魔法物語 - 倒したモンスターの魔法を習得する加護がチートすぎる件について -

花京院 光

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第十九話「遺跡への旅」

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 ファッシュさんの店を出た俺達はすぐに仲間達と合流した。
 ララとギレーヌは大量の食料を抱えている。
 グレゴールさんは知人から馬を借りて来たそうだ。
 風属性の白馬を牽いている。

「皆、早速デュラハン討伐に向かおう」

 グロスハイムの北口から出た後、俺はゲオルグを召喚した。
 ゲオルグにデュラハン討伐に向かう事を伝えると、彼も戦闘に参加したいと目を輝かせた。
 グレゴールさんが用意した馬に荷物を載せ、溶解炉を牽かせる。
 道中では魔法と剣の訓練をし、モンスターを積極的に倒して新たな魔法を習得するつもりだ。
 使い勝手が良い魔法を習得出来れば、デュラハンやグリムリーパーと有利に戦えるからな。

 デュラハンが最後に確認された場所は、グロスハイムから徒歩で十日の距離にある遺跡だ。
 遺跡は魔法都市の北口を出て道なりに進めば良いのだとか。
 グロスハイムから東側、フリッツ村方面には低レベルのモンスターが生息しているが、北側と南側の地域には、レベル10を超えるモンスターが多いのだとか。
 敵が強いという事は、強いモンスターの素材を入手出来るのだから都合が良い。

「ギレーヌ、モンスターの素材を手に入れたらどんなアイテムを作るつもり?」

 ララがギレーヌを見上げながら質問した。

「そうね……まずは駆け出しの冒険者のための剣と盾を作ろうかな」
「ギレーヌが製作したアイテムは、俺が適正な価格で捌こう」
「しかし、パーティーに職人と商人が居るのは心強いですよ。ギレーヌ、グレゴールさん、俺のパーティーに入ってくれて本当にありがとうございます!」

 俺は改めて二人にお礼を述べた。
 パーティーのリーダーとして、仲間達が豊かな生活を送れるように働こう。

「こちらこそありがとう。私、いつかきっとフォルスターで魔法道具屋を建てるんだ」
「アルフォンス。こんな落ちぶれた俺と手を組んでくれた事、本当に感謝している。俺はもしかするとアルフォンスを利用していたのかもしれないな……しかし、俺は商人だ。手を貸してくれる仲間の生活を豊かに出来るように、最大限努力するつもりだ」
「頼もしい仲間に囲まれて、俺は幸せですよ。いつも俺を支えてくれてありがとうございます」

 俺は仲間達を見つめた。
 ララは穏やかな笑みを浮かべて俺を見上げている。
 俺はララのモフモフした頭を撫でると、彼女は俺の手に頬ずりをした。
 エキドナは相変わらず心地良さそうに眠っている。
 俺はエキドナの頭を撫でると、彼女はとても小さな声で俺に話しかけた。

「名前を付けて……」
「あ、そうか。まだ名前がなかったのか」
「うん……」

 この子に名前を付けなければならないな。
 一体どんな名前が良いだろうか。
 ルナ? アイリーン? クーデルカ?
 そうだ、ヴィクトリアなんて名前が良いのではないだろうか。

「君の名前はヴィクトリアで良いかな?」

 俺が尋ねると、エキドナは嬉しそうに頷いた。
 まだまだ幼いが、既に俺と会話を出来るほど知能が高い。
 もしかするとリーゼロッテと同等、それ以上の知能を持つ生き物なのかもしれない。
 ファッシュさんの説明によると、エキドナはドラゴン以上の魔力を持つモンスターらしいからな。

 リーゼロッテは俺の肩の上に座り、俺の頭を両手で抱いている。
 そろそろリーゼロッテを肩車するのが厳しい体重になってきたな。
 リーゼロッテは俺の鞄の中から乾燥肉を取り出し、ヴィクトリアに差し出した。
 既にヴィクトリアはリーゼロッテに心を許したのか、リーゼロッテの手から食料を受け取って食べる事に抵抗は無いようだ。
 あまり他人から触れられる事が好きでは無いのか、俺とリーゼロッテとララ以外には心を許さない。

 グロスハイムを出発してから三時間程が経過した。
 そろそろ休憩する事にしよう。

「アルフォンス。私はもう疲れたよ……」
「大丈夫かい? ギレーヌ。あまり無理はしないようにね。疲れたらすぐに教えてくれよ。俺はまだ仲間の体力を把握出来ていないから」
「ありがとう。私、元々あまり外には出ない生活をしていたから、こうして歩いているだけで結構体力を消耗するの」
「グロスハイムに来る前はどんな生活をしていたんだい?」

 ギレーヌは森の木陰に座り込み、水筒の水を一口飲んだ。
 森の中に差し込む光がギレーヌの紫色の髪に当たり、何とも言えない美しさを醸し出している。

「私は田舎の村で両親が営む魔法道具屋を手伝っていたの。この溶解炉はお父さんが魔法道具屋を引退する時に私にくれた物」
「魔法道具屋か。俺の実家も道具屋なんだよ。魔術師のためのアイテムを取り扱う道具屋さ。幼い頃から店に来る魔術師のお客さんと話しているうちに、俺も魔術師になりたいと思ったんだ」
「そうなんだね。私は両親が魔法道具を作るところを見ながら育ったから、私も魔法道具の製作師になりたいと思った。なんだか私達って境遇が似ているね」
「そうだね……お互い夢に向かって頑張ろう」

 俺もララもギレーヌも、十五歳で故郷を離れ、グロスハイムを目指した。
 魔術師を目指す俺は、魔法都市で魔術師として登録するために。
 魔法道具屋を目指すギレーヌは、魔法都市で自分の店舗を構えるために。
 一流の魔法剣士を目指すララは、グロスハイムの近辺の強力なモンスターを狩り、剣の腕を磨くために。

 俺はヴィクトリアに食事を食べさせながら、ギレーヌと話をしていると、森の中から強い殺気を感じた。
 急いで剣を抜くと、書物の中でしか見た事がない悍ましいモンスターが現れた。
 皮膚は黒く、背中には黒い翼が生えており、頭には二本の赤い角が生えている。
 闇属性、平均レベル10、レッサーデーモンに違いないだろう。
 不気味に光る血走った目で俺を睨みつけている。
 人間を襲う低級の悪魔だ。

 森の中からは三体のレッサーデーモンが姿を現した。
 ギレーヌは敵の姿を見るや否や、急いでグレゴールさんの元に走った。
 グレゴールさんは剣を抜いてすぐにエンチャントを掛けた。
 彼のロングソードには、強い雷の魔力が纏っている。

 レッサーデーモンは腰に差している剣を抜くと、宙に飛び上がって攻撃を仕掛けてきた。
 新たなモンスターを狩れるとは都合が良い。
 モンスターを狩れば狩るほど魔法を習得出来るのだからな。

 俺はブロードソードを引き抜き、火のエンチャントを掛けた。
 白金の剣の表面から、強い炎が発生した。
 レッサーデーモンは俺の頭上から急降下して攻撃を仕掛けて来たが、俺は敵の攻撃を受けずに、瞬時に後退した。

 敵が空を飛べるとは厄介だな……。
 レッサーデーモンは急降下をして攻撃を仕掛け、攻撃が外れたらすぐに上昇して俺達の攻撃が届かない範囲に逃げた。
 面倒な戦い方だな……。
 俺は左手を空に向けた。

「メテオストライク!」

 魔法を唱えた瞬間、宙を楽しそうに舞うレッサーデーモンの背中に、炎を纏う岩が直撃した。
 レッサーデーモンは突然の攻撃に反応出来ずに、地面に落下した。
 俺はその隙きを見逃さなかった。
 剣に掛けたエンチャントを最大限までに強化し、レッサーデーモンの頭部に垂直斬りを放った。
 静かな森に強烈な爆発音が劈いた。
 俺の剣はいつの間にこんなに強くなっていたのだろう……。
 俺の剣がレッサーデーモンの頭部を捉えるや否や、剣は強く爆発して一撃でレッサーデーモンを吹き飛ばした。
 まずは一体。

 仲間を殺されたレッサーデーモンは標的を俺に定めたのか、俺に剣を向けながら急降下してきた。
 まずいな……流石に二体の攻撃を同時に防ぐ事は出来ない。
 瞬間、ゲオルグが一瞬でレッサーデーモンの背後に飛び上がり、ダガーをレッサーデーモンの翼に突き立てた。
 ゲオルグのダガーによって翼を切り裂かれたレッサーデーモンは、力なく地面に落下すると、リーゼロッテの氷の魔法によって氷漬けにされた。
 信じられない威力だな。
 自分よりも遥かに体が大きい敵を一撃で氷漬けに出来るとは。
 ララとグレゴールさんは、二人で協力してレッサーデーモンを討伐した。

「ゲオルグ。助かったよ! ありがとう」
「うむ。レッサーデーモンなど、俺の敵ではない」

 俺の従魔はやはり頼れる最高の仲間だ。
 ゲオルグやレッサーデーモンの装備を剥ぎ取ると、馬に乗せた。
 俺はレッサーデーモンを倒した事によって、新たな魔法を習得したのだろうか。
 ギルドカードを見て、習得した魔法を確認しよう。

 新しく習得した魔法は「ドレイン」という魔法だった。
 ララの説明によると、敵の体力を吸収する魔法なのだとか。
 対象に触れた状態で魔法を使うと、対象の体力を奪えるのだとか。
 使い所が難しい魔法だな。
 試しにレッサーデーモンの死骸に触れて魔法を使用する事にした。

「ドレイン」

 魔法を唱えると、わずかだが体力が回復した。
 しかし、対象が既に命を落としているからだろうか、ほとんど効果は感じられない。
 次は生きているモンスター相手に使ってみる事にしよう。
 レッサーデーモンとの戦闘を終えた俺達は、素材を回収してから再び移動を始めた……。
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