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王都エルメニスト編

第38話 リム・トムスの実力は?

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Cブロック開始のゴングがなりプラッセとフィッシュはCブロックを、主にトムスを見ていた。
開始早々トムスは数人に囲まれた。それを見てプラッセはトムスがただフィッシュにつきまとっているだけなのではなくちゃんと実力があるのだということを認識した。

「始まってもう囲まれてしまいましたね。」
「リム・トムス。あんたから潰さないと俺らがやられちまう。」
「おっしゃる通りです。早く私を倒さないと私から行きますよ。」

トムスは持っている杖を構える。
トムスを囲う周りの人たちが一斉に呪文を唱える。
すると色々な属性の大量の攻撃がトムスを襲った。しかしトムスもそんなものでは負けない。

場所交換チェンジ。」

トムスの周りにいた人の一人がトムスともといた場所を交代させられて魔法で血まみれになる。

「おい、ワーグル!大丈夫か!くそっリム・トムスめ。」
破泡ディストラクションバブル!」

トムスの周りにいた人たちはみなばちばちと弾ける泡の餌食となった。

「このブロックってもしかしてラッキーブロックなのかな?」

トムスは口笛を吹きながら別の人だかりへ進む。
トムスに気づいた生徒が次々と青い顔をして後ずさっていく。

「さっさと終わらせましょう。水風船アクアバルーン。」

トムスが杖の先を人だかりに向けて放つと、ほとんどの人が口から泡を噴いて白目をむけて倒れていた。

「さすがリム・トムス。残ったのは私たち。合計6人。この中からあと1人倒さなければならない。」

そう言ったのはガータ・ムータフ。トムスと同じクラスの草属性魔法の使い手。その杖からのびる蔓のようなものに敗北者たちが串刺しになっていた。

「ムータフさんですか。あなたも結構働いてくれてますね。」

ムータフと会話するトムスの背後から一人の鋭い剣を持った男が飛んでくる。
ギリギリ気付いたトムスは横に飛び退きながら杖でその剣を受ける。
剣になんらかの魔素マナをまとわせていたらしくパリンっという音を立てて杖に張っていた防御魔法が取れた。

「ここでトムスさんを倒して3位を狙います。」

剣の男はそういってトムスに剣を奮う。

「おっと剣の耐性はあんまりないんですよね、、、どういたしましょうか。」

そんなことをつぶやきながらトムスは剣を避け続ける。すると剣の男の真後ろからムータフが魔法を放つ。

草弾リーフショット。」

ムータフの杖から放たれたその呪文は反応がわずかに遅れてしまった剣の男に命中する。剣の男は倒れ込んで喚く。

「くそっこんなもんで、、俺が、、、」

ムータフがその剣の男の怪我した部分をしっかりと狙って二発目の草弾リーフショットを放つ。剣の男は地べたを転げ回った後ぱたりと白目をむいて動かなくなった。それを見たムータフは残酷にも魔女のような笑みを浮かべていた。

「ありがとう、ムータフ。でもちょっとやりすぎじゃないか?」
「そうゆうのokな日でしょ?今日は。」

ムータフはにっこりと笑って答える。
そこで実況が叫ぶ。

「これで勝負が決まりましたぁぁぁ!!!残ったのは水属性リム・トムス。草属性ガータ・ムータフ。それから雷属性レスト・ライム。土属性レオム・ペーティス。同じく土属性ラーティー・クレアです!」

土属性の2人は地面と同化する魔法を使用していたらしく呼ばれてからひょこっと顔をあげた。
それに対してもちろん観客は大ブーイングだった。
プラッセはトムスの強さを少し見直した。

「トムスなかなかやるじゃねーか。泡の魔法とかめっちゃかっこよかったし。」

興奮気味なプラッセに対してフィッシュは冷静だった。

「次のブロック、プラッセだろ。早く行かないと遅れんぞ。Dブロックに強いやつはあまり聞かないけど頑張れよ。予選なんかで負けんじゃねーぞ。」
「ああ。もちろんだ。訓練の成果、見せてやるよ。」

そう言っているとなんともうDブロックの生徒が入場していた。

「嘘だろっ。やべーな。」

そう焦るフィッシュを他所にプラッセは言った。

「じゃあ言ってくる。応援頼むぞ。」

プラッセは観客席から闘技場内に軽く飛び降りた。
通常なら自殺行為ともとられかねないこの行為に闘技場が一瞬フリーズした。
しかしプラッセの無事、というより余裕を見て数人が拍手を送った。
ただドーラスの言ってた通りアンチが多いのか迷惑そうな顔をするものも多くいた。
実況がいう。

「えっとDブロックの選手が揃いましたのでDブロックを始めます。」

そうしてゴングが叩かれた。
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