透明の「扉」を開けて

美黎

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7の扉 グロッシュラー

焔の 中

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何故だか私の、白い空間にあった扉を開けて。


くぐった先はいつもの、橙の空間だ。

どう、なっているのだろうか。



全体が橙に包まれたその空間は、いつもと違い拡がっているのが、分かる。
いつもは、私一人がゆっくりできるくらいの小さな、場所。

その拓けた空間には、舞い上がる羽達が楽しそうに踊っているのがあちこちに見える。



揺ら揺らと燃える地面の小さな焔、舞い散る羽と頭上に煌めく小さな、焔と。


羽なのか、焔なのか。

よく見ようとして捉えた小さな羽が、瞬間パッと燃え上がり焔に変化する。


「変幻自在か………。」

手にしようとした羽がかき消え、ただ手のひらには温もりだけが、残る。

祭祀の途中、大きくなった羽が刀の様になったのを、思い出した。


「うーん、やっぱり。狡いな。」



変幻自在で、何にでも、なれて。

しかも、美しい、なんて。


「どういうこと………?」



「だから。………何が、だ。」

声のした方を振り返ると、金色に光る気焔が立っている。
いや、ある意味いつも金色ではあるのだけど。

彼の空間だからなのか、今は半透明くらいの金色になっている、気焔。


でも、これって………。

「なんか、懐かしくない?」

始めの頃、気焔を人型にする為に頑張って呪文を唱えていた事を、思い出す。

確かあの時も。
頑張ったけど、半透明だったり、体の一部しか、出なかったりして。

「ププッ!今、考えるとウケる………!」


一頻り、笑い終わると金色の瞳と目が、合った。


近いのか、遠いのか。

隣にいるわけではないが、よく、見えるその瞳の中には沢山の色が在るのが、見える。


変化する、いろ

内在する 元々の、もの。


今回、祈ってできた石は透明度が高いものが多かったけれど。

やはり、私の石達のような「混じり気の無い」ものは、無く。


「しかし、含まれているから、美しいものでも、ある。」


そう、「透明度」がとか。

「宝石」だとか、「希少さ」とかは、どうでも良くて。


「石」だろうが「人」だろうが、「生きているもの」であれば


  「唯一」  「ただ ひとつ」


であることに、間違いは、なくて。



「しかし、「石が生きているかどうか」は見解の違いがあるものと思われます。」

記憶の中から、勝手に解説が始まる。

この前、あの畑でランペトゥーザが言っていた「所詮は石」的発言。

もしかしたら、デヴァイの人達がなのかもしれない。


「そりゃ、チカラも減ってくよね………。」


ヒラヒラと目の前を舞う、金朱の焔。

それを目に映しながら、ただ感じることを、思う。


「石はただの石」

「モノである」

「モノにはは無い」

「神の一族」


以外は。「ひと」ではない」



全てに、「いのち」が在ること。

自分達しか、「ない」こと。



「正・反・対。」

そう思うけど。


どう、したらいいだろうか。

解ってなんて。

もらえるのだろうか。




「お前は。したいのだ?」

「「解って欲しい」のか?」


すっかり忘れてきていた金色が、私を背後から包む。

フワリとあたたかい温もりに、満ちてゆく、自分の中の、「なにか」。


そう言われて、みると?

「解って欲しい」のかな?
まあ、そうだけど………。


「私」は。

      したいんだ??




「私」は

彼等に  「解って欲しい」んじゃなくて。

「みんな」が。


「自由」で。  やりたい事がやれれば。


それで、良くて。


うん?

それなら別に、「解ってもらえなくても」いい?

まあ、そうなるね??



そもそも、「他人ひと」の考えなんて。

変えられる?

そう、簡単に変わるものなの?

確か、「大人になるとそう考えは変わらない、というか変えられない」ってお母さんが言ってたな??



ぐるぐるしている間にも、フワリ、ふわりと私を撫でる金色の羽。

「もう、気持ちよくなってきちゃうじゃん………。」

「駄目なのか?」

「だって…………。」


どうでも良く、なってきちゃうんだもん…………。


ぶっちゃけ、分からず屋の、おじさん達のことなんて。
考えるのも、面倒だしできれば考えたくも、ない。

「勝手にすれば、いいし。」

そう、変えたい人だけ、変われば。

変わりたくないのなら。

「そのまま」でも、いいんじゃないの………?



でも。


何だろうな………この「置いてっちゃいけない」みたいな、やつ。

わからない。

だって、全てを変える事なんて。

「でき、ない…………?」



でも、「知ってる」。

知って、いるんだ。


「できる」と思えば。

できるし、「できない」と思えば。


「できないんだよねぇ………。」



「どうしてお前は、そう一人で複雑にしているのだ。」

「うん?複雑?」

「そうだ。いつも、言っているであろう?」

うん?

気焔が、いつも言ってる、こと?


ああ。

うん。


「そうだ。「思うように、進め」と。「やりたくない事は、やらなくていい」のだ。」

「お前が「お前のまま」で、真っ直ぐ進む事が。皆の、道標になるのだから。」


「………また、それでいいのかな?」

しか、できぬだろう?」

「………。」


うっ。まあ。はい。
そう、です。


しかし揺るがぬ金の瞳はやはり、真っ直ぐに私を見つめていて。

全くの他意のない、「真実のことば」。


が、わかるから。


チカラを、貰えるんだ。



「お前の目的は、なんだ?そう、多くはなかろう?」

「そうだね…。」


私の、目的。


それはこの旅を始めてから、何一つ変わっていない。

「姫様の石を探すこと」と
「姫様」を探すこと。

その中で、加わってきた「やりたいこと」。


「あの子」を「あの人」の元に連れて行ったり。

「みんな」を送る場所、若しくは安住の地を探すこと。


でも多分「やりたいこと」は、私が自分の「目的地」へ真っ直ぐ進んでいれば。

自ずと、訪れる事も、分かっていて。


「なんだろな、これ。」


悩む必要が、あるのか、無いのか。


「まあでも。悩むん、だろうけど。寧ろ悩むのが仕事なのかも、しれない。うん。」


こうしてぐるぐるして、悩んで、吐き出して、そうしてチカラを貰って。

進んで行くものなのかも、しれないし?




「なにしろ、吾輩が言いたいのは。」

急に目の前に灯る、赤の焔。


「お前は、「ひとり」ではないという事だ。依る。」


その声で名を呼ばれただけで、ジワリと染み込み私を震わせる金色。


きっと。

多分。

さっき、「だれも いない」と。

「私だけ  ひとり?」と思ってしまったから。



「怒ってるの…?」

「いいや?」


いやいや、そこそこ怒ってますよね………?


背後の人型が消滅し全てが、燃える羽に変化している金色。

しかしその「なかみ」の所為か、色は金ではなく赤から橙が殆どでいつもよりも激しく、燃えているのが分かる。


忘れてたわけじゃ、ないんだけど。

どうしてだろうか。

あの時は。

、思ってしまったのだ。




少し、そのまま身を任せていた。

熱くはないし、慣れると結構気持ちいいのだ。


でも。
え?
ずっと、このまま?


向こうに行く前に、癒してくれるんだよね?

あれ?

違った???



どういった形になるのかは分からないが、きっと住む場所も違うだろうし、どの程度会えるのか。

「まあ、呼べば、来てはくれるんだろうけど。」

しかしこれまでとは、全く、違う。

「ううっ、最近ずっと一緒だった反動が………。」

寂しくないと言えば。

嘘になる。



濃い、焔の色に包まれながら、どうしたいのかを考える。

多分、この空間では。

きっと、「私の望む通りに」なるだろうから。



視界に入った、一等綺麗な羽を「パクン」と食べた。


「っ」

「…だから。」

熱い想いに、胸を押さえ抱き抱えられるまま身を委ねる。



咄嗟に。

本能のまま、飲み込んだ羽は「想い」であり、「チカラ」であり、「彼自身」でもあって。


しかしやはり、満たされた私の「なかみ」は満足して、喜んでいるのが分かる。


自分の細胞が喜んで、あの、霧より細かくなり大地を包む、その小さな粒一つ一つまでも。

満たされ、喜び、また更に拡がれることが、分かるのだ。



しかし、ここまで満たされて尚。

更に、寂しいと。

側に、いて欲しいと。

「なかみ」には、「彼が在る」のに。

思って、しまうのはどうしてなのだろうか。


何故、なのだろうか。

「理由」は、あるの?

「こたえ」は?


ある、のかな?




「今は。まだ。きっと、「その時」が来れば解るのでは、ないか?」

「そう、だね。」


そう、まだ私たちは始まったばかりで。

きっと、もっと、時間が経てば。


自ずと、解る………のかもね?




それなら、いいか。


なにしろ、意見は一致した。

それなら。

もう。



「癒されるが、勝ち。」


そうしていつの間にか、目の前にいる金の瞳に。


「もっと、ちょうだい?」と目で、訴えるのだ。



なんか、「最高に嫌な目」をしてるけど。


逃がさない、もんね。

フン、だ。




そうしてやはり、ゆっくりと。

目を閉じ煌めく橙の中に、沈み込んで、いくのだった。







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