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8の扉 デヴァイ 再
私達を 縛るもの
しおりを挟む黒く薄い煙と共に降る、不思議な音を眺めていた。
それは鱗粉にも似た不思議なもので、黎の飛んだ軌跡を記す様に緩りと曲線を描き、空間を彩っている。
背後には白と灰色が混ざる空に舞う、色とりどりの蝶達。
その中で圧倒的存在感を放つ黎が、私の周りを回りながら、フワリ、フワリと齎した「こたえ」は。
なんだか「真ん中」、過ぎて。
私の中へ入ってはきたのだけれど、飲み込むのには少し時間が掛かりそうだった。
「 「このくらいの闇」
「恐怖を感じる 黒」 「穢らわしい 色」
人間が そう
思っている
それだけ の
闇 が 必要
「墓場 と いうものは こういうもの」
それを 現していた だけ 」
「 あの デヴァイは
いつしか 黒が 溜まり始め
次第に バランス が 崩れていった
元々 グレースクアッドは 墓地
終焉の 海底墓地
その為の 「鎮魂」の 場
人間が 墓場を
そう 思っている から
自然 集まる 黒 闇 濁り
穢れ
そうして それは
「そう 在らなくては ならない」
そう 定義 されて いる
「わたしたち は 「善」」
「それ以外 は 「悪」」
即ち それだけ の こと 」
「 しかし 光 が 増え
闇が 少なく なり
「 闇は 圧倒的な チカラ を
持つ もの 」
持って いなければ ならない もの
抗うことの できない なにか
それ ならば
回収 する
そういう こと だ 」
う ん?
なんか ちょっと?
わかんない けど とりあえず?
フワリと舞う黒から視線を逸らし、白い雲を見ながら言葉を浚ってゆく。
なにしろ、大事なことを沢山言われたのは解るのだけど。
「光が 増え」???
「えっ。」
それって。
「私??私、ってこと???」
「 今 思えば。 そう だろうな 」
「え」
いや、まあ、うん。
あれ??
じゃあ、あの時の本部長とイストリアさんの、予想は。
やっぱり、当たってたって、ことだ…………。
祭祀が行われるであろう事を予測して、「暗色」「暗い想い」を集める為に、強い風が吹いたこと。
「そうして」、「そうなった」、こと。
「えぇーーーー、なんか。でも。…………ええーー。」
混乱する頭の中、しかし「事実」は縺れている訳では、ない。
そしてぐるぐると回ったままの私の頭に齎される、また違う「こたえ」。
「 しかし 原因 は
依る だが 依る では ない 」
???
ちょ、また?
難題ですか…………?
「うん、ちょっと待ってね?」
ヒラリと舞う蝶に手を上げ、くるりと振り返り白い壁を見た。
ここから見ると真っ白な礼拝堂の壁は、考え事をするのに丁度いいからだ。
なにしろ目の前に美し過ぎる光景が拡がっているのは、考え事を整理したい時にはいただけない。
そうしてその「真っ新な」壁を目に映したまま、目の前に展開するは、黎の言葉。
言葉は様々な「いろ」を映し、私に何かを教えようとしているのは、分かる。
沢山のヒントをくれた黎、それはどれもきっと「本当」なのだろうけど、「真ん中」しか無くて。
「周り」は私が見つけなければならないのだろう。
黎に詳細を説明してもらうのは、何か違うのは分かる。
多分、私がちゃんと。
考えれば、「わかる」筈なんだ。
それにきっと、これは「私に必要なこと」なのは、分かるから。
えーーーと?
私が 「光を増やした」から
「闇を増やす」為に?
風を ? 起こして??
「えっ、黎、風起こせるの??」
うん?「神」だから??
「自然」も「神」で 「ぜんぶ」で
「ひとつ」 だか ら?
そういうこと ???
しかし、その返事は無い。
いやいや、今、考えるのよ、うん。
でも。
なんか。
「墓場」が ? 「鎮魂」で ?
「鎮魂」?
鎮魂、って「魂を鎮める」ってこと、だよね??
確かにお墓ならば、魂にはゆっくり眠って欲しいところだけど。
…………でもさ。
「お墓」、に。
「魂」って、いなくない??
これまでの「私」の事を思えば、それは容易に想像できる。
しかし「魂は 無い」としている人からすれば。
きっと「死んだ体」に、魂はあってきちんと供養するという形になるのだろう。
それも、わかる。
でも、結局グレースクアッドって。
「どういう場所」、なんだろうか。
所謂私が「普通」だと思っている「墓地」とは、やはり違った「海底墓地」。
本来の役目?
「何の為に」?
それはやはりあの人に訊かねば判らないのだろうか。
でも そもそも。
あの人も 知らなかったから
「ああなった」んじゃ ?
ない の ??
あの 「合わさり 齎された」
「なんとも 言いようの無い 色」は。
それを思い出す、事で。
すぐに浮かぶ「澱んだ色」、しかしそれは私に色を知らせる事は、あれど。
再び沼に誘い込む事はもう無く、その自分の変化を感じて顔を上げる。
沸沸と浮かぶ靄、しかしそれに囚われず黎の言葉をきちんと考えなくてはならない。
しっかりとした自分の「なかみ」、それが「これまでの私達」のお陰だとわかるのが。
なんとも言えなく、胸が温かくなって。
チラリと彩りのいい蝶達を振り返った。
「ありがとうね…。」
そう呟いて、白い壁に向き直り再びあの深海を思い浮かべる。
深く落ち着いた青の中に、薄く発光する桃色、舞う海月と光る小さな魚達。
きっと「まだ」「ある」あそこを、思い浮かべて。
しっかりと「知らなければ」ならない。
今の私がまだ、「解っていない」ことを。
黎は なんと言って いた?
私が 今 持っていない 「カケラ」は
なんだ ?
あそこは、結局 「極楽浄土」にはなったけれど
それ は 私が 「思った」から で。
「デヴァイ」が 「善」「悪」を 「定義」してるから?
「光があれば」「闇もある」
それは 真理でも ある けれど
でも。
なんか 結局
「そう思ってるから」
「そう なる」みたいな??
こと?
言ってた、よね??
それに。
結局「闇は強い」と。
「強大で」「抗えない」「そう ある もの」
だと。
私達が
「思ってる」
から
「えっ、なに。自業自得??それも固定観念だから、ってこと?結局、「ぜんぶ」?自分、ってこと??」
いやいや、ちょっと待って。
うん、とりあえず落ち着くのよ。
一旦整理しよう。
うん。 それで。
えーと うん? いや、確かに。
まず
「光が増えた」のは いい よね?
「闇を増やす」のは 悪い………
いや いい も 悪い も 無いん だけど?
「えーっと、結局「光が増えた」所為で「闇を増やす」事になる、「原因」が?「バランス」??」
「いや、バランスが取れるのは別にいいよね…………えっ、なんで??うん?そもそも……… 」
「それは。「闇が多くないといけない」と、「思われている」から、じゃないかい?」
「あっ!!イストリアさん!」
落ち着いた、いつもの声。
いきなり背後から声が聞こえて来て驚いたけれど、すぐにそれは喜びに変わりくるりと振り返った。
ん?
んん?
あれ れ ???
しかし。
振り返った私を見て、二、三歩後ずさったイストリアは。
そのまま、暫く。
無言で、私を眺めて、いたのだった。
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