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第2章
21.御幸にはわからない
心地よい微睡みから、緩やかに意識が浮上する。
「ジェイス……?」
添い寝して御幸の髪を梳く相手を、眠る前にそばにいた彼だと思ったのだが。
「ジェイスさんじゃなくて、ごめんなさい」
「ツォット……、」
悲しげな顔をしたツォットは、無意識に室内を見渡した御幸の頬を掴むと、ゆっくりと唇に噛みついてきた。
「んっ……!」
上から伸し掛かるようにして身体を押さえられ、口内を蹂躙される。
「ん、ふ……っ、ぅ……ん゛ん……っ」
押し返そうと胸に手を当てたが、どんどん流れ込んでくる毒素に、思い当たって身体の力を抜いた。
ぐちゅ、ぐちゅ。
溜まった唾液が混ざる音が響く。
夢中で舌を擦り合わせて、誘い込まれてツォットの口内に侵入すれば、舌先を甘く吸われる。
ジェイスとの交わりでさんざん吐き出したはずの性器が、熱くなって緩く芯を持った。
最後に軽く唇をついばまれて、離れる。
口周りが、唾液でべとべとだった。
自身の口元を拭ったツォットが、顔を歪める。
「ごめんなさい……我慢、できなくて……」
そうだよな。
あの手強いドラゴン型のドリムとの戦闘で、普段以上に毒素を溜め込んだのは、ジェイスだけじゃないんだ。
「俺の方こそ、ごめん。ジェイスのことで頭いっぱいになっちゃって……ツォットだって、毒素にやられて苦しかったよな」
御幸はジェイスを一番に気にかけた自分の判断を後悔はしていないが、仲間なんだから掃除屋“くりん”のメンバーのことをもっと気にして然るべきだった。あの時は、とにかく自分のせいでジェイスが、という気持ちでいっぱいで。他のことへの意識が疎かになっていた。反省。
「そうじゃない……そうじゃないです……」
しかし、ツォットは暗い顔で首を振った。
「ツォット……?」
ツォットは緩く頭を振り、額を押さえて沈黙すると、やがて深く息を吐いた。御幸の上から身を引き、目を伏せる。
「そうじゃないんですけど、そうじゃないと言い切れない状況も、確かにあって……」
逡巡するように言い淀んだ後、ツォットは辛そうに言った。
「あの後、また、メンバー総出で相手をしなければならないドリムが出て……ハーナードさんとトーガスさんが、キスだけで浄化できるラインを超えてしまっています。ミユキさんには早急に、二人の相手をしてもらわないといけません」
「そ、」
御幸が言いかけるのを遮って、ドアが勢いよく開いた。
「というわけで、よろしくね、ミユキくん」
「ごめんな、ミユキ……ジェイスの相手したばっかなのはわかってるんだけど……」
にこやかなハーナードと、申し訳なさそうなトーガスが、部屋にずかずか入ってきた。
「はええぇえ……って、ことは……」
セックス三回目にして3Pって、こと……!?
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