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第2
30話
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「交換条件出してくるとか…素直に教えてくれないのかよ…ひねくれてんな」
「そんなこと言っていいのかよ。教えて欲しいんだろ?」
モンジとフワームが言い合っていると痺れを切らしたシュシュルが強めに言う。
「古城での一件、裏がある」
「ばっ…シュシュル!」
躊躇なく話し出したシュシュルを止めようとフワームはシュシュルの口を塞ごうとするが、それをキャスに止められる。
「面白そうじゃないか、フワームは俺の腕の中にいな」
「ふざけんなよっ!」
暴れるフワームを抱き込みシュシュルに先を促す。キャスより頭一つ分小さいフワームの体はスッポリ腕の中に収まってしまう。キャスが大きいだけなのだが、フワームは気に入らない。隊長のモンジも興味深そうに聞く体勢に入った。
「あの件は終わっていない。魔物を呼び込んでいた人物は逃げたままだ。そして伏せられているが、エイリカ様も関わっている」
「ほぅ……」
感心したような顔で納得するモンジ。
「やっぱりな…美談にし過ぎだと思ってたんだよ。きな臭いと思ったら案の定か」
「これでいいだろ、サッサと教えろ」
「しかし…女遊び以外には真面目で、仕事には堅物のはずのお前がこうもあっさりゲロるとは…なんかあんのか?」
「いいだろ、魔物の特徴は?詳しい症状を話せ」
探るような視線を向けて来たモンジだったが、ゆっくり口を開いた。
「まぁいいさ…魔物は爪を持ってるやつ、四足歩行の動物型だ。ライオンに見えるが角を生やしてる。普段中々見ない奴だが、何故か最近よく見かける。アイツの爪には気を付けろ。傷自体も普通だから毒なんて想像もしないんだ」
ナノの状況とピタリとハマってしまう。しかしシュシュルでもナノの怪我をした状況を詳しく聞けていない。ジンワリと焦るシュシュル。早く情報を得てナノからも話を聞かなければ、そして一刻も早く魔法士に診せたい。
「症状としては厄介なんだが…傷が治まってから毒の効果が出てくる。嫌らしいよな…傷の瘡蓋が取れて、肌に傷跡が残る…そっからなんだ。熱が出るんだよ、定期的に…最初は気付くわけねぇよな。おかしいと思い始めると傷跡の色が変わってくるんだよそれが段々広がってくる…ま、ここまでしか分かってねぇ。そっから放置するとどうなるかははっきり分かってねぇ。当たり前だろ?そんな怪しすぎる傷跡、治しちまうんだから当然だよな」
「期間は?どれくらいで傷跡の変色が始まる…。それ以外は?熱が出る以外の症状は?苦しいのか?辛いのか!?」
「……知らねぇよ。俺はそんな魔物の攻撃を受けるヘマやらねぇから…何だよ、知り合いに居るんだろ」
「怪我をした本人に話を聞きたい。何処にいる?」
前のめりで聞いてくるシュシュルに流石に違和感を感じるモンジ。キャスに抱き込まれていたフワームもその腕から抜け出しシュシュルの腕を掴む。
「落ち着けって」
「落ち着けるかっ!」
歯を食いしばって何かを我慢するシュシュルはナノの事で頭がいっぱいだ。居てもたってもいられない。どうして、これ以上ナノが苦しい目に遭わなければいけないんだと、涙さえ出てくる。その異常な状態のシュシュルにモンジが話し掛ける。
「お前も何か食らったのかよ。おかしすぎだろ…ハッキリ言えよ。黙って見てろなんて…さすがに無理だろ」
「これだったか…面倒事だ……」
キャスが天井を見上げて頭をガシガシと搔く。キャスの胸騒ぎはよく当たる。
「俺はお前らを信じてない」
「シュシュル!!もぅ黙れっ」
「おいおい……何だよそれ…はぁ?信じてねぇって?ふざけんなよ…」
一気に緊迫した空気に変わる。
「だから…」
まずい状況にフワームがキョロキョロと視線をさ迷わせる。その様子のフワームを見て、傍観していたはずのキャスもピクリとイラつきを表情に出す。さらに空気の悪気なる第4隊駐屯地。
「おい、副団長さんよ……フワームも巻き込んでんじゃねぇだろうな……」
「だから……もぅ……」
睨み合いの続くモンジとシュシュル、そこにキャスまでシュシュルを責めるような視線を向ける。我慢の出来なくなったフワームが叫ぶ。
「愛に溺れたんだ!副団長はっ!初めての本気の愛にっ!!」
一瞬にして駐屯地の空気が変わった。
「は?愛?」
予想外の方向性にモンジがポカンとする。
「シュシュル、言うからな?言うぞ。いいか?モンジ、キャス。我らの副団長シュシュル・フレイザーは今愛に溺れている。その愛する人が被害にあったかもしれないんだ…だからいつもと別人になってしまっている。分かってくれ」
「それは……」
キャスは今しがたの自分の行動を自覚しているだけあって言葉が出てこない。愛するひとが傷付いてる、これは我慢できない。理解してしまった。
「分かっちまうな…俺はよ…なぁ?フワーム」
フワームは、うぐっと引いてしまうが好転したこの空気、我慢した。
「腑抜けどもめ…」
仕方なし、と存外に雰囲気を出したモンジはひとまずシュシュルを睨むのを辞めた。
「あーなんだ?副団長様の愛しい人が?魔物の被害にあった…から……焦ってるって?毒の事…どっかから聞きつけたか…でもよぉ……そんならサッサと魔法士に治してもらえば良いじゃねぇか…何ちんたらしてんだよ」
「そ、それは……そう…だよな…」
フワームは歯切れ悪く答えてしまった。
「そんなこと言っていいのかよ。教えて欲しいんだろ?」
モンジとフワームが言い合っていると痺れを切らしたシュシュルが強めに言う。
「古城での一件、裏がある」
「ばっ…シュシュル!」
躊躇なく話し出したシュシュルを止めようとフワームはシュシュルの口を塞ごうとするが、それをキャスに止められる。
「面白そうじゃないか、フワームは俺の腕の中にいな」
「ふざけんなよっ!」
暴れるフワームを抱き込みシュシュルに先を促す。キャスより頭一つ分小さいフワームの体はスッポリ腕の中に収まってしまう。キャスが大きいだけなのだが、フワームは気に入らない。隊長のモンジも興味深そうに聞く体勢に入った。
「あの件は終わっていない。魔物を呼び込んでいた人物は逃げたままだ。そして伏せられているが、エイリカ様も関わっている」
「ほぅ……」
感心したような顔で納得するモンジ。
「やっぱりな…美談にし過ぎだと思ってたんだよ。きな臭いと思ったら案の定か」
「これでいいだろ、サッサと教えろ」
「しかし…女遊び以外には真面目で、仕事には堅物のはずのお前がこうもあっさりゲロるとは…なんかあんのか?」
「いいだろ、魔物の特徴は?詳しい症状を話せ」
探るような視線を向けて来たモンジだったが、ゆっくり口を開いた。
「まぁいいさ…魔物は爪を持ってるやつ、四足歩行の動物型だ。ライオンに見えるが角を生やしてる。普段中々見ない奴だが、何故か最近よく見かける。アイツの爪には気を付けろ。傷自体も普通だから毒なんて想像もしないんだ」
ナノの状況とピタリとハマってしまう。しかしシュシュルでもナノの怪我をした状況を詳しく聞けていない。ジンワリと焦るシュシュル。早く情報を得てナノからも話を聞かなければ、そして一刻も早く魔法士に診せたい。
「症状としては厄介なんだが…傷が治まってから毒の効果が出てくる。嫌らしいよな…傷の瘡蓋が取れて、肌に傷跡が残る…そっからなんだ。熱が出るんだよ、定期的に…最初は気付くわけねぇよな。おかしいと思い始めると傷跡の色が変わってくるんだよそれが段々広がってくる…ま、ここまでしか分かってねぇ。そっから放置するとどうなるかははっきり分かってねぇ。当たり前だろ?そんな怪しすぎる傷跡、治しちまうんだから当然だよな」
「期間は?どれくらいで傷跡の変色が始まる…。それ以外は?熱が出る以外の症状は?苦しいのか?辛いのか!?」
「……知らねぇよ。俺はそんな魔物の攻撃を受けるヘマやらねぇから…何だよ、知り合いに居るんだろ」
「怪我をした本人に話を聞きたい。何処にいる?」
前のめりで聞いてくるシュシュルに流石に違和感を感じるモンジ。キャスに抱き込まれていたフワームもその腕から抜け出しシュシュルの腕を掴む。
「落ち着けって」
「落ち着けるかっ!」
歯を食いしばって何かを我慢するシュシュルはナノの事で頭がいっぱいだ。居てもたってもいられない。どうして、これ以上ナノが苦しい目に遭わなければいけないんだと、涙さえ出てくる。その異常な状態のシュシュルにモンジが話し掛ける。
「お前も何か食らったのかよ。おかしすぎだろ…ハッキリ言えよ。黙って見てろなんて…さすがに無理だろ」
「これだったか…面倒事だ……」
キャスが天井を見上げて頭をガシガシと搔く。キャスの胸騒ぎはよく当たる。
「俺はお前らを信じてない」
「シュシュル!!もぅ黙れっ」
「おいおい……何だよそれ…はぁ?信じてねぇって?ふざけんなよ…」
一気に緊迫した空気に変わる。
「だから…」
まずい状況にフワームがキョロキョロと視線をさ迷わせる。その様子のフワームを見て、傍観していたはずのキャスもピクリとイラつきを表情に出す。さらに空気の悪気なる第4隊駐屯地。
「おい、副団長さんよ……フワームも巻き込んでんじゃねぇだろうな……」
「だから……もぅ……」
睨み合いの続くモンジとシュシュル、そこにキャスまでシュシュルを責めるような視線を向ける。我慢の出来なくなったフワームが叫ぶ。
「愛に溺れたんだ!副団長はっ!初めての本気の愛にっ!!」
一瞬にして駐屯地の空気が変わった。
「は?愛?」
予想外の方向性にモンジがポカンとする。
「シュシュル、言うからな?言うぞ。いいか?モンジ、キャス。我らの副団長シュシュル・フレイザーは今愛に溺れている。その愛する人が被害にあったかもしれないんだ…だからいつもと別人になってしまっている。分かってくれ」
「それは……」
キャスは今しがたの自分の行動を自覚しているだけあって言葉が出てこない。愛するひとが傷付いてる、これは我慢できない。理解してしまった。
「分かっちまうな…俺はよ…なぁ?フワーム」
フワームは、うぐっと引いてしまうが好転したこの空気、我慢した。
「腑抜けどもめ…」
仕方なし、と存外に雰囲気を出したモンジはひとまずシュシュルを睨むのを辞めた。
「あーなんだ?副団長様の愛しい人が?魔物の被害にあった…から……焦ってるって?毒の事…どっかから聞きつけたか…でもよぉ……そんならサッサと魔法士に治してもらえば良いじゃねぇか…何ちんたらしてんだよ」
「そ、それは……そう…だよな…」
フワームは歯切れ悪く答えてしまった。
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