【本編完結:改稿中】水曜日の迷いごと

咲月千日月

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※雲外蒼天の先へ - ①




「……っ!」

 一之瀬は千紘の中で少し膨らんで蜜を一気に吐き出し、千紘と同時に果てた。

「「っはぁ…はぁ……」」

 二人の呼吸は乱れていた。

 荒い息のまま一之瀬は千紘の腰と後頭部に手を回し、身を起こすと千紘を抱き寄せる。瞳をのぞき込み見つめ合い、吸い寄せられるように軽いキスをする。
 そのまま千紘の背中に腕を回し、弾む息のまま包み込むように静かに抱き締めた。

 千紘も一之瀬の首に回した腕を絡ませ、それに応える。
 肩に顔をうずめようとしたその時に、チェーンが目に入った。
 今、自分もお揃いのものを身につけている。 
 認識した途端に嬉しくなって、顔をほころばせながら、一之瀬の肩にキスをする。

 まだつながったままだったが、お互いに離れ難くてそのことを言い出せず、けだるい倦怠感に任せて動けないでいた。
 しばらく二人は情事の余韻を楽しむように動かずにくっついて抱き締め合ったまま、お互いの息づかいと体温を感じていた。

 
 
「……ふぅ。はぁ…一緒に、イけたな」

 一之瀬は千紘の頬にキスをすると顔を覗き込み、この上もなく嬉しそうな笑顔をした。
 そして「ん~」と言いながら、すぐにまた力を入れて、ぎゅっと千紘を強く抱き締める。

(あっ…!)

 一之瀬の首元に目が行った千紘は、その部分を見て心の中で叫んだ。
 先ほどと反対側の肩に頭が来るように抱き締められたせいで、千紘がつけた噛み跡がくっきりと見えてしまったのだ。

「幸せだぁ~」

 千紘を抱き締めて充分に事後の至福の喜びを堪能した一之瀬は、身体を離して千紘を見て話を続ける。
 
「千紘の噛み付く力が強くなっていくから、なにも言わなくても高みに上って行ってるのがわかって、すっごくよかったよ。興奮した」

 笑顔の一之瀬とは対照的に、千紘はその言葉をすぐさま受け入れられない。
 オウム返しのように聞き返した。

「興奮……?」
「うん。めちゃくちゃしたよ。千紘は?」
「……はい。俺もとってもよかったですけど…」
「けど? どうした? 急に元気がないな」

 千紘のしょげた顔を見て一之瀬が心配する。

「無理させすぎたかな? からかいすぎちゃった?」
「ううん。そんなことはないです。ただ……ごめんなさい………」

 千紘は頭を下げて謝る。
 そして手を伸ばすと、一之瀬の首元の噛み跡を指でなぞった。

(痛そう……)

「こんなにくっきり……痛くありませんか?」
「ぜんぜん。むしろ、もっとつけて欲しいくらいだ」
「それはちょっと…。本当にごめ……」

 言いかけた千紘の唇を、一之瀬はキスで塞いだ。
 舌が中に入ってきて千紘の舌をひと舐めすると、すぐに出て行った。

 一之瀬はやさしい顔で、頬に手を当てて話してくれる。

「どうして謝る必要がある? 噛めと言ったのは俺だし、おかげで一緒にイけたじゃないか。ひとつになれただろう?」

 目を見つめられてはっきりと隠さずに言われ、千紘は思わず照れて下を向いた。

 千紘が下を向いたことで自然と一之瀬の手が離れる。

「……そう…ですけど…」
「千紘がせっかくくれた印だから。いいんだよ。…俺はまた、キスマつけてって、思いっ切り噛んでって、言うと思うよ」
「え……?」

 千紘はその言葉で顔を上げた。

「このくらいかわいいもんだよ」

 一之瀬の強く語りかけるような瞳にぶつかった。

「……千紘」

 一之瀬は妖艶な顔で千紘の名を呼ぶ。 
 両手で千紘の頬を挟み、右手の親指で千紘の頬を撫でながら言った。

「大人の欲望を、いっぱい…これから千紘に、教え込んでいくよ」

 刺激が強すぎて、千紘は目をぱくりとさせた。
 
「そういうことを言う俺は、嫌い?」
「……いえ…。……大好きです」
「ふふっ。もう容赦も、遠慮もしないからな」
「……っ、はい」
「わかったなら、もうこの話はこれでおしまい」

 腰を引き寄せ、千紘のあごを掴んで持ち上げて大きく口を開かせると、一之瀬はまた舌を入れてきた。
 まるごと勢いよく絡めたと思うと、舌の裏側をくすぐるようにやさしく撫でる。
 あらゆる手段で口の中を堪能する一之瀬の手練手管に、改めて感心してしまう。

「んっ…あふ…ん」

 千紘は振り回されてばかりだ。
 一之瀬の舌の動きを追っていたら、つながったままの下半身に圧迫されるような違和感を覚え、中に入ったままだった一之瀬がまた大きくなるのを感じた。

「…んぁ。水樹さんっ…もう……」
「……はぁ。まずいな。やめないといけないけど」

 そう言いながらも、一之瀬はちゅっちゅと短いキスを唇に繰り返す。

「水樹さんって、キス魔? ですか?」
「ん?」
「上手なだけじゃなくて、隙あらばしてきますよね」
「えぇ…ダメなの?」

 子犬のような甘えたしおれた顔をされて、千紘は慌てた。

「いいですけど…。ちゃんと応えられていられているか心配です」
「大丈夫だよ。千紘の唇も舌も柔らかくてとろけるようだし、歯並びもいいからなぞっていても気分がいい。いつも気持ちよくさせてもらってる」

 さらに甘えた笑顔を向けてくる一之瀬に、胸を締めつけられる。

「……いつも、水樹さんは俺をまず気持ちよくさせてくれるじゃないですか。俺の方がイかせられる回数が多いし…」

 千紘は顔を赤くして、言いづらそうに話した。

「うん。俺が、千紘をイかせたいんだ。……かわいがっちゃダメなのか?」
「もちろん、嬉しいです」

 千紘は懸命に答えた。

「でも、いつも俺ばかりしてもらうのは…申し訳ないです」

 一之瀬は意外だという顔で千紘を見た。

「そんなこと、考えてたのか?」

 真意が伝わらず残念だという顔をしている。

「俺が千紘を気持ちよくさせるのは、俺が千紘の顔や仕草や様子を見たいからだよ」

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