透明の「扉」を開けて

美黎

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19の扉 虚空

矛盾の状態

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そう、
 「変わりゆくものを愛す」
  「移りゆく過程 そのすべてを愛せ」

  「こたえを焦るな」
  「やり切れなさも また楽しめ」

  そうやって。

 私は「観ている景色すべて」を飲み込んできたし
 「その理由もすべて わかっている」。


だけど。

 「大多数の名もなき光達」は 「浄め流す心」と「欲しがる心」、その両方を持っていて
 『光の虚空で 先導する新しい光』は
 
  「私という くくり」の、まだ「ほんの僅か」でしか ない。

 それに「その子」は新参者で。

まだ、馴染んで沁みていくのに時間がかかるし
その間も世界はいろんな方向へ 激しく動いているんだ。


「    そう、でも、だけど。 それでも。 どれも、これも「言い訳」で 「ほんとうは なんにもない」んだ。」

 「わかっちゃいる」
 「わかっちゃいる」、けれども。


「それ」を「どう するのか」、そのこたえが出ないまま
 とりあえず明晰君の指示に従い
 順に布を取り出し
 色の濃さにより洗う方法を変え
 何パターンかのクロスを パタパタと干し
 ある程度まで乾かしてゆく。


 そうしていると、「無心にできる作業」
それがいい薬になると 明晰君が言うから。

そのまんま、布達を干して
 「大きな円を塗るための 染料」を探しに
引き出しの方へ 歩いて 行った。












「   やっぱり。 これ、かな。 出し惜しみはいかん。」

 そうやって 「いくつかの染料」を
  出して眺めること 暫く。

流石の魔女部屋には
「私の好きそうなもの」が沢山用意されており、その中から「あれもいい」「これもいいな?」と 脱線しながら導き出した色は「金色」で ある。


  別に「他意」は ないけれども。


 「大きな 円を描きたい」のと
 「私と言えば 月」

その二つがスペースをくるくるアピールしているからして それに背く気は全くなく
そのまんま「金色を採用」している。

 そして 次に。

「そこに あるもの」で
「できる限り大きな円が描ける 物体」
 その目的をピタリと定め
部屋の中をぐるりと見渡し「作業台の上に乗っているボウル」を見つけ
 「大小の円のアタリを付ける」。

 「一番大きな 円」と「その中にある円」

そのバランスを見ながらボウルの大きさを決めて、クロスの色毎に「どんなデザインにしようか」ざっくりと概要を決めていくのだ。


「   ふむ。」

  しかし
 「それぞれの色」には「雰囲気テーマ」があるからして
それも加味して 
徐々に乾き始めたクロスを見ながら、線を引く手頃なペンも 探しにゆく。


「 しかし、こうして 見ると。 私の欲しいものは、大概揃ってるんじゃないかと思うね?」

 手頃な「チャコになりそうな白ペン」を見付け
「まさか」と思いながらも下の引き出しから「アイロンもどき」も見付け出し
コードが無いのを確認してから どらいやーと同じ様に石が嵌る箇所を探してみる。

「  やっぱり。 ある。」

 そして 
文机の上にある「私の石」をチラリと眺め
 「これだ」と思うものを、素直にそのまま凹みに 嵌める。


「    おっ ? きたきた」

 そうして、ほんのりと温まり始めた「アイロンもどき」に 胸の中で拍手をしながら。

 「一番薄い色の 空色」から
  アイロンを掛け始めたんだ。





     ふぅ む。


  ピッシリ
  すっきりと

  生地をバランスよく伸ばし
  「乾いて 変化してゆく色」を 眺めながら。


 「これは 水鏡だな」
  そう思いつつ、次の「青緑」に手を伸ばして ゆく。


「   ぉお ?」

 そして「乾く途中から 抹茶色になる 青緑」
 それに驚きながら。

 「だったら 金色はやっぱり合うな」
  そんなことを考え 
 ピッシリと端までアイロンを掛けてゆく。


そんな調子で「濃すぎて黒っぽく見える 青緑」と
 「濃い青緑と 黒のまだら」、残り二つもアイロンを掛け
ソファーの背に乾かしておいて。


 「どれから やろうか」
 「月」
 「満月?」
 「私の イメージ」

そのくるくるを遊ばせていると 
  「月」から紐付いたキーワード
 「サイクル」と「変化」が 私のなかを廻り出す。

  それは「私が この作業をやりながら」
  「導き出される こたえ」
  それを示唆していて
用意されていた様に廻り出したカケラ達は 始めは「みどり」を
 推している様だ。


「   じゃあ。 この、抹茶色から やりますかね。」

 そう言って。

 「きっと 溶かせる筈」の金色の粉、その染料を小さなコップに溶かして。
 くるくると混ぜ、好みの濃さに 調整してゆく。


  「どうして まだ モヤモヤしているのか」
  「この 微妙なやり切れなさは なんなのか」

 その「みんなの抱えるいろ」を脇に置いておいて。

 「出来上がった 金色の絵の具」も脇に置き
 抹茶色のクロスを広げ
 「中心」の 位置を測って。

 きちんと「真ん中」に「大きな円を描き」
  その内側に「小さな円を描いて」
 「真ん中は空けよう」と思い立ち
  その「想像」を実行に移すべく
 「視点を定め 塗り易い位置から 縁取りを描いてゆく」。


 はみ出さない 様に
  均一に 「いろ」が 乗る様に。

 
ゆっくり 丁寧に
 筆を動かす「自分の体」に 意識を廻すと
 「いつの間にか息を止めていて」
 「体が固まっている」。

 だから 「ゆっくり 細く 長く呼吸をし」
  「時々 肩を回して」。

 「均一に光が透る様に」、全体を 調整してゆくのだ。


   少しずつ 調整しながら
   「塗り込められる 金色の円」

その 作業を進めながら。

 静かに
 じっと「展開するなかみの景色」を ただ 観てゆく。


  
   「浄め流す 心」と 「欲しがる 心」


  「直ぐに 答えを求める世界」
   「飽きる」
     「次へ」
      「捨てては」
        「新しく取り替え」
          「次へ 次へとく 心」


  
   「手に入れたものを大切にしないこと」
   「自分のものになると 価値が薄れること」
   「飽きてしまう服」
   「変えたくなるアクセサリー」

 
  「飽きて次を求めること」と
  「答えを欲しがること」
   「それは同じ」で

  「結果がすべて」なのではなく
  「過程が 大切」な せかい


   「それは 創造の瞬間だからして」

  「すっ飛ばして 答えを見ないこと」


   『なにも見えない 虚空の中で』

 『全開で 在るのが 私の役目のすべて』


   それは「陰」
      「裏」
      「太陽に対して 月」の性質を持つ
   「私の役割であり 中心」

   「すべてを 受容し 流し」
   「愛して 糧にして在るもの」


 「月」というキーワードを描こうと 思い付いてから。

 私のなかには その「自分の濃い性質」が
  廻って いる。


 だからずっと
  「その状態」を 観察しながら。

 忘れがちな呼吸を深くして

   更に 塗り進めていったんだ。








 

















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