1,944 / 2,047
23の扉 新世紀
循環
しおりを挟むなにか、「新しい匂い」が する。
そう感じて
ふと
見上げた 高い天井の「光の空気」
それは ことばで言うなら
「職人の光」が集まって「この場」へ染み付いている結晶の様なもので
「こだわりの三人が創ってきた空気」
そして
「そこに新しい創造の空気が混じり始めたこと」
それも 現していて。
「実際は無骨な工房の壁」に ある種の結界効果を
齎している。
見た目は「ただの黒と灰色の壁」なのだけれど。
「それ」が「積み重ねられた熱の結晶」なのはわかるし
だからこそ「ただの壁」に染み込んだ煤が守りとなり
この場を 神聖なものにしている。
そう、「なんで閉塞感がないんだろう」と
昼食と共にここの空気を 味わってから。
仕事を始めた二人の様子を 交互に眺めていると
「切り替わる職人の時間」
「そこへ向く矢印の精度」
「光の勢いとその向かう先」
そのどれもが「あまり外では見られない光景」なのがわかって
納得と共に「それが創り上げた「場」が持つ効果」が視えてきたのだ。
それは
目で「見える」訳じゃないけれど
「それぞれの矢印がどこを向いているか」を感じ取れば
「どうしてここがこうなっているのか」
それを理解するのは 難しくない。
ただそれは「以前から感じてはいたこと」だけれど。
「新しい景色を新鮮に映して」
「世界の意味を塗り替えていく」
それが主の大きな仕事のうちの一つで
「観て」「わかり」「押印していく」、
その「世界設定」は重要であり
それを端折ることは世界の美しさを曖昧にさせる。
事実、「ここ」は
「原初」→ 「エネルギー」→ 「物質、事柄」の見えない部分
即ち「エネルギー状態のところ」を再設定する位置で
そこを整えなければ世界は変わらないからだ。
「 うん、だから。 気付いたら「やってく」。 ふむ? これも素敵。」
そんな私は
「食休み」と称して、始めは久しぶりに二人の作業を眺めながら
「自分の中の創造性を刺激する」
その時間に当てようと工房をウロウロしている。
実際 「なか」では
まだ「具体的ないろ」は決まっていないし
だが急ぐ必要はなく、
私は
「自分の注文」を取り入れ
「それを実際目で観て どう生かすか」
ウキウキと完成図を描く時間を 大切にするのだ。
「 ふむ 」
そして その「注文」とは
「どんないろにしようかな♪」で虚空から飛び込んできたカケラを生かすことである。
それは ここへ来る前に
時折くるくると回していたスペースが唯一弾き出してきた、「虹色のカケラ」で
「虹色のカケラ」と言えば
「私の中に紐付くもの」は アレだけ
だから
作業へ入る前にヨークが渡してくれた
「イストリアに頼んでおいた「パーツ」」を
じっと眺めて。
ここの空気と 青のガラス
そして虹色の鱗を掛け合わせて、
「ピタリ」と来る瞬間を図りながら
じっくりと 歩き回っていたんだ。
「 あ~、でも 「新しいいろ」って コレかぁ。」
虹色の鱗を握りしめて 工房内をウロウロして 暫く。
「なにいろ」というテーマがスペースを回ってはいたのだけど
実際「青系なこと」は決まっている為、「考えることじゃない」が働いている私の頭は早速「子供達の作品」に気を取られて いた。
そう、工房には作りかけの作品が 沢山並べられていて。
乾燥待ちのものから
色付け待ちのもの
きっとまだ「ここからどうしようか」と更なる試行錯誤が始まる気配のものまで沢山の「いいもの」が満ち溢れていて
そこへ気が惹かれるのも「致し方ないこと」なのである。
「 ふうむ。 なるほど ? あっ 何コレ 凄いな? 練習って言うか ふぅん?」
後ろに 手を組んで
屈みながらじっくりと作品を舐め回している私は相当怪しかったに違いない。
「うわっ。ヨル、何やってるの?」
「 ああ、いや、なんか いい材料使ってるな、と思って。 これとか、練習用じゃないですよね? このまま使えるだろうし。」
「あー、それはね中央の方で融通してくれてるんだ。勿論、これまではずっと材料は仕入れてたけど、安くはなかった。実際子供達に使わせる様な値段じゃなかったし、僕らもそこまで実入りがいい訳じゃないしね。でも、殆どタダみたいな値段で今は入れれるんだ。領主様の方で改定してくれたらしいんだけど、詳しいことは知らない。でも、親方はタダでもいいって所を最低限払ってるみたいだけど。ま、そこら辺は職人のこだわりというか…。」
「 成る程。」
イストリアが言っていた通り、ソフィアは無料で材料を融通してはいるのだろう。
しかし、ヨークの職人魂がそれを許さなかったに違いない。
確かに「タダで手に入れられるもの」を使って創るのと
「自分一部と交換して手に入れたもの」を使って創るのは
雲泥の差が出るに違いない。
そう、それは「お金」じゃなくて。
なにで、創るのか
そこが一番大事なのであり
自分のエネルギーの一部を変化させ、そうするという意図があることが 大切なんだ。
「 なるほど ねぇ。」
そして「子供達には タダでいい」
それもここで観れば「世界はみんなのもの」という意図にピタリと当て嵌まり、すっきりと道は透る。
実際「せかい」は 「何処が 誰のもの」と分けられてはいなくて
この場に顕現してからも
「世界はみんなが自由に使える場」、この事実を存分に味わう、為だ。
そして 本来ならば
「すべてのものを自由に使い」、
「失敗と成功を繰り返した上で 正しい使い方を学び」
「最善で世界を廻す術を身に付け」
「自分のチカラで創れる様に なる」。
そう、「誰のもの」とか言っているから
「なくなる」とか
「出し惜しみ」が生まれて
世界は上手く循環が出来なくなり 詰まって終わり、
「新しい世界」が興って私はその線上にいる。
だから
その場その場でみんながすべてを融通してゆけば、
新しい世界は自然と廻る様に出来ていて
こうして子供達はチカラを発揮する術を身に付け 自分で創造の一端を担える様になる。
大事なのは
もう「役に立つものを作る」とかじゃなくて
「美しいものを使って」
「美しいと思えるものを創る」こと
「私達の心のふるえ」に対して世界は創られるのであり、そうでないと この世界も拡大しない。
「 なるほど。」
少し 前に思った「精神の問題」
それを解してゆくのに
「ここ」はとてもいい場所として働いていて
だからこそソフィアは「そうしよう」と思ったのだろうし
だけどそこへ「職人魂」がそう返した「なかみ」が視えて
また面白いんだ。
「 フフ」
二人の気持ちは どちらもとてもよくわかるし
お互いの意見をきちんと伝えてバランスが取れていることが美しくて
「ゆっくりと 順調に変化している世界」が愛おしくて面白い。
「………まあ、ヨルはどれでも使っていいからね?」
「 はい。 ありがとうございます。」
だから
「いつもの様に謎に笑っている私を見ているエーガー」を見て
ニッコリと 返事をして。
「それなら」と 辺りを改めてクスクスと笑い、
漸く材料の 吟味に入ったので ある。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる