21 / 76
第一章「迷宮都市ベーレント編」
第二十一話「森での戦闘」
しおりを挟む
アラクネとの戦闘を終えた瞬間、森の奥から視線を感じた。俺は腰に提げていた聖騎士の角笛を吹いて三体のパラディンを召喚した。ロングソードを持つフランツ、長身でハルバードを使用するエドガー、小柄でラウンドシールドとメイスを持つロビン。
エドガーとロビンが俺達の背後に回って後方からの襲撃を警戒し、フランツは俺とボリスの隣に立ってロングソードを引き抜いた。アラクネは魔石持ちの個体だったのか、ボリスがアラクネの体内から魔石を引き抜くと、森の奥に隠れていた何者かがゆっくりと近づいてきた。
そこにはララと良く似た獣人の少女が居た。ララはフェンリルと人間のハーフだが、俺達の目の前にいる獣人は猫と人間の中間種なのだろう。モフモフした白い猫耳と尻尾が可愛らしく、少女が怯えながら俺達を見つめると、フランツが剣を仕舞った。体内に聖属性を秘める聖騎士が獣人の少女を敵ではないと判断しているのだ。
ロビンとエドガーも武器を下ろすと、少女がアラクネの死体に蹴りを入れた。
「こんな魔物が居なければ……! 私のお母さんも死ななかったのに……!」
身長百五十センチ程の小柄な獣人は全身が白い体毛に包まれており、思わずララを思い出して悲しさがこみあげてきた。ララは一人で寂しくしていないだろうか。
ララはヴィクトリアと宿で過ごしているらしい。死のダンジョンで狩りをしながら、剣と魔法の腕を磨いているとヴィクトリアから聞いた。
「君……こんなところでどうしたの?」
「人間……! 魔大陸に来る人間なんて獣人を奴隷としか思ってない! また私達の村を襲いに来たの!?」
「村? この近くに村があるのかい?」
「……」
少女は失言したと思ったのか、慌てて口を押えると、フランツが少女の頭を撫でた。
「パラディン!? 聖属性のパラディンが力を貸す正しい心を持った人間。いいわ、あなた達を私の村に招待してあげる。戦力は一人でも多い方がいいから」
「戦力? 一体何を言ってるんだい?」
「村の近くにベヒモスが現れたの。それから大量のアラクネも」
俺とボリスは少女の言葉を聞いて顔を見合わせ、少女と共に獣人の村に行く事を決めた。こんなに早くベヒモスの情報を掴めるとは思わなかった。それに、獣人が魔大陸で暮らしているなんて初耳だ。
「私達ケットシー族は希少な種族だからか、よく人間の奴隷商に狙われるの。わざわざラース大陸から魔大陸まで来て私達を誘拐するのよ」
「俺達は奴隷商なんかじゃないよ。俺、獣人と一緒に暮らしてるし、獣人の奴隷制度には反対だから」
「人間と獣人が暮らす? それは本当なの?」
「ああ、フェンリルと人間のハーフの獣人と共に暮らしているよ」
「信じられない、人間と獣人が共存するなんて」
「勿論、一部の頭の悪い人間は獣人の奴隷を買ったりしてるけどね……」
「だけどあなたは獣人にも理解があるのね」
俺はふとケットシー人形と彼女の容姿が似ている事に気づき、懐から小さな人形を取り出して見比べた。小さなケットシーは頬を染めながら憤慨し、俺の手からケットシー人形を奪い取った。
「なにこれ、ケットシー? 全然似てないじゃない。だけどあなたはこの人形を大切にしているのね」
「ああ、これでベヒモスを倒そうと思っていたんだよ」
少女が釣り目気味のエメラルド色の猫目を見開くと、俺は少女の愛らしさに胸が高鳴った。ケットシーとはなんと美しい種族なのだろうか。
「人形でベヒモスを倒す? 全く馬鹿な人間なのね。だけどあなた達の腕は確かみたいね。たった二人でアラクネを狩れる程の実力者は私達の村には居ないから」
「そうか、俺達もベヒモスを探していたから、是非ベヒモスとの戦闘に参加させて貰いたいよ」
「ベヒモスを探していた? わかった、まずは村に案内するわ」
少女はケットシー人形を俺に投げて渡すと、楽し気に笑みを浮かべた。どう見ても猫にしか見えないが、当たり前の様に二足歩行し、人間の言葉を理解するから奇妙だ。
「私の名前はレベッカ・ヘンゼル。Cランクの地属性の魔術師よ」
「俺はユリウス・シュタイン。Dランクの魔法道具屋だよ」
「僕はボリス・フォン・イェーガー。Cランクの魔法剣士。ユリウスの良きパートナーだ」
「そう。よろしくね、ユリウス、ボリス」
それからレベッカは物凄い勢いで森を走り出すと、俺は全力でレベッカを追った。流石にデュラハンが徘徊する森で暮らしているだけの事はあり、デュラハンでは追いつけない程の速度で森を駆けている。
魔大陸で生まれ育てば彼女の様な屈強な肉体になるのだろうか。それともケットシー族は元々身体能力が高いのだろうか。どれだけ足場が悪くても移動速度は変わらない。羽根付きグリーヴを履いていなければ到底レベッカを追う事は出来ないだろう。
ボリスは何とか俺達の背後から付いて来ているが、流石にレベッカと俺の移動速度に合わせる事は出来なくなった様だ。レベッカはそんなボリスを見つめると、暫く休憩を取ると言った。
「全く、二人は早すぎるよ! 僕も相当鍛えている方だが、森を走った事なんてないからね」
「俺は幼い頃から森に入ってたから、こういうのは慣れているんだ」
「貴族の僕は自分の足で森を歩く事なんてなかったからな。全くユリウスは逞しいよ。それに、僕もその羽根付きグリーヴが欲しい!」
「Dランクの魔石があれば入手出来るかもしれないね」
「よし、ラース大陸に帰ったらガチャを回しまくるぞ。まずはマジックバックと羽根付きグリーヴを当てる!」
ボリスが楽し気に俺を見つめると、俺は聖者のゴブレットで水を作り出し、レベッカに渡した。レベッカは白い体毛に包まれた可愛らしい手でゴブレットを持つと、不審そうに俺を見つめながら水を飲んだ。
「美味しい……こんなに新鮮な水は初めてだわ!」
「闇の魔力が蔓延する魔大陸ではこんなに新鮮な水はないだろうね」
「ええ、村の皆にも飲ませたい……」
「いくらでも飲むと良いよ、それから、お腹も空いてるならパンもどうぞ」
俺は聖者の袋からボリスとレベッカのためにパンを取り出すと、レベッカは暫く愕然として袋を見つめた。
「どうして……? どうしてこんなに小さい袋から大量のパンが出せるの!?」
「そういう魔法道具なんだよ」
「魔法道具か、私の村にはそんな物は一つもないわ。価値のある物は全て魔物や奴隷商に奪われた。私達の村には封魔師が残した魔法陣があるだけ、それももう殆ど効果を失っている……」
「封魔師だって!?」
「ええ、そんなに珍しいかしら?」
「いや、実は俺、封魔師の弟子なんだよ」
「なんですって? それは本当? あなたの師匠の名前は!?」
「エレオノーレ・フォン・クライン。Sランクの封魔師で、封魔石宝流の継承者だよ」
「封魔石宝流か……知らないわ。きっと違う流派の封魔師なのね。私達の村に結界を張ってくれたのは封魔新月流の封魔師だったわ。もう五年前の事になるかしら」
それからレベッカは自分の村の話をしてくれた。元々魔大陸には獣人は生息していなかったが、今から約650年前に三人の封魔師が獣人奴隷を開放した後、ケットシー族は奴隷商の魔の手を逃れて魔大陸で暮らし始めた。
村の人口は年々減少し、ある者は魔物に殺され、ある者は人間に拉致されて奴隷になり。そして現在はわずか三百人しか居ない集落と化しているらしい。
ケットシー族が暮らす村の名前はフェーベル村。Sランクの魔物でるあベヒモスが二週間前、突如フェーベル村を襲撃し、その際に力が弱まっていた結界が解けた。僅かに地面に残った封魔師の力が魔物を退けているらしいが、それでももう一度ベヒモスの襲撃を受ければすべての者が命を落とすだろう。
「ユリウス、継承者試験の場所が魔大陸なのはベヒモスの出現と何か関係あると思うかい?」
「ああ。俺はエレオノーレ様がベヒモスからケットシー族を守るためにこの大陸で試験を行う事にしたんだと思う。以前はベーレントのダンジョンで試験を行うと言っていたけど、急に試験場所を変えたのは恐らくケットシー族を守るためだろう」
「封魔剣舞は獣人が作り出した剣術だからな。エレオノーレ様がケットシー族を救おうとするのは自然な事……」
「だけどそのエレオノーレ様の姿が見当たらないんだ。具合でも悪いのだろうか……」
ベーレントでの生活を始めてから毎日エレオノーレ様の世話をしていたから、彼女が居ない生活に物足りなさを感じる。
『ユリウス、大丈夫?』
『ヴィクトリア』
脳内にヴィクトリアの心地良い声が響いた。高く透き通る声だが、決してうるさくはなく、聞いているだけで穏やかな気分になる。やはり王族の声は平民に安堵をもたらす力があるのだろうか。不思議な魅力を持つ彼女の声と、優しい性格にすっかり魅了されている自分に気が付いた。
『こっちはケットシー族と出会ったよ。Aランクのベヒモスに襲われているらしい』
『魔大陸にベヒモスが? 遂に手掛かりを掴んだという訳ね。私はユリウスのお父様から手紙を受け取ったわ。ヒュドラの呪いを解除する方法について聞いたの』
『お父様がヴィクトリアに?』
『ええ、既にユリウスが私の守護者になった事は有名だからね。Bランク・ミノタウロスの牙とAランク・ユニコーンの角。それからAランク・ベヒモスの心臓にSランク・フェニックスの涙が必要なんでしょう? 私はミノタウロスとの戦闘でユリウスを支えられる様に回復魔法の訓練をしているわ』
『そうか。ララは元気?』
『元気よ。もう元気すぎるくらい。毎日ユリウスに会いたいと言ってるわ。勿論、私もユリウスに会いたいけど……』
『ありがとう、ヴィクトリア。くれぐれも無理はしない様に』
『ええ。危険が迫ったらユリウスを召喚するから心配ないわ。それと、ベヒモス相手に無謀な戦いをしない様にね。いくらユリウスとボリスが強くても、今の二人ではAランクの魔物には勝てないでしょうから。それではまた一時間後にね』
ヴィクトリアとの会話を終えると、俺達は再びレベッカの村を目指して走り出した。途中でデュラハンの集団と遭遇したが、俺とボリスが協力して魔物を駆逐した。勿論、レベッカも俺達の魔物討伐を手伝ってくれた。魔石持ちの個体が三体も居たので、俺は魔石を回収して村に到着してからガチャを回す事にした。
レベッカは地属性に精通した魔術師で、魔物との戦闘の際には大岩を空から落とすロックストライクや、魔物の足元に茨を発生させて移動を阻害するソーンバインドを使用した。七時間ほど森を進み続けると、俺達は遂にケットシー族が暮らすフェーベル村に到着した。
〈フェーベル村〉
村は壊滅状態。ベヒモスの襲撃を受けて崩壊した木造の住宅や、石で作られた家がある。地属性の魔術師が石を作り出して家の修復をしているが、魔力を使いすぎてはベヒモスの襲撃時に反撃する事が出来ないので、魔力を温存しているのだろう。
獣人達は元から裕福な生活を送っていなかったのか、痩せこけたケットシー達がレベッカと俺達を見つめた。それから背後にパラディンが控えている事に気が付き、俺とボリスの事を敵だとは判断せず、村に歓迎してくれた。
封魔新月流の継承者が書き残したという魔法陣も殆ど効果を失っており、静まり返った村からは子供達の鳴き声や、絶望を味わう者達の声が聞こえてくる。まさか自分達の村がベヒモスに襲撃されるとは思ってもみなかったのだろう。
俺の故郷であるギーレン村も、もしAランクのベヒモスが村を襲撃すれば、このフェーベル村と同様に一日で壊滅するだろう。勿論、父が居ればベヒモスを退ける事は出来るだろうが、この村にはSランクの称号を持つ者は居なかったのだろう。
ベヒモスのサンダーボルトによって崩壊した家や、鋭い爪によって切り裂かれた建物を見るだけでも恐ろしい。以前魔物図鑑でベヒモスの身体情報を見たが、体長は四メートルを超え、鋭い爪は石造りの建物も一撃で砕く事が出来ると書いてあった。
固有魔法であるサンダーボルトを防げる魔術師は少なく、多くの者がベヒモスに挑んで命を落とした。ベヒモスは魔大陸にのみ生息する最悪の魔物。かつてはラース大陸にもベヒモスが生息していたが、古い時代の勇者が全て討伐したらしい。
レベッカが村長の家に案内してくれると、村の有識者達が会議をしていた。どうやら村を捨てて逃亡をするか、ラース大陸を目指して移動するか、話し合いをしている様だ。
フェーベル村は魔大陸の南西部に位置しており、ここからラース大陸を目指せば二カ月間は移動の旅をしなければならない。そして魔大陸から魔物が巣食う海を超えてラース大陸に上陸する。果たして弱り切ったケットシー達がラース大陸に辿り着けるかは疑問だ。
ラース大陸の奴隷商達はドラゴン等の飛行が可能な魔物に乗り、上空から魔大陸に侵入する。そしてケットシー族を拉致してラース大陸に戻る。飛行タイプの魔物を仲間に出来れば良いが、三百人の村人を一度に乗せて飛行出来る魔物は存在しないだろう。
村長の家では痩せこけた二十名のケットシー達が様々な意見を出し合ったが、結局この最悪な状況を打破する方法は見出せなかった。そろそろ黙って聞いているだけではなく、意見を出すべきだろうか。
「ベヒモスを仕留めましょう!」
俺が力強く意見を述べると、ケットシー達は一斉に俺を見つめた。まるでベヒモスの討伐などは不可能だと言わんばかりの表情を浮かべている。強力な魔物に狩られる時をただ待つつもりなのだろうか。
「なんだって!? 私達がベヒモスに勝てるとでも思ってるのか? 食料もない、武器も防具もない、先の戦いで大勢の戦士が殺された! この状況でどうやってベヒモスを狩るんだ!」
「食料も武器も防具もありますよ。俺に任せてください。俺はSランクの魔法道具屋、ギルベルト・シュタインの息子、ユリウス・シュタイン。一応魔法道具屋です」
ギルドでは魔法道具屋として登録しているが、今まで魔法道具の行商をした事もなかった。それでも幼い頃から父の魔法道具屋でひたすた魔法道具を売っていた。村では父の次に魔法道具の知識があった。
俺の知識と魔石ガチャでこの最悪の状況を覆してみせる。それが魔石ガチャを授かった冒険者として使命だと思う。ギーレン村では弱者として力を持つ者に守られていたが、俺は遂に他人を守る力を手に入れた。今からベヒモスが襲撃するまで、俺の知識を最大限に活用し、徹底的に剣を学べばベヒモスを駆逐する事も出来るだろう。
いや、何がなんでも討伐を成功させなければならないのだ。ベヒモスの心臓を手に入れ、ヒュドラの呪いに苦しむ大勢の人々を救うためにも、エレオノーレ様を救うためにも。ここで命を賭けなければどうするのだ。今が人生を変える最大の機会なのだから……。
エドガーとロビンが俺達の背後に回って後方からの襲撃を警戒し、フランツは俺とボリスの隣に立ってロングソードを引き抜いた。アラクネは魔石持ちの個体だったのか、ボリスがアラクネの体内から魔石を引き抜くと、森の奥に隠れていた何者かがゆっくりと近づいてきた。
そこにはララと良く似た獣人の少女が居た。ララはフェンリルと人間のハーフだが、俺達の目の前にいる獣人は猫と人間の中間種なのだろう。モフモフした白い猫耳と尻尾が可愛らしく、少女が怯えながら俺達を見つめると、フランツが剣を仕舞った。体内に聖属性を秘める聖騎士が獣人の少女を敵ではないと判断しているのだ。
ロビンとエドガーも武器を下ろすと、少女がアラクネの死体に蹴りを入れた。
「こんな魔物が居なければ……! 私のお母さんも死ななかったのに……!」
身長百五十センチ程の小柄な獣人は全身が白い体毛に包まれており、思わずララを思い出して悲しさがこみあげてきた。ララは一人で寂しくしていないだろうか。
ララはヴィクトリアと宿で過ごしているらしい。死のダンジョンで狩りをしながら、剣と魔法の腕を磨いているとヴィクトリアから聞いた。
「君……こんなところでどうしたの?」
「人間……! 魔大陸に来る人間なんて獣人を奴隷としか思ってない! また私達の村を襲いに来たの!?」
「村? この近くに村があるのかい?」
「……」
少女は失言したと思ったのか、慌てて口を押えると、フランツが少女の頭を撫でた。
「パラディン!? 聖属性のパラディンが力を貸す正しい心を持った人間。いいわ、あなた達を私の村に招待してあげる。戦力は一人でも多い方がいいから」
「戦力? 一体何を言ってるんだい?」
「村の近くにベヒモスが現れたの。それから大量のアラクネも」
俺とボリスは少女の言葉を聞いて顔を見合わせ、少女と共に獣人の村に行く事を決めた。こんなに早くベヒモスの情報を掴めるとは思わなかった。それに、獣人が魔大陸で暮らしているなんて初耳だ。
「私達ケットシー族は希少な種族だからか、よく人間の奴隷商に狙われるの。わざわざラース大陸から魔大陸まで来て私達を誘拐するのよ」
「俺達は奴隷商なんかじゃないよ。俺、獣人と一緒に暮らしてるし、獣人の奴隷制度には反対だから」
「人間と獣人が暮らす? それは本当なの?」
「ああ、フェンリルと人間のハーフの獣人と共に暮らしているよ」
「信じられない、人間と獣人が共存するなんて」
「勿論、一部の頭の悪い人間は獣人の奴隷を買ったりしてるけどね……」
「だけどあなたは獣人にも理解があるのね」
俺はふとケットシー人形と彼女の容姿が似ている事に気づき、懐から小さな人形を取り出して見比べた。小さなケットシーは頬を染めながら憤慨し、俺の手からケットシー人形を奪い取った。
「なにこれ、ケットシー? 全然似てないじゃない。だけどあなたはこの人形を大切にしているのね」
「ああ、これでベヒモスを倒そうと思っていたんだよ」
少女が釣り目気味のエメラルド色の猫目を見開くと、俺は少女の愛らしさに胸が高鳴った。ケットシーとはなんと美しい種族なのだろうか。
「人形でベヒモスを倒す? 全く馬鹿な人間なのね。だけどあなた達の腕は確かみたいね。たった二人でアラクネを狩れる程の実力者は私達の村には居ないから」
「そうか、俺達もベヒモスを探していたから、是非ベヒモスとの戦闘に参加させて貰いたいよ」
「ベヒモスを探していた? わかった、まずは村に案内するわ」
少女はケットシー人形を俺に投げて渡すと、楽し気に笑みを浮かべた。どう見ても猫にしか見えないが、当たり前の様に二足歩行し、人間の言葉を理解するから奇妙だ。
「私の名前はレベッカ・ヘンゼル。Cランクの地属性の魔術師よ」
「俺はユリウス・シュタイン。Dランクの魔法道具屋だよ」
「僕はボリス・フォン・イェーガー。Cランクの魔法剣士。ユリウスの良きパートナーだ」
「そう。よろしくね、ユリウス、ボリス」
それからレベッカは物凄い勢いで森を走り出すと、俺は全力でレベッカを追った。流石にデュラハンが徘徊する森で暮らしているだけの事はあり、デュラハンでは追いつけない程の速度で森を駆けている。
魔大陸で生まれ育てば彼女の様な屈強な肉体になるのだろうか。それともケットシー族は元々身体能力が高いのだろうか。どれだけ足場が悪くても移動速度は変わらない。羽根付きグリーヴを履いていなければ到底レベッカを追う事は出来ないだろう。
ボリスは何とか俺達の背後から付いて来ているが、流石にレベッカと俺の移動速度に合わせる事は出来なくなった様だ。レベッカはそんなボリスを見つめると、暫く休憩を取ると言った。
「全く、二人は早すぎるよ! 僕も相当鍛えている方だが、森を走った事なんてないからね」
「俺は幼い頃から森に入ってたから、こういうのは慣れているんだ」
「貴族の僕は自分の足で森を歩く事なんてなかったからな。全くユリウスは逞しいよ。それに、僕もその羽根付きグリーヴが欲しい!」
「Dランクの魔石があれば入手出来るかもしれないね」
「よし、ラース大陸に帰ったらガチャを回しまくるぞ。まずはマジックバックと羽根付きグリーヴを当てる!」
ボリスが楽し気に俺を見つめると、俺は聖者のゴブレットで水を作り出し、レベッカに渡した。レベッカは白い体毛に包まれた可愛らしい手でゴブレットを持つと、不審そうに俺を見つめながら水を飲んだ。
「美味しい……こんなに新鮮な水は初めてだわ!」
「闇の魔力が蔓延する魔大陸ではこんなに新鮮な水はないだろうね」
「ええ、村の皆にも飲ませたい……」
「いくらでも飲むと良いよ、それから、お腹も空いてるならパンもどうぞ」
俺は聖者の袋からボリスとレベッカのためにパンを取り出すと、レベッカは暫く愕然として袋を見つめた。
「どうして……? どうしてこんなに小さい袋から大量のパンが出せるの!?」
「そういう魔法道具なんだよ」
「魔法道具か、私の村にはそんな物は一つもないわ。価値のある物は全て魔物や奴隷商に奪われた。私達の村には封魔師が残した魔法陣があるだけ、それももう殆ど効果を失っている……」
「封魔師だって!?」
「ええ、そんなに珍しいかしら?」
「いや、実は俺、封魔師の弟子なんだよ」
「なんですって? それは本当? あなたの師匠の名前は!?」
「エレオノーレ・フォン・クライン。Sランクの封魔師で、封魔石宝流の継承者だよ」
「封魔石宝流か……知らないわ。きっと違う流派の封魔師なのね。私達の村に結界を張ってくれたのは封魔新月流の封魔師だったわ。もう五年前の事になるかしら」
それからレベッカは自分の村の話をしてくれた。元々魔大陸には獣人は生息していなかったが、今から約650年前に三人の封魔師が獣人奴隷を開放した後、ケットシー族は奴隷商の魔の手を逃れて魔大陸で暮らし始めた。
村の人口は年々減少し、ある者は魔物に殺され、ある者は人間に拉致されて奴隷になり。そして現在はわずか三百人しか居ない集落と化しているらしい。
ケットシー族が暮らす村の名前はフェーベル村。Sランクの魔物でるあベヒモスが二週間前、突如フェーベル村を襲撃し、その際に力が弱まっていた結界が解けた。僅かに地面に残った封魔師の力が魔物を退けているらしいが、それでももう一度ベヒモスの襲撃を受ければすべての者が命を落とすだろう。
「ユリウス、継承者試験の場所が魔大陸なのはベヒモスの出現と何か関係あると思うかい?」
「ああ。俺はエレオノーレ様がベヒモスからケットシー族を守るためにこの大陸で試験を行う事にしたんだと思う。以前はベーレントのダンジョンで試験を行うと言っていたけど、急に試験場所を変えたのは恐らくケットシー族を守るためだろう」
「封魔剣舞は獣人が作り出した剣術だからな。エレオノーレ様がケットシー族を救おうとするのは自然な事……」
「だけどそのエレオノーレ様の姿が見当たらないんだ。具合でも悪いのだろうか……」
ベーレントでの生活を始めてから毎日エレオノーレ様の世話をしていたから、彼女が居ない生活に物足りなさを感じる。
『ユリウス、大丈夫?』
『ヴィクトリア』
脳内にヴィクトリアの心地良い声が響いた。高く透き通る声だが、決してうるさくはなく、聞いているだけで穏やかな気分になる。やはり王族の声は平民に安堵をもたらす力があるのだろうか。不思議な魅力を持つ彼女の声と、優しい性格にすっかり魅了されている自分に気が付いた。
『こっちはケットシー族と出会ったよ。Aランクのベヒモスに襲われているらしい』
『魔大陸にベヒモスが? 遂に手掛かりを掴んだという訳ね。私はユリウスのお父様から手紙を受け取ったわ。ヒュドラの呪いを解除する方法について聞いたの』
『お父様がヴィクトリアに?』
『ええ、既にユリウスが私の守護者になった事は有名だからね。Bランク・ミノタウロスの牙とAランク・ユニコーンの角。それからAランク・ベヒモスの心臓にSランク・フェニックスの涙が必要なんでしょう? 私はミノタウロスとの戦闘でユリウスを支えられる様に回復魔法の訓練をしているわ』
『そうか。ララは元気?』
『元気よ。もう元気すぎるくらい。毎日ユリウスに会いたいと言ってるわ。勿論、私もユリウスに会いたいけど……』
『ありがとう、ヴィクトリア。くれぐれも無理はしない様に』
『ええ。危険が迫ったらユリウスを召喚するから心配ないわ。それと、ベヒモス相手に無謀な戦いをしない様にね。いくらユリウスとボリスが強くても、今の二人ではAランクの魔物には勝てないでしょうから。それではまた一時間後にね』
ヴィクトリアとの会話を終えると、俺達は再びレベッカの村を目指して走り出した。途中でデュラハンの集団と遭遇したが、俺とボリスが協力して魔物を駆逐した。勿論、レベッカも俺達の魔物討伐を手伝ってくれた。魔石持ちの個体が三体も居たので、俺は魔石を回収して村に到着してからガチャを回す事にした。
レベッカは地属性に精通した魔術師で、魔物との戦闘の際には大岩を空から落とすロックストライクや、魔物の足元に茨を発生させて移動を阻害するソーンバインドを使用した。七時間ほど森を進み続けると、俺達は遂にケットシー族が暮らすフェーベル村に到着した。
〈フェーベル村〉
村は壊滅状態。ベヒモスの襲撃を受けて崩壊した木造の住宅や、石で作られた家がある。地属性の魔術師が石を作り出して家の修復をしているが、魔力を使いすぎてはベヒモスの襲撃時に反撃する事が出来ないので、魔力を温存しているのだろう。
獣人達は元から裕福な生活を送っていなかったのか、痩せこけたケットシー達がレベッカと俺達を見つめた。それから背後にパラディンが控えている事に気が付き、俺とボリスの事を敵だとは判断せず、村に歓迎してくれた。
封魔新月流の継承者が書き残したという魔法陣も殆ど効果を失っており、静まり返った村からは子供達の鳴き声や、絶望を味わう者達の声が聞こえてくる。まさか自分達の村がベヒモスに襲撃されるとは思ってもみなかったのだろう。
俺の故郷であるギーレン村も、もしAランクのベヒモスが村を襲撃すれば、このフェーベル村と同様に一日で壊滅するだろう。勿論、父が居ればベヒモスを退ける事は出来るだろうが、この村にはSランクの称号を持つ者は居なかったのだろう。
ベヒモスのサンダーボルトによって崩壊した家や、鋭い爪によって切り裂かれた建物を見るだけでも恐ろしい。以前魔物図鑑でベヒモスの身体情報を見たが、体長は四メートルを超え、鋭い爪は石造りの建物も一撃で砕く事が出来ると書いてあった。
固有魔法であるサンダーボルトを防げる魔術師は少なく、多くの者がベヒモスに挑んで命を落とした。ベヒモスは魔大陸にのみ生息する最悪の魔物。かつてはラース大陸にもベヒモスが生息していたが、古い時代の勇者が全て討伐したらしい。
レベッカが村長の家に案内してくれると、村の有識者達が会議をしていた。どうやら村を捨てて逃亡をするか、ラース大陸を目指して移動するか、話し合いをしている様だ。
フェーベル村は魔大陸の南西部に位置しており、ここからラース大陸を目指せば二カ月間は移動の旅をしなければならない。そして魔大陸から魔物が巣食う海を超えてラース大陸に上陸する。果たして弱り切ったケットシー達がラース大陸に辿り着けるかは疑問だ。
ラース大陸の奴隷商達はドラゴン等の飛行が可能な魔物に乗り、上空から魔大陸に侵入する。そしてケットシー族を拉致してラース大陸に戻る。飛行タイプの魔物を仲間に出来れば良いが、三百人の村人を一度に乗せて飛行出来る魔物は存在しないだろう。
村長の家では痩せこけた二十名のケットシー達が様々な意見を出し合ったが、結局この最悪な状況を打破する方法は見出せなかった。そろそろ黙って聞いているだけではなく、意見を出すべきだろうか。
「ベヒモスを仕留めましょう!」
俺が力強く意見を述べると、ケットシー達は一斉に俺を見つめた。まるでベヒモスの討伐などは不可能だと言わんばかりの表情を浮かべている。強力な魔物に狩られる時をただ待つつもりなのだろうか。
「なんだって!? 私達がベヒモスに勝てるとでも思ってるのか? 食料もない、武器も防具もない、先の戦いで大勢の戦士が殺された! この状況でどうやってベヒモスを狩るんだ!」
「食料も武器も防具もありますよ。俺に任せてください。俺はSランクの魔法道具屋、ギルベルト・シュタインの息子、ユリウス・シュタイン。一応魔法道具屋です」
ギルドでは魔法道具屋として登録しているが、今まで魔法道具の行商をした事もなかった。それでも幼い頃から父の魔法道具屋でひたすた魔法道具を売っていた。村では父の次に魔法道具の知識があった。
俺の知識と魔石ガチャでこの最悪の状況を覆してみせる。それが魔石ガチャを授かった冒険者として使命だと思う。ギーレン村では弱者として力を持つ者に守られていたが、俺は遂に他人を守る力を手に入れた。今からベヒモスが襲撃するまで、俺の知識を最大限に活用し、徹底的に剣を学べばベヒモスを駆逐する事も出来るだろう。
いや、何がなんでも討伐を成功させなければならないのだ。ベヒモスの心臓を手に入れ、ヒュドラの呪いに苦しむ大勢の人々を救うためにも、エレオノーレ様を救うためにも。ここで命を賭けなければどうするのだ。今が人生を変える最大の機会なのだから……。
1
あなたにおすすめの小説
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
辺境の最強魔導師 ~魔術大学を13歳で首席卒業した私が辺境に6年引きこもっていたら最強になってた~
日の丸
ファンタジー
ウィーラ大陸にある大国アクセリア帝国は大陸の約4割の国土を持つ大国である。
アクセリア帝国の帝都アクセリアにある魔術大学セルストーレ・・・・そこは魔術師を目指す誰もが憧れそして目指す大学・・・・その大学に13歳で首席をとるほどの天才がいた。
その天才がセレストーレを卒業する時から物語が始まる。
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる