透明の「扉」を開けて

美黎

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22の扉 生成の場

書くこと

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そうしてまた 幾日か経ったある日。


「  さて?」

 今朝は なんとなく「造船所気分」だった私は
軽い朝食をとった後 ルンルンと歩いて。

灰色の道をテクテクと 大きな倉庫目指して歩いて いた。


    ♪


       ♪        ♫


 あれから 少しずつノートは埋まり始めていて
「始まり」は自分が扉へ入って来てからの「記録」だけれど
それが そのうち「今」に追い付いたならば。

そこからは本格的に「日記」の様になり、私は「自分のやっていること」をちくちくと記していける様になるだろう。

 それは なんとなくだけど
  "とりとめのないこと"に なる気がして。

だけど「それでいい」のもわかるし、さっき自分が「ちくちく」と表現した理由も視えて 面白い。

「   ふむ 」

 そう それは「縫い物」にも似て
一針一針、瞬間を刺して指してゆく「自分の在り方」に
 とても似ていること
だから「自然とその表現になったこと」がわかるから 面白いんだ。



   なるほど ねぇ

そうやって自分のなかみの景色を観ながら歩いていると
 お目当ての造船所は すぐそこに迫っていて。

「  やっぱり 倉庫、だね ?」

 その大きな見た目を「指す言葉」を 
「見つけようとしていた 今朝の自分」をくるりと持ってくる。


   ふむ    成る程


      せかいは そうね

    確かに 「角度問題」 。


今日、ふんわりと 目覚めた時。

頭が起きてから巡らせた「観たいいろ」は
 「シンプルな灰色」だけど「元気ないろ」で
いつもは そこから直ぐに「造船所」というが浮かぶのだけど
今日はなんだか 「外観」がふわりと浮いてきて。

 「どこから どう見ても倉庫」な見た目に
「確かにこんなんだった」と 改めて初々しい視界を 味わったところだった。

 そしてそれは
私に「当初始め頃思い出記憶」と「今との距離」も 連れてきていて。

 「自然と 繰り返すうちに」と
 「いつでも

 その両方を同時に観せていて「やっぱり 角度って面白いな」と
その景色を実際に眼にして 改めて感心する。


そう
これは
 「すべてのこと」に 言えることだけれど。

 「始めは 新鮮な景色」でも
 「それは繰り返されることにより 見慣れた景色」となり
 「いずれ「そう認識されているもの」に成り果て」
 「姿形は実際 あまり意味を成さなくなる」。


「第一印象」から 人の記憶が変化し辛い様に。

 やはり「一度インプットされたもの」は何か「それを再認識する為の瞬間」がないと更新し難く
「自分のレンズをいつも新鮮に保つこと」は 注意力が必要だ。


「   だよね。」

 だから 大きな扉の前で 
一度目を閉じ パッチリとまた開いて。

 くるりと 瞳を回して「少し剥がれた塗り」を眼に映すと
 「やあ」と ニッコリして 開いてもらったので ある。







「あっ、ヨル。」

「  フフ、なんか久しぶりだね?」

 やっと私に気が付いたトリルに声を掛けられ、手を振るけれど
入った時から「それか」と「今日ここにきた理由」に合点が入っていた私は一人でニヤニヤとしながら歩いていた。

 そう あれから トリルは順調に「物語」を書いていて
少しずつだけど ファンが増え始めていて。

屋根裏でも「流行作家 トリル」のいろを 感じることが多かったからで ある。


「この間、ノートを買いに来たのですか?呼んでくれれば私も行きましたよ。」

「   ああ 、そうだねなるほど。 でも、最近はこっちにいるんじゃないの?」

「ええ、しかし製本はシャットにお願いしていますし。主に流通するのは、向こうデヴァイですから。」

「 成る程。 今度  、はいつになるかわかんないけど 声かけるね。」
「はい、是非。」

    ?

「あ、でも私がそれを知ったのは気配が違ったからですよ。それでメディナに訊いたら、なんか顰めっ面してたけど教えてくれました。」

「   なるほど。 大丈夫、ありがとう。」

 話している途中から「僅かな ハテナ」が浮かんだ私の表情を 読んで。

トリルは「その理由」を解説してくれているけれど「気配」って一体 なんのことだろうか。

だがしかし
 彼女の中ではとっくに話題は移り変わっていて、
サラサラした髪を弾ませながら 楽しそうに話す 勢いのある様子を見ていると。

 遮るのは野暮だと思い、そのまま「彼女の最近の話」を 楽しむ。


「好きって言ってくれる人も多いみたいなんですけど、ワンパターンだって言う人も、いるみたいで。私は自分の納得いく展開しか書かないから、それで良いんですけど。」

「 うん」

「だから他にも書いてくれる人がいないかなぁって………ヨルは、違いますよね?」

「 そうだね」

「ですよね…ヨルならもっと奇想天外なお話とかも書けると思うんだけどなぁ。………でもですよ、イストリアにも聞いて、勧誘してもらったりしてるんですけど、ああ、私は一応本名は使っていません。うん、まだまだ変わっていない部分もありますからね。そこは作家名とか言って…かっこよくないですか?」

「 フフフ  うん 」

「面倒くさくなると困りますからね。それで、伝手が私よりあるイストリアに声を掛けてもらったんですけど、やっぱりみんな断るみたいで。遠慮、とは違うんだろうけど…でもイストリアなら、素地素養のある人にちゃんと声を掛けると思うんですよ。だから、あながち間違いじゃないというか、遠くないと言うか。でも、駄目なんですよね…」

「   」

「私も「の書いた物語」が、読みたいんですけど。」

「 それはわかる。」

「ですよね。まあ、これからなのかなぁ。」

「  それもあるだろうけど。 なんだろうね 」

「ええ、なんて言うか。みんな、やりたそうな感じはあるんですって。でも、その一歩が出ない?別に私にだけ読ませてくれるのでも良いのに。」

「 あー、でもそれ 言ってみたら?自信が無い、とか そういうことでしょ?」

「…………なるほど。確かに?………別に審査な訳じゃない………気軽に…文体なんかはどうだって………要はストーリーの軸と空気………なるほど、出来るかな。いや、何事も先ず始めねば、ならない。」

「  流石」

「はい?」

「 いや、良いと思う。とても。 行っておいで?」

「はい!ヨル、ありがとうございます。」

「 は~い、転ばないでね~  」


 キラキラと 輝くトリルの瞳は既に
 目的地を決めて。

足より早く駆け出している様で、見ているこっちもワクワクしてきて 楽しい。


きっと 彼女がやろうとしているのは「読者」と「編集者」の間の子みたいなもので
だけど「書く者が自由にやれる」、縛らないスタイルになる筈だ。

 ひとりくるくると「自分のスペース」を展開していたトリルのいろを視れば
それがわかるしなにより、彼女は自分が「書く者」であり「読む者」なのだ。

だから「その最善の形」を模索する姿を間近で見て 私も楽しくならない訳が ない。


「  うん」

 そうしてホクホクとした気持ちいろを貰った私は

 ニコリ と笑って
  そのまま ぐっと上を見上げて。 

 「この景色いろ」をたっぷり味わおうと 
  梯子を登ることにしたので ある。



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