召喚物語 - 召喚魔法を極めた村人の成り上がり -

花京院 光

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第二章「王国を目指して」

第七十四話「サシャとゲルストナー」

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 将来の目標がはっきり決まっているから、努力する事が面白い。俺は大陸で最強の冒険者になり、魔物と人間が暮らせる村、騎士団の本拠地を作る。これが俺の人生の目標だ。目標を達成するためなら、寝る時間を削ろうが、体を限界まで鍛え込もうが、苦しくはない。生きる目標を持っているからこそ、努力するための活力が湧いてくる。

 村に居た頃は村人達に守られ、家に居れば母が食事を用意してくれたが、今は自分一人で全てを賄わなければならない。仲間が満足に食事を食べられるように、積極的にクエストを受け、地域を守りながら魔物を狩り続ける。強くなるためにひたすら剣と魔法の訓練を続ける。俺が望んでいたのはこんな生活だったんだ。仲間が誇れる団長にならなけらばならないな……。

「師匠。今日はこの辺りで野営をしませんか?」
「そうしようか」

 森の中で開けた場所を見つけたので、馬車を停めて野営の準備を始めた。いつも通り、俺はアースウォールの魔法で家を作り、キングはワイバーンの背中に乗って獲物を探しに行った。クリスタルとゲルストナーは夕食の支度をし、クーデルカはアイリーンと稽古をしている。

 家造りが終わると、俺は剣の稽古をする事にした。デュラハンから授かった力を使ってみたかったからだ。それに、エンチャントの練習もしたい。

「ゲルストナー! 稽古に付き合ってくれるかな?」
「うむ。良いだろう」

 ゲルストナーと剣を交えるのは随分久しぶりだ。レイリス町で模擬戦を行っていた頃は、毎日の様に剣を交えていたが、最近ではキングと稽古をする事が多かったからな。

「サシャ! いつでも来い!」

 ゲルストナーの防御の構えは隙が無い。大きな体に立派なメイル。長く伸びた美しい金色の髪が風になびき、周囲にはゲルストナーの魔力が流れている。武器を構えている姿がこれ程まで絵になる男はゲルストナー以外に居ないだろう。俺達が稽古を始めると、仲間達が集まって来た。

 俺は大剣を両手で構え、魔力を込めて切りかかった。戦士の基本的な剣技であるスラッシュを放つと、ゲルストナーは俺の剣を受けずに後方に一歩下がり、ロングソードを構えてハックを放ってきた。隙きの無い構えからの高速の突きは、受けるだけで精一杯だ。ゲルストナーの攻撃を間一髪の所で受け、大剣を頭上高く振り上げ、垂直斬りを放つ。ゲルストナーはいとも簡単に俺の剣を受けると、俺の腹部に蹴りを放った。

 やはりゲルストナーは強い。魔力を込めた一撃でさえも、簡単に受け止めてしまう。攻撃の威力なら俺の方が上だろうが、経験が違う。それに、筋力もあるからだろう。彼の剣は一撃が非常に重く、受け止めるだけで体の筋肉を総動員させなければならない。

 俺は新しく覚えたエンチャントを使う事にした。サンダーボルトのエンチャントだ。両手から雷の魔力を放出して大剣に流し込む。新たに習得したエンチャントを使い、ゲルストナーを倒してみせる……。
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