死んだら妹が設定だけ練って本文は冒頭で挫折した創作BL小説の世界だった

三川

文字の大きさ
21 / 34
第2章

21.御幸にはわからない



心地よい微睡みから、緩やかに意識が浮上する。

「ジェイス……?」

添い寝して御幸の髪を梳く相手を、眠る前にそばにいた彼だと思ったのだが。

「ジェイスさんじゃなくて、ごめんなさい」
「ツォット……、」

悲しげな顔をしたツォットは、無意識に室内を見渡した御幸の頬を掴むと、ゆっくりと唇に噛みついてきた。

「んっ……!」

上から伸し掛かるようにして身体を押さえられ、口内を蹂躙される。

「ん、ふ……っ、ぅ……ん゛ん……っ」

押し返そうと胸に手を当てたが、どんどん流れ込んでくる毒素に、思い当たって身体の力を抜いた。

ぐちゅ、ぐちゅ。
溜まった唾液が混ざる音が響く。

夢中で舌を擦り合わせて、誘い込まれてツォットの口内に侵入すれば、舌先を甘く吸われる。
ジェイスとの交わりでさんざん吐き出したはずの性器が、熱くなって緩く芯を持った。

最後に軽く唇をついばまれて、離れる。
口周りが、唾液でべとべとだった。
自身の口元を拭ったツォットが、顔を歪める。

「ごめんなさい……我慢、できなくて……」

そうだよな。
あの手強いドラゴン型のドリムとの戦闘で、普段以上に毒素を溜め込んだのは、ジェイスだけじゃないんだ。

「俺の方こそ、ごめん。ジェイスのことで頭いっぱいになっちゃって……ツォットだって、毒素にやられて苦しかったよな」

御幸はジェイスを一番に気にかけた自分の判断を後悔はしていないが、仲間なんだから掃除屋“くりん”のメンバーのことをもっと気にして然るべきだった。あの時は、とにかく自分のせいでジェイスが、という気持ちでいっぱいで。他のことへの意識が疎かになっていた。反省。

「そうじゃない……そうじゃないです……」

しかし、ツォットは暗い顔で首を振った。

「ツォット……?」

ツォットは緩く頭を振り、額を押さえて沈黙すると、やがて深く息を吐いた。御幸の上から身を引き、目を伏せる。

「そうじゃないんですけど、そうじゃないと言い切れない状況も、確かにあって……」

逡巡するように言い淀んだ後、ツォットは辛そうに言った。

「あの後、また、メンバー総出で相手をしなければならないドリムが出て……ハーナードさんとトーガスさんが、キスだけで浄化できるラインを超えてしまっています。ミユキさんには早急に、二人の相手をしてもらわないといけません」
「そ、」

御幸が言いかけるのを遮って、ドアが勢いよく開いた。

「というわけで、よろしくね、ミユキくん」
「ごめんな、ミユキ……ジェイスの相手したばっかなのはわかってるんだけど……」

にこやかなハーナードと、申し訳なさそうなトーガスが、部屋にずかずか入ってきた。

「はええぇえ……って、ことは……」


セックス三回目にして3Pって、こと……!?
感想 0

あなたにおすすめの小説

嫌われていると思っていた兄の親友から求婚されました。

鈴卜優
BL
Ωのシリルは16歳になり間もなく社交会デビュー。 なのに突然、嫌われていると思っていた兄の親友、αのレオルドより求婚されて______!?

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

恋人に好きな人が出来たと思ったら、なにやら雲行きが怪しい。

めっちゃ抹茶
BL
突然だが、容姿も中身も平凡な俺には、超絶イケメンの王子と呼ばれる恋人がいる。付き合い始めてそろそろ一年が経つ。といってもまだキスもそれ以上もした事がない健全なお付き合い。王子は優しいけど意地悪で、いつも俺の心臓を高鳴らせてくる——だけどそれだけだ。この前、喧嘩をした。それきり彼と話していない。付き合っているのか定かじゃない関係。挙句に、今遠目から見つけた王子の側には可憐な女の子。彼女が彼に寄り掛かって二人がキスをしている。 その瞬間、目の前が真っ黒になった。もう無理だ。俺がスイッチが切れたようにその場に立ち尽くした、その時だった。前にいる彼から聞いたこともない怒声が俺の耳に届いたのは。 ⚪︎佐藤玲央……微笑みの王子と呼ばれ、常に笑顔を絶やさない。物腰柔らかな姿勢に男女問わずモテる ⚪︎中田真……両親の転勤で引っ越してきた転校生。平凡な容姿で口が悪いがクラスに馴染めず誰とも話さないので王子しか知らないし、これからも多分バレない ※全四話、予約投稿済み。 本編に攻めの名前が出てこないの書き終わってから気が付いた。3/16タイトル少し変更しました。 ※後日談を3/25に投稿予定←しました。Rを書くかはまだ悩み中

【完結。一気読みできます♪】ただのハイスペックなモブだと思ってた

はぴねこ
BL
 神乃遥翔(じんの はると)は自分のことをモブだと思っていた。  少年漫画ではいつだって、平凡に見えて何か一つに秀でている人物が主人公だったから。  その点、遥翔は眉目秀麗文武両道、家も財閥の超お金持ち。  一通りのことがなんでも簡単にできる自分は夢中になれるものもなくて、きっと漫画のモブみたいに輝く主人公を引き立てるモブのように生きるのだと、そう遥翔は思っていた。  けれど、そんな遥翔に勉強を教わりに来ている葛城星 (かつらぎ ほし)は言った。 「BL漫画の中では、神乃くんみたいな人がいつだって主人公なんだよ?」  そう言って、星が貸してくれた一冊のBL漫画が遥翔の人生を一変させた。  自分にも輝ける人生を歩むことができるのかもしれないと希望を持った遥翔は、そのことを教えてくれた星に恋をする。  だけど、恋をした途端、星には思い人がいることに気づいてしまって……  眉目秀麗文武両道で完璧だけど漫画脳な遥翔が、お人好しで気弱な星の心に少しずつ少しずつ近づこうと頑張るお話です。