主人公は魔法が使えないのである。

ice cocoア

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王都エルメニスト編

第26話 十戒の裏切り者!?

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「クリストファー=グランツェ、逃げやがった。何だったの?あの魔法は。」

デネヒーが嘆くとゼネセストが答える。

「あの魔法はおそらく違法魔法とされている闇道ダークロードだ。あらかじめ設定していた地点に一瞬で戻ることができるっていう魔法。」

プラッセが十戒のみんなを見渡して言う。

「デネヒー、この人達が十戒なのか?」
「そうよ。彼はあなたも知ってると思うけど木属性と土属性ハルビィン・オリバー。あなたを治療したのが水属性ウェルフ・ウェルム。そしてその兄の雷属性ウェルフ・ウェルス。そしてここの学校長の光属性アーム・ゼネセスト。そして風属性ルム・メーノス、炎属性トロモス・ルーク、毒属性ドーガス・ジェノン、時属性エスノ・トープス。あれっ、レーボルト・ギムは?」

確かにそこには9人しか居なかった。

「デネヒー、通信魔法いる?」
「任せたよ。」

ウェルムは両手で水の塊を作って呪文を唱える。

呪通信コンタクトレーボルト・ギム。」

するとその水の塊に人の顔が浮かび上がった。

「ギム、呼ばれたでしょ。なんで来ないの?」
「ああ。それなんだけどな、俺が今どこにいるか分かるか?」
「えっ、」

ギムの後ろにはさっきまでゼネセストに突き刺さっていた紫の水晶がたくさんあり、入り組んでいるような場所であった。

「ここはな、死の精霊ハーデスが造ったクリストファー=グランツェのアジトみたいなもんだ。見てみろよ魔素マナが溢れている。」

ルークが焦りぎみに言う。

「アジトを突き止めたってことだよな?どこか教えてくれ。今すぐ向かう。」
「分かっているだろ。俺はグランツェさんについていく。お前は炎属性だから俺の火属性をよく笑ってたよな。俺だって知ってるよ。火属性が炎属性に勝つにはものすごい努力が必要だって。でも今は違う。俺はグランツェさんとハーデスのおかげで火属性も闇属性も持ってる。」

そう言ったギムの手から闇属性の魔素マナでできた黒い液体のようなものが出てきた。

「これでもうお前に馬鹿にされない。」
「ギム、考え直せよ。10年前にはお前だって奴に殺されかけただろ?」
「でも今は救ってくれたんだ。彼は俺の英雄なんだよ。」

ギムは呪通信コンタクトをぶつりと切った。

「帰る気はないそうですね。デネヒーさん。」
「グランツェは十戒の一人を仲間にした。どう考えてもこれはでかいぞ。」
「とりあえず国王陛下に報告するか?」
「じゃあ報告はウェルス兄さんとメーノスさんとルークさんとジェノンさんで。それ以外はこのエルメニスト学園を建て直さない?」

みんなは頷く。四人はどこかへ飛んでいき、五人は残った。

「じゃあトープスさんが時魔法で破壊される前の様子を確認。それを基にオリバーさんが土魔法で型どり、私とデネヒーが固める。ゼネセストさんはそのあと違和感がないかの確認ね。」
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