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第1章 呪われました!
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「はい。ナポリタンとクリームソーダです」
「ありがとう」
常連客の平田が注文したメニューを提供して、手嶋はフライパンを洗う。
「平田さん、最近忙しかったの?」
カウンター内で座って休憩している昌宏が、気安く声をかけた。
常連客ばかりの個人経営の喫茶店では、マスターがアルバイトに仕事を任せて座っていようが、誰も気にしない。
手嶋も慣れたもので、客前で煙草吸ってないだけましだと思っている。
「ベテランが二人も辞めちゃってね。しわ寄せがこっちにきてるんだ」
「ありゃあ。そりゃ大変だ」
「おかげでここに来る暇もなかったよ」
「もう落ち着いたの?」
「まだ続くかな。今日はたまたま早く帰れただけ」
「会社員ってのは大変だねえ」
「個人経営のマスターだって楽な仕事じゃないだろ?」
「俺は誠一郎がいるから。楽させてもらってるよ。な?」
昌宏がにかっと笑いかけてくる。
「今も俺にだけ仕事させてるもんな」
「経験を積ませてるんだよ」
「ものは言いようだな」
「はっはっはっ。煙草吸ってい?」
「叔父さん!」
「俺はいいよ」
「平田さん!」
「冗談冗談。そう怒るなよ誠一郎」
「誠一郎くんは真面目だなあ」
平田がおおらかな客でよかった。
しばし世間話に花を咲かせる。
「しかし誠一郎くん、きみ……」
ナポリタンとクリームソーダを平らげた頃、ふと平田が手嶋を上から下までじっくり眺めた。
「なんですか?」
「なんか、変わったねえ」
「変わった?」
「うん。なんていうか…………雌の匂いがする」
手嶋は呆気に取られた。どうにも反応を返せなかった。正解がわからない。
「こらこら、平田さん。急に何言うの」
昌宏が苦笑している。
「ごめんごめん」
平田はたいして申し訳なさそうにするでもなく、軽く謝る。
「でもさあ、ほんと……前まではそんなことなかったのにね……?」
「気ぃつけな、誠一郎。平田さん、バリタチのゲイだから」
「え、」
「興味あるなら一晩どう?」
「え、」
「同意ならいいんだよ同意なら」
「マスターもこう言ってるし」
「いや……俺は……」
小刻みに首を振る。心臓が、少しずつ、少しずつ、駆け足になっていた。
「そうか、残念」
あっさり引き下がった平田は、頬杖をついて、たっぷり間をあけてから妖艶な笑みを浮かべた。
「誠一郎くんはケツにちんぽぶち込まれるの、興味あると思ったんだけどな」
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