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第一章「冒険者編」
第四話「ロンダルクの雑貨屋」
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冒険者ギルドを出てロンダルクさんの店に向かう。ギルドのお姉さんの説明では、中央広場にロンダルクさんの店があると言っていた。石畳が敷かれた美しい町を、ゆっくりと見物しながら進む。円形の広場には様々なお店が建ち並んでいる。武器屋に薬屋、魔法動物の専門店等。町を歩いているだけでも胸が高鳴る。
しばらく市場を進むと「ロンダルクの雑貨屋」に到着した。石造りの建物で、店の回りには色とりどりの花が植えられている。店内を覗いてみると、男性がカウンターの奥に座っていた。表札のステータスを確認してみる。職業は鑑定士、レベルは32、ロンダルク・ジウバと表示されている。初めて目にするレベル30台だ。きっとベテランの鑑定士なのだろう。俺は店の扉を開けて店内に入った。
「いらっしゃい……」
商品を磨きながら、退屈そうに挨拶をしたロンダルクさんは、キングの姿を見るや否や、唖然とした表情を浮かべた。
「なんだ……? そいつは野生のスケルトンではないだろう?」
「多分、召喚獣だと思います。自分でもまだ良く分かりません。ロンダルクさんなら魔物に詳しいと、冒険者ギルドで聞いて来ました」
「ああ。俺は鑑定士だからな。俺の鑑定魔法は魔物の正体を暴けるんだ。だが、鑑定しなくても、お前さんが連れているスケルトンがただの魔物では無い事が分かる。体から感じる魔力の強さ……これは今まで感じた事も無い程のものだ」
「はい、ギルドカードで確認したのですが、彼はスケルトンキングという魔物らしいです」
「なんだって? スケルトンの王? まさか、そんなに高位な魔物が召喚獣になるとは……!」
ロンダルクさんはキングに杖を向けて、小さく魔法を唱えた。鑑定の魔法だろうか、キングの体は銀色の光で包まれると、空中に光の文字が浮かんだ。キングのステータスが表示されている。
「幻魔獣のスケルトンキング。スケルトン族の中で最も魔力が高く、人間を凌駕する魔法能力を持つ魔物。お前さんは一体何者なんだ? こんなに高位な魔物が人間に力を貸すとは……」
「俺はサシャ・ボリンガーと言います。先日まではリーシャ村で農業に携わっていましたが、今日から正式に冒険者になりました」
「馬鹿な……! 幻魔獣は決して駆け出しの冒険者が扱える様な魔物ではない」
俺は北の街道での来事を全てロンダルクさんに話した。
「そうか。そいつは間違いなくサシャの召喚獣だ。幻魔獣のスケルトンキングが祀られている石碑の近くで、サシャが強力な魔力を放出したのが原因だろう。石碑に祀られていたスケルトンキングはサシャの魔力に反応して召喚されたのだ」
「俺の召喚獣ですか。ところで、幻魔獣とはなんですか?」
「幻魔獣は、幻獣や魔獣の上に君臨する魔物の事だ。幻魔獣に歯向かえる魔物は居ない。幻魔獣一体で国を一つ滅ぼす力があると言われている」
「それって、かなり凄い魔物を味方につけたと言う事ですよね?」
「そうだ。最も弱い幻魔獣の召喚でも、レベル40以上の王室の召喚士が十人がかり召喚するのだぞ。ひょっとして、何か強力なマジックアイテムでも装備しているのか?」
マジックアイテムか。もしかして父のガントレットだろうか。それともサイモンさんから頂いたショートソードだろうか。どちらも強い魔力を持つアイテムだ。
「ガントレットから強い魔力を感じる。それはグラディエーターの装備だろう? 持ち主が長い間、敵や魔物の血を吸わせている間に強力なマジックアイテムになったのだろう。サシャ、何かガントレットから感じなかったか?」
「そうですね。自分自身の魔力が強化されている感じはしました」
「うむ。それはガントレットの効果に違いないだろう。マジックアイテムはどんな物でも何らかしらの効果がある。きっとスケルトンキングは、父上のガントレットの魔力とサシャの心に惹かれて召喚されたのだろう」
幻魔獣のスケルトンキングか。随分強い魔物を仲間に出来たみたいだ。スケルトンキングは俺に惹かれて召喚されたらしい。これから大切に育てなければならない。キングの正体が判明したところで、戦利品の買い取りをお願いしよう。
「アイテムの買い取りをお願いしたいのですが……」
「価値のある物なら何でも買い取るぞ!」
俺はマジックバッグの中から「錆びついたメイス」と「スケルトンの頭骨」を取り出した。ロンダルクさんがアイテムに鑑定の魔法を掛け、道具の性質を測ると、カウンターにお金を出してくれた。メイスは2ゴールド。スケルトンの頭骨は4ゴールドで買い取って頂けた。
「ところで、スケルトンの頭骨を露店で見かけましたが、どの様な用途で使われるんですか? 魔力を感じたので一応保管しておいたのですが」
「魔物の頭骨は召喚士が召喚の際に使うのだ。召喚魔法とは、魔物の体の一部から新たな魔物を生み出す魔法」
「新しく?」
「そうだ。魔物の体の一部。爪でも頭骨でもいい。召喚書の上に魔物の体の一部を置いて魔力を込める。基本的に魔物の召喚は、自分より低レベルの魔物を召喚する。高レベルの魔物は召喚者の命令を聞かないんだ。自分よりも高レベルの魔物を召喚して食い殺された人間だって少なくない」
「召喚書っていうのはロンダルクさんのお店で買えるんですか?」
「ああ。俺の店では取り扱っているぞ。低級召喚書は25ゴールド、中級召喚書は100ゴールド、上級召喚書は1500ゴールドだ」
今はキングが居るから他の召喚獣は必要ないだろう。それに、金銭的に余裕が無い訳だから、暫くは節約しながら暮らさなければならない。
「それから、魔物の頭骨は状態が良ければ高い額で買い取る事が出来るぞ」
「どうしてですか?」
「頭骨のような魔物を象徴とする体の一部は、爪や牙よりも召喚の確率が上がるんだ。爪や牙、毛なんかでも召喚は出来るが、召喚の確率が下がる。それに、召喚した魔物がより強靭に育ちやすくなる。それから、魔物の素材は召喚以外にも、薬を作ったり装備を作ったりするためにも使う」
「色々教えて下さってありがとうございます!」
ロンダルクさんに挨拶をして店を出た。確か冒険者ギルドの隣には宿があったはず。宿代は分からないが、まずは向かってみよう。俺とキングは露店を見物しながら宿に向かった……。
しばらく市場を進むと「ロンダルクの雑貨屋」に到着した。石造りの建物で、店の回りには色とりどりの花が植えられている。店内を覗いてみると、男性がカウンターの奥に座っていた。表札のステータスを確認してみる。職業は鑑定士、レベルは32、ロンダルク・ジウバと表示されている。初めて目にするレベル30台だ。きっとベテランの鑑定士なのだろう。俺は店の扉を開けて店内に入った。
「いらっしゃい……」
商品を磨きながら、退屈そうに挨拶をしたロンダルクさんは、キングの姿を見るや否や、唖然とした表情を浮かべた。
「なんだ……? そいつは野生のスケルトンではないだろう?」
「多分、召喚獣だと思います。自分でもまだ良く分かりません。ロンダルクさんなら魔物に詳しいと、冒険者ギルドで聞いて来ました」
「ああ。俺は鑑定士だからな。俺の鑑定魔法は魔物の正体を暴けるんだ。だが、鑑定しなくても、お前さんが連れているスケルトンがただの魔物では無い事が分かる。体から感じる魔力の強さ……これは今まで感じた事も無い程のものだ」
「はい、ギルドカードで確認したのですが、彼はスケルトンキングという魔物らしいです」
「なんだって? スケルトンの王? まさか、そんなに高位な魔物が召喚獣になるとは……!」
ロンダルクさんはキングに杖を向けて、小さく魔法を唱えた。鑑定の魔法だろうか、キングの体は銀色の光で包まれると、空中に光の文字が浮かんだ。キングのステータスが表示されている。
「幻魔獣のスケルトンキング。スケルトン族の中で最も魔力が高く、人間を凌駕する魔法能力を持つ魔物。お前さんは一体何者なんだ? こんなに高位な魔物が人間に力を貸すとは……」
「俺はサシャ・ボリンガーと言います。先日まではリーシャ村で農業に携わっていましたが、今日から正式に冒険者になりました」
「馬鹿な……! 幻魔獣は決して駆け出しの冒険者が扱える様な魔物ではない」
俺は北の街道での来事を全てロンダルクさんに話した。
「そうか。そいつは間違いなくサシャの召喚獣だ。幻魔獣のスケルトンキングが祀られている石碑の近くで、サシャが強力な魔力を放出したのが原因だろう。石碑に祀られていたスケルトンキングはサシャの魔力に反応して召喚されたのだ」
「俺の召喚獣ですか。ところで、幻魔獣とはなんですか?」
「幻魔獣は、幻獣や魔獣の上に君臨する魔物の事だ。幻魔獣に歯向かえる魔物は居ない。幻魔獣一体で国を一つ滅ぼす力があると言われている」
「それって、かなり凄い魔物を味方につけたと言う事ですよね?」
「そうだ。最も弱い幻魔獣の召喚でも、レベル40以上の王室の召喚士が十人がかり召喚するのだぞ。ひょっとして、何か強力なマジックアイテムでも装備しているのか?」
マジックアイテムか。もしかして父のガントレットだろうか。それともサイモンさんから頂いたショートソードだろうか。どちらも強い魔力を持つアイテムだ。
「ガントレットから強い魔力を感じる。それはグラディエーターの装備だろう? 持ち主が長い間、敵や魔物の血を吸わせている間に強力なマジックアイテムになったのだろう。サシャ、何かガントレットから感じなかったか?」
「そうですね。自分自身の魔力が強化されている感じはしました」
「うむ。それはガントレットの効果に違いないだろう。マジックアイテムはどんな物でも何らかしらの効果がある。きっとスケルトンキングは、父上のガントレットの魔力とサシャの心に惹かれて召喚されたのだろう」
幻魔獣のスケルトンキングか。随分強い魔物を仲間に出来たみたいだ。スケルトンキングは俺に惹かれて召喚されたらしい。これから大切に育てなければならない。キングの正体が判明したところで、戦利品の買い取りをお願いしよう。
「アイテムの買い取りをお願いしたいのですが……」
「価値のある物なら何でも買い取るぞ!」
俺はマジックバッグの中から「錆びついたメイス」と「スケルトンの頭骨」を取り出した。ロンダルクさんがアイテムに鑑定の魔法を掛け、道具の性質を測ると、カウンターにお金を出してくれた。メイスは2ゴールド。スケルトンの頭骨は4ゴールドで買い取って頂けた。
「ところで、スケルトンの頭骨を露店で見かけましたが、どの様な用途で使われるんですか? 魔力を感じたので一応保管しておいたのですが」
「魔物の頭骨は召喚士が召喚の際に使うのだ。召喚魔法とは、魔物の体の一部から新たな魔物を生み出す魔法」
「新しく?」
「そうだ。魔物の体の一部。爪でも頭骨でもいい。召喚書の上に魔物の体の一部を置いて魔力を込める。基本的に魔物の召喚は、自分より低レベルの魔物を召喚する。高レベルの魔物は召喚者の命令を聞かないんだ。自分よりも高レベルの魔物を召喚して食い殺された人間だって少なくない」
「召喚書っていうのはロンダルクさんのお店で買えるんですか?」
「ああ。俺の店では取り扱っているぞ。低級召喚書は25ゴールド、中級召喚書は100ゴールド、上級召喚書は1500ゴールドだ」
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「それから、魔物の頭骨は状態が良ければ高い額で買い取る事が出来るぞ」
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