召喚物語 - 召喚魔法を極めた村人の成り上がり -

花京院 光

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第一章「冒険者編」

第十一話「冒険者ギルド」

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 本を三冊購入してから肉屋に向かう事にした。キングが乾燥肉を食べたがったからだ。店主に手頃な乾燥肉がないか尋ねてみると、一番安い乾燥肉は3ゴールドだと教えてくれた。乾燥肉を三つ購入して鞄に仕舞った。まだ金銭的には余裕があるので、俺達はシャーローンさんの店で装備を購入する事にした。

「サシャにキングか。いらっしゃい。今日は何を探しているんだい?」
「こんにちは、シャーローンさん! 実は俺とキングのためのグリーヴを探しているのですが……」
「グリーヴか! 直ぐに用意しよう!」

 予算を伝えると、シャーローンさんはグリーヴを二つ持ってきてくれた。足から膝までを覆うタイプの防具だ。軽量化された金属製のグリーヴで、値段は45ゴールドだった。随分と値段が安いのは、駆け出しの冒険者向けにセールをしているからなのだとか。それからグリーヴと同じ素材のガントレットを持ってきて頂いた。グリーヴとガントレット、グラディウスを研くための砥石も購入した。

「色々ありがとうございます! 値段も安いので助かります!」
「セール中は俺の弟子が作ったアイテムを安く放出する事にしているんだ。通常の価格の半額以下だぞ! 暫くセールを続けるから、いつでも見に来てくれ」
「はい! それではまた来ますね」
「うむ。またな」

 シャーローンさんと別れた俺達は、直ぐに宿に戻った。一階部で夕食を頂いてから部屋に戻り、ゲルストナーから頂いた本を読み始めた。早朝から狩りを行っていたからだろうか、猛烈な睡魔に襲われて、俺は本を読みながら眠りに落ちてしまった……。

 ゲルストナーの鑑定により、卵の中身は幻魔獣のハーピーだという事が判明した。しかし、現状で新たな魔物の育てるにはお金が不足している。リーシャ村を出てから、俺は毎日お金の事で悩んでいた。宿に泊まるにもお金が掛かり、食事をするにもお金が掛かる。村で暮らしていた時は衣食住にお金を掛けた事が無かった。今になって母のありがたみを感じる。

 仲間のためにも、自分自身のためにも更にお金を稼ぎ、豊かな生活を送れる様に努力しなければならない。俺の予想では卵は間もなく孵化する。キングの魔力を吸収してから、卵が放つ魔力は日に日に強くなっている。ハーピーの養育費も作らなければならない。早急にお金を稼ぎ、冒険者として名を上げる方法を考えた方が良さそうだ。

 ゆっくり寝ている時間が惜しかったので、俺とキングは早朝に起床し、卵を持ってから一階の食堂に降りた。テーブルに卵を載せ、朝食が配膳されるのを待つ。暫く待っているとシンディさんが現れた。

「おはよう、サシャ」
「おはようございます。シンディさん!」
「サシャ。私、毎日冒険者ギルドであなたの事を待っていたのに、一度もクエストを受けに来ないわね。サシャの事、ずっと待っていたんだから……!」
「え、そうだったんですか? クエストですか……すっかり忘れていましたよ。最近色々忙しかったので」
「そう。今日はクエストを受けに来てくれるよね?」
「そうですね。一度冒険者ギルドでクエストを確認する事にします」
「それがいいわ。せっかく冒険者になったのだから、クエストを受けて大きく稼がないとね!」

 シンディさんは楽しそうに尻尾を振りながら隣の席に座った。近況をシンディさんに報告していると、料理が運ばれてきた。今日の朝食は、クリームソースのスパゲッティとスノウウルフの唐揚げだ。唐揚げには濃厚な甘ダレが掛かっており、唐辛子を少々掛けて食べると、甘みの中に心地良い辛さを感じる。病みつきになる味だ。

「フィッツ町の冒険者ギルドでは、どんなクエストが受けられるんですか?」
「そうね。主に魔物の討伐クエスト。それからアイテムの納品や地域の防衛。魔物と戦闘を行わないクエストもあるから、これからクエストを確認しに行かない?」
「そうですね。食事をしたら冒険者ギルドに行きましょうか」

 キングは卵を膝に乗せながら、唐揚げを頬張っている。俺達は朝の食事を堪能した後、冒険者ギルドに向かった。


〈冒険者ギルド〉

 久しぶりに冒険者ギルドに戻ってきた。初日の冒険者登録以来だろう。シンディさんがギルド内の掲示板に案内してくれた。受注出来るクエストの一覧が表示されている。

・『赤子の子守』 一時間 2ゴールド
・『リーシャ村までの荷物の宅配』 30ゴールド
・『廃坑内のモンスターの討伐』 十体につき350ゴールド
・『フィッツ町の夜警』 六時間 100ゴールド

 廃坑内でのクエストがあったのか。十体魔物を狩るだけで350ゴールドも頂けるとは効率が良い。今日も廃坑でスケルトンを狩る事にしていたので、廃坑内での魔物討伐のクエストを受ける事にした。

「ギルドカードをこの石版にかざしてくれるかな?」
「分かりました」

 シンディさんの指示に従い、カウンターの上の石版にギルドカードをかざすと、クエストの項目が更新された。石版がギルドカードに対して魔力を放出し、魔力の文字を浮かび上がらせる仕組みになっている様だ。ギルドカードには討伐数と、クエストの内容が明記されている。

 魔物を討伐すれば、ギルドカードが命を落とした魔物の魔力を感じ取り、自動的に討伐数としてカウントされる仕組みになっているらしい。クエストを受けた俺達は、今日も廃坑で狩りを行うために町を出た……。
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