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あなたは、いりません
あなたは、いりません 2
私はエルランド様に手紙を送り続けた。
『エルランド様
返事がなく、お体を悪くしていないか心配です。
休んでいますでしょうか?
来週にでも私が訪問したら迷惑でしょうか?
今、準備をしております。
必要な物がありましたら、一緒に届けますので仰ってください。
レリーナ』
手紙を送ると返事が届いた。
『レリーナ様
連絡が遅れてしまい、申しわけありません。
心配していただきありがとうございます。
体調は問題なく、当主としての学びの日々です。
我が領地への訪問ですが、こちらの準備が整っておらずレリーナ様をもてなすことは難しいです。
心遣いだけ受け取ります。
もう少ししましたら、王都に戻る予定です。
俺の方から会いに行きます。
エルランド』
「良かった。無事なのね」
彼からの手紙が届き安堵した。
まだ、会えないが彼が私に会いに来るという言葉で私は満たされた。
彼は、それから三ヶ月して王都に戻って来た。
王都を離れて、一年二ヶ月。
私は、もうすぐ二十歳になる。
彼が戻ったと聞き、私は彼が待てずに侯爵家と向かった。
「エルランド様、本当に良かったのでしょうか?」
「問題ない」
「本当は、不安だったの。エルランド様が王都に戻るとき私は置いて行かれるのではないかって」
「そんなことあるはずがない。俺が愛しているのは、ミッシェルだけだ」
「嬉しい。私も愛しています。エルランド様」
抱き合っている男女の姿。
私は聞こえてしまった会話に耳を疑った。
俺が愛しているのはミッシェルだけ?
女性は、相手のことをエルランド様と言った?
私は、その場に立ち尽くしてしまった。
「キャッ、あそこに誰かいます」
「誰だっ……レリーナ? どうして、ここに?」
エルランドは私の名前を呼びながら、後ろにいる女性を庇っている態勢を取る。
私が彼女に攻撃でもすると思ったの?
彼は、私が暴力的な女だと思っているの?
「エルランド様……その方は、どなた?」
「……彼女は……俺の大切な人だ」
誤魔化すことなく、告げるエルランド。
彼にあれほど真剣な眼差しを向けられたのは初めて。
「なら、私は? 私との婚約を解消するおつもりですか?」
「いや、婚約解消は考えていたない」
「それは、どういう事でしょうか? そちらの女性とはお別れになるのですか?」
別れられたところで、もう信用できない。
「いや、別れるつもりはない」
「エルランド様? 意味が分からないのですが。そちらの女性とも別れず、私とも婚約解消するつもりがないのですか?」
「ああ。結婚は、レリーナ様とする。だが、私が愛しているのはミッシェルだ」
エルランドの言葉にうっとりした声で「エルランド様」と彼の名を口にするミッシェル。
その光景に吐き気がする。
「そんなことが許されるはずないでしょ。私はあなたとの婚約を解消します」
こんな男を何年も待ち続けたなんて、私はなんて愚かなの?
「それは出来ないかと」
「どういう意味ですか?」
「この婚約は、公爵から。レリーナ様のご意思では難しいのでは?」
「我が家は公爵家、しかもあなたの不貞。婚約解消に決まっているでしょ」
「そうですか、私は婚約解消に同意なんてしませんよ」
勝ち誇った顔のエルランドに殺意が湧いた。
私は急いで屋敷に戻り、父に侯爵家で見た光景をありのまま告げた。
「なので、お父様。私はエルランドとの婚約を解消致します」
「……解消はしない」
「どうしてですか?」
「不貞くらいで、婚約解消する必要はない。子供じゃないんだ、そんなことで騒ぐな」
「お父様っ、私は嫌です」
「うるさい。ワガママを言うな」
婚約解消は叶わなかった。
誰に訴えても無駄だと知る。
『エルランド様
返事がなく、お体を悪くしていないか心配です。
休んでいますでしょうか?
来週にでも私が訪問したら迷惑でしょうか?
今、準備をしております。
必要な物がありましたら、一緒に届けますので仰ってください。
レリーナ』
手紙を送ると返事が届いた。
『レリーナ様
連絡が遅れてしまい、申しわけありません。
心配していただきありがとうございます。
体調は問題なく、当主としての学びの日々です。
我が領地への訪問ですが、こちらの準備が整っておらずレリーナ様をもてなすことは難しいです。
心遣いだけ受け取ります。
もう少ししましたら、王都に戻る予定です。
俺の方から会いに行きます。
エルランド』
「良かった。無事なのね」
彼からの手紙が届き安堵した。
まだ、会えないが彼が私に会いに来るという言葉で私は満たされた。
彼は、それから三ヶ月して王都に戻って来た。
王都を離れて、一年二ヶ月。
私は、もうすぐ二十歳になる。
彼が戻ったと聞き、私は彼が待てずに侯爵家と向かった。
「エルランド様、本当に良かったのでしょうか?」
「問題ない」
「本当は、不安だったの。エルランド様が王都に戻るとき私は置いて行かれるのではないかって」
「そんなことあるはずがない。俺が愛しているのは、ミッシェルだけだ」
「嬉しい。私も愛しています。エルランド様」
抱き合っている男女の姿。
私は聞こえてしまった会話に耳を疑った。
俺が愛しているのはミッシェルだけ?
女性は、相手のことをエルランド様と言った?
私は、その場に立ち尽くしてしまった。
「キャッ、あそこに誰かいます」
「誰だっ……レリーナ? どうして、ここに?」
エルランドは私の名前を呼びながら、後ろにいる女性を庇っている態勢を取る。
私が彼女に攻撃でもすると思ったの?
彼は、私が暴力的な女だと思っているの?
「エルランド様……その方は、どなた?」
「……彼女は……俺の大切な人だ」
誤魔化すことなく、告げるエルランド。
彼にあれほど真剣な眼差しを向けられたのは初めて。
「なら、私は? 私との婚約を解消するおつもりですか?」
「いや、婚約解消は考えていたない」
「それは、どういう事でしょうか? そちらの女性とはお別れになるのですか?」
別れられたところで、もう信用できない。
「いや、別れるつもりはない」
「エルランド様? 意味が分からないのですが。そちらの女性とも別れず、私とも婚約解消するつもりがないのですか?」
「ああ。結婚は、レリーナ様とする。だが、私が愛しているのはミッシェルだ」
エルランドの言葉にうっとりした声で「エルランド様」と彼の名を口にするミッシェル。
その光景に吐き気がする。
「そんなことが許されるはずないでしょ。私はあなたとの婚約を解消します」
こんな男を何年も待ち続けたなんて、私はなんて愚かなの?
「それは出来ないかと」
「どういう意味ですか?」
「この婚約は、公爵から。レリーナ様のご意思では難しいのでは?」
「我が家は公爵家、しかもあなたの不貞。婚約解消に決まっているでしょ」
「そうですか、私は婚約解消に同意なんてしませんよ」
勝ち誇った顔のエルランドに殺意が湧いた。
私は急いで屋敷に戻り、父に侯爵家で見た光景をありのまま告げた。
「なので、お父様。私はエルランドとの婚約を解消致します」
「……解消はしない」
「どうしてですか?」
「不貞くらいで、婚約解消する必要はない。子供じゃないんだ、そんなことで騒ぐな」
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