27 / 78
第一章「剣鬼の誕生」
第二十七話「命の炎」
しおりを挟む
〈ティファニー視点〉
体中に痛みを感じながら起き上がると、そこには両足から大量の血を流すクラウスが横たわっていた。両足は粉々に砕けているのか、痛みの余り意識を失っているみたいだ。意識を失う直前まで私を守ろうとしてくれていたのだろう、私の体を抱きしめるように覆いかぶさっている。
クラウスの患部を確認すると、既に血が止まっていた。これが悪魔の力、自己再生の効果だろうか。それでも大量の血を流し、両足が砕けているからだろうか、クラウスが目を覚ます事はない。むしろ意識を失っている方が良い。意識が戻ればこの激痛と向き合わなければならないのだから……。
クラウス……。あなたはどうしていつも他人を守って犠牲になるの……? 私達はグロックさんに騙されたんだわ。私がグロックさんを守りながら魔物を退けていた時、グロックさんは私を縦穴に突き落とした。
ここは一体どこなのだろう。天井は遥かに高く、縦穴があった形跡すらない。私達が落下してきた穴がないのだ。グロックさんが地属性の魔法で穴を塞いだのかしら。これは私達を殺すために仕掛けられた罠なんだ……。
まるで城塞都市の様に、周囲は背の高い壁で囲まれている。所々に背の低い石の建造物がいくつも建っており、天井付近には赤い魔力を放つ魔石が埋まっている。不気味な光が広大な空間を照らしている。
ここには独自の生態系があるのか、火の魔力を持つファイアゴブリンが見た事もない果実を栽培している。私はクラウスの体を引きずって壁の影に身を隠すと、ゴブリン達の行動を監視する事にした。
きっとここが以前ヴィルヘルムさんが話していた十一階層、巨大迷路なんだわ。背の高い石の壁がそびえ立っており、魔物達が暮らす家が点在している。壁に阻まれて出口を探す事すら出来ない。実際に迷路を走り回れば出口を探し出す事は出来るかもしれないけど、歩く事すらままならないクラウスを背負いながら、迷路を進む事は自殺行為。
それに、この十一階層には幻獣のゴブリンロードが生息している。今の私に出来る事は、クラウスが回復するまで身を隠せる場所を確保する事。幸い、クラウスは時間さえあれば怪我は完治する。悪魔の力とは本当に便利なものだけど、完治するまで一体どれだけ時間が掛かるか分からない。クラウスの怪我が完治するまで、魔物が徘徊する十一階層でクラウスを守り抜かなければならないんだ。
確かクラウスは『黒の魔装が体内の闇属性を強化し、悪魔の力が上昇した』と言っていた。この言葉から推測するに、闇属性の魔力を高める事が出来れば、クラウスの自己再生の効果が上がるという事だ。闇属性を秘める魔物を討伐して魔石を集め、クラウスの傍に置いておけば良いのだろうか?
それに、クラウスは森で討伐したレッサーデーモンの肉を食べていた。魔物の肉を食べると体の調子が良いとも言っていた。洞窟で暮らしていた時はゴブリンの肉やブラックウルフの肉を食べて暮らしていたと話していたし、やはり栄養も必要でしょう……。
まずはクラウスを隠せる場所を見つけ、体内に闇属性を秘める魔物を仕留める。それから魔石や肉を集めてクラウスの元に持ち帰る。目が覚めたクラウスが魔物を肉を摂取すれば、怪我の回復も早くなるに違いない。
私はクラウスの銀色の髪を撫でると、ファイアゴブリン達が捨てたであろう、魔物の骨を掻き集めた。きっとこれはファイアゴブリン達が食べた魔物の残骸なんだわ。骨をクラウスの体の上に乗せ、魔物達から見つからない様に隠すと、私は杖を握り締めて、クラウスが安全に身を隠せる場所を探す事にした。
「すぐに戻るからね……私が絶対にあなたを守る……」
小声でクラウスに別れを告げると、私は所持品が全て消えている事に気がついた。持ち物は父が遺してくれた銀の杖だけ。きっと落下の最中に何処かに落としたのでしょう……。
水と食料を確保しなければならないわ。魔物の肉があれば暫くは生きていけるから、まずは隠れられる場所を探しながら魔物を討伐しよう。
迷路を徘徊する魔物達から見つからない様に移動を続けると、私は一軒の家を見つけた。他の家から少し離れており、周囲には黒い果実が生る木々が生い茂っている。家が遮蔽物に囲まれているから、この場所ならクラウスを隠せるに違いないわ……。
家を監視していると、二体のファイアゴブリンが出てきた。通常のゴブリンよりも体が大きく、身長は百六十センチ程。全身の筋肉が発達しており、火属性を体内に秘める魔物。実際に目にするのは初めてだけど、何度も図鑑で見てきたからすぐに分かる。
せめて敵が一体なら襲撃する事も出来るけど、戦った事すらない魔物を二体同時に相手にして、物音すら立てずに仕留められるだろうか。いいえ……。きっと私には不可能。魔物の巣になっている巨大迷路で魔法を炸裂させれば、たちまち魔物が束になって襲い掛かってくるでしょう。
だけど、一度十一階層まで降りたヴィルヘルムさんは、どうやって上層まで上がったのかしら。ヴィルヘルムさんがゴブリンロードから襲われた話は聞いたけど、生還した方法は教えて貰わなかった。あまりにも辛そうに話すから、質問出来なかったんだ。
クラウスもヴィルヘルムさんも、幻獣を前にしても一歩も引かずに戦い、愛する者を守りながら怪我を負った。それでも今は更なる強さを求めて生きている。本当に尊敬出来る人達……。
今度は私がクラウスを守らなければならないんだ。二体のファイアゴブリンを仕留め、家を乗っ取り、クラウスを運び入れよう。風の魔法は威力を高めれば必ず大きな音が出る。物音を立てずに初見の魔物を二体相手にして勝利を収めなければならない。きっと私には不可能……。
せめて一体ずつ相手に出来れば良いのだけど、ファイアゴブリンが眠りに就くまで待ってみようか。クラウスの怪我だってすぐには治らないんだ。時間ならある。焦ってはいけない……。
二体のファイアゴブリンが家の外に出た後、小さな黒い果実をもいで食べ始めた。腰には綺麗に研磨されたナイフを差しており、接近戦闘が得意だという事が想像出来る。体格は私よりも大きく、筋肉も発達しているから、不意打ちで仕留めなければならないわね……。
ファイアゴブリンを目の当たりにしても、不思議と恐怖心が沸かない。ここで私が恐れていては、大怪我をしてまで私を助けてくれたクラウスに失礼だから。国家魔術師になると心に誓っているのだから、ファイアゴブリン程度の魔物を恐れてはいけないんだ……。
銀の杖を握りながら木陰に身を隠し、ゆっくりとファイアゴブリン達に近づく、背の低いファイアゴブリンは何処かに用事があるのか、小さな革の袋を持つと、ゆっくりと森を抜けて迷路を歩いて行った。これは絶好の攻撃の機会だ。
杖をファイアゴブリンに向けながら、永遠と敵の動きを監視し続ける。もう何時間ファイアゴブリンを見つめているだろう。暫くすると、ファイアゴブリンは大きなあくびをしてからゆっくりと室内に戻った。きっとこれから眠りに就くんだ。
私はファイアゴブリンの後を追い、家の入り口まで着た。室内を覗くと、食い散らかした魔物の骨や服などが乱雑と置かれていた。部屋の置くには毛布が敷かれており、体の大きなファイアゴブリンが毛布の上で寝息を立てている。
魔法を使わずに敵を仕留める方法はないだろうか。風の魔法はどうしても騒音が出る。一切の音を出さずに、一撃でファイアゴブリンを仕留める方法があるはず。クラウスならどうするだろうか? ゆっくりとファイアゴブリンに近づき、首に剣を突き立てるだろう。そうだ、ファイアゴブリンのナイフを奪って敵の首を突けば良い。
ゆっくりとファイアゴブリンに近づくと、私はファイアゴブリンの腰に差さっているナイフに手を伸ばした。瞬間、背後に魔物の気配を感じた。背の低いファイアゴブリンが帰宅していたのだ。ファイアゴブリンが私を睨みつけながら右手を突き出し、火の魔力を放出しようとした瞬間、私は眠っているファイアゴブリンからナイフを盗み、敵の右手に深々と突き立てた。
それから銀の杖を敵の顔面に向け、圧縮した風の魔力を放出すると、ファイアゴブリンは顔面に魔法を直撃したからか、鼻から血を流して倒れた。大きな音を立ててファイアゴブリンが倒れたからか、眠りに就いていたファイアゴブリンが目を覚ました。
敵は私の姿を見た後、怪我を負っている仲間を見下ろし、悍ましい表情を浮かべて拳を振り上げた。敵の動作に反応する様にウィンドショットの魔法を腹部に放つと、魔力が炸裂する破裂音が響いた。威力を上げすぎると騒音が大きくなる。気をつけなければたちまち魔物の集団に包囲されてしまうでしょう。
私は倒れているファイアゴブリンからナイフを引き抜くと、無我夢中で敵に切りかかった。左手でナイフを持ち、右手に持った杖から風の魔力を飛ばして敵の動きを封じる。強力な風を浴びたファイアゴブリンが攻撃の手を止めた瞬間、私は敵の首にナイフを突き刺した。ファイアゴブリンはもがきながらナイフを引き抜こうとしているが、私は全力でナイフを押し付けているからか、なかなかナイフを抜けない様だ。
暫くするとファイアゴブリンは息絶えたのか、ゆっくりと座り込む様に姿勢を崩すと、私はナイフを引き抜いて勝利を確信した。たった二体の魔物を倒すだけなのに、何発も魔法を使用し、必要以上に騒音を立ててしまった。だけど、これでクラウスをこの家に隠せる。
他のファイアゴブリンがこの家を尋ねてきても大丈夫な様に、まずは二体のファイアゴブリンの死骸を埋めよう。大柄のファイアゴブリンは体内に魔石を持っていたのか、私は魔石を切り取ってから、敵の肉を少しだけ頂いた。本当はファイアゴブリンの肉なんて食べたくないけど、食料が無ければ生き延びる事は出来ない。背に腹は代えられないわね……。
時間を掛けて家の裏手に穴を掘り、ファイアゴブリンの死骸を捨てた。それから二本のナイフをベルトに差し、魔石を懐に仕舞ってから、クラウスを迎えるために室内を掃除した。体を動かしたから随分お腹が減ってしまったけど、どうも魔物の肉を食べる気にはなれない。クラウスなら躊躇なく食べるのでしょうけど。
そういえば、家の周囲に生っている黒い果実は人間が食べられる物なのだろうか。私は家を出て森に入り、こぶし大の黒い果実を手にした。ナイフで果実を裂くと私は以前図鑑で見た果実を思い出した。
これは多分、狂戦士の果実。一つ食べれば体力を魔力が回復し、体は活力で漲るが、非常に獰猛な性格に変わる。ダンジョンの深層にのみ実を付ける特殊な果実で、二つ食べれば精神を制御出来なくなり、敵味方関係なく襲い始める。単独でダンジョン攻略をする冒険者が、魔力と体力が尽きた時に手を伸ばす最後の手段だと、書物には書かれていた。
私は黒い果実を一つ取り、ナイフで果肉を切ってから口に入れた。爽やかな甘味を感じると、体は次第に火照り出し、枯渇していた体力と魔力が徐々に回復を始めた。沈んでいた気分も爽やかになり、今ならファイアゴブリンを何体でも狩れそうな気がする。
きっと一時的に気分を高揚させる効果があるのだろう。私は果実を全て口に入れたい衝動を堪えながら、クラウスの元に向かって走り始めた。狂戦士の果実のお陰で体調は抜群に良く、頭は冴え渡っている。クラウスを隠すために積み重ねた骨をどけると、苦痛に顔を歪めるクラウスが私を見つめた。顔からは脂汗が流れ、訴えかけるような目で私を見ている。
「ティファニー……怪我はない……?」
「え? 私は大丈夫よ。クラウス……どうしてこんな状況で私の心配をしてくれるの……?」
「ティファニーは俺が守るって決めたからね……だけど、こんな無様な姿を見せてしまった……すまない……俺がもっと強かったら……俺がグロックの正体を見破っていたら……」
「クラウス。私があなたを守るわ。だから安心して……」
「痛いよ……ティファニー。足の感覚がないんだ。痛みで気が狂いそうだよ……助けて……」
大粒の涙を流しながら静かに激痛に堪えるクラウスを見て、私の瞳からは涙が溢れた。自分が大怪我をしていても、私に怪我が無いか尋ねてくれるのだから。こんな人はこの世界にクラウス以外には存在しないと思う。本当に私の事を大切に思ってくれているんだ。なんて意思の強い人なんだろう。
クラウスは魔物に私達の居場所を察知されない様に、骨を噛んで痛みに耐え、涙を流し続けている。普通の人間なら大声で苦痛を叫ぶ筈。だけどクラウスは静かに痛みに耐えている。足を僅かに動かすだけで激痛が走るのか、それでも私の体を見て怪我がないか確認しているのだろう……。
「大丈夫……? ティファニー……? 俺が絶対に君を守るよ……」
「馬鹿……大丈夫に決まってるじゃない……」
「良かった……」
私は狂戦士の果実をクラウスに渡すと、彼は躊躇せずに果実を食べた。少しでも栄養を多く摂取すれば、怪我の完治を早める事が出来る筈。
私はどうしてクラウスが剣鬼と呼ばれているのか知りたかった。ただ剣の技術が高い冒険者ならいくらでも存在する。クラウスは冒険者登録の際に、石版が剣鬼だと認めた人物。石版は魔力を注いだ者の正体を暴く。石版が相手の正体を間違える事はない。
激痛に悶えながらも周囲を確認し、魔物に見つからない様に痛みに耐えるクラウスを見て確信した。これが剣鬼なんだ。どれだけ痛くても魔物の魔の手から生き延びる方法を模索する精神力、最悪な状況をも切り開く圧倒的な意思の強さ。彼の実力はマスターを吹き飛ばす程のものだという事は知っている。それに、妹をレッサーデーモンから守ってくれた。
強さだけではなく、精神力が伴った剣の達人。剣鬼、クラウス・ベルンシュタイン。私は本当に偉大な冒険者に守られているんだ。クラウスを支えられる魔術師になりたい。どんな状況に居ても私を気遣ってくれる彼を守るんだ。
それから私がクラウスを背負うと、クラウスは両足に痛みが走ったのか、大粒の涙を流しながらも、何度も自分で歩けると言った。どう考えても歩ける訳がないのに、私を気遣ってくれているんだ。
クラウスの気遣いは嬉しいけど、私もクラウスを守るために本気で生きると決めた。二人でこの状況を切り抜け、ヴェルナーに生還すると心に誓ったのだから、もう少し私を頼って欲しい……。クラウスから見れば、私はろくに魔物すら狩れない弱い女だろうけど、私は民を守る国家魔術師になるんだ……。
クラウス一人守れないで、私の偉大な夢を叶える事は不可能。
「大丈夫……私があなたを守るから……」
「……」
クラウスは激痛の余り意識を失ったみたい。痛みが絶頂を迎えても、周囲の魔物に気づかれない様に、一人で苦しみに耐える彼の精神の強さ。一体どんな環境が一介の村人を剣鬼に変えてしまったのだろうか……。
私はクラウスを背負いながら、ゆっくりと隠れ家を目指して歩き出した……。
体中に痛みを感じながら起き上がると、そこには両足から大量の血を流すクラウスが横たわっていた。両足は粉々に砕けているのか、痛みの余り意識を失っているみたいだ。意識を失う直前まで私を守ろうとしてくれていたのだろう、私の体を抱きしめるように覆いかぶさっている。
クラウスの患部を確認すると、既に血が止まっていた。これが悪魔の力、自己再生の効果だろうか。それでも大量の血を流し、両足が砕けているからだろうか、クラウスが目を覚ます事はない。むしろ意識を失っている方が良い。意識が戻ればこの激痛と向き合わなければならないのだから……。
クラウス……。あなたはどうしていつも他人を守って犠牲になるの……? 私達はグロックさんに騙されたんだわ。私がグロックさんを守りながら魔物を退けていた時、グロックさんは私を縦穴に突き落とした。
ここは一体どこなのだろう。天井は遥かに高く、縦穴があった形跡すらない。私達が落下してきた穴がないのだ。グロックさんが地属性の魔法で穴を塞いだのかしら。これは私達を殺すために仕掛けられた罠なんだ……。
まるで城塞都市の様に、周囲は背の高い壁で囲まれている。所々に背の低い石の建造物がいくつも建っており、天井付近には赤い魔力を放つ魔石が埋まっている。不気味な光が広大な空間を照らしている。
ここには独自の生態系があるのか、火の魔力を持つファイアゴブリンが見た事もない果実を栽培している。私はクラウスの体を引きずって壁の影に身を隠すと、ゴブリン達の行動を監視する事にした。
きっとここが以前ヴィルヘルムさんが話していた十一階層、巨大迷路なんだわ。背の高い石の壁がそびえ立っており、魔物達が暮らす家が点在している。壁に阻まれて出口を探す事すら出来ない。実際に迷路を走り回れば出口を探し出す事は出来るかもしれないけど、歩く事すらままならないクラウスを背負いながら、迷路を進む事は自殺行為。
それに、この十一階層には幻獣のゴブリンロードが生息している。今の私に出来る事は、クラウスが回復するまで身を隠せる場所を確保する事。幸い、クラウスは時間さえあれば怪我は完治する。悪魔の力とは本当に便利なものだけど、完治するまで一体どれだけ時間が掛かるか分からない。クラウスの怪我が完治するまで、魔物が徘徊する十一階層でクラウスを守り抜かなければならないんだ。
確かクラウスは『黒の魔装が体内の闇属性を強化し、悪魔の力が上昇した』と言っていた。この言葉から推測するに、闇属性の魔力を高める事が出来れば、クラウスの自己再生の効果が上がるという事だ。闇属性を秘める魔物を討伐して魔石を集め、クラウスの傍に置いておけば良いのだろうか?
それに、クラウスは森で討伐したレッサーデーモンの肉を食べていた。魔物の肉を食べると体の調子が良いとも言っていた。洞窟で暮らしていた時はゴブリンの肉やブラックウルフの肉を食べて暮らしていたと話していたし、やはり栄養も必要でしょう……。
まずはクラウスを隠せる場所を見つけ、体内に闇属性を秘める魔物を仕留める。それから魔石や肉を集めてクラウスの元に持ち帰る。目が覚めたクラウスが魔物を肉を摂取すれば、怪我の回復も早くなるに違いない。
私はクラウスの銀色の髪を撫でると、ファイアゴブリン達が捨てたであろう、魔物の骨を掻き集めた。きっとこれはファイアゴブリン達が食べた魔物の残骸なんだわ。骨をクラウスの体の上に乗せ、魔物達から見つからない様に隠すと、私は杖を握り締めて、クラウスが安全に身を隠せる場所を探す事にした。
「すぐに戻るからね……私が絶対にあなたを守る……」
小声でクラウスに別れを告げると、私は所持品が全て消えている事に気がついた。持ち物は父が遺してくれた銀の杖だけ。きっと落下の最中に何処かに落としたのでしょう……。
水と食料を確保しなければならないわ。魔物の肉があれば暫くは生きていけるから、まずは隠れられる場所を探しながら魔物を討伐しよう。
迷路を徘徊する魔物達から見つからない様に移動を続けると、私は一軒の家を見つけた。他の家から少し離れており、周囲には黒い果実が生る木々が生い茂っている。家が遮蔽物に囲まれているから、この場所ならクラウスを隠せるに違いないわ……。
家を監視していると、二体のファイアゴブリンが出てきた。通常のゴブリンよりも体が大きく、身長は百六十センチ程。全身の筋肉が発達しており、火属性を体内に秘める魔物。実際に目にするのは初めてだけど、何度も図鑑で見てきたからすぐに分かる。
せめて敵が一体なら襲撃する事も出来るけど、戦った事すらない魔物を二体同時に相手にして、物音すら立てずに仕留められるだろうか。いいえ……。きっと私には不可能。魔物の巣になっている巨大迷路で魔法を炸裂させれば、たちまち魔物が束になって襲い掛かってくるでしょう。
だけど、一度十一階層まで降りたヴィルヘルムさんは、どうやって上層まで上がったのかしら。ヴィルヘルムさんがゴブリンロードから襲われた話は聞いたけど、生還した方法は教えて貰わなかった。あまりにも辛そうに話すから、質問出来なかったんだ。
クラウスもヴィルヘルムさんも、幻獣を前にしても一歩も引かずに戦い、愛する者を守りながら怪我を負った。それでも今は更なる強さを求めて生きている。本当に尊敬出来る人達……。
今度は私がクラウスを守らなければならないんだ。二体のファイアゴブリンを仕留め、家を乗っ取り、クラウスを運び入れよう。風の魔法は威力を高めれば必ず大きな音が出る。物音を立てずに初見の魔物を二体相手にして勝利を収めなければならない。きっと私には不可能……。
せめて一体ずつ相手に出来れば良いのだけど、ファイアゴブリンが眠りに就くまで待ってみようか。クラウスの怪我だってすぐには治らないんだ。時間ならある。焦ってはいけない……。
二体のファイアゴブリンが家の外に出た後、小さな黒い果実をもいで食べ始めた。腰には綺麗に研磨されたナイフを差しており、接近戦闘が得意だという事が想像出来る。体格は私よりも大きく、筋肉も発達しているから、不意打ちで仕留めなければならないわね……。
ファイアゴブリンを目の当たりにしても、不思議と恐怖心が沸かない。ここで私が恐れていては、大怪我をしてまで私を助けてくれたクラウスに失礼だから。国家魔術師になると心に誓っているのだから、ファイアゴブリン程度の魔物を恐れてはいけないんだ……。
銀の杖を握りながら木陰に身を隠し、ゆっくりとファイアゴブリン達に近づく、背の低いファイアゴブリンは何処かに用事があるのか、小さな革の袋を持つと、ゆっくりと森を抜けて迷路を歩いて行った。これは絶好の攻撃の機会だ。
杖をファイアゴブリンに向けながら、永遠と敵の動きを監視し続ける。もう何時間ファイアゴブリンを見つめているだろう。暫くすると、ファイアゴブリンは大きなあくびをしてからゆっくりと室内に戻った。きっとこれから眠りに就くんだ。
私はファイアゴブリンの後を追い、家の入り口まで着た。室内を覗くと、食い散らかした魔物の骨や服などが乱雑と置かれていた。部屋の置くには毛布が敷かれており、体の大きなファイアゴブリンが毛布の上で寝息を立てている。
魔法を使わずに敵を仕留める方法はないだろうか。風の魔法はどうしても騒音が出る。一切の音を出さずに、一撃でファイアゴブリンを仕留める方法があるはず。クラウスならどうするだろうか? ゆっくりとファイアゴブリンに近づき、首に剣を突き立てるだろう。そうだ、ファイアゴブリンのナイフを奪って敵の首を突けば良い。
ゆっくりとファイアゴブリンに近づくと、私はファイアゴブリンの腰に差さっているナイフに手を伸ばした。瞬間、背後に魔物の気配を感じた。背の低いファイアゴブリンが帰宅していたのだ。ファイアゴブリンが私を睨みつけながら右手を突き出し、火の魔力を放出しようとした瞬間、私は眠っているファイアゴブリンからナイフを盗み、敵の右手に深々と突き立てた。
それから銀の杖を敵の顔面に向け、圧縮した風の魔力を放出すると、ファイアゴブリンは顔面に魔法を直撃したからか、鼻から血を流して倒れた。大きな音を立ててファイアゴブリンが倒れたからか、眠りに就いていたファイアゴブリンが目を覚ました。
敵は私の姿を見た後、怪我を負っている仲間を見下ろし、悍ましい表情を浮かべて拳を振り上げた。敵の動作に反応する様にウィンドショットの魔法を腹部に放つと、魔力が炸裂する破裂音が響いた。威力を上げすぎると騒音が大きくなる。気をつけなければたちまち魔物の集団に包囲されてしまうでしょう。
私は倒れているファイアゴブリンからナイフを引き抜くと、無我夢中で敵に切りかかった。左手でナイフを持ち、右手に持った杖から風の魔力を飛ばして敵の動きを封じる。強力な風を浴びたファイアゴブリンが攻撃の手を止めた瞬間、私は敵の首にナイフを突き刺した。ファイアゴブリンはもがきながらナイフを引き抜こうとしているが、私は全力でナイフを押し付けているからか、なかなかナイフを抜けない様だ。
暫くするとファイアゴブリンは息絶えたのか、ゆっくりと座り込む様に姿勢を崩すと、私はナイフを引き抜いて勝利を確信した。たった二体の魔物を倒すだけなのに、何発も魔法を使用し、必要以上に騒音を立ててしまった。だけど、これでクラウスをこの家に隠せる。
他のファイアゴブリンがこの家を尋ねてきても大丈夫な様に、まずは二体のファイアゴブリンの死骸を埋めよう。大柄のファイアゴブリンは体内に魔石を持っていたのか、私は魔石を切り取ってから、敵の肉を少しだけ頂いた。本当はファイアゴブリンの肉なんて食べたくないけど、食料が無ければ生き延びる事は出来ない。背に腹は代えられないわね……。
時間を掛けて家の裏手に穴を掘り、ファイアゴブリンの死骸を捨てた。それから二本のナイフをベルトに差し、魔石を懐に仕舞ってから、クラウスを迎えるために室内を掃除した。体を動かしたから随分お腹が減ってしまったけど、どうも魔物の肉を食べる気にはなれない。クラウスなら躊躇なく食べるのでしょうけど。
そういえば、家の周囲に生っている黒い果実は人間が食べられる物なのだろうか。私は家を出て森に入り、こぶし大の黒い果実を手にした。ナイフで果実を裂くと私は以前図鑑で見た果実を思い出した。
これは多分、狂戦士の果実。一つ食べれば体力を魔力が回復し、体は活力で漲るが、非常に獰猛な性格に変わる。ダンジョンの深層にのみ実を付ける特殊な果実で、二つ食べれば精神を制御出来なくなり、敵味方関係なく襲い始める。単独でダンジョン攻略をする冒険者が、魔力と体力が尽きた時に手を伸ばす最後の手段だと、書物には書かれていた。
私は黒い果実を一つ取り、ナイフで果肉を切ってから口に入れた。爽やかな甘味を感じると、体は次第に火照り出し、枯渇していた体力と魔力が徐々に回復を始めた。沈んでいた気分も爽やかになり、今ならファイアゴブリンを何体でも狩れそうな気がする。
きっと一時的に気分を高揚させる効果があるのだろう。私は果実を全て口に入れたい衝動を堪えながら、クラウスの元に向かって走り始めた。狂戦士の果実のお陰で体調は抜群に良く、頭は冴え渡っている。クラウスを隠すために積み重ねた骨をどけると、苦痛に顔を歪めるクラウスが私を見つめた。顔からは脂汗が流れ、訴えかけるような目で私を見ている。
「ティファニー……怪我はない……?」
「え? 私は大丈夫よ。クラウス……どうしてこんな状況で私の心配をしてくれるの……?」
「ティファニーは俺が守るって決めたからね……だけど、こんな無様な姿を見せてしまった……すまない……俺がもっと強かったら……俺がグロックの正体を見破っていたら……」
「クラウス。私があなたを守るわ。だから安心して……」
「痛いよ……ティファニー。足の感覚がないんだ。痛みで気が狂いそうだよ……助けて……」
大粒の涙を流しながら静かに激痛に堪えるクラウスを見て、私の瞳からは涙が溢れた。自分が大怪我をしていても、私に怪我が無いか尋ねてくれるのだから。こんな人はこの世界にクラウス以外には存在しないと思う。本当に私の事を大切に思ってくれているんだ。なんて意思の強い人なんだろう。
クラウスは魔物に私達の居場所を察知されない様に、骨を噛んで痛みに耐え、涙を流し続けている。普通の人間なら大声で苦痛を叫ぶ筈。だけどクラウスは静かに痛みに耐えている。足を僅かに動かすだけで激痛が走るのか、それでも私の体を見て怪我がないか確認しているのだろう……。
「大丈夫……? ティファニー……? 俺が絶対に君を守るよ……」
「馬鹿……大丈夫に決まってるじゃない……」
「良かった……」
私は狂戦士の果実をクラウスに渡すと、彼は躊躇せずに果実を食べた。少しでも栄養を多く摂取すれば、怪我の完治を早める事が出来る筈。
私はどうしてクラウスが剣鬼と呼ばれているのか知りたかった。ただ剣の技術が高い冒険者ならいくらでも存在する。クラウスは冒険者登録の際に、石版が剣鬼だと認めた人物。石版は魔力を注いだ者の正体を暴く。石版が相手の正体を間違える事はない。
激痛に悶えながらも周囲を確認し、魔物に見つからない様に痛みに耐えるクラウスを見て確信した。これが剣鬼なんだ。どれだけ痛くても魔物の魔の手から生き延びる方法を模索する精神力、最悪な状況をも切り開く圧倒的な意思の強さ。彼の実力はマスターを吹き飛ばす程のものだという事は知っている。それに、妹をレッサーデーモンから守ってくれた。
強さだけではなく、精神力が伴った剣の達人。剣鬼、クラウス・ベルンシュタイン。私は本当に偉大な冒険者に守られているんだ。クラウスを支えられる魔術師になりたい。どんな状況に居ても私を気遣ってくれる彼を守るんだ。
それから私がクラウスを背負うと、クラウスは両足に痛みが走ったのか、大粒の涙を流しながらも、何度も自分で歩けると言った。どう考えても歩ける訳がないのに、私を気遣ってくれているんだ。
クラウスの気遣いは嬉しいけど、私もクラウスを守るために本気で生きると決めた。二人でこの状況を切り抜け、ヴェルナーに生還すると心に誓ったのだから、もう少し私を頼って欲しい……。クラウスから見れば、私はろくに魔物すら狩れない弱い女だろうけど、私は民を守る国家魔術師になるんだ……。
クラウス一人守れないで、私の偉大な夢を叶える事は不可能。
「大丈夫……私があなたを守るから……」
「……」
クラウスは激痛の余り意識を失ったみたい。痛みが絶頂を迎えても、周囲の魔物に気づかれない様に、一人で苦しみに耐える彼の精神の強さ。一体どんな環境が一介の村人を剣鬼に変えてしまったのだろうか……。
私はクラウスを背負いながら、ゆっくりと隠れ家を目指して歩き出した……。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
クラス転移したからクラスの奴に復讐します
wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。
ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。
だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる