透明の「扉」を開けて

美黎

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22の扉 生成の場

さて

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早速だが
 次の日 
  魔女部屋の机の引き出しを漁って みると。

 入っていると思っていた「ノート」は なく、
メモ紙や 面白そうな謎のパーツしか見つからなくて
 一瞬「肩透かし」を くらったけれど。

「   いいや?」

「これは そういうことか」と納得して 大きく息を吐く。


「  成る程確かに。「形から入る」、のは大事 って言うか なんか楽しいよね。」

 そう言って パチリと意識を切り替えると
 パタパタと 軽やかに引き出しを片付け始める。

 そして同時に
「ノートなら青の区画か?」
「何処がいちばん いいものワクワクを持っている?」と 
 せかいと共に想像を展開し始めるスペースは 順調にくるくるしていて

 だから私もそれに乗っかって。

 「この 微妙なワクワク」を軌道に乗せ、
  実際の道を歩んで創ってゆくのだ。



「  うん 」

 今日は 朝 起きてから、
なんとなく
 「ノートを見れば いいアイデアが思い浮かぶかも?」と 思って。

「私の欲しい物が準備されている筈のここ魔女部屋」へ やって来たのだけど
 「ここにない」ということは
 「何処かで調達しろ」という新しい展開だ。


「  なーるほーど ね~ 」

だから とりあえずはせかいの導きに従い「ノート」から矛先を移し
出かける準備をしながらも
 「描きたいこと」を 想像してゆく。


   ふむ 。


 一応 としては

  「初めっから入って来た時から」書こうと
  思って いるけれど。

 だがしかし 
縦横無尽に脇道へ逸れる自分の性格をようく知る私は
 「計画はざっくり」
 「後で如何様にも修正できる様にしておく」為に
 「自分の描きたい いろ」
 「場所毎のいろ」
それだけをメモして机の上に置き、ノートを調達する為の行動に移る。

そう、なにしろ「この仕事ありのまま書くの」に「計画」は 殆ど不要だ。

 「読みやすく」とか
 「分かりやすく」とか
 「筋道」とか
 「書き方」、そのどれもは今の私には必要ないもので
だけど「殆ど」と表現したのは「自分の描きたいいろを出す為のレイアウトは必要」だからだ。


「  よし。」

 だからとりあえず、ここに「私のノートの気配」が無いことを
振り返って確認すると。

カチリ と扉を閉めて
 「予想を確実にする為」、水色髪を探しに歩いて行った。







「そうだね?銀でもいいが、しかし色々選びたい、いや、見たいのだろう?それなら青の方がいいかも知れないね。うん、姿はそれならば大丈夫だろう。メディナには伝えておくよ。午後からなら良いだろうから、行っておいで?」

「 良かった。 ありがとうございます。」

「フフ、楽しみだね。」
「はい。 」

 自室に居たイストリアを捕まえて
「一番良いところ」を訊いた所、やはり私の予想通りに。
 「青の店」が 一番品揃えがいいらしい。


「   ふむふむ  順調。」

 基本的には勝手にウロウロしている自分であるが
今回はちゃんと現物を見て選びたくて、それならばと一応イストリアに伝えに来たのは正解だろう。

 なんだか 私の顔を見て ニッコリしていたから。

 その「いろんな応援」と「確認」
 そして「私が書く描くこと」への後押しを有り難く受け取って
軽くお昼を取った後、訪ねてみることに した。







   へぇ

      ほぅ ?


     ふぅ ん 


   なんか 「青」は。

  あんま 変わんない な ??


「………ホラ、こっちだよ。」

「 ああ、はい ありがとうございます。」

 屋根裏ではない、他の区画をちゃんと訪れるのは とても久しぶりである。

扉の前で待っていてくれたメディナに目配せした時は
 「なんだい」と顰めっ面をされたけれど
どうやら色だけしか変えていない私は 彼女が満足いく仕上がりではなかったらしい。

 だから 「彼女が用意周到に持っていた 短いローブ」
そのフードをすっぽりと被り、背後についてテクテクと 歩いているのだけど。

 「原因」は 私じゃなくて 
道ゆく人に次々と声を掛けるから注目されるのじゃないかと思い、段々と可笑しくなってきていた。


「ホラ、また何やってるんだい。この間言ったばかりだろう?ここにこれだけ積んであったってどうにもなりやしないんだ。さっさと白へ持って行きな。」

「はい!分かりました。」

「ああ、こっちもだよ。おい、ゼフ、これも頼んだよ。」
「はい。」

「ちょっと、これはこのままじゃあ不味いんじゃないかい?どうしてこうなってる?」
「いや、これは明日」
「お前さん、この間も「明日」って言ってただろう。いい加減片付けな。」
「はい。」


「ホラ、お前さんはこっちだ。………なにを笑ってるんだい。なにかおかしな事でもあったか?」

「   いいえ、あの。  その、なんでもないです   けど、私これ 被らなくてもいいんじゃ 」

「バカ言ってんじゃないよ。素性がバレるバレないは問題じゃないが。近頃は若い者達が、みんな相手を探してるからね。それは「前」よりも、ずうっとね。だからだよ。余計な種は撒かないに越した事はない。」

「 成る程。」


 そうしているうちに、パッと開けた空間に 出て。

所謂「店の人達が働く場所」を抜けた眼の前には
 懐かしの店々の光景が 同じ様に広がっている。


    わぁ  
       紙の いい匂い と

   落ち着く 雰囲気


    なるほどね   確かに

  「この人メディナ」が 変わらない もんな 。


ここに入って来た時、感じた気配は気の所為ではなかったのだろう
 どの 区画も「大きな変化」を余儀なくされているけれど。

 ここは いつもと同じ態度の彼女メディナと変わりなく、
自分達の仕事を全うする空気が漂っていて とても呼吸がしやすい。


「   うん  やっぱり。 そうだ 」

 実際、廊下を彷徨いている時も
 「重い人達」が通り過ぎる時は鼻の穴が自然と縮まっていて
センサーは「受けるであろう物理的影響」を 自動で防いでくれている。

それ匂い」は勿論、私に影響を与えることはないけれど
わざわざ首を突っ込んでいく必要はない。

 だけどもここは 軽くはないけれど
  堅実な空気に包まれていて。

だからこそ「青は青」なのだと言えるし、イストリアもここを勧めたのだろう。


「   ふむ。」

「それで?ノート一冊でいいのかい?お前さんの用事は。」

「  まあ、そうですね。 でも色々見ると欲しくなっちゃう。」

「なんでも持って行っていいけどね。ほら、ここで使える石だ。」

「  あ」

「お代は貰ってるからね。お勧めはあの店。後は似たり寄ったりだ。あの子店員には話してあるから、買いやすいだろう。…しかし、ノートか。ふぅん。」

「    ? 」

「………いや。お前さんは、書く事が好きなのだなぁと思ってね。まあ、ゆっくり選んでいきな。」

「  はい、ありがとうございます。」

 そう言うと、含みを含んだままの黄緑色の瞳は
ゆっくりと目を細めた後 裏の通路へ入って行った。

だから
 私は その後ろ姿を見送って。

「 ありがとうございます 」

 そう、小さく口に出すと

 メディナお勧めの店へ 近づいて行ったんだ。










 


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