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18.そういうこと
しおりを挟む「しのぶが第一志望の大学に合格したんだ」
有田家をそっと見守ってきた『はざまの住人』の青年が、わざわざ近況報告に事務所を訪ねてきてくれた。
「人間ってすごいよ。立ち止まっても、どんなに遅い歩みでも、生きてさえいれば、きっかけさえあれば、いつか必ず前に進めるんだ」
そう言った青年の顔は、晴れ晴れとしていた。
◇◇◇
「正直、死が頭を過ぎったことは、何度もある」
青年が帰った事務所内で、蘭太に寄り添い立って、都築は長年の苦しみを吐露した。
「なんでこんな辛い思いしてまで食べなくちゃいけないんだって、生きないといけないんだって、考えたこと、たくさんある」
蘭太はただ黙って、続きをうながす。
「でもきっと、私はきみに出会うためにあんな辛い時間を過ごしたんだろうね。呪われていなければ、私と蘭太くんが出会うことはなかったかもしれない」
「そうですね」
頷いて、肯定して、蘭太は都築にもたれかかる。
「ずっと不思議だったんですけど、なんで僕の作ったものだけ、都築さんは普通に食べられたんだろう」
都築は蘭太の重みを受け止めて、支えて、心底嬉しそうに、微笑んだ。
「きみは本当に、選ばれし人間なのかもね」
「……都築さんに?」
「ふふ、そう。蘭太くんは、私が選んだ、たった一人の、私の唯一」
そういうことだよ。
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