出す。

「うぁぁぁぁああリアム様ぁ~~!俺を奴隷に、俺を、」

すると次々に囚人たちが同じようなことを叫び出す。
カカンカカンという不気味な足音はどんどん近付いてきてプラッセの姿を確認したのか動きを止める。

「う、お前なぜ、どうやってこの牢獄から出た...どれほど強大な力を持つ死刑囚でも壊せないその鉄格子を...」

周りで叫んでいた囚人たちがいきなり静かになって棒立ちするプラッセを凝視した。

「ふ、ふっ、おもしろい。お前がそれほどの力を持っていたと今はそれで納得しておこう。お前を殺すのはあまりにも惜しすぎる。俺の奴隷にさせてもらおう!」

リアムが両手から紫色の液体を放出する。
その量はどんどん多くなっていき、一つの大きな手のような物を作り出しプラッセを覆おうとする。

「うっわ、ハーデス思い出すわそれ。“振手”!」

大きな手は破裂して紫色の液体がプラッセの周辺に飛び散る。

「じゃあ次はこっちから行かせてもらおうか。」

プラッセは次の瞬間リアムの背後に回る。

「貴様、いつそこに移動した...?」
「それでも王国騎士団長かよおい、“振拳”!」

リアムは咄嗟に超硬化を張るがなすすべなく飛ばされる。

「厄介な怪手サスピシャスマーノを使いやがって...魔法武具シェロン。」

リアムの左耳のピアスが怪しく光りだす。
プラッセは思い出したかのようにそのピアスに蹴りを入れようとしたが
もちろんリアムはさっと回避する。

「このピアスは俺の魔法に乗る魔力が50倍にもなる。これが俺の本気だ!」

リアムの肌は紫に変色し、紫のツノも生えて怪物へと変化した。


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