聖女様は貧乏性

ぶらっくたいがー

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第12話 聖女様は金が好き

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次の日もまた王様との謁見だった。
ただし、場所は昨日と違って玉座じゃない。
まあ、昨日のあれで補修中だろうし、無理も無い。
広めの会議室といったところだろうか、もっとも机や椅子は豪華だけど。

大丈夫問題ない。
全部の責任は、あの変な服の人の責任なんだ。私はなにも悪くない。
損害賠償なんて払ってたまるか。
そう、あの時は未知なる力に目覚めたため、私は何も覚えていない。
そういう設定だ。
私は聖女、私は聖女、私は聖女。
自分にそう言い聞かせ、
さらにけるちゃんのふさふさの毛をなでながら心を落ち着ける。

よし。

「…あの、光姫?」
「はい?」

まずい、自己暗示に必死で話をまったく聞いていなかった。

「大丈夫?疲れてるみたいだけど…」
「だ、大丈夫。あ、続けてください」

私のことを心配してくれている
金髪の美少女、ローズに大丈夫と答え、
説明をしてくれていた人に続けてくださいと言った。

私は昨日の状況の説明を受けていた。
私が透明にした石は、魔石といい、瘴気を吸収する力があるそうだ。
そして、瘴気を吸収した魔石は黒くなり、
浄化しないと再度の利用はできない。
昨日の魔石はおおよそ100㎡分くらいの地の瘴気を吸収できるくらいの大きさで
あの魔石を浄化するのには、
浄化の能力をもつ神官10人が
半日つきっきりで祈りを捧げなければならないらしい。
そして浄化を行うと、もとの透明な石に戻るのだそうだ。

「えと、昨日手に持っただけで透明になりましたけど…」

いや、私は本当に何もしてないよね?半日祈るとか嘘をついてない?

「それですが、もう一度浄化をしていただいても?」

王様が私に聞いてくる。もちろんOKだ。
今日は箱の中に大量の魔石をつめて持ってきたようだ。
私はその中の魔石をひとつだけつまんでみる…はずだった。
私がひとつの魔石に少し触れた瞬間、全ての魔石が透明になったのだ。

「まさかこれほどとは…」
「え?嘘、そんなはずは…」

会議室内がざわつく…何かまずいことでもしただろうか?
他の人の仕事を奪っちゃったとか?
他の人の仕事を奪うのってあまりやっちゃダメなんだよね。

「聖女様、どうかこの力で我々をお救いください」

王様が頭を下げる、それに習いあわてて他の人も頭を下げる。
よかった、特に問題はないどころか、よい結果だったらしい。
ふっふっふ、ここが攻め時だと私は理解した。
そう、私はこれから攻めに入る、受身を取るのはこれまでだ。

「わかりました。しかしその前に確認したいことがあります。」

「確認したいこと、とは?」

え?いや、確認したいことなんて決まってますよね、
助けてくださいとばかりでその話をしていないもの。
とぼけてごまかすつもりだったりしないよね?
こういうのはきちんと決めておかないといけないことだよ。
私は内心で嘆息をつきながら、切り出した。

「報酬のことです。浄化というのを行うことで、
 私にどれくらいの報酬をいただけるのでしょうか?」

「報酬…ですか、それはもちろん聖女様が望むだけ
 ご用意させていただきます。
 それから我が息子、ランスロットとの婚約を・・・」

「それは絶対嫌です。」

王子様との結婚とかいらない、無意味、むしろ邪魔。
私は地球に戻るんだから。
だから私はきっぱりと断る。
それに、望むだけとか、はっきりしてよ、
じゃあ一億円くださいとか無茶言ったら、用意してくれるの?

「・・・」

あ、いつも笑顔な王子が微妙な顔をしている。
しまった、絶対嫌とか失礼すぎたよね。
王子、顔もいいし、優しそうな感じだし、お金持ちだもんね。
どう考えても優良物件。
今までもててきただろうに、突然、絶対嫌とか言われたら
傷つくよね?

「あ…いえ、私の世界では結婚は愛し合う者同士が行うもので、
 誰かに決められて行うものではなく、決して王子の事が嫌いとか、
 私の相手として不足しているとかそのようなことではありませんので。」

フォローしておく。
うん、フォローは大事。

「…それでは、聖女様が私を愛していただければ、
 結婚をしていただける、ということでしょうか?」

いやまあ、結婚する気はないけど…

「そういうことです。」

そういうことでいいや。

「それで報酬の件ですが…」

私の日当がおおよそ1万円として、異世界なんだし出張手当とか貰ってもいいよね?
だから、ちょっと高めに1日あたり2万円くらいの報酬がもらえればいいと思う。

「この世界に金はありますか?できれば金で報酬をいただきたいのですが」
「ありますが、金などでよろしいのでしょうか?」

純金なら、だいたい1gあたり4000円、1日あたり5g貰えれば十分元を取れる。
出所不明の金でも、多少目減りするだろうけど買ってくれるだろう。

「はい、金がいいです、できれば純金の塊で」
「・・・変ったお方だ、これ、そこのもの、
 聖女様がお望みだ、金を持ってまいれ」

しばらくすると、金の延べ棒が運ばれてきた。
…あれ?これ、全部で10kgくらいない?4000万円分!?

「ご用意させていただきましたが、本当にこのようなものでよろしいので?」
「はい、私は金が大好きなんです」
「鉱物がお望みならミスリルやオリハルコンでもご用意させていただきますが」
「いえ、金がいいです。金で無ければだめです。」

ミスリル?オリハルコン?なにそれ?よく知らないのはいらない。
宝石でもいいかもしれないけど、金が絶対確実。銀だと重そうだし。

「そうですか…なにかにお使いになられるのでしょうね。
 では、お受け取りください。
 他にも望むものがあればご用意させていただきます。」

え?ほんとにくれるの?これ全部?贋金じゃないよね?本物だよね?
やったー、王様大好き。

その日から、私は、聖女は金が好きという話が広まった。
まるで私が金の亡者のようだ。
いや、いいんだけどね、事実だし。


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