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8の扉 デヴァイ 再々
みんなとの再会
しおりを挟むなにしろとりあえず
「なにが不安なのか」「モヤモヤの原因なのか」
「そもそも それは本当に不安なのか」
それもはっきりと分かっていない 私は。
謎に悶々としながらしかし 黒の廊下が変わらず
私を歓迎してくれている事は分かって 些かホッとしても いた。
変わらず 美しい 地紋の壁紙
切り替えの美しい 腰壁
調度品達は星屑の名残なのか 「あら」「おや」と
概ね良好な気配を発し 私の再来訪を喜んでいる様子である。
ゆっくりと運ぶ足元から感じる感触
気持ち良く沈む絨毯 そこから押し出される空気
微量に流れる風。
ここが「閉ざされていない」確信を得た気がして。
以前は分からなかったそれに気付けた自分が嬉しくなって、口元が緩む。
「ほら、もう着くわよ?」
「あっ うん。」
そう、銀の区画は隣なのだ。
私が廊下を堪能するのはまた別の機会になるだろう。
とりあえずは「外の感触」が悪くなかった事を喜び、大きな背に続いて銀の豪華な扉を潜って行った。
わあ 相変わらず綺麗。
豪華だがすっきりとした店構え、やはり以前見た時とは印象が少し 違う。
いや、店自体は同じなのだけど。
きっと、私の目が 変わったのだ。
様々な店の立ち並ぶ入り口付近の区画、鮮やかな髪を目の端に映しながらも私の目は案の定忙しく動いて いた。
なんと言っても「厚み」が違う。
ただ豪華なだけではなく ひとつ一つのパーツ
ウインドウの木材からして「違う」のが、わかるのだ。
あれって 結局 何処から持って来たんだろうか
シャットかな? でもそれって 結局
ラピスからって こと ??
ここに木は 生えていない。
それ自体は知っていること、そしてその素材が作られここまで運ばれて来た事も 容易に想像できるのだけど。
しかし、素材が こうなった経緯が想像できないのだ。
ここは まじないが薄くなってきている
でも 以前は?
もっと、スピリットも いたって 言ってたし
それで こう エネルギーがもっと濃かった
から かな ??
どう見ても、「濃度」が上がっている素材達
その集合体の小さな店は、さながら職人がチカラを込めて創った「作品」に完成しているのだ。
以前はただ「豪華」「凄い」しか、分からなかったけど。
今はその素材達が各々役目を果たし、この空間に馴染んで 且つこの空間を気に入っているのが、わかる。
成る程
「あるべき場所に ある」とは こういうことか。
「そう 作られ」「そう あり」「そう 役目を果たしているもの」
それがありありと感じられる店構え
拵えは違うがどの店も「そうある」ものが並んでいる圧巻の空間。
「うーん これは 。」
「ほら、行くわよ。何やってんの。」
「あっ、はぁい。」
いかん。
冒頭から躓いてしまった私は急いで灰色の尻尾を追い、あの庭園への道を歩く。
よく見ると、きちんと案内役もいてそれに気付かなかった自分を省みつつも とりあえずは「重くなっていない空気」に安心して。
そのまま奥へ進んで行ったのだ。
うーん なんだろうな これ
悪くは ないんだけど
良くも ない ?
「あっ いい感じ」の 後に 「うっ?」って
いうのが 結構 キツい。
なんなのだろう な これは。
先導者の足は、スムーズだ。
それ即ち私がここを観察するには少し早く、できればもう少しゆっくりと歩いて欲しいものだがそう言う訳にもいかない。
背の高いまじない人形
極彩色の長い髪
灰色の猫
わたし。
その順番で離れない様着いて行くのだが、一応見知った庭園だ。
きっと迷子にはならない筈と信じている私は、最後尾なのを良い事に そこそこキョロキョロしながら鼻をヒクヒクと動かしていた。
少し 靄がかっては いるが
「晴れ」の光
フェアバンクスより劣るけれど ここデヴァイにしては
明るい 銀の庭 。
なんか
匂い? 空気? 風?は 無いか?
なんだろうな なんか 違うんだよね 。
一番近い言葉で言えば「気配」かも知れない。
以前と「なにが」違うのか、鼻で確かめながらもまじないのチェックも怠らない。
首をスッと伸ばし 鼻の穴を拡げながら
流れてくる粒子の色が 感じ取れる様
ゆっくりと大きく息を 吸う。
うん やっぱり 「ある」。
「私の色」が。
そう、私の予想通り 銀の庭にも蘭のチカラの余波は届いていて。
あ あれも そう
あそこも そうだ。
それと分かる「色」が、そこかしこに現れているのが見えてきた。
「フフフ」
チラリと振り向いた青い瞳に口を噤みながらも、笑みも漏れようというものである。
白 ピンク 黄色に 赤紫
赤に 薄桃 芯の通った 緑。
そもそも等間隔に「最低限の華やかさ」で
植えられていた花達が
「所狭し」と賑わう 花壇
その、一つ一つが。
「楽しい」「喜び」
そう 「生命の瑞々しさ」「チカラ」を
いっぱいに 現していて。
「 ??」
ここって まじないの花 だよね ??
えっ
生花に 転換するとか あるのか な?
そう見えるくらいには、生き生きとしているのだ。
しかし、流石に今 根の部分を掘り返しに行く訳にもいかないし そう欲を言えば
まだまだもっと、花の色は 欲しいのだけど。
しかし、以前よりは格段に色数の増えた庭園
その殆どの部分に自分の光のカケラが見えて。
ふむ やはり 光が 繋がったから
うん やはり ふむ。
なにしろ少しずつ、影響は出ている しかも良い方向だと思って いいだろう。
でも。
じゃあ
これは?
一体 なんなのだろうか 。
その、喜びの色に混じって時折流れる「重み」、それは空気の澱みなのか それともなにか「重いもの」の余波か。
しかし「この場」に原因が「ない」ことは わかる。
「流れて」来ているのだ。
いや 「飛んで」いるのか。
なにしろ目に見えない「それ」は一種のエネルギーの類で、「澱」の様なものなのだろう。
もの か 人 か
場所か 環境 状況 なにがそれを発しているのかは
わからないけど。
流石に自分もこの期間で全てが変わったとは 変わるとは 思っていない。
でも きっと 私が わかる様になったんだ。
より 微細に 。
そう考えると、顔を上げて
「構えるな 棲み分けよ。」そう言っていた、鮮やかな髪を目に映す。
なるほど?
「棲み分け」とは この 「重軽」の
中を歩き 在って そうしてきっと
「重さには 捕まらないこと」
「少し高い 軽さの中を泳ぐこと」
そうして私はそれを「見る」のだということ
多分 そういうことなんだ。
「ふむ。」
とりあえず自分の中で心の準備は 出来た。
よし。
一旦切り替え、小さくポンと飛んで少し距離の空いていた行列の間隔を詰める。
そうしてきっと あの温室へ向かっているであろう、まじない人形の背中を追って。
「細かさセンサー」を発動させながら 進んで行ったのだ。
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