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中等部のころ
《9》
しおりを挟む自分の態度を変えると周りの対応がこんなに変わるとは思っていなかった。以前、進にわざと敵を作っていると言われた意味が分かった気がした。
(なるほど、進くんはこういう事が言いたかったんだな……道雄さんも流石に年上の人だな…先を見越してる)
道雄は進の視野が狭いと言っていたが、里葉にもそのまま当てはまっていた。柔軟な考えや環境を変えることで新たな発見があると教えられた気分だ。
(でもこれって……疲れる…)
本来、里葉は一人静かに過ごしたいタイプなのだ。それを学園に馴染むように社交的に偽っているのだ、心が疲れてしまうのは仕方がない。時々ふと遠くを見つめてぼうっとしてしまう時があった。
「ちょっと君、良いかな?」
「え?」
放課後、廊下の窓から外を眺めていた里葉は癖でうつむき加減で視線だけ声のした方を見やった。
「ははっ……良いねぇその流し目……」
「っ…………」
(上級生だ……やな感じ……)
「僕ですか?」
「そうそう君だよ。白井の子はチェックしてたんだけどなぁ君は知らなかったよ」
「あ……」
(笑えっニコニコしなきゃ)
「なんでしょうか?」
ネトっとした雰囲気を感じ取った里葉は態とらしいほど笑顔で聞き返した。
「笑っても可愛いけどねぇ~……さっきみたいに流し目してよ、いい感じに色っぽい。遊んでる?」
「!?……どう、いう意味…ですか……」
「えー?そう来る?」
(何これ……僕、絡まれてんの?これ…)
「あの……用事が無いようでしたら……僕はこれで…帰ります」
「ちょっとちょっと…待ってよ。これから付き合ってくんない?俺と遊ぼうよ」
「は?なんで……」
視線が泳いで助けてくれそうな人を探すが誰もいない。教室から声は聞こえても里葉が困っているとは分からないようだ、もしくは関わらないようにしているのか。
「あれー?もしかして…反抗的な子なの?君」
(げ、まずい……目をつけられそう…)
「違います…そうじゃありません…」
「ならいいじゃん。あ、名前は?」
「え……名前……」
(教えたくない~)
「何?上級生の言うこと聞けないの?」
「いや……あの……森…です」
「下の名前だよ~あー慣れてない?」
(やだこの人…執拗いなぁ…どうしよ……)
「えと……あの……僕、調子悪くて…帰ろうかと」
「でも名前くらいは言えるでしょ?ここに居るってことは…A組?」
「う…………」
「あ!お前!ここにいたの?」
困惑する里葉の後ろから初めて聞く声が聞こえた。
「先生探してたよ。あ、先輩こんにちは…すみません、こいつ先生に呼ばれてるんで失礼します」
「おい!」
「あ、俺はS組の山岡です!風紀見習いになりました。よろしくお願いします。それでは失礼します」
「っち……Sで風紀かよ……」
「ほらお前も挨拶」
「う、うん。失礼します」
少し歩いて廊下の角を曲がる。
「余計なお世話だった?」
山岡と名乗った生徒が振り返り聞いてくる。
「あ、ううん。助かった…ありがとう」
「そっか、良かった」
自然な笑顔が出た里葉だった。
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