魔法物語 - 倒したモンスターの魔法を習得する加護がチートすぎる件について -

花京院 光

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第二十話「従魔」

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 ギレーヌはレッサーデーモン角を切り落とした。
 一体につき二本の角が取れる。
 六本の赤い角を回収すると、早速この角を使って指輪を作る事になった。

 ギレーヌはグロスハイムで用意しておいた金属を取り出した。
 銅と銀だ。
 溶解炉の中にレッサーデーモンの角と金属を入れ、その状態で魔力を込めると、金属は次第に溶け始めた。
 金属が溶けて液体状になった時、ギレーヌは両手を溶解炉に向けて魔力を込めた。

「クラフト」

 ギレーヌが魔法を唱えた瞬間、液体状に溶けた金属は小さな指輪に変化した。
 今回製作した魔法道具は、指輪を装備した状態で対象に物理攻撃を成功させると、対象の体力を奪う効果があるのだとか。
 指輪の名前はドレインの指輪。
 指輪は全部で六つだ。

 しかし、クラフトの魔法は便利な技術だ。
 魔力を込めるだけで、望む形状の魔法道具を作れるのだからな。
 狩りで得た素材は全てギレーヌの物になり、ギレーヌが製作したアイテムが売れた場合、代金をメンバーで山分けする事に決まった。
 素材以外の戦利品に関しては、基本的に平等に分配する事にした。

 レッサーデーモンを討伐た俺達は、ゆっくりと遺跡を目指して歩き始めた。
 レッサーデーモン三体で指輪が六つか……。
 案外グロスハイムに戻る頃には、大量の商品を持って戻る事になるかもしれないな。
 商品さえあれば、グレゴールさんが適切な価格で捌けるのだから、今は商品の数が必要だ。
 グロスハイムに持ち帰るアイテムは一つでも多い方が良い。
 だが、ギレーヌが今回持ってきた金属では、製作出来るアイテムの数は限られている。 
 資金があれば、予め大量の金属を購入し、モンスター討伐に向かうのだが、今の俺達は金銭的には余裕がない。

 今回のデュラハン討伐の旅で、より多くのモンスターを狩り、アイテムと素材を集めなければならない。

 俺はいつものように魔法を唱えながら遺跡までの道を歩いている。
 右手にはファイアの魔法を、左手にはアースの魔法を発生させている。
 左右の手で異なる属性の魔法を使う事により、俺の魔力は急速に消費されている。
 同じ属性の魔法を二種類同時に使うよりも、別々の属性の魔法を使用した方が、魔力の消耗が激しい事に気が付いたからだ。

 徹底的に魔法を練習し、魔力が枯渇すればアンジェラさんが作ってくれたマナポーションを口に含む。
 魔力が回復すれば、すぐに魔法の練習を再開し、己の魔力を使い込む。
 毎日ひたすら魔法を使用しているからだろうか、俺は仲間の体から感じる魔力の雰囲気にも敏感になりつつある。
 この世界全ての生命は、魔力を持って生まれる。
 魔力を一切持たない生命は存在しない。

 リーゼロッテに触れれば、火照った体を冷ますような心地の良い魔力を感じ、ララに触れれば、力強くも俺を受けいてれくれるような優しい風を感じる。
 魔力の雰囲気、波長は人によって異なる。
 一人として同じ魔力を感じる人間は居ないのだとか。

 ギレーヌは基本的な属性魔法なら全て使用出来るのだとか。
 一種類の属性に特化している訳では無いが、火、水、地、風の魔法が使えるらしい。
 グレゴールさんは雷、ゲオルグは地属性に特化している。

 だが、不思議な事にヴィクトリアの体からはこれといった属性を感じない。
 まるでかつての俺の様だ。
 俺は虚無の属性。
 魔力自体は体内に秘めていても、魔法を使う事は出来なかった。

 グロスハイムを出てから七時間程が経過しただろうか。
 今日の移動はこの辺にしておこう。
 頻繁に休憩を挟みながら移動していたが、グレゴールさんとギレーヌは体力的に厳しいみたいだ。
 ララとゲオルグは疲れた表情すら見せない。
 俺はというと、リーゼロッテを肩車していたせいか、多少の疲れを感じている。

「皆。野営の準備を始めようか」

 俺達は早速野営の準備を始めた。
 グレゴールさんとギレーヌはモンスターの皮から作ったテントを張り、リーゼロッテは料理の支度を始めた。
 俺とララは周囲にモンスターが潜んでいないか探索する事になり、ゲオルグは食料を探しに出た。

「アルフォンス。徒歩で移動すればモンスターと戦闘する回数が増えるから良いけれど、移動に時間が掛かって仕方がないわ。馬か馬車があれば良いのだけど」
「確かにね、お金に余裕が出来たら馬車を買うのも良いかもしれない」
「だけどこうしてゆっくり仲間と移動するのは面白いわね。誰かと一緒に居られるって幸せな事だわ」
「うん。これからも俺はずっとララと一緒にいるつもりだよ。ララさえ良ければね」
「私は勿論良いわ」

 俺はララの小さな頭を撫でると、ララは嬉しそうに目を瞑った。
 旅に出てララと出会えたのは幸運だった。
 こんなにも頼れる仲間が出来るなんて、村に居た事は想像も出来なかったからな。

 ララはレイピアを抜いて、野営地の周辺を注意深く探索している。
 馬車の購入か……金銭的に余裕があるなら馬で移動をしたいが、今はまだそんなお金は無い。
 モンスターを倒して得た戦利品と、ギレーヌが製作した魔法道具以外にも、お金を作る手段があれば良いのだが……。
 お金の問題については、デュラハンの討伐を終えてから考えよう。
 まずは目の前の敵に集中しなければならない。

「アルフォンス! 森の茂みから私達を観察するモンスターが居る……」
「え? モンスター?」
「ええ、あそこ」

 ララが指差す先には、金色に光輝くモンスターが、静かにこちらを伺っていた。
 モンスターは茂みの中からゆっくりと這い出てくると、俺の足元に座った。
 まるで宝箱の様な見た目のモンスターは、俺を見上げて微笑んでいる。
 一体このモンスターは何者なんだ……?

「このモンスターは闇属性、平均レベルは25。ミミックで間違い無いと思う……ダンジョンの中で冒険者やモンスターを見境なく襲うモンスターよ。だけど通常のミミックは銀色だった様な気がする……」

 ミミックは俺をじっと見つめている。
 どうして俺達の前に現れたのだろう。
 闇属性のミミックの亜種、金色に輝く箱は静かに俺を見つめている。
 俺は鞄から堅焼きパンを取り出してミミックに渡すと、ミミックは美味しそうに食べ始めた。
 不思議な生き物も居るのだな……。
 ミミックの体からは神聖な魔力を感じる。
 このモンスターは体内に強い聖属性の魔力を蓄えている。
 決して人間を襲う様なモンスターではないだろう……。

「俺と一緒に来るかい?」

 俺は何も考えずにミミックに尋ねた。
 自分でもどうしてこんな事を言ったのか分からない。
 なぜこんな質問をしてしまったのだろう。

 すると、ミミックは嬉しそうに頷いてから、俺と従魔の契約を結びたいと提案してきた。
 今は聖属性の仲間が多ければ多い程良い。
 俺はすぐにミミックと従魔の契約をした。
 ギルドカードでミミックのステータスを確認する事にした。

『LV20 ミミックキング』
 魔法:ヒール キュア ホーリーシールド
 特性:魔石生成

 種族名はミミックキングか……。
 ミミックの王なのだろうか。
 使用可能魔法は、回復魔法のヒールに異常状態を回復させるキュア。
 聖属性の魔力で盾を作り上げるホーリーシールド。
 それから見た事も無い特性が表示されている。
 魔石生成? 聞いた事もないな。

「ミミック、魔石生成ってなんだい?」

 俺が質問すると、ミミックは口を大きく開け、ここに魔法を放てと言った。 
 俺は言われるがままにミミックの口に右手を向けて魔法を唱えた。

「ファイア!」

 俺の手から放たれた炎はミミックの口に吸い込まれると、ミミックは口を閉じた。 
 しばらく待っていると、ミミックは小な魔石を吐き捨てた。
 信じられない……。
 魔法を魔石に変えられる力を持つのか?
 反則的な能力だな。
 ララは地面に落ちた魔石を拾うと、魔石を左手に持ち、右手を空に向けた。

「ファイア!」

 ララが魔法を唱えた瞬間、魔石が一瞬輝き、右手からは炎が放たれた。 
 ララは火属性の魔法を使えないはずなのだが、魔石を持つ事によって一時的に魔法を習得した様だ。
 魔石作りか……。
 俺がモンスターの魔法を覚え、ミミックが魔石を作り出して販売する。
 人間では習得できないモンスターの希少な魔法を魔石に込めれば、ミミックが製作した魔石は高額で取引されるに違いない。

 ミミックは自慢げに俺を見上げると、魔力を消費して疲れたのだろうか、目を瞑って動かなくなった。
 俺はミミックを持ち上げて仲間の元に戻る事にした。
 体の大きさは三十センチ程だろうか、重さは二キロか三キロ。
 小さくて軽いが、強い聖属性の魔力を秘めている。
 素晴らしいモンスターと出会えたな。
 野営地に戻った俺は、新たな仲間を紹介する事にした……。
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