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第一章「冒険者編」
第二十七話「獣人の想いと旅の再開」
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「あたしはこんな見た目だから、冒険者の仲間に入れて貰えなかったの。やっとの事で見つけた仲間達は盗賊に命を奪われた。付き合いは短かったけど、いい仲間達だったの」
「そうだったんだね。だけど、見た目を気にする事は無いと思うよ」
「どうして……?」
「俺の仲間にはミノタウロスも居ればガーゴイルも居る。それにホワイトウルフやスケルトンキングだって居るんだ。見た目は重要じゃないんだよ。心が通じ合うかどうか。それが一番大切だと思うんだ」
「そうね……サシャは良い冒険者なの」
「ありがとう。アイリーン」
キングが葡萄酒の入ったゴブレットをアイリーンに差し出すと、彼女は明るい笑みを浮かべて葡萄酒を飲み始めた。どうやらルナもお酒に興味があるのか、ゴブレットに葡萄酒を注いで、飲んでも良いかと尋ねた。精神的には子供だが、体はもう成人している訳だから、お酒を飲むのは構わないだろう。
「ルナ。一杯だけ飲んでも良いよ」
「わかった!」
ルナは葡萄酒を一気に飲み込むと、平気な顔で俺を見つめた。まさか、幻魔獣は酒に酔わないのだろうか? 村の娘達に囲まれているゲルストナーに聞いてみると、幻魔獣も人間と同じように酒に酔うのだとか。しかし、ゲルストナーは随分若い女性から人気があるんだな……。
宴は深夜まで続き、俺は明日からの訓練のために早めに休む事にした。村の中に土の家を建て、ベッドにルナを寝かせた。アイリーンが家の入口に立っている。泊まる場所が無いのだろうか。
「あたしも一緒に居ても良いの……?」
「ああ。勿論だよ」
アイリーンは空いているベッドに横になると、直ぐに眠りに就いた。キングとゲルストナーはまだ村の連中と宴を楽しんでいるようだ。明日も忙しくなるんだ。早めに眠る事にしよう。俺はルナの体を強く抱きしめて目を瞑った……。
今日も朝の四時に起きて訓練を始める事にした。アシュトバーン村を守るスケルトン達にスラッシュを教え、それから二時間ほど剣の稽古をする。稽古が終われば体力を付けるために一時間ほど村の周辺を走りながら、付近に潜んでいる魔物を討伐する。村に戻ってから二時間ほど筋力のトレーニングを行うと、仲間達が目を覚ました。
「おはよう。サシャは何をしているの?」
「おはよう、アイリーン。朝の稽古だよ」
「稽古? 毎日しているの?」
「そうだよ。早は毎日四時間は体を動かす事にしているんだ。幻魔獣の仲間達に追いつきたいからね」
「サシャは努力家なんだね。私も見習わないと……今日はどうするつもりなの?」
「これからアレラ山脈を目指して村を出るつもりだよ」
アイリーンはベッドから起き上がると俺の手を握った。上目遣いで俺を見つめ、俺の手を自分の胸に押し当てた。柔らかい彼女の豊かな胸に俺の手が触れる……。
「私もサシャの仲間になりたい……! 一緒に旅がしたいの」
「アイリーン……だけど俺達はブラックドラゴンとも戦う事になるし。それでもいいなら俺はアイリーンを歓迎するよ」
「勿論。ブラックドラゴンなんて怖くないの」
「アイリーンは強いんだね。俺達の騎士団に歓迎するよ。よろしく、アイリーン」
仲間達が集まると、俺はアイリーンが新たに仲間に加わった事を伝えた。ルナは誰よりもアイリーン加入を喜び、アイリーンを強く抱きしめた。キングとゲルストナーもアイリーンを歓迎している。思いがけない場所で仲間が一人増えた。もし俺達が村の娘を助けなかったら、アイリーンと出会う事も無かっただろう。やはり他人のために働けば相応のメリットがあるんだな……。
村人達は俺達の馬車に食料や葡萄酒を大量に積んでくれた。感謝の気持ちなのだとか。出発の支度を済ませると、俺達は村人達に別れを告げて旅を再開した。ゲルストナーの説明では、アレラ山脈までは一ヶ月ほど馬車を走らせれば着くらしい。ユニコーンの手綱をキングに任せると、更にアイリーンの事を知るために、俺達は自己紹介を始めた。
どうやらアイリーンは故郷の鍛冶職人をしていたらしく、三年前に冒険者になったのだとか。戦闘では斧や槍を使う事が多いらしい。パーティーで戦闘を行う時は、ゲルストナーが最前線で敵の攻撃を受け、俺とルナが彼をサポートしながら戦う。キングは後方から魔法攻撃。どうしてもキングの防御が手薄になっていたので、アイリーンには後衛のキングを守ってもらう事にした。アイリーンのステータスを確認するために、ギルドカードを見る。
『鍛冶職人 LV28 アイリーン・チェンバーズ』
装備:ローブ
魔法:鑑定 シャイニングランス トマホーク
アイリーンの説明によると、トマホークは手斧に魔力を込めた一撃。シャイニングランスは高速の突きなのだとか。アイリーンの様な獣人は、狩りをしながら生活をするため、獲物を感知する能力や、敵の死角から一撃で相手を殺める技術に長けているらしい。俺はアイリーンに守護者のアースランスを渡した。これはルナを守ろうとして偶然作り出した強い力を持つ武器だ。
「これは素晴らしい武器みたい……どうやって作ったの?」
「それはね、サシャがルナを守ろうとして作った物なんだよ」
「うむ。心地良い魔力を感じる。誰かを守ろうとして爆発的な魔力を注いで作り上げた武器なのだろう。これは良いマジックアイテムだ」
アイリーンが鍛冶職人だった事は意外だった。俺はアイリーンと協力して、キングの新装備を作る事にした。俺とルナはフィッツ町で白銀装備を揃えたから問題はないが、キングの防具はブラックドラゴンとの戦闘には耐えられないだろう。
馬車の荷台で土の魔力を使って造形の練習をした。俺は複数の複数のアースランサーを作り出す魔法をアイアンメイデンと名付けた。強度的にはアースランサーの方が勝っているが、アイアンメイデンにも使い道はあるだろう。
「サシャは土なら自由に形を作れるの?」
「そうだね。だんだん魔力で物の形を変えられる様になってきた。この技術を使って装備が作れたら良いんだけど」
「確かクラフトの魔法が使えるんだよね、それなら、溶かした金属を土と同じ要領で形を作れば装備を作れるかもしれないの」
「確かに……金属に魔力を注いで形を作るか」
金属はキングのヘルファイアで溶かし、液体状に溶けた金属を魔力によって形を作り、装備を生み出す。武器や防具の形状についてはアイリーンの指示に従って作れば良い。三人で強力すれば新たな装備も簡単に作れるという事が判明した。
それから暫く馬車を走らせると、森の中に朽ち果てた砦を見つけた……。
「そうだったんだね。だけど、見た目を気にする事は無いと思うよ」
「どうして……?」
「俺の仲間にはミノタウロスも居ればガーゴイルも居る。それにホワイトウルフやスケルトンキングだって居るんだ。見た目は重要じゃないんだよ。心が通じ合うかどうか。それが一番大切だと思うんだ」
「そうね……サシャは良い冒険者なの」
「ありがとう。アイリーン」
キングが葡萄酒の入ったゴブレットをアイリーンに差し出すと、彼女は明るい笑みを浮かべて葡萄酒を飲み始めた。どうやらルナもお酒に興味があるのか、ゴブレットに葡萄酒を注いで、飲んでも良いかと尋ねた。精神的には子供だが、体はもう成人している訳だから、お酒を飲むのは構わないだろう。
「ルナ。一杯だけ飲んでも良いよ」
「わかった!」
ルナは葡萄酒を一気に飲み込むと、平気な顔で俺を見つめた。まさか、幻魔獣は酒に酔わないのだろうか? 村の娘達に囲まれているゲルストナーに聞いてみると、幻魔獣も人間と同じように酒に酔うのだとか。しかし、ゲルストナーは随分若い女性から人気があるんだな……。
宴は深夜まで続き、俺は明日からの訓練のために早めに休む事にした。村の中に土の家を建て、ベッドにルナを寝かせた。アイリーンが家の入口に立っている。泊まる場所が無いのだろうか。
「あたしも一緒に居ても良いの……?」
「ああ。勿論だよ」
アイリーンは空いているベッドに横になると、直ぐに眠りに就いた。キングとゲルストナーはまだ村の連中と宴を楽しんでいるようだ。明日も忙しくなるんだ。早めに眠る事にしよう。俺はルナの体を強く抱きしめて目を瞑った……。
今日も朝の四時に起きて訓練を始める事にした。アシュトバーン村を守るスケルトン達にスラッシュを教え、それから二時間ほど剣の稽古をする。稽古が終われば体力を付けるために一時間ほど村の周辺を走りながら、付近に潜んでいる魔物を討伐する。村に戻ってから二時間ほど筋力のトレーニングを行うと、仲間達が目を覚ました。
「おはよう。サシャは何をしているの?」
「おはよう、アイリーン。朝の稽古だよ」
「稽古? 毎日しているの?」
「そうだよ。早は毎日四時間は体を動かす事にしているんだ。幻魔獣の仲間達に追いつきたいからね」
「サシャは努力家なんだね。私も見習わないと……今日はどうするつもりなの?」
「これからアレラ山脈を目指して村を出るつもりだよ」
アイリーンはベッドから起き上がると俺の手を握った。上目遣いで俺を見つめ、俺の手を自分の胸に押し当てた。柔らかい彼女の豊かな胸に俺の手が触れる……。
「私もサシャの仲間になりたい……! 一緒に旅がしたいの」
「アイリーン……だけど俺達はブラックドラゴンとも戦う事になるし。それでもいいなら俺はアイリーンを歓迎するよ」
「勿論。ブラックドラゴンなんて怖くないの」
「アイリーンは強いんだね。俺達の騎士団に歓迎するよ。よろしく、アイリーン」
仲間達が集まると、俺はアイリーンが新たに仲間に加わった事を伝えた。ルナは誰よりもアイリーン加入を喜び、アイリーンを強く抱きしめた。キングとゲルストナーもアイリーンを歓迎している。思いがけない場所で仲間が一人増えた。もし俺達が村の娘を助けなかったら、アイリーンと出会う事も無かっただろう。やはり他人のために働けば相応のメリットがあるんだな……。
村人達は俺達の馬車に食料や葡萄酒を大量に積んでくれた。感謝の気持ちなのだとか。出発の支度を済ませると、俺達は村人達に別れを告げて旅を再開した。ゲルストナーの説明では、アレラ山脈までは一ヶ月ほど馬車を走らせれば着くらしい。ユニコーンの手綱をキングに任せると、更にアイリーンの事を知るために、俺達は自己紹介を始めた。
どうやらアイリーンは故郷の鍛冶職人をしていたらしく、三年前に冒険者になったのだとか。戦闘では斧や槍を使う事が多いらしい。パーティーで戦闘を行う時は、ゲルストナーが最前線で敵の攻撃を受け、俺とルナが彼をサポートしながら戦う。キングは後方から魔法攻撃。どうしてもキングの防御が手薄になっていたので、アイリーンには後衛のキングを守ってもらう事にした。アイリーンのステータスを確認するために、ギルドカードを見る。
『鍛冶職人 LV28 アイリーン・チェンバーズ』
装備:ローブ
魔法:鑑定 シャイニングランス トマホーク
アイリーンの説明によると、トマホークは手斧に魔力を込めた一撃。シャイニングランスは高速の突きなのだとか。アイリーンの様な獣人は、狩りをしながら生活をするため、獲物を感知する能力や、敵の死角から一撃で相手を殺める技術に長けているらしい。俺はアイリーンに守護者のアースランスを渡した。これはルナを守ろうとして偶然作り出した強い力を持つ武器だ。
「これは素晴らしい武器みたい……どうやって作ったの?」
「それはね、サシャがルナを守ろうとして作った物なんだよ」
「うむ。心地良い魔力を感じる。誰かを守ろうとして爆発的な魔力を注いで作り上げた武器なのだろう。これは良いマジックアイテムだ」
アイリーンが鍛冶職人だった事は意外だった。俺はアイリーンと協力して、キングの新装備を作る事にした。俺とルナはフィッツ町で白銀装備を揃えたから問題はないが、キングの防具はブラックドラゴンとの戦闘には耐えられないだろう。
馬車の荷台で土の魔力を使って造形の練習をした。俺は複数の複数のアースランサーを作り出す魔法をアイアンメイデンと名付けた。強度的にはアースランサーの方が勝っているが、アイアンメイデンにも使い道はあるだろう。
「サシャは土なら自由に形を作れるの?」
「そうだね。だんだん魔力で物の形を変えられる様になってきた。この技術を使って装備が作れたら良いんだけど」
「確かクラフトの魔法が使えるんだよね、それなら、溶かした金属を土と同じ要領で形を作れば装備を作れるかもしれないの」
「確かに……金属に魔力を注いで形を作るか」
金属はキングのヘルファイアで溶かし、液体状に溶けた金属を魔力によって形を作り、装備を生み出す。武器や防具の形状についてはアイリーンの指示に従って作れば良い。三人で強力すれば新たな装備も簡単に作れるという事が判明した。
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