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王都エルメニスト編
第39話 あの呪文で状況打破!?
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プラッセは現代というその時代の技術に感心を覚えた。
この大会の始まる前、プラッセは約束通りゼネセストのいる校長室へ行き、実験のための機械を体に取り付けた。しかしその機械というのがプラッセの予想していたものとは全く違っていて約1cm程度の小さなシールのようなものだった。
それが機械だと言われてもプラッセにはピンとこなかったが大型な機械を体に取り付けて目立つことに比べるとむしろ良かった。
ゼネセストに言われた通り背中の右の方にそれを貼った。
そして今Dブロックで一人の選手としてなんの違和感もなく出場しているのである。
プラッセは登場時こそかっこよかったものの、試合中特に目立ったこともなかった。
なにせ敵がほとんど攻めてこないのだ。プラッセを見るなりそそくさと逃げていくという具合だった。
それならプラッセから攻めれば良いもののプラッセには遠距離攻撃や範囲攻撃となる呪文など当然使えないのでどうすることもなくただただ暇を過ごしていた。
それにしても動きのない戦いだった。
Dブロックの出場者は40名なのだがそのうち脱落したものは10名。よって残るは30名。もう10分も経つというのにこの事態は明らかに異常で決着がつかないのではないかと思われた、が、そのとき突然一人の男がよく通る大声で呪文を唱えた。
「超爆発!!!」
それはプラッセがどこかで耳にした言葉だった。
そう、マーシアの使っていた呪文と同じだった。
ただ威力と範囲が桁違いだった。プラッセはすぐにウェルスに習った受けの体勢をとったためダメージは最小限だったが直で受けた者、防御魔法ごとぶっ飛ばされた者。先ほどまでの光景が嘘のように周りには血まみれの選手たち。
闘技場に立っていたのはプラッセと先ほどの技の術者、ファクト・フェイクだけだった。
「なんといきなり試合が決まりました!!ファクト・フェイク選手の超爆発で試合が一変しました!!魔法の難易度は中級魔法と決して高くはないのですが訓練の成果でしょうか。呪溜を使用しているとは思えませんでした。これにてDブロックから準々決勝に進出するのはアルバート・プラッセ選手とファクト・フェイク選手となります。」
観客席はとても盛り上がっていた。ここまでのブロックでもっとも負傷者の負傷具合がひどかったからだろうか。
ファクト・フェイクはロクゼム・ドーラスに負けないほど大柄な男で体長は2.2mほどありそうだった。
というのも退場するときに高さ2.3mの空間でもうすぐ頭がつきそうだという感じだったのだ。
トムスとフィッシュのもとに戻るとフィッシュが笑って言ってきた。
「プラッセなんかしたのかお前?」
「いや、なんかしようとしてもみんな逃げてくからなんもできなかったんだよ。」
「俺の試合はよーく見とけよ。絶対大活躍してやっから。」
そのころ、試合を見ていたウェルスとウェルムも話していた。
「プラッセが最後やった受けを見たか?」
「見たけど、あれ、ウェルス兄さんが教えたの?」
「ああ。魔法の攻撃は一番痛みを感じにくい肘で受ける。そして肘を突き出して肘に力を込める。これだけで大体は防げるんだよ。」
ウェルスは自分の教えたことを実践してもらって喜んでいた。
「フィッシュはもっと進化してるから。あの子は複合魔法が2つもできるようになったのよ。それもほぼ完璧に。」
「そうか。そりゃ楽しみだな。」
ウェルスが大きく笑うと、Eブロック開始のゴングが鳴り響いた。
この大会の始まる前、プラッセは約束通りゼネセストのいる校長室へ行き、実験のための機械を体に取り付けた。しかしその機械というのがプラッセの予想していたものとは全く違っていて約1cm程度の小さなシールのようなものだった。
それが機械だと言われてもプラッセにはピンとこなかったが大型な機械を体に取り付けて目立つことに比べるとむしろ良かった。
ゼネセストに言われた通り背中の右の方にそれを貼った。
そして今Dブロックで一人の選手としてなんの違和感もなく出場しているのである。
プラッセは登場時こそかっこよかったものの、試合中特に目立ったこともなかった。
なにせ敵がほとんど攻めてこないのだ。プラッセを見るなりそそくさと逃げていくという具合だった。
それならプラッセから攻めれば良いもののプラッセには遠距離攻撃や範囲攻撃となる呪文など当然使えないのでどうすることもなくただただ暇を過ごしていた。
それにしても動きのない戦いだった。
Dブロックの出場者は40名なのだがそのうち脱落したものは10名。よって残るは30名。もう10分も経つというのにこの事態は明らかに異常で決着がつかないのではないかと思われた、が、そのとき突然一人の男がよく通る大声で呪文を唱えた。
「超爆発!!!」
それはプラッセがどこかで耳にした言葉だった。
そう、マーシアの使っていた呪文と同じだった。
ただ威力と範囲が桁違いだった。プラッセはすぐにウェルスに習った受けの体勢をとったためダメージは最小限だったが直で受けた者、防御魔法ごとぶっ飛ばされた者。先ほどまでの光景が嘘のように周りには血まみれの選手たち。
闘技場に立っていたのはプラッセと先ほどの技の術者、ファクト・フェイクだけだった。
「なんといきなり試合が決まりました!!ファクト・フェイク選手の超爆発で試合が一変しました!!魔法の難易度は中級魔法と決して高くはないのですが訓練の成果でしょうか。呪溜を使用しているとは思えませんでした。これにてDブロックから準々決勝に進出するのはアルバート・プラッセ選手とファクト・フェイク選手となります。」
観客席はとても盛り上がっていた。ここまでのブロックでもっとも負傷者の負傷具合がひどかったからだろうか。
ファクト・フェイクはロクゼム・ドーラスに負けないほど大柄な男で体長は2.2mほどありそうだった。
というのも退場するときに高さ2.3mの空間でもうすぐ頭がつきそうだという感じだったのだ。
トムスとフィッシュのもとに戻るとフィッシュが笑って言ってきた。
「プラッセなんかしたのかお前?」
「いや、なんかしようとしてもみんな逃げてくからなんもできなかったんだよ。」
「俺の試合はよーく見とけよ。絶対大活躍してやっから。」
そのころ、試合を見ていたウェルスとウェルムも話していた。
「プラッセが最後やった受けを見たか?」
「見たけど、あれ、ウェルス兄さんが教えたの?」
「ああ。魔法の攻撃は一番痛みを感じにくい肘で受ける。そして肘を突き出して肘に力を込める。これだけで大体は防げるんだよ。」
ウェルスは自分の教えたことを実践してもらって喜んでいた。
「フィッシュはもっと進化してるから。あの子は複合魔法が2つもできるようになったのよ。それもほぼ完璧に。」
「そうか。そりゃ楽しみだな。」
ウェルスが大きく笑うと、Eブロック開始のゴングが鳴り響いた。
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