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キリング・ノヴァの慎也と海児(6)
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「いいんですよ。ここで会えたのですから」
また堂島刑事は笑った。何だろう、感じの悪い笑みだった。
「それで俺に何の用です?」
「渚さんにはもう一度、坂上健也さんが殺害された日の行動を詳しくお伺いしたくて」
「ああ……」
慎也はつまらなそうに腕を組んだ。
「先週も言いましたが、ずっと家に居ました」
「14日はずっとご自宅に居た。それで間違い無いですか?」
「ええ。前の晩に腹を壊しましてね、長い間トイレで苦しんだせいで体力が無くなって、14日は昼過ぎまで寝てたんですよ。起きた時にはもう腹痛は治まってましたが、寝過ぎで頭がぼうっとするし、外出する気になれなかったんです。月曜は職場の店、定休日ですし」
「それを証明してくれる人は居ますか?」
「居ません。夕方に娘が訪ねてくるまでずっと一人でしたから」
「ふうむ……。司法解剖の結果、坂上さんが死亡したのは14日の午前8時前後と判明しました」
私達が坂上邸に到着したのは、同日の10時を少し過ぎた頃だった。才が推測した死後二~三時間は当たっていたことになる。やるな。
「その時間帯に渚慎也さん、あなたはお一人だった訳ですな?」
「あの、父がお腹を壊したというのは本当です」
刑事の追及に堪らず聖良が証言した。
「事件の前日に私、掃除をしに父のアパートへ行ったんです。夕方くらいにはもう、お腹の具合が変だって言ってました」
「慎也さんのお嬢さん、聖良さんでしたね。お父さんは何か悪いものでも食べられたんでしょうか?」
「特に心当たりは有りません。昼食は近所のファミレスの宅配サービスでした」
おそらく台所も使えない状態の汚部屋だったんだろう。
「あなたはその日、お父さんのアパートに泊まられたんですかな?」
「いいえ。心配でしたが、仕事の書類を作らなければならなかったので、その晩は自分のマンションに帰りました。翌日はみんなで健也さんに会いに行く約束も有りましたので」
「ああ、そうでしたね。聖良さんに美波さん、そして日比野さんに久留須さんの四人で坂上さんのご自宅に行き、そこで遺体を発見されたんでしたね」
この堂島という刑事、質問も視線も不躾で嫌な感じだ。14日に現場で初めて会った時は、こんなねちっこい対応じゃなかったのに。
「そうです。その後でやはり父の容態が気になって、アパートまで様子を見に行ったんです。亡くなった健也さんの事も伝えたかったので」
「電話ではなく、直接?」
「朝に電話もしたんですけど、父が出なくて。留守電にメッセージを入れましたが、いくら待っても折り返しが無かったので心配でした」
「電話したのは何時頃ですかな?」
「えっ……時間?」
堂島刑事は聖良から何を聞き出そうとしているのだろう?
「ええと、みんなとの待ち合わせのお店に入る前だったから……、午前9時から少し前です。たぶん」
ああ、あの時か。コーヒーショップ前で聖良と会った時、彼女は携帯電話を持ったままだった。父親に電話をかけた直後だったんだ。
「渚さん、お嬢さんの証言に間違いは有りませんか?」
「ええ。留守電は後で確認しました。電話が鳴った時は、熟睡していて気づかなかったんだと思います」
うんざりした表情の慎也に、堂島刑事は意地悪く尋ねた。
「電話の件については、前回お話し下さいませんでしたよね?」
「大したことでは無いと思ったので」
「大したことでは無い、ですかぁ」
「慎也さんばかりつついてますけど、俺のアリバイは確認しなくていいんですか?」
棘の有る口調で海児が参戦してきた。
「深沢さんは結構です。事件当日に早番でお勤め先に居らしたことは、もう裏が取れておりますので」
「じゃあ何で、今日は俺の家に来たんです?」
「連絡が付かない渚さんの行方を、深沢さんならご存知じゃないかと思いましてね」
「なっ……」
堂島刑事は慎也を疑っているのだ。目が笑っていない彼の笑顔から私達は察した。
「……どうして俺を追ってるんですか?」
慎也が静かに尋ねた。
「色々な事実が明らかになったからです。まずは坂上健也さんが午前8時に亡くなられたこと」
「……他には?」
堂島刑事は手帳を開いて答えた。
「少なくとも7時30分から9時15分までの時間帯に、慎也さん、あなたが坂上さんのお宅に居らしたこと」
「!!」
え、あの日、慎也が坂上邸に居た? 聞き間違い?
「今何と?」
当の慎也が確認した。堂島刑事は楽しそうに彼を煽った。
「おやぁ、お忘れですかぁ?」
「いいから、どういう意味だか教えてくれ」
「意味も何も、言葉通りですよ。先ほど娘さんがおっしゃいましたね、9時少し前に、お父さんに電話したと」
「ああ」
「渚さん、あなたは電話にさえ出なければ居場所を掴まれないと考えたのかもしれませんが、携帯電話のGPS情報は、しっかり基地局に送信されていたんですよ」
「? 俺は機械には詳しくないんで意味が解りません。もう少し詳しく」
「いいですとも。井上くん頼む」
堂島刑事は背後に控えていた若い部下に指示を出した。さては堂島刑事も機械音痴だな。
「基地局とは、電話の電波を受信するアンテナのようなものです。そしてGPSとは、現在その人が地球上の何処に居るか、人工衛星からの電波で測るシステムのことです。現在発売されている携帯電話には、GPS機能の搭載が義務付けられています」
指名された井上くんが、教師のようにスラスラ説明した。
「電源を入れていますと、携帯電話は一定時間ごとに微弱な電波を発信して、最寄りの基地局へ端末の情報を伝えます。その際にGPSで割り出された位置が明らかとなるのです」
よく噛まずに言えたものだ。部下を下げ、再び堂島刑事が前面に出てきた。
「GPS追跡調査には令状が必要でしてね。手続きに手間取りましたが昨日、我々は慎也さんが契約している電話会社に依頼して、基地局へ送られた電波を辿ってもらうことができました。そしてあなたの行動を特定したんです」
また堂島刑事は笑った。何だろう、感じの悪い笑みだった。
「それで俺に何の用です?」
「渚さんにはもう一度、坂上健也さんが殺害された日の行動を詳しくお伺いしたくて」
「ああ……」
慎也はつまらなそうに腕を組んだ。
「先週も言いましたが、ずっと家に居ました」
「14日はずっとご自宅に居た。それで間違い無いですか?」
「ええ。前の晩に腹を壊しましてね、長い間トイレで苦しんだせいで体力が無くなって、14日は昼過ぎまで寝てたんですよ。起きた時にはもう腹痛は治まってましたが、寝過ぎで頭がぼうっとするし、外出する気になれなかったんです。月曜は職場の店、定休日ですし」
「それを証明してくれる人は居ますか?」
「居ません。夕方に娘が訪ねてくるまでずっと一人でしたから」
「ふうむ……。司法解剖の結果、坂上さんが死亡したのは14日の午前8時前後と判明しました」
私達が坂上邸に到着したのは、同日の10時を少し過ぎた頃だった。才が推測した死後二~三時間は当たっていたことになる。やるな。
「その時間帯に渚慎也さん、あなたはお一人だった訳ですな?」
「あの、父がお腹を壊したというのは本当です」
刑事の追及に堪らず聖良が証言した。
「事件の前日に私、掃除をしに父のアパートへ行ったんです。夕方くらいにはもう、お腹の具合が変だって言ってました」
「慎也さんのお嬢さん、聖良さんでしたね。お父さんは何か悪いものでも食べられたんでしょうか?」
「特に心当たりは有りません。昼食は近所のファミレスの宅配サービスでした」
おそらく台所も使えない状態の汚部屋だったんだろう。
「あなたはその日、お父さんのアパートに泊まられたんですかな?」
「いいえ。心配でしたが、仕事の書類を作らなければならなかったので、その晩は自分のマンションに帰りました。翌日はみんなで健也さんに会いに行く約束も有りましたので」
「ああ、そうでしたね。聖良さんに美波さん、そして日比野さんに久留須さんの四人で坂上さんのご自宅に行き、そこで遺体を発見されたんでしたね」
この堂島という刑事、質問も視線も不躾で嫌な感じだ。14日に現場で初めて会った時は、こんなねちっこい対応じゃなかったのに。
「そうです。その後でやはり父の容態が気になって、アパートまで様子を見に行ったんです。亡くなった健也さんの事も伝えたかったので」
「電話ではなく、直接?」
「朝に電話もしたんですけど、父が出なくて。留守電にメッセージを入れましたが、いくら待っても折り返しが無かったので心配でした」
「電話したのは何時頃ですかな?」
「えっ……時間?」
堂島刑事は聖良から何を聞き出そうとしているのだろう?
「ええと、みんなとの待ち合わせのお店に入る前だったから……、午前9時から少し前です。たぶん」
ああ、あの時か。コーヒーショップ前で聖良と会った時、彼女は携帯電話を持ったままだった。父親に電話をかけた直後だったんだ。
「渚さん、お嬢さんの証言に間違いは有りませんか?」
「ええ。留守電は後で確認しました。電話が鳴った時は、熟睡していて気づかなかったんだと思います」
うんざりした表情の慎也に、堂島刑事は意地悪く尋ねた。
「電話の件については、前回お話し下さいませんでしたよね?」
「大したことでは無いと思ったので」
「大したことでは無い、ですかぁ」
「慎也さんばかりつついてますけど、俺のアリバイは確認しなくていいんですか?」
棘の有る口調で海児が参戦してきた。
「深沢さんは結構です。事件当日に早番でお勤め先に居らしたことは、もう裏が取れておりますので」
「じゃあ何で、今日は俺の家に来たんです?」
「連絡が付かない渚さんの行方を、深沢さんならご存知じゃないかと思いましてね」
「なっ……」
堂島刑事は慎也を疑っているのだ。目が笑っていない彼の笑顔から私達は察した。
「……どうして俺を追ってるんですか?」
慎也が静かに尋ねた。
「色々な事実が明らかになったからです。まずは坂上健也さんが午前8時に亡くなられたこと」
「……他には?」
堂島刑事は手帳を開いて答えた。
「少なくとも7時30分から9時15分までの時間帯に、慎也さん、あなたが坂上さんのお宅に居らしたこと」
「!!」
え、あの日、慎也が坂上邸に居た? 聞き間違い?
「今何と?」
当の慎也が確認した。堂島刑事は楽しそうに彼を煽った。
「おやぁ、お忘れですかぁ?」
「いいから、どういう意味だか教えてくれ」
「意味も何も、言葉通りですよ。先ほど娘さんがおっしゃいましたね、9時少し前に、お父さんに電話したと」
「ああ」
「渚さん、あなたは電話にさえ出なければ居場所を掴まれないと考えたのかもしれませんが、携帯電話のGPS情報は、しっかり基地局に送信されていたんですよ」
「? 俺は機械には詳しくないんで意味が解りません。もう少し詳しく」
「いいですとも。井上くん頼む」
堂島刑事は背後に控えていた若い部下に指示を出した。さては堂島刑事も機械音痴だな。
「基地局とは、電話の電波を受信するアンテナのようなものです。そしてGPSとは、現在その人が地球上の何処に居るか、人工衛星からの電波で測るシステムのことです。現在発売されている携帯電話には、GPS機能の搭載が義務付けられています」
指名された井上くんが、教師のようにスラスラ説明した。
「電源を入れていますと、携帯電話は一定時間ごとに微弱な電波を発信して、最寄りの基地局へ端末の情報を伝えます。その際にGPSで割り出された位置が明らかとなるのです」
よく噛まずに言えたものだ。部下を下げ、再び堂島刑事が前面に出てきた。
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