召喚物語 - 召喚魔法を極めた村人の成り上がり -

花京院 光

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第一章「冒険者編」

第四十六話「少女との出会い」

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「町長、お久しぶりです。新しい騎士団の仲間を連れて来ましたよ」
「アリス・ラドフォードです」
「セシリア・ラドフォードです」
「フィッツ町の町長、ルシウス・アルバーンです」
「ボリンガー様、今日は宴にしないか? 新しい仲間も増えたんだ。盛大に祝おう」
「それは良いアイディアですね。是非私の屋敷を使って下さい! 直ぐに宴の準備をしましょう」
「ありがとうございます。アリス、セシリア、ミノタウロスと町長の手伝いを頼んだよ」
「分かりました!」

 ラドフォード姉妹をミノタウロスに任せると、久しぶりにロンダルクさんの店に顔を出す事にした。


〈ロンダルクの雑貨店〉

「ロンダルクさん、お久しぶりです!」
「サシャじゃないか! 久しぶりだな! 上空から只ならぬ魔力を感じたと思ったが……今日帰ってきたのか?」
「はい、ついさっき戻ってきたんです」
「また力を付けた様だな、それに、隣に居るのは魔族か……? 全く、サシャはどこまで強くなるんだか……」
「あれから仲間も増えて、旅は順調なんですよ。今はアレラ山脈を越えるための準備をしています」
「山脈超えか。すると、幻獣のブラックドラゴンと戦うという訳か。きっとサシャなら負けはしないだろう」

 ロンダルクさんは微笑みながら俺の肩に手を置いた。久しぶりに店内を見て回り、召喚書を買い足した。それから、今日の夜の宴の事を伝えると、彼は二つ返事で了承した。

「それではまた夜に会いましょう!」
「うむ。また後でな」

 今日は久しぶりに冒険者ギルドの宿に泊まる事にしよう。冒険者ギルドのシンディさんも宴に誘わなければならないな。俺はクーデルカとルナと連れて、久しぶりに冒険者ギルドに向かった……。


 冒険者ギルドに入ると、室内は冒険者達で溢れていた。以前訪れた時よりも冒険者の数が多いのは気のせいだろうか。

「サシャ・ボリンガー様だ!」
「ボリンガー様って、幻獣のユニコーンを召喚した人?」
「そうだよ。フィッツ町を配下に入れて下さったお方さ。町が彼の配下に入ってからは、盗賊や魔物が町を襲う事もなくなったんだ」

 この町では既に俺の面が割れているらしい。ギルド内の冒険者が一斉に俺達に駆け寄ってきた。どうやらミノタウロス達の活躍により、フィッツ町はより安全な都市に生まれ変わった様だ。これも召喚獣達のお陰だ、後でミノタウロスを褒めてあげよう。

 それから俺はシンディさんを宴に誘った。彼女は嬉しそうに俺の手を握り、必ず参加すると言ってくれた。せっかくだから冒険者達も宴に招待しよう。騎士団の団員と共に、冒険者としてフィッツ町を守ってくれている人達だからな。

「皆さん、俺はボリンガー騎士団、団長、幻魔獣の召喚士、サシャ・ボリンガーです。実は今日の夕方に、町長の屋敷で宴を開く事になりました。ボリンガー騎士団が料理とお酒を提供しますので、良かったら皆さんも参加して下さい」
「え? ただでお酒が飲めるんですか?」
「はい! 皆さんにはいつも町を守って貰っていますから、この機会におもてなしをさせて下さい」
「ありがとうございます! 俺達は全員参加で良いよな?」
「ああ! 行くしか無いだろう。レベル90の冒険者と同じ席で酒を飲めるんだぜ!」
「それでは夕方の五時頃に町長の屋敷でお待ちしていますね!」

 冒険者達が大いに盛り上がると、俺はギルド内で一人だけ居心地の悪そうにしている少女を見つけた。青く美しい髪に、宝石の様に澄んだ青い目。年齢は十二歳程だろうか。手には木製にワンドを持っており、ワンドを両手で握り締めると、少女は顔を赤らめながら席を立った。ゆっくりと俺の方に近づいて来ると、顔を上げて俺を見つめた。魔術師なのだろうか。清らかな魔力を感じる。

「ボリンガー様。あの……」
「どうしたの? 俺に何か用かな?」
「あの……その……」
「何か言いにくい事でもあるのかな?」
「弟子にして下さい……」
「え? なんだって?」
「私を弟子にして下さい!」

 少女は急に大声を出して俺の弟子にしてくれと頼んだ。俺は弟子を取るほど優れた冒険者ではない。俺が教えられる事も少ないだろう……。
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