最年少側室に任命されました

しお

文字の大きさ
2 / 2

幼女は残念イケメンを案内する

しおりを挟む
「そこのお嬢さん、人を探しているのだが美女を知らないかい?」

爽やかな朝に負けないような笑顔でそう尋ねてくるこの男は.....

「王様.....」

王様と呼ばれた男は私の言葉に頷きながら

「よく分かったね」

と爽やかな笑顔を崩さずに言う

「なんで王様がこんなところにいるの?」
「美女を探しに来たのさ」 


何を言ってるのだろうこいつは。


キラキラと微笑む彼は噂の王様である。
即位してから3年しか経ってないにも関わらず素晴らしい手腕と頭脳で国を豊かにし、部下や国民からの尊敬を一心に受ける歴代の中でも頭1つ抜けた賢王であると。
そして、女癖が悪く99人の側室を持つ歴代最高記録の王である。


この王様になってから貧困区の暮らしも昔よりだいぶ良くなったって近所のおばさんが言っていた。女癖は悪いけど。

そんな賢王がなんでこんなところにいるのか。

私の身長に合わせるために屈んで話しかけてくるこの目の前の王様は悪いやつではないなと思った。

「美女を探してるの?こんなところで?」
「ああ、この地区だけまだ側室を持っていないからね」
「この地区?」
「そう、残る地区はここだけなんだ!ここで美女を側室に迎えれば、俺の全国の美女を側室にするという野望がついに叶うんだ!」


うわぁ......


王様はやばいやつだった。

私がドン引きしているのを知ってか知らないか王様やばいやつは私の顔を見ながら

「お嬢さん、まだ小さいようだけど、君ぐらいの子の方が美女を引き当てる確率が高いんだ!どうか協力してくれないか?」

そう言いながら手を差し伸べられる。

「危ない人とは話しちゃダメっていわれてるからさようなら」
「そうか協力してくれるか!」
「ねえ、はなし聞いてた?」
「よし!まずはあそこに行こう!」
「............」

私の話は聞こえないらしい。










「あの彼女はダメだな、おしりが足りない」
「あー彼女は惜しいなーもう少しくびれがあれば!!」
「...........」

この賢王やばいやつに片腕で抱っこされながら街の美女を見て回るが、こいつは面倒くさかった。

「今の側室には何かが足りないんだ....」とボソボソと独り言を話している。

大人しく抱っこされている私を見て

「もう美女はいないのかい?」
「いないよ」
「そうか....好みの美女はいなかったし、かといって野望を諦めるのは....」

本当になんでこんなのが王様なのか謎である。

「それよりこんなところに王様が1人でいていいの?」
「ああ、護衛はついてるからね」
「ほんと!?どこにいるの?全然わかんなかった!!」

護衛なんて見たことがない!
キョロキョロと辺りを見回すと建物の影から護衛らしき人がこちらを見て小さく手を振ってきた。

あれだ!と手を大きく振ると護衛の人はデレデレとした顔になっていた。きもちわるい。

「あれはロリコンというものだからむやみに手を振ってはダメだよ危ないからね」
「へー」

私は素直に頷くことにした。

「さて、君には協力してもらったし何かご飯でもご馳走しよう」
「ほんと!?」
「ああ、何か好きな物はある?」
「お肉!!」
「分かったよお肉食べに行こう。でも、その前に君のご両親に了承を取りにいかなきゃ」

そういう王様に

「ママは死んじゃった」  

と言うと

「そうか.....お父さんは?」

「パパは最初っからいない」

「そうか」

王様は私の頭を撫でながら「美味しいお肉食べに行くか」と言った。王様の顔を見ようとしたけど王様の手が大きくて顔は見えなかった。








「おいしいーー!!」

感激の声を上げる私を見て王様はデレデレとした顔をしてる。さっきの護衛の人みたい。

「俺はさっきのロリコンとは違うからな?」

心の声も聞こえるなんてさすが賢王だね。

モキュモキュと口にいっぱいお肉を詰め込む。

「こらこら肉は逃げないからゆっくり食べなさい」

王様はデレデレ顔のまま私の口の周りに着いたソースを拭ってくれる。
そんな世話を焼く王様に冗談で

「ありがとーパパ」

と、言ってみると王様は目を見開いたまま固まった。

「王様?」
「もう1度パパと言ってみて?」
「パパ?」
首をこてんと傾げながら言うと

「ぐぅっ!!!」

謎の奇声を上げて机に突っ伏してしまった王様.....きもちわるい。
数秒経ってから復活したと思えばボソボソと「これか!これが足りなかったのか!!」と言ってる。
そしてこちらを向き直し

「お嬢さん、名前はなんだ?」

そう言えば名乗っていなかった。

「エリス」

「エリスか、いい名前だ。歳はいくつだ?」

「5歳」

「そうか.....ギリギリいけるか?」

また何かボソボソ言ってる。
そして、今日何度目になるか私の顔を見ながら、今日1番の蕩けた笑顔で




「エリー俺の側室にならないか?」
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました

春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。 名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。 誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。 ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、 あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。 「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」 「……もう限界だ」 私は知らなかった。 宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて―― ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。

押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました

cheeery
恋愛
名家・御堂家の次女・澪は、一卵性双生の双子の姉・零と常に比較され、冷遇されて育った。社交界で華やかに振る舞う姉とは対照的に、澪は人前に出されることもなく、ひっそりと生きてきた。 そんなある日、姉の零のもとに日本有数の財閥・凰条一真との縁談が舞い込む。しかし凰条一真の悪いウワサを聞きつけた零は、「ブサイクとの結婚なんて嫌」と当日に逃亡。 双子の妹、澪に縁談を押し付ける。 両親はこんな機会を逃すわけにはいかないと、顔が同じ澪に姉の代わりになるよう言って送り出す。 「はじめまして」 そうして出会った凰条一真は、冷徹で金に汚いという噂とは異なり、端正な顔立ちで品位のある落ち着いた物腰の男性だった。 なんてカッコイイ人なの……。 戸惑いながらも、澪は姉の零として振る舞うが……澪は一真を好きになってしまって──。 「澪、キミを探していたんだ」 「キミ以外はいらない」

美人委員長、デレる。クールな学級委員長は僕の実況配信の「全肯定スパチャ」古参ファンだった件について

静内燕
恋愛
高校二年生の黒羽 竜牙(くろはねりゅうが) は、学校では黒縁メガネで目立たない地味な陰キャを装っている。しかし、その裏の顔は、多くのファンを持つ人気ゲーム実況者「クロ」。彼の人生は、誰にも秘密にしているこの二重生活(ダブルライフ)で成り立っている。 ある日、竜牙は、学校生活で最も近寄りがたい存在である花市 凜委員長に、秘密を悟られてしまう。成績優秀、品行方正、誰に対しても厳格な「学園の模範生」である花市委員長は、竜牙の地味な外見には興味を示さない。 しかし、彼女のもう一つの顔は、クロチャンネルの最古参にして最大のファン「ユキ」だった。彼女は、配信で桁外れのスパチャを投げ、クロを全力で「全肯定」する、熱狂的な推し活狂だったのだ。 「竜牙くん、私はあなたの秘密を守る。その代わり、私と**『推し活契約』**を結んでちょうだい」 委員長は、学校では周囲の目を欺くため、今まで以上に竜牙を無視し、冷淡に振る舞うことを要求する。しかし、放課後の旧校舎裏では一転、目を輝かせ「クロさん!昨日の配信最高でした!」と熱烈な愛をぶつけてくる。 誰も知らない秘密の「裏の顔」を共有した地味な僕と、完璧な仮面の下で推しを溺愛する委員長。 これは、二重生活が生み出す勘違いと、溺愛とツンデレが入り乱れる、甘くて内緒な学園ラブコメディ!

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

処理中です...