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第一章「冒険者編」
第九話「ゲルストナーの魔法動物店」
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廃坑での狩りではサンダーボルトもヘルファイアも使えない。威力が高すぎて廃坑が崩壊する可能性もあるからだ。今日のところは、魔法を使用せずに武器を使用してスケルトンを狩る事にしよう。少しでも早くキングに追いつくために、率先して廃坑内に巣食うスケルトンと戦闘を行わなければならない。
〈廃坑内〉
予め準備しておいた松明を取り出し、火を点ける。魔物の気配を感じる暗闇をゆっくりと進む。スケルトンと遭遇すれば、ショートソードの一撃で討伐した。既にスケルトン相手なら片手でも勝てるようになり、攻撃に際に魔力を剣に流せば、威力が上がる事も分かった。
暫く坑内を進むと、炭鉱夫達の休憩所だろうか、狭い部屋を見つけた。岩を掘って作られた空間には、朽ち果てたベッドが乱雑に置かれていた。休憩所には背の高いスケルトンが居たので、俺はキングを待機させ、ショートソードを握り締めて気配を消した。ゆっくりとスケルトンとの距離を縮め、剣を振りかぶる。瞬間、スケルトンが振り向いた。
スケルトンは手に持ったメイスで俺の攻撃を受けたが、俺は瞬時にスケルトンの胴体を蹴って距離を取った。スケルトンがメイスを振り上げて攻撃を仕掛けた時、ショートソードでの突きを放ち、骨の体を砕いた。スケルトンとの戦い方もだいぶ分かってきた。
室内を見渡すと、部屋の隅に小さなチェストを見つけた。チェストの中には炭鉱夫の持ち物だろうか、革製の手袋とピッケルが入っていた。状態も良かったので、鞄の中に仕舞っておく事にした。
さて、今日は廃坑の一階に居るスケルトンの退治と廃坑内の探索をしよう。キングのレベルも上げたいし、更にアイテムを集めてお金を作らなければならない。鞄からパンを出してキングと共に食事をした。十分ほど休憩をしてから、廃坑の探索を再開した。
薄暗い坑内を松明片手に進む。それから俺達は廃坑の一階部に巣食うスケルトンを狩り続けた。体に疲労を感じて始めた所で、俺達は今日の狩りを終える事にした。全ての戦利品を鞄に仕舞い、廃坑を後にした……。
〈スケルトンのドロップアイテム〉
・錆びついたメイス×12 メイス×2 錆びついたグラディウス スケルトンの頭骨×15 砕けた骨×15 錆びついた指環 ヒールの魔導書
卵を抱えてキングと共にフィッツ町に戻った。体に多少の疲れを感じるが、廃坑で思ったよりも上手く戦えたので、俺の気持ちは高揚している。魔物を倒して日銭を稼ぎ、好きな仲間と共に暮らす。こんな生活を望んでいたんだ。小さな農村を出て冒険者を目指して正解だった。お陰でキングとも出会えたし、卵も手に入った。
しかし……卵を孵化させる方法が分からない。ただ温めていれば良いのだろうか。魔物の育成の心得も無い訳だから、突然孵化しても困る。まずは孵化させる方法を調べよう。きっと魔物の育成に関する本を読めば知識を習得出来るに違いない。
「キング、ロンダルクさんの店にアイテムを売りに行こうか」
「ワカッタ……」
返事はいつもカタコトだ。キングに言葉を教えるための本も揃える必要がありそうだ。今日も俺達はロンダルクさんの雑貨屋に着た。彼は退屈そうに紅茶を飲みながら本を読んでいたので、買い取りをお願いしてからカウンターにアイテムを並べた。
ヒールの魔導書とグラディウスは売らないでおくつもりだ。グラディウスは父が好んで使用していた武器だから。磨いて装備してみれば、生前の父の戦い方を学べるのではないかと思ったからだ。ロンダルクさんはカウンターの上の品物を鑑定し始めた。十分程待つと、彼はカウンターに代金を置いた。
「全部で175ゴールドだよ。随分沢山アイテムを集めたんだね」
「いつもありがとうございます! はい。廃坑内でスケルトンを狩ったんです」
「狩りは順調という訳かい?」
「そうですね。キングの助けもあるので、効率良く魔物を狩れていますよ」
「そいつは良かった。これからも冒険者として、地域を守るために魔物討伐を頑張るんだよ。冒険者が居るから、魔物と戦う力を持たない人間が安心して暮らせるんだからな」
「はい。お任せ下さい! これからも町を守るために、強くなるために魔物と戦い続けますよ」
ロンダルクさんから代金を受け取って店を出た。まずは卵の孵化の方法についての本を買う必要がある。卵に関することなら「幸運の卵ガチャ」の店で聞いても良いとは思うが、どうもあの店の主人は信用できない。腐敗が始まった卵を100ゴールドで販売している人だからな。魔法動物の飼育に関しては、中央広場にある「ゲルストナーの魔法動物店」の方が信用できるだろう。確か店主のレベルは39だ。飼育士としてはかなりのレベルだろう。
俺とキングはゲルストナーの魔法動物店を目指して歩き始めた。ゲルストナーの魔法動物店はロンダルクの店から三百メートルほど離れた場所にある。暫く町を進むと、目的の店に到着した。店内には魔法動物の標本や魔物の体の一部、爪や牙などが所狭しと並んでいる。きっと卵についての知識もあるに違いない。
店の奥から店主のゲルストナー・ブラックが出てきた。年齢は四十台ほどだろうか。灰色のローブに身を包み、木製の魔法の杖を持っている。肩まで伸びた金色の髪が特徴的だ。
「いらっしゃい。小さいお客さんがこのような店に何の用かな」
開口一番で皮肉を言われた。小さいお客さんか。もう成人しているというのに。大人になってから子供扱いされる事ほど腹の立つ事は無いだろう。確かに俺の見た目は若い。装備も特別高価な物は身に着けていない訳だし。
「卵について聞きたいんですが」
「卵か。連れのスケルトンをよく手懐けているんだな」
「スケルトンではありませんよ。こいつはスケルトンキングです」
「すると、お前さんが最近町で話題になっている幻魔獣の召喚士か? 確か名前は……」
「サシャ・ボリンガーです。俺の事が話題になっているんですか? それは知りませんでした」
「サシャは幻魔獣を連れて旅をしているのだろう? この町の情報通なら誰もが知っているぞ。俺はこの店の店主、ゲルストナー・ブラックだ。レベルは39、育成士だ。主に魔法動物の保護と育成を行っている」
ゲルストナーさんは俺に手を差し伸べた。俺はゲルストナーさんと握手をしながら自己紹介をした……。
〈廃坑内〉
予め準備しておいた松明を取り出し、火を点ける。魔物の気配を感じる暗闇をゆっくりと進む。スケルトンと遭遇すれば、ショートソードの一撃で討伐した。既にスケルトン相手なら片手でも勝てるようになり、攻撃に際に魔力を剣に流せば、威力が上がる事も分かった。
暫く坑内を進むと、炭鉱夫達の休憩所だろうか、狭い部屋を見つけた。岩を掘って作られた空間には、朽ち果てたベッドが乱雑に置かれていた。休憩所には背の高いスケルトンが居たので、俺はキングを待機させ、ショートソードを握り締めて気配を消した。ゆっくりとスケルトンとの距離を縮め、剣を振りかぶる。瞬間、スケルトンが振り向いた。
スケルトンは手に持ったメイスで俺の攻撃を受けたが、俺は瞬時にスケルトンの胴体を蹴って距離を取った。スケルトンがメイスを振り上げて攻撃を仕掛けた時、ショートソードでの突きを放ち、骨の体を砕いた。スケルトンとの戦い方もだいぶ分かってきた。
室内を見渡すと、部屋の隅に小さなチェストを見つけた。チェストの中には炭鉱夫の持ち物だろうか、革製の手袋とピッケルが入っていた。状態も良かったので、鞄の中に仕舞っておく事にした。
さて、今日は廃坑の一階に居るスケルトンの退治と廃坑内の探索をしよう。キングのレベルも上げたいし、更にアイテムを集めてお金を作らなければならない。鞄からパンを出してキングと共に食事をした。十分ほど休憩をしてから、廃坑の探索を再開した。
薄暗い坑内を松明片手に進む。それから俺達は廃坑の一階部に巣食うスケルトンを狩り続けた。体に疲労を感じて始めた所で、俺達は今日の狩りを終える事にした。全ての戦利品を鞄に仕舞い、廃坑を後にした……。
〈スケルトンのドロップアイテム〉
・錆びついたメイス×12 メイス×2 錆びついたグラディウス スケルトンの頭骨×15 砕けた骨×15 錆びついた指環 ヒールの魔導書
卵を抱えてキングと共にフィッツ町に戻った。体に多少の疲れを感じるが、廃坑で思ったよりも上手く戦えたので、俺の気持ちは高揚している。魔物を倒して日銭を稼ぎ、好きな仲間と共に暮らす。こんな生活を望んでいたんだ。小さな農村を出て冒険者を目指して正解だった。お陰でキングとも出会えたし、卵も手に入った。
しかし……卵を孵化させる方法が分からない。ただ温めていれば良いのだろうか。魔物の育成の心得も無い訳だから、突然孵化しても困る。まずは孵化させる方法を調べよう。きっと魔物の育成に関する本を読めば知識を習得出来るに違いない。
「キング、ロンダルクさんの店にアイテムを売りに行こうか」
「ワカッタ……」
返事はいつもカタコトだ。キングに言葉を教えるための本も揃える必要がありそうだ。今日も俺達はロンダルクさんの雑貨屋に着た。彼は退屈そうに紅茶を飲みながら本を読んでいたので、買い取りをお願いしてからカウンターにアイテムを並べた。
ヒールの魔導書とグラディウスは売らないでおくつもりだ。グラディウスは父が好んで使用していた武器だから。磨いて装備してみれば、生前の父の戦い方を学べるのではないかと思ったからだ。ロンダルクさんはカウンターの上の品物を鑑定し始めた。十分程待つと、彼はカウンターに代金を置いた。
「全部で175ゴールドだよ。随分沢山アイテムを集めたんだね」
「いつもありがとうございます! はい。廃坑内でスケルトンを狩ったんです」
「狩りは順調という訳かい?」
「そうですね。キングの助けもあるので、効率良く魔物を狩れていますよ」
「そいつは良かった。これからも冒険者として、地域を守るために魔物討伐を頑張るんだよ。冒険者が居るから、魔物と戦う力を持たない人間が安心して暮らせるんだからな」
「はい。お任せ下さい! これからも町を守るために、強くなるために魔物と戦い続けますよ」
ロンダルクさんから代金を受け取って店を出た。まずは卵の孵化の方法についての本を買う必要がある。卵に関することなら「幸運の卵ガチャ」の店で聞いても良いとは思うが、どうもあの店の主人は信用できない。腐敗が始まった卵を100ゴールドで販売している人だからな。魔法動物の飼育に関しては、中央広場にある「ゲルストナーの魔法動物店」の方が信用できるだろう。確か店主のレベルは39だ。飼育士としてはかなりのレベルだろう。
俺とキングはゲルストナーの魔法動物店を目指して歩き始めた。ゲルストナーの魔法動物店はロンダルクの店から三百メートルほど離れた場所にある。暫く町を進むと、目的の店に到着した。店内には魔法動物の標本や魔物の体の一部、爪や牙などが所狭しと並んでいる。きっと卵についての知識もあるに違いない。
店の奥から店主のゲルストナー・ブラックが出てきた。年齢は四十台ほどだろうか。灰色のローブに身を包み、木製の魔法の杖を持っている。肩まで伸びた金色の髪が特徴的だ。
「いらっしゃい。小さいお客さんがこのような店に何の用かな」
開口一番で皮肉を言われた。小さいお客さんか。もう成人しているというのに。大人になってから子供扱いされる事ほど腹の立つ事は無いだろう。確かに俺の見た目は若い。装備も特別高価な物は身に着けていない訳だし。
「卵について聞きたいんですが」
「卵か。連れのスケルトンをよく手懐けているんだな」
「スケルトンではありませんよ。こいつはスケルトンキングです」
「すると、お前さんが最近町で話題になっている幻魔獣の召喚士か? 確か名前は……」
「サシャ・ボリンガーです。俺の事が話題になっているんですか? それは知りませんでした」
「サシャは幻魔獣を連れて旅をしているのだろう? この町の情報通なら誰もが知っているぞ。俺はこの店の店主、ゲルストナー・ブラックだ。レベルは39、育成士だ。主に魔法動物の保護と育成を行っている」
ゲルストナーさんは俺に手を差し伸べた。俺はゲルストナーさんと握手をしながら自己紹介をした……。
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