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一歩前進、そして暗雲
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「旅に出てからは初めてですよ!?」
「出てからは?出てからはって言った?今…」
さっき迄の雰囲気、なんなら甘めの雰囲気だった筈なのに急にアウロンから漂うものは恐怖の空気になった。
「全て白状してもらおうか」
普段、望には決して見せない騎士の顔をしていた。
(めっちゃこえ~~~~!!)
「だ、だから……」
「言い訳はいい。いつから?」
「ぞ、蔵書館……に…行った……後くらいから…」
「はぁ?」
「でも、今日見たので5回くらい!全部で5回くらいだから!!」
「数より内容だろ」
(ひぃぃ~~~~~)
「ほほほほん、本の内容!」
「本?」
「だから、本の内容に映像がついた感じっ…です」
余りの恐怖に、もぅひたすら必死である。
「夢に現れ……精神を乗っ取る…聞いたことがあるな…しかし……印が……」
ブツブツ思案気に目を細め顎に手を当てて考え込む。そしてグッと望に近付きまじまじと顔を見る。
「表情は……いつも通りだが…もっと詳しく、夢の内容を」
「え?詳しく…って…うーんと、まず俺があの本を書いた奴になってて」
「待て!!」
「え?何……」
真っ青な顔をしたアウロンが呆然としていた。
「望は……違う人物の記憶を見ているのか?」
「あー……そうです…ね。うん、その言い方がしっくり来ますね」
「まさかっ……なん……」
「え……アウロンさん?」
「今は?何ともないのか?そうだ、何故泣いていた!?違う人物になって怖いからか??」
(え?え?マズイの?)
「いや……今日は…悲しくて…辛かったから……」
「なんて事だ……思念が、望に移っているではないか……どうして……はっ…そうか……異世界人同士だから……境遇が…近いのか……」
ドンドン怖くなってくる望。
「俺…………ヤバいの?」
「すまないっ混乱して……大丈夫だ、何があろうと俺が守るから!」
「こ、怖いんですけど……」
「望は…その、夢の中の人物に…共感、しているのか?何か近いものが?」
「あー……うん。俺みたいだなって…何か…皆から嫌われてるっぽいし…」
「……おかしくないか?異世界人なら、使い様の筈だ…確か……王城を出された、と言っていたな」
「そう。ガマズさんも不思議がってた」
「望と近い境遇……使い様ではない異世界人…つまり、使い様では無い召喚された異世界人が過去にも居た、と?」
「それだっ!」
「望、これはじっくり考えて調べる必要がある。蔵書館の結界内という事は、隠したい事なんだ…表には出てはならない…。今日では無理だ。あぁすまない…望は休まなければならないのに…疲れさせてしまったな…」
「と、いうより……怖かった…です」
「それは黙っていた望が悪い。俺とした事が……別の理由で疲れさせたかったのに…」
(この…エロ親父はまだ言うかっ)
「どんな些細なことでも、もぅ黙っていては駄目だ。頼む、望の身体が乗っ取られてしまう…頭が痛いとか、お腹痛いとか、気分が落ち込むとか、何でもいい。言ってくれ、頼む」
「分かっ…た。ごめんなさい。こんな、大事とは…気の所為かと…本当に、ちゃんと、言うから」
「印が無いことだけが、救いだ。今はもうお休み、明日また考えよう」
こちらに来てから心穏やかに過ごした試しが無い気がする望。自分の人生は何故にここまで波乱万丈なのだろうか。
「手を繋いでいてやるから。触れ合って繋がる、とは意味があることなんだよ。特に魔力に関しては」
「アウロンさん…ありがとう…ございます」
「望の為だから、夜が明けたらまた治癒を行わなければいけないだろう?俺の魔力を少し流そう。ゆっくり休めるはずだ」
望の心の突っかかりを目の前に引っ張り出してくれたようだ。事実を知るのは怖いけれど、アウロンの手から伝わる温もりと、優しい魔力のおかげで眠気に誘われる。
「こんな小さな身体に不安を溜め込んで…」
アウロンが呟いた言葉にアイツはどうだったのかと思う。望は絶対的に守られている。でも王城を追い出されてしまったアイツは?あんなに悲しい気持ち、アイツはどうしていたんだろう。前に感じた怒りを思い出して心臓が冷えてくる。不安に飲み込まれないようにアウロンの温もりに意識を集中させる。
(あぁ……俺は…アウロンさんがいないと……)
規則正しい寝息が聞こえて来た。
「聞いたことないぞ……」
アウロンは望の寝顔を見ながら考えを深める。
(召喚の儀式は喜ばしい事だと認識している。この濁った魔の力からお救いして下さる、と。使い様はお救いした後は幸せに暮らした、と。小さな子供でも知っている伝承だ。不可解な望への印象操作、蔵書館での異世界の文字の書物…繋がるのか?ガマズが言っていた不穏分子。一連のことは王城内で起きた事だ…。この国は定型な事柄を良しとしている。まさか国が望を排除しようなどとは無いよな。治癒者なのだし。しかし、以前にそのような事が有ったとしたら…憎しみを抱えている異世界人がいたとしても……。それにしても、そんな事欠片も聞いたことないぞ…相当昔のことなのか?)
アウロンは望を見つめ続ける。今は穏やかな寝顔を
(望は……過酷な運命の渦中にいるのかもしれない。幼さの残るこの可愛らしい顔をした優しき少年が。神も無慈悲なことを……。例え相手が神でも俺は…)
「出てからは?出てからはって言った?今…」
さっき迄の雰囲気、なんなら甘めの雰囲気だった筈なのに急にアウロンから漂うものは恐怖の空気になった。
「全て白状してもらおうか」
普段、望には決して見せない騎士の顔をしていた。
(めっちゃこえ~~~~!!)
「だ、だから……」
「言い訳はいい。いつから?」
「ぞ、蔵書館……に…行った……後くらいから…」
「はぁ?」
「でも、今日見たので5回くらい!全部で5回くらいだから!!」
「数より内容だろ」
(ひぃぃ~~~~~)
「ほほほほん、本の内容!」
「本?」
「だから、本の内容に映像がついた感じっ…です」
余りの恐怖に、もぅひたすら必死である。
「夢に現れ……精神を乗っ取る…聞いたことがあるな…しかし……印が……」
ブツブツ思案気に目を細め顎に手を当てて考え込む。そしてグッと望に近付きまじまじと顔を見る。
「表情は……いつも通りだが…もっと詳しく、夢の内容を」
「え?詳しく…って…うーんと、まず俺があの本を書いた奴になってて」
「待て!!」
「え?何……」
真っ青な顔をしたアウロンが呆然としていた。
「望は……違う人物の記憶を見ているのか?」
「あー……そうです…ね。うん、その言い方がしっくり来ますね」
「まさかっ……なん……」
「え……アウロンさん?」
「今は?何ともないのか?そうだ、何故泣いていた!?違う人物になって怖いからか??」
(え?え?マズイの?)
「いや……今日は…悲しくて…辛かったから……」
「なんて事だ……思念が、望に移っているではないか……どうして……はっ…そうか……異世界人同士だから……境遇が…近いのか……」
ドンドン怖くなってくる望。
「俺…………ヤバいの?」
「すまないっ混乱して……大丈夫だ、何があろうと俺が守るから!」
「こ、怖いんですけど……」
「望は…その、夢の中の人物に…共感、しているのか?何か近いものが?」
「あー……うん。俺みたいだなって…何か…皆から嫌われてるっぽいし…」
「……おかしくないか?異世界人なら、使い様の筈だ…確か……王城を出された、と言っていたな」
「そう。ガマズさんも不思議がってた」
「望と近い境遇……使い様ではない異世界人…つまり、使い様では無い召喚された異世界人が過去にも居た、と?」
「それだっ!」
「望、これはじっくり考えて調べる必要がある。蔵書館の結界内という事は、隠したい事なんだ…表には出てはならない…。今日では無理だ。あぁすまない…望は休まなければならないのに…疲れさせてしまったな…」
「と、いうより……怖かった…です」
「それは黙っていた望が悪い。俺とした事が……別の理由で疲れさせたかったのに…」
(この…エロ親父はまだ言うかっ)
「どんな些細なことでも、もぅ黙っていては駄目だ。頼む、望の身体が乗っ取られてしまう…頭が痛いとか、お腹痛いとか、気分が落ち込むとか、何でもいい。言ってくれ、頼む」
「分かっ…た。ごめんなさい。こんな、大事とは…気の所為かと…本当に、ちゃんと、言うから」
「印が無いことだけが、救いだ。今はもうお休み、明日また考えよう」
こちらに来てから心穏やかに過ごした試しが無い気がする望。自分の人生は何故にここまで波乱万丈なのだろうか。
「手を繋いでいてやるから。触れ合って繋がる、とは意味があることなんだよ。特に魔力に関しては」
「アウロンさん…ありがとう…ございます」
「望の為だから、夜が明けたらまた治癒を行わなければいけないだろう?俺の魔力を少し流そう。ゆっくり休めるはずだ」
望の心の突っかかりを目の前に引っ張り出してくれたようだ。事実を知るのは怖いけれど、アウロンの手から伝わる温もりと、優しい魔力のおかげで眠気に誘われる。
「こんな小さな身体に不安を溜め込んで…」
アウロンが呟いた言葉にアイツはどうだったのかと思う。望は絶対的に守られている。でも王城を追い出されてしまったアイツは?あんなに悲しい気持ち、アイツはどうしていたんだろう。前に感じた怒りを思い出して心臓が冷えてくる。不安に飲み込まれないようにアウロンの温もりに意識を集中させる。
(あぁ……俺は…アウロンさんがいないと……)
規則正しい寝息が聞こえて来た。
「聞いたことないぞ……」
アウロンは望の寝顔を見ながら考えを深める。
(召喚の儀式は喜ばしい事だと認識している。この濁った魔の力からお救いして下さる、と。使い様はお救いした後は幸せに暮らした、と。小さな子供でも知っている伝承だ。不可解な望への印象操作、蔵書館での異世界の文字の書物…繋がるのか?ガマズが言っていた不穏分子。一連のことは王城内で起きた事だ…。この国は定型な事柄を良しとしている。まさか国が望を排除しようなどとは無いよな。治癒者なのだし。しかし、以前にそのような事が有ったとしたら…憎しみを抱えている異世界人がいたとしても……。それにしても、そんな事欠片も聞いたことないぞ…相当昔のことなのか?)
アウロンは望を見つめ続ける。今は穏やかな寝顔を
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