誰よりも美しい花を捧ぐ。

三川

文字の大きさ
5 / 21

05.決して振り向いてはならぬ【捧げられし花テオエル】



シドイェスカのお祈りが一日置きなので、必然的にテオエルが抱かれるのも一日置きになる。つまり全く何もしなくていい日が一日置きにやってくるのだ。これが苦痛だった。
前戯もなく顔も合わせず事務的に抱かれることにはすっかり慣れたが、何もすることがない一日というのが本当に、本当に、退屈なのである。せめて文字が読めれば読書でもできるのだが、神殿孤児院では読み書きは教えてくれなかった。この世界の識字率は低いのかもしれない。

「シドイェスカ様」

ここ最近はお互いに手慣れてきて、裸でうつ伏せになり尻をあげて無言で待機するテオエルに、無言で背後から挿入して淡々と精嚢を空にするシドイェスカという、スムーズかつ事務的で余計な口を挟まない性交を行ってきたので、突如口を開いたテオエルに腰を振っていた男は動きを止めた。

「……なんだ」
「散歩の許可が欲しいです」

抱かれるまではあんなに怖かったシドイェスカだが、今となってはこんなお願いを口にできるほどにテオエルの恐怖心はなくなっていた。

「暇なのです。おつとめのない日は一日何もすることがないので、このままでは退屈に殺されてしまいます」

シドイェスカが笑うのがわかった。でも決して、明るい感情から出た笑いではなかったように思う。

「私に抱かれておいて、退屈などで死ねるとでも?」

鬱屈とした、仄暗い雰囲気を感じさせた。

「…………どういうことですか……?」
「そなたもきっと、知れば嫌悪に狂って死ぬであろう」

ぬるーっと、埋められていた肉棒をぎりぎりまで引き抜かれ、腰が震える。

「退屈に殺されるのではない。精神に異常を来して自ら死ぬのだ。……可哀想にな」
「ーーっぁあ!」

勢いよく突かれて、肌と肌がぶつかる破裂音とともに、喉の奥から大きな嬌声が飛び出す。枕を抱え直し、ぐっと顔を埋めた。汗の滲む腰を両手で固くとらえられながら、ずん、ずん、といつもより強めに突き上げられる。

「あ! ーーあんっ! ん……っ! く……っ、う……んぅ……っ!」

尻に強く腰を押し付けられ、奥に精を吐き出される。全て絞り出そうと、ゆるゆると肉筒で射精中の陰茎を扱かれた。ずるり、と栓をしていたものが引き抜かれ、長時間ハメられて締まりきらない孔から、注がれた白濁が溢れ落ちる。
テオエルも射精していた。何回目か数えるのも馬鹿らしい。ぐったりと、ベッドに沈む。


「死にたくなければ、決して振り向かぬことだ」


どんなに疲れていても枕から顔をあげなかったテオエルに、シドイェスカは優しく囁いて黒髪をそっと撫でた。
感想 1

あなたにおすすめの小説

処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる

猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。 しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。 当然そんな未来は回避したい。 原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。 さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……? 平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。 ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

博愛主義の成れの果て

135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。 俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。 そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。

寄るな。触るな。近付くな。

きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。 頭を打って? 病気で生死を彷徨って? いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。 見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。 シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。 しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。 ーーーーーーーーーーー 初めての投稿です。 結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。 ※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。

【完結。一気読みできます!】悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!

はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。 本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる…… そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。 いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか? そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。 ……いや、違う! そうじゃない!! 悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!! 

悪役令息に転生した俺は推しの為に舞台から退場する

スノウマン(ユッキー)
BL
前世の記憶を思い出したアレクシスは悪役令息に転生したことに気づく。このままでは推しである義弟ノアが世界を救った後も幸せになれない未来を迎えてしまう。それを回避する為に、俺は舞台から退場することを選んだ。全てを燃やし尽くす事で。 そんな俺の行動によってノアが俺に執着することになるとも知らずに。

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!