召喚物語 - 召喚魔法を極めた村人の成り上がり -

花京院 光

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第二章「王国を目指して」

第百四話「勇者の資格」

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 俺は肩の上にシルフを乗せて食事を始めた。シルフのために料理を小さく切って渡す。体が小さいから人間の料理は上手く食べられない様だ。

 クリスタルはガーゴイルを膝の上に乗せ、幸せそうに食事をしている。俺は葡萄酒を飲みながら、そんな仲間の様子を眺めている。こうして仲間と食事を出来るのも最後かもしれないな。生きて戻れる保証はないんだ。仲間と過ごせる時間を大切にしよう。

「サシャ。そう思いつめるな。魔王はまだ動き出していないのだろう?」
「それはそうだけど、いつ動き始めるかも分からないし、敵の強さも分からないんだ……」
「サシャ。今までの自分の訓練を信じるんだ。自分と仲間の力を信じ、必ず勝てると思うしかないだろう。正直に言えば、俺はブラックドラゴンとの戦いが恐ろしかった。だが、サシャが居れば必ず勝てると思ったんだ」
「そうだったんだね……」
「うむ。自分と仲間を信じて生きるしかない。魔王は大陸の歴史上、様々な姿で大陸を支配しようとしてきた。実際に魔王に支配されていた時代もある。今より八百年以上も前の時代だがな。しかし、いつの時代にも強い力を持つ者が魔王を討伐してきた。彼等は勇者と呼ばれ、幻魔獣をも凌駕する魔法と戦闘技術を持っていた……」

 魔王とは不当に人間を殺め、大陸の支配を試みる者。アルテミス大陸の歴史上、何度か魔王に支配されていた時代があったらしいが、俺が生きている時代に魔王が生まれるとは不運だな。

 前向きに考えるなら、魔王討伐を成功させれば、真に一流の冒険者になれる。「幻魔獣の召喚士」などという分不相応の称号も、大陸で最高と呼ばれているレベルも、本当の俺の力ではない。旅の間に鍛えた剣の技術と土の魔法、キングから教わった炎と雷で魔王を討つ。俺が生きている時代に、大陸の支配なんてされてたまるか。

「サシャ。俺はお前さんが勇者になるに相応しい人間だと思っているぞ。幻獣のブラックライカンやブラックドラゴンを倒し、盗賊に捕らわれた娘を救出したな。地域を守るために、フィッツ町とアシュトバーン村を配下に居れ、奴隷市では不当に捕らわれた奴隷を開放したな。今までの功績を考えても、俺はサシャが勇者なのではないかと思う時がある」
「そんな、買いかぶり過ぎだよ」
「俺は事実を言っているまでだぞ。俺が十五歳の時とは大違いだ。幻獣や幻魔獣を従え、魔王討伐に乗り出すのだからな。サシャよ、勇者になれ。お前なら出来る」
「分かったよ。俺が魔王を倒す」

 俺がそう言うと、仲間達は大いに盛り上がった。キングは俺の肩に手を置いて微笑んでいる。キングとも暫く別れる事になるのは寂しいな。

 それから俺達は豪華な夕食に舌鼓を打つと、各自の部屋に戻った。俺はシルフとルナを連れて風呂に入る事にした。小さなシルフの体を丁寧に洗い、ルナの翼を石鹸を付ける。二人の体を洗ってから、ゆっくりと湯に浸かって疲れを癒やす。

 まだ旅の疲れもとれていないのに、明日からは魔王城を目指して移動を始める。こんな幸せな時間が続けば良いのだが、魔王との戦いを考えると憂鬱になる。部屋に戻ると、アイリーンは寂しそうに俺を見つめた。

「今日はあたしもサシャと一緒に寝るの」
「そうしようか」

 クーデルカはアイリーンを連れて風呂に入ると、俺はルナとシルフの髪を乾かしながらクーデルカ達を待った。それからクーデルカとアイリーンの髪も拭いてあげると、俺達は五人で一つのベッドに入り、これまでの旅の話や、これから作る本拠地について話し合った……。
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