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よくあるアレを体験していたんですか? 全く記憶にありません
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「んん~よく寝たぁ」
柔らかいベッドの上で目を覚ます。
久しぶりにぐっすり眠った気がする。
「お目覚めになりましたか? 」
「マキシー……おはよう」
「おはようございます。お食事の準備にいたしますか? 」
「その前にお風呂に入りたいかな」
「畏まりました」
外は既に明るい。
私は屋敷に戻りぐっすり眠り翌日に目覚めたらしい。
あの睡魔の中で問題なく屋敷に到着したのには感心する。
「お腹空いたぁ」
お風呂を終えると、空腹を感じる。
最近は眠くなるのを恐れ、空腹を抑える程度しか食べていなかった。
「おいしそう……」
お風呂を終えると、食事の準備が整っていた。
一口食べると止まらなくなる。
本能とは恐ろしいもので、空腹が満たされると再び眠気に襲われる。
あれだけ眠ったというのに恐ろしい。
ベッドに横になってしまうと次いつ目覚めるのか分からず、ソファで休むことにした。
ほんの少し目を閉じただけだったが、目覚めたのは数時間後。
「おはようございます。まだお疲れが溜まっているようですね」
「……そうみたい」
マキシーは試験中の私を知っている。
深夜まで私を気遣い、紅茶など差し入れてくれていた。
「お嬢様、怪我などはございませんか? 」
「怪我? そんなものはないけど? 」
お風呂の際も傷などは無かった。
「そうですか」
「どうして? 」
「お帰りの際に倒れたそうです。覚えていらっしゃいませんか? 」
「え? 倒れ……覚えてない」
「御者の話では馬車までキングズリー先生が運んでくださったと聞いております」
「キングズリー先生に?」
思い返せば教室を出てすぐにキングズリーに呼び止められ何か話したような記憶がある。
内容はほとんど覚えておらず、その後の記憶もない。
自力で馬車に乗り込み屋敷に帰って来たと思い込んでいた。
いくら思い返そうとしても、教室から馬車まで歩いた記憶もなければ乗り込んだことも屋敷に辿り着いた記憶もない。
「はい」
「キングズリー先生に迷惑をかけてしまった……」
登校したら先生に謝罪をしないと……
週明け真っ先にキングズリーの元へ向かい謝罪する。
「試験の為に頑張るのはいいが、倒れる程はするな」
「いえ、私は勉強など……」
「私の前で見栄を張るな」
「……はい。ご迷惑をお掛けして、すみませんでした」
「あぁ」
謝罪もして、いつも通りの生活に戻る。
試験が終わると張り詰めた緊張感もなくなり、生徒達の間ではもうすぐ始まる長期休暇の話題で持ちきり。
隣国へ旅行の準備を進める者に、お茶会やパーティーを開催すると宣伝する者。
皆が長期休暇に思いを馳せていた。
私は彼らの会話を耳にするだけで直接招待されることは無い。
「お嬢様お帰りなさいませ」
御者とも最近は話すようになった。
「いつもありがとう……そうだ、あの時の事知りたいんだけど」
「あの時とは? 」
「私が倒れた時の事」
「倒れた時の事ですか? 私はいつものようにこちらでお待ちしていたら、先生がお嬢様を抱えていらして。理由を聞いたら『寝不足で倒れたようだ』と伺いました」
マキシーの言葉通りだった。
「そっか……ありがとう……ん? 抱えて? 」
「はい、抱き抱えていらっしゃいました」
「抱き抱えてというのは……」
「こんな感じで……」
御者が再現してくれた態勢は、現実に体験する事はないと思っていたあの態勢……
「嘘っ」
「いや、本当です」
夢のお姫様抱っこを体験しておきながら記憶にないなんて……
もったいなさ過ぎる……
馬車に乗り込み落ち込んでいた。
「あのキングズリー先生が私をお姫様抱っこしていたなんて……どうして私は覚えてないの……」
悔しくて今日は眠れそうにない。
柔らかいベッドの上で目を覚ます。
久しぶりにぐっすり眠った気がする。
「お目覚めになりましたか? 」
「マキシー……おはよう」
「おはようございます。お食事の準備にいたしますか? 」
「その前にお風呂に入りたいかな」
「畏まりました」
外は既に明るい。
私は屋敷に戻りぐっすり眠り翌日に目覚めたらしい。
あの睡魔の中で問題なく屋敷に到着したのには感心する。
「お腹空いたぁ」
お風呂を終えると、空腹を感じる。
最近は眠くなるのを恐れ、空腹を抑える程度しか食べていなかった。
「おいしそう……」
お風呂を終えると、食事の準備が整っていた。
一口食べると止まらなくなる。
本能とは恐ろしいもので、空腹が満たされると再び眠気に襲われる。
あれだけ眠ったというのに恐ろしい。
ベッドに横になってしまうと次いつ目覚めるのか分からず、ソファで休むことにした。
ほんの少し目を閉じただけだったが、目覚めたのは数時間後。
「おはようございます。まだお疲れが溜まっているようですね」
「……そうみたい」
マキシーは試験中の私を知っている。
深夜まで私を気遣い、紅茶など差し入れてくれていた。
「お嬢様、怪我などはございませんか? 」
「怪我? そんなものはないけど? 」
お風呂の際も傷などは無かった。
「そうですか」
「どうして? 」
「お帰りの際に倒れたそうです。覚えていらっしゃいませんか? 」
「え? 倒れ……覚えてない」
「御者の話では馬車までキングズリー先生が運んでくださったと聞いております」
「キングズリー先生に?」
思い返せば教室を出てすぐにキングズリーに呼び止められ何か話したような記憶がある。
内容はほとんど覚えておらず、その後の記憶もない。
自力で馬車に乗り込み屋敷に帰って来たと思い込んでいた。
いくら思い返そうとしても、教室から馬車まで歩いた記憶もなければ乗り込んだことも屋敷に辿り着いた記憶もない。
「はい」
「キングズリー先生に迷惑をかけてしまった……」
登校したら先生に謝罪をしないと……
週明け真っ先にキングズリーの元へ向かい謝罪する。
「試験の為に頑張るのはいいが、倒れる程はするな」
「いえ、私は勉強など……」
「私の前で見栄を張るな」
「……はい。ご迷惑をお掛けして、すみませんでした」
「あぁ」
謝罪もして、いつも通りの生活に戻る。
試験が終わると張り詰めた緊張感もなくなり、生徒達の間ではもうすぐ始まる長期休暇の話題で持ちきり。
隣国へ旅行の準備を進める者に、お茶会やパーティーを開催すると宣伝する者。
皆が長期休暇に思いを馳せていた。
私は彼らの会話を耳にするだけで直接招待されることは無い。
「お嬢様お帰りなさいませ」
御者とも最近は話すようになった。
「いつもありがとう……そうだ、あの時の事知りたいんだけど」
「あの時とは? 」
「私が倒れた時の事」
「倒れた時の事ですか? 私はいつものようにこちらでお待ちしていたら、先生がお嬢様を抱えていらして。理由を聞いたら『寝不足で倒れたようだ』と伺いました」
マキシーの言葉通りだった。
「そっか……ありがとう……ん? 抱えて? 」
「はい、抱き抱えていらっしゃいました」
「抱き抱えてというのは……」
「こんな感じで……」
御者が再現してくれた態勢は、現実に体験する事はないと思っていたあの態勢……
「嘘っ」
「いや、本当です」
夢のお姫様抱っこを体験しておきながら記憶にないなんて……
もったいなさ過ぎる……
馬車に乗り込み落ち込んでいた。
「あのキングズリー先生が私をお姫様抱っこしていたなんて……どうして私は覚えてないの……」
悔しくて今日は眠れそうにない。
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