36 / 36
第2章 愛されました!
36
「あんたが平田さんか」
「おのれ平田さん」
「ちくしょうめ平田さん」
「なんなんだい、この子ら」
いつもの喫茶店で見知らぬ男子大学生三人組に囲まれた平田は、苦笑して手嶋を見た。
「多川と新沼と逢崎です」
「きみが逢崎くん」
平田に反応された逢崎は、変顔で返した。多川と新沼も逢崎に倣う。
「なんだかよくわからないけど、誠一郎くん、うまくいったみたいで、よかったね」
平田は悪びれもせずにこっと笑い、カウンター席についてナポリタンを注文した。マスターが請け負って、調理を始める。
逢崎達もカウンター席に並んで座り、平田を威嚇しながらメニューを広げた。
「で、その後どうなんだよ」
多川が平田に向かってしゃくれ顔をしながら、逢崎に言った。
「レディはゴリラのままなのか」
新沼も平田に向かって寄り目をしながら、逢崎に尋ねた。
「それはもういいんだ」
逢崎はカウンターに置かれた手嶋の手を握り、手嶋を見つめて微笑む。
やっぱり無駄に面が良い。
「世界にレディがいなくて男ばっかり溢れてても、俺には手嶋がいる」
手嶋の口元も自然と綻ぶ。
「俺は手嶋がいれば、レディはもう、いいよ」
それは、手嶋への愛だった。
「手嶋の愛があれば、世界にレディが一人もいなくても、生きていける」
めいいっぱいの愛だった。
「手嶋が俺を愛してて、俺が手嶋を愛してるなら。呪いなんて、どうでもいいんだ」
熱烈だね。
平田が呟いた。
その時だった。
「ーー!?」
逢崎が急に振り返った。店内を見回して、客の顔を確認する。
「どうした逢崎」
「なんだなんだ」
「…………解けた」
「は?」
「はあ?」
「はあ!?」
「なんで今?」
「わからん。さっぱりわからん」
新沼と多川が首を傾げる。
「そりゃ、決まってるだろ」
逢崎は女がいるのに口説きもせず、手嶋の手を握り、手嶋の目を熱心に見つめ、手嶋だけに微笑んだ。
「これが【真実の愛】ってやつだからだ」
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
キミと2回目の恋をしよう
なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。
彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。
彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。
「どこかに旅行だったの?」
傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。
彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。
彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが…
彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?
krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」
突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。
なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!?
全力すれ違いラブコメファンタジーBL!
支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。
クズ彼氏にサヨナラして一途な攻めに告白される話
雨宮里玖
BL
密かに好きだった一条と成り行きで恋人同士になった真下。恋人になったはいいが、一条の態度は冷ややかで、真下は耐えきれずにこのことを塔矢に相談する。真下の事を一途に想っていた塔矢は一条に腹を立て、復讐を開始する——。
塔矢(21)攻。大学生&俳優業。一途に真下が好き。
真下(21)受。大学生。一条と恋人同士になるが早くも後悔。
一条廉(21)大学生。モテる。イケメン。真下のクズ彼氏。
振られた腹いせに別の男と付き合ったらそいつに本気になってしまった話
雨宮里玖
BL
「好きな人が出来たから別れたい」と恋人の翔に突然言われてしまった諒平。
諒平は別れたくないと引き止めようとするが翔は諒平に最初で最後のキスをした後、去ってしまった。
実は翔には諒平に隠している事実があり——。
諒平(20)攻め。大学生。
翔(20) 受け。大学生。
慶介(21)翔と同じサークルの友人。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。