召喚物語 - 召喚魔法を極めた村人の成り上がり -

花京院 光

文字の大きさ
47 / 188
第一章「冒険者編」

第四十七話「旅の仲間と召喚士の誓い」

しおりを挟む
「サシャ。この子、弟子になりたいんだって」
「サシャの弟子になりたいなんて、大胆な女の子ね。だけど私は大胆な人が好きよ」
「二人共、俺は弟子を取れる様な人間じゃないよ。俺自身、つい最近まで村人だったんだから」
「ですが……ボリンガー様は幻魔獣や幻獣を召喚し、騎士団を作りあげ、フィッツ町とアシュトバーン村を配下に入れたではありませんか。私はボリンガー様の様な召喚士になりたいんです……」
「買いかぶりすぎだよ。俺はまだ駆け出しの冒険者。毎日の訓練だけでも忙しいし、他人に教えられる程の技も知識も無いんだ」

 俺がそう断ると、少女は涙を流して俯いた。ルナが少女の頭を撫でると、クーデルカが小声で「話だけ聞いてみましょう」と言った。まずは食事でもしながら、ゆっくりと話を聞いてみよう。

「昼食を食べに行こうか。冒険者ギルドの隣にある宿の料理が絶品なんだ」
「はい……」

 少女は緊張した表情で俺を見つめ、ルナは少女の手を握ってギルドを出た。ルナから他人に触れるなんて、珍しい事もあるんだな。幻魔獣が認めた魔術師か……。

 それから俺達は宿に移動すると、肉料理と葡萄酒を注文した。葡萄酒を一口飲み、少女に料理を差し出すと、ゆっくり食べ始めた。俺が弟子を取るのか……これからブラックドラゴンが巣食う山脈を超えなければならないのに。強さすら分からない少女を弟子にするのは危険過ぎる。

「私はクーデルカ・シンフィールドよ。あなたの名前は?」
「申し遅れました。私はクリスタル・ニコルズと申します」
「俺はサシャ・ボリンガー。この子はハーピーのルナだよ」
「急に弟子になりたいなんて言ってしまって、ごめんなさい……私はボリンガー様の召喚魔法に憧れているんです」
「クリスタルって呼んでも良いかな。どうして俺の弟子になりたいのか、聞いても良いかな?」

 クリスタルはゆっくりと肉料理を食べ、決心した様に俺を見つめた。ルナの様な素直な目つきだ。魔力の雰囲気も悪質なものではなく、信頼出来そうな人物だ。

「ボリンガー様が町で幻獣のユニコーンを召喚したところを見たんです。私も召喚獣と共に旅をしたいと思っているんです」
「召喚獣と共に旅か……だけど、自分の召喚獣を守るためには力も必要だし、お金も必要なんだよ。自分の寝る時間を削って、仲間を守るために訓練を積む。旅は楽しい事ばかりじゃないんだ」

 召喚獣と共に旅をして、人生で何を成し遂げたいか聞いてみよう。一番重要な質問だ。この質問の答えが、もし人を傷つけたり、人の助けにならない答なら、俺が彼女を弟子にする事はないだろう。そもそも、俺にとって弟子を取るメリットが無い。自分自身の鍛錬だけでも、寝る時間を削って早朝から訓練をしているというのに……。

「私は幼い頃に両親を亡くしました。両親が亡くなってから、今日まで冒険者の皆様に守って頂いていました。私はお世話になった冒険者様の役に立てるような人間になりたいのです!」
「冒険者を守るために召喚魔法を学ぶという事かい?」
「はい……! 私はボリンガー様の様な強い召喚士になりたいんです! 力を付けて他人を守れる召喚士になるのが目標なんです」
「誰かを守るために強くなりたいと思うのは良い事だと思うよ。俺達はアルテミス王国を目指している。旅の途中で命を賭けて戦う事もあるだろう。自分よりも遥かに強い幻獣や、盗賊等と戦う事もあると思う。もしかしたら、俺自身、旅の途中で命を落とす可能性もあるんだ」
「覚悟なら出来ています……命を賭けて最高の召喚士になるために生きます!」
「そうか……俺と同じ目標を持っているんだね。俺がクリスタルに教えられる事は少ないと思うけど、俺はクリスタルを弟子として育てる事を約束するよ」
「本当ですか? ボリンガー様!」
「ああ。ボリンガー騎士団へようこそ! 歓迎するよ、クリスタル」

 クリスタルは嬉しそうに涙を流した。ルナが微笑みながらクリスタルの頭を撫でている。まさか俺が弟子を取る事になるとは。それから俺はクリスタルに対し、ボリンガー騎士団の活動や、団員の情報などを説明した。しばらくすると宴の準備が整った様だ。アリスとセシリアが迎えに来てくれたので、俺達はクリスタルを彼女達に紹介した。

 冒険者ギルドでシンディと合流してから、ロンダルクさんを迎えに行き、町長の屋敷へ向かった……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

処理中です...