透明の「扉」を開けて

美黎

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7の扉 グロッシュラー

ただ一つの もの

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ああ

そうだ。  そうなんだ。


私は その   あの


    ただ一つを 求めるために


あそこに行かなければ ならないんだ。


そうだ  それだ

思い出した



どうしたって 求めてしまう

あの 半身


あの人でなければ いけない


そう お互いに。

それが解るから

痛い程 解るから。


必ず  なんとしてでも。

辿り着かなければ いけないんだ


ああ  早く  あの人が  持ち堪えているうちに


私の事を  まだ  求めていられるうちに



それでなければ

なんと

なんと  





私たちの   在った  意味 は。


存在   すら。



そう

あの人が 消えれば


私の意味もない    


         なにも ない


なく なるのだ



あの子も  もう いない


どこ    私たちの  あの子


誰が何処に  隠したの

必ず 見つける

それも


でも  まず  あの人を

私の あの人を見つけて  私を。


きちんと 一つに  しなければ。


きっと あの子のことも  わからない



さあ

行かなくては



もう少し   もう 少しだけ

手伝って おくれ



そうして  探して

きっと 見つかる


あの人も  あの子も  そして


本当のこと も。



そう、なるように。

全力で 手伝うから。



お願い


共に。

行こう



そう  私たちの 



   あの  約束の  地   まで 。



















早く、行かなきゃ!


「ガバリ」と布団を剥いで起き上がっていた。

しかし既に隣の金色に包まれている私は、いつもより早く自分を取り戻したのだろう。

暴れる事なく我に返り、冷静に頭の中の夢の内容を反芻し始めていた。



あれから。

アラルエティーと、歌ってから。


あの時、彼女と話して改めて「私がデヴァイへ行く意味」を考えて、暗くなっていた私だけど。


「これなんだ………。」


ハッキリと、自分が今ここにいる意味、次の扉へ行く意味、ディディエライトの事、セフィラ、姫様の石、沢山の事が重なって。


「何これ………。全部、繋がってるの………?」


まだ、分からない部分も多い。

でも。

かなり、繋がっているのは分かるのだ。


ジワリと金色が染み込んできて、心配しているのが、解る。

「大丈夫………。」

背後からまわる腕をキュッと掴みながら、とりあえずそう言っておいた。


私の中の変化、色々な過去の事、それと姫様を探している事。

それだってきっと、どこかで繋がっているのだろう。
ここまでくると、そう思わざるを得ない。

でも多分。

向こうに、行かないと分からない部分も、多い。


「何しろ、焦ったって仕方ないよね………。」


腕の中、いつもの香りを嗅ぎながら深呼吸をする。
深く、細く長く、息を吐いて、そうして金の瞳を見上げた。

落ち着いた、つもりだったけど。


駄目だったか…………。


そう、やはり無言でチカラを流し込まれたので、ある。


うん。まぁ、ダメージ受けたけどね?
うん。
でも

なが

え?

長く  ない ?


「っん…」


自分の口から出た声に吃驚して、思わず固まった。

多分、急にカチコチになった私を心配して、放してくれた気焔は。

「究極の仕方のない目」をしたのだけど、溜息を吐いて再び私を懐に入れた。


そう、多分、原因も彼だけれど。
この固まりを解せるのも、彼しかいないのだから。


そうして暫く、金色に包まれていたのである。













「それにしても。は、中々に見事だったぞ?」

次の日の朝。


無性に、祈りと考え事をしたくなった私は二階の礼拝室へ籠って、いた。

「一人で考えたい」という私を渋っていた金色だけれど、ベイルートと朝が留守番を買って出てくれたお陰で、渋々出て行ってくれた。


だって。

あの、金色が側に、あったなら。

どうしたって引き摺られてしまうから。


そう、私はあの祈りの事、それに夢の事を考えたいと思っていた。

まだ、少し混乱していたのかも知れない。

自分の中で、少し整理したかったのだ。



そうして何から手を付けようかと、階段に座りボーッとしているとベイルートの報告が始まったのである。

どうなったかと、心配していたけど。


結局、私が下へ避難する時、ベイルートは飛んで天空の門の様子を見ていたらしい。

「ベイルートさん、できすぎですよ………。」

「うん?それでだな。結局、ただの枝だったあの木が木になったぞ?」

「えっ!」

「まあ、気持ちは分かるが、一人で行くなよ?」

「うっ。はぁい。それで?他は、どうなりました?」

「そうだな。とりあえずその後は、あの子は嬉しそうにあいつと帰ったけどな?二人で何やらミストラスの所に行ってたぞ?」

「なんですかね、何か動きがあるかなぁ?」

「まあ、でもあそこまでデカい光と雨、一瞬だったけど空も見えた。中々、いい「くすり」になったんじゃないか?」

「そうだといいんですけど………何はともあれ、アラルが幸せになって欲しいって事ですよね………。」


何事もトントン拍子にうまく行く事は無いだろう。

でも。

少しでも。

私達の、道を。

切り拓けたなら、そこからまた進んで行くしか、ないんだ。

一歩、一歩。

止まらなければ。

大丈夫だから。



「それにしても、光も降ったか。良かった良かった。」

「ん?だってヨルが降らせたんだろう?」

「まあ、「光を当てて」とは思いましたけど。スポットライトですよ、やはり主役には必要でしょう。」

そうドヤ顔で言っている私に遠くからツッコミが聞こえてくる。

「主役はアンタでしょ。」

「甘い。朝、「全員が主役」なんだよ。これからは。だって私、いつまでもここにいる訳じゃないし。」

「まぁね。」


そうなんだ。

私は、扉も移動するし。

あの、夢の。

「誰か」も探しに行かなくてはならない。



あの子……。
「本当のこと」も協力してくれるって言ってた。

でも、それには。

あの子が求めている、「あの人」を探さなきゃ、いけないんだ。


胸が、ギュッとする。

思い出しただけで。


でも、わかる。
私も、あの温もりを知ってしまったから。

あの、唯一無二の。

求める、もの。

その存在。


「元気でいてくれるだけでいい」そんな愛と違って。



ただひたすらにそれを求め、側に、在りたいと。

共に、いなければ駄目なのだと。

解って、しまったから。





私には、分かっている。

その、あの子の求める人が。

私が、いつか会わなくてはいけない、そのデヴァイの。

長、その人なのだということ。


悪の枢軸じゃ、ないの?

それとも?


わからない。

でも、わからないから。


進むんだ。

私は、わからなくちゃ、いけないから。



それに、気になる事はもう一つ、ある。

セフィラの事だ。


ただ、漠然と「亡くなった」とは思っていたけど。

「あの子 いない」って。

言ってた。

多分、ティレニアにはまだ来ていないんだ。

何故?


ドクンと心臓が跳ねる。



「きちんと死ねなかったものは」



エルバの言葉が脳裏を過って。

いや、まさか。

でも。

その、可能性が一番高いであろう事も、分かる。



「依る。」

「うん、解ってる。大丈夫。」


自分の髪がフワリと上がったのがわかって。

朝の声で、少し落ち着く。


わからない事で、興奮しても仕方が、無い。

それは保留だ。

ラガシュやイストリア、ウェストファリアも。
調べてくれると、言っていた。



「ま、なんにせよ。目的は、できたって事だよね………。」

窓の下にゴロリと寝転び、光を浴びる。


この、磨りガラスからの柔らかい光と。

同じ、ような。

優しい光が。


「みんなに降り注げば、いいんだよ…。」


先の尖ったアーチ窓を眺めていると、外のアーチが気になってきた。

「ね、誰に許可取れば一番確実かな?」

「ミストラスじゃない?」

「いや、クテシフォンのが確実だろう。そのまま連れて行って貰えばいい。」

「はい、ベイルートさん、採用。」

「何?今から、行くの?」

「だって。お天気だよ?天空の門日よりじゃない?」

「あんた、ここに雨は降らないのよ。」

「確かに。毎日、曇りだしね?」

「ハハッ、じゃあ行くぞ。」

「わーい!」

「大人しくしなさいよ?」

「分かってるって!」

「「不安だ。」」


失礼な二人の相槌にクスクス笑いながら、白い扉を開ける。

深緑の廊下は、誰もいない。

階下の、騒めきが微かに聞こえるだけだ。


そうして図書室に当たりをつけた私は、左にくるりと回って、歩き出したのだった。


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