封魔剣舞 - 倒した魔物を魔石化する剣技と「魔石ガチャ」で冒険者無双 -

花京院 光

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第二章「王都イスターツ編」

第四十四話「入学式」

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 ギルドの設立から俺はボリスとジークフリートと共に訓練を始めた。魔物図鑑でリヴァイアサン戦い方、固有魔法等の効果や威力を覚え、三人で連携して攻撃を繰り出せる様になるまで何度も訓練を続けた。

 リヴァイアサンとの戦いでは敵が固有魔法であるメイルシュトロームという水属性の範囲魔法を使う事が明らかなので、体長三メートルを超えるジークフリートが俺とボリスを肩に乗せて接近する事にした。

 農村をたった一発の魔法で水没させる強烈な渦巻・メイルシュトロームに対し、渦巻の中で立つ事すらままならない俺とボリスでは接近出来ないだろうから、ジークフリートが渦巻をかき分けて進む戦法を取る事にしたのだ。

 ボリスは普段通り、雷属性のエンチャントを掛けた双剣でリヴァイアサンを切る。俺はジークフリートの肩に乗った状態で遠距離魔法を放つ。メテオストライク、サンダーボルト、ブラッドクロスを連発すれば、Aランクの魔物だとしても大ダメージを与えられるだろう。

 そして遂に決戦の日がやってきた。ヴィクトリア、ララ、イリス、レーネの四人は既にグリフォン討伐の旅に出ている。屋敷は三体のパラディンに任せ、ギルドはレベッカとアレックスさんに任せている。

 ファルケンハイン城で馬を二頭借り、ジークフリートの召喚を解除してからボリスと共に馬を走らせる。リヴァイアサンが地図から農村を消し去った現場までは五日も掛からなかった。

 まるで元から村なんて無かったかの様な平地に驚きながらも、人間の骨や瓦礫などが散乱している現場に恐怖を抱いた。俺達は国民の生活を脅かすリヴァイアサンを探して歩き、遂にリヴァイアサンの巣を見つけた。

 農村があった位置のすぐ傍に大きな湖があり、そこがリヴァイアサンの巣になっていた。水色の皮膚をした巨体のドラゴンの様な魔物は俺達を見るや否や、固有魔法のメイルシュトロームを放った。

 俺とボリスは瞬時にジークフリートの肩に飛び乗り、強烈な渦巻がジークフリートの自由を奪ったが、体長三メートルを超える筋骨隆々のミノタウロスである彼は力ずくで渦巻の中を進んだ。

 リヴァイアサンはまさかメイルシュトロームの中で動ける魔物が居るのかと愕然とした表情を浮かべたが、ジークフリートの接近を恐れながら、渦巻の中で自在に泳ぎ回った。ジークフリートよりも遥かに体の大きいリヴァイアサンは暫く逃げ回っていたが、俺はしびれを切らして魔石砲を引き抜いた。

 遠距離からCランク・デュラハンの固有魔法であるブラッドクロスを連発し、リヴァイアサンが反撃に転じた瞬間、ボリスが飛び上がって円月四連斬を放った。雷のエンチャントを掛けたボリスの連撃を受けたリヴァイアサンは暫く硬直し、大渦の威力が弱まった瞬間、ジークフリートがバトルアクスでリヴァイアサンの尾びれを切り落とした。

 それから俺はメテオストライクを落としてリヴァイアサンにダメージを与え、ボリスが円月四連斬を放ち、最後に俺が流星斬でとどめを刺した。

 初戦でリヴァイアサンの狩り方を習得した俺達は、すぐに残り二体のリヴァイアサンを狩った。ローゼンクロイツ魔法学校入学前にAランクの称号を得た俺達は、ギルドで九百万ゴールドの報酬を受け取り、二人でお金を山分けした。

 リヴァイアサン討伐で得たメイルシュトロームの魔石は使い道を考えているところだ。初めてAランクの魔石ガチャを回してみるか、魔石屋に買取を依頼するか、それとも魔石砲の弾倉に入れるか悩んでいる。魔石は三個もあるのだから、Aランクのガチャを二回し、残る一つは魔石砲の弾倉に入れるのが良さそうだ。

 ヴィクトリア達四人も入学までにグリフォンを討伐し、Bランクの称号を得た。冒険者ギルド・ファルケンハインのリヴァイアサン討伐、グリフォン討伐の快挙は瞬く間に王都中に轟き、国王陛下も直々にリヴァイアサン討伐を称賛してくれた。

 王都で合流した俺達は再び屋敷で生活を始め、遂にローゼンクロイツ魔法学校、入学式を迎えた。

〈主要メンバー・入学時ステータス〉

『Lv.87 Aランク 封魔師 ユリウス・シュタイン』
 称号:封魔石宝流継承者 ヴィクトリア王女の守護者 ギルドマスター(冒険者ギルド・ファルケンハイン)
 属性:【火】
 剣技:雷光閃 円月閃 一閃 疾風閃 裂空斬 流星斬
 魔法:封魔陣 ファイア ファイアボルト フレイム ファイアボール メテオストライク
 召喚獣:Bランク・ミノタウロス Cランク・パラディン×3
 魔石砲:サンダーボルト メイルシュトローム  ブラッドクロス  サンダー ウィンドエッジ ホーリー
 討伐履歴:Aランク・ベヒモス Aランク・リヴァイアサン×3
 装備:錬金術師の指環 守護者の指環 ファルケンハイン王国防衛章 聖騎士の角笛 魔石砲 ホルスター 石宝刀 エレオノーレの帯 ユニコーンの杖 騎士のガントレット 羽根付きグリーヴ ローブ 聖者の袋 聖者のゴブレット マジックバッグ

『Lv.69 Bランク 魔術師 ララ・シュタイン』
『Lv.58 Bランク 魔術師 ヴィクトリア・フォン・ファルケンハイン』
『Lv.63 Aランク 魔法剣士 ボリス・フォン・イェーガー』
『Lv.150 Sランク 封魔師 エレオノーレ・フォン・クライン』
『Lv.50 Bランク 戦士 イリス・クラフト』
『Lv.45 Bランク 魔術師 レーネ・フォン・ノイラート』
『Lv.48 Cランク 魔術師 レベッカ・ヘンゼル』
『Lv.115 Sランク 魔法道具屋 ギルベルト・シュタイン』
『Lv.83 Aランク 魔法剣士 アレクシス・フォン・ファルケンハイン』

〈四月七日・ローゼンクロイツ魔法学校入学式〉

 今日からレベッカが屋敷を出て学校の寮で暮らす事になっている。俺は朝の三時に起床し、封魔剣舞を四時間踊ってから朝食を摂った。遂に魔法学校で授業が受けられるのだ。王都で暮らし始めてから忙しい日々が続いたが、これからは学生とギルドマスターを両立しなければならない。ますます忙しくなりそうだ。

 朝食を食べてから自室に戻って風呂で汗を流し、新品のローブを着た。ローゼンクロイツ魔法学校の指定ローブは黒のシンプルな物だ。武器や杖などを持ち歩く者はローブの上に杖入れやホルスター、ベルト等を装備する事が許可されている。

 ローブの上からエレオノーレ様お気に入りの真紅色の帯を巻く。左の腰に石宝刀と父から頂いたユニコーンの杖を差し、右に魔石砲を差す。騎士のガントレットを嵌め、羽根付きグリーヴを履いてからマジックバックに貴重品を詰め込む。

 授業で使う教材などもあらかじめマジックバックに入れておいた。今日は入学式と校舎の説明、それから入寮の手続きがある。そして最後にクラスで自己紹介をするらしい。実際の授業は明日から始まるのだとか。

 装備を整えるとララが俺の部屋に入ってきた。ガーゴイル人形を抱えながら眠たそうに目をこすっている。身長百三十センチの幼い妹を抱き上げ、金色の毛に包まれた可愛らしい頬にキスをする。

「おはよう……ユリウス、今日から魔法学校に通うんだよね」
「そうだよ。今日は入学式だからすぐに戻ってくるよ」
「それじゃあ、イリスとケーキを用意して待ってるね!」
「うん、楽しみにしているよ。さぁ一階に降りようか」

 ララと共に螺旋階段を下りて談話室に入ると、支度を終えたボリスが本を読んでいた。本のタイトルは「年上女性の口説き方」。きっと魔法学校の教師を口説くつもりなのだろう。

「ボリス、朝からなんて本を読んでるんだよ」
「予習は大事だろう? 美人の先生も多かったし」
「ボリスは年上が好きなんだね」
「僕に釣り合う同世代の女の子が居ないというだけで、年上好きって訳じゃないんだ」
「理想の女性に出会えると良いね」
「ああ! さぁ入学式に出発だ! 本の内容も暗記したし、今日は良い出会いがありそうだな!」

 肩まで伸ばした赤髪を美しく整え、澄んだルビー色の瞳で俺を見つめるボリスの姿は、男の俺から見てもかなり格好良い。田舎育ちの平民の俺とは比較にならない美貌を持ち、尚且つ魔物を恐れない勇気と強さまで持っているのだ。そして彼は伯爵家の長男である。ボリスに言い寄らない女は居ない。

 ボリスは黒のローブの上からベルトを付け、左右に二本のブロードソードを差している。普段はアサルトメイルとアサルトフォールドを身に着けているが、今日はマジックバックに仕舞っているのだろう。手には騎士のガントレットを嵌め、羽根付きグリーヴを履いている。

 談話室から大広間に入ると、三体のパラディンが入学を祝福する様に俺の前に跪いた。大広間には荷造りを済ませたレベッカが大きなトランクをいくつも床に置いている。俺とイリスはレベッカのトランクを持ち、早速魔法学校に向かう事にした。

 パラディン達とララを屋敷の残し、中央区を歩き始める。今日からローゼンクロイツ魔法学校に通う一年生達はトランクを持って魔法学校方面に歩いているのですぐに分かる。ローゼンクロイツ魔法学校以外の魔法学校も今日が入学式なのだろう。

 色とりどりのローブを着た若者達の群れそれぞれの学校を目指して進んでいる。どうやらローゼンクロイツ魔法学校以外、黒のローブが指定の学校は無い様だ。

 中央区をしばらく進むと、俺達はローゼンクロイツ魔法学校の校門に到着した。イリスは部外者なので学校に入れないから、ここで別れる事になった。

「それではユリウス、私は屋敷で待っているわね」
「ああ、また後で」

 イリスが灰色の尻尾を振りながら楽し気に歩き出すと、俺達は校門に居た教師の前に進んだ。

「新入生だな! 名簿を確認するから名前を教えてくれ」
「ユリウス・シュタインです」
「僕はボリス・フォン・イェーガーだ」
「レベッカ・ヘンゼルです」

 俺達が名乗ると、三十代後半程の男性教師がまじまじと俺と見つめた。それから胸元に留めてあるファルケンハイン王国防衛章を穴が開く程見つめると、柔和な笑みを浮かべた。この勲章は普段は外しているが、ヴィクトリアが「お父様からの信頼の証だから付けておきなさい」と言ったので、最近は身に着ける事にしている。

「王都防衛のユリウス・シュタインか!? シュタイン君の入学を楽しみにしていたぞ! 私はファルケンハイン王国の騎士、副学長のゲオルグ・フォン・カーフェンだ。Aランク、レベル80、悪魔祓いをしている」
「よろしくお願いします、カーフェン先生!」
「うむ! それからヘンゼルさんとイェーガー君も王都で随分話題になっているな。イェーガー君はシュタイン君と共にリヴァイアサンとベヒモスの討伐に成功した。ヘンゼルさんは魔大陸出身のケットシー族。私の授業では実戦を重視している。君達三人なら間違いなく楽しめる授業だと思うぞ。さぁ校内に進んでくれ! 入寮するヘンゼルさんは手続きを済ませ、イェーガー君とシュタイン君は大広間でクラスを確認する様に」

 副学長から指示を受けた俺達は正門を抜けて大広間に入った。どうやらここでクラス発表が行われているらしい。入学式は校内で最も広い闘技場で行うのだとか。ヴィクトリアは既に到着していたのか、嬉しそうに俺の元に駆け寄ってきた。

「私達、みんな同じクラスよ!」

 クラスを確認すると、俺、ヴィクトリア、ボリス、レーネ、レベッカは全て1-Aだった。レーネも既に到着していたのか、俺達はレベッカが寮から戻るまで大広間で待った。

 九十人の新入生が次々と大広間に入り、クラスを確認してから闘技場に向かうと、新入生の中にボリスに好意を抱いている女の子が多く居る事に気が付いた。ボリスは熱心に女の子を品定めし、レーネはそんなボリスを不審そうに見つめた。

「あの……ボリスさんって女性を探しに学校に来たんですか?」
「なんて事を言うんだ。出会いを求めて来た訳じゃないぞ」
「そうなんですか……? なんだか目つきがいやらしいです」

 レーネが冷静にボリスを分析すると、俺とヴィクトリアは見つめ合って噴き出した。ボリスは的確に自分の行動を指摘された事が恥ずかしかったのか、慌てて女の子達から視線をそらした。

「ユリウスさん、レベッカさんってボリスさんの事が好きなんですよね?」

 レーネが俺に耳打ちをすると、ヴィクトリアが鋭い目つきで俺を睨みつけた。ヴィクトリアは女の子が俺に近づいただけで俺を睨む。ヴィクトリアは王家の紋章が入ったミスリル製の杖をベルトに差し、以前俺が迷宮都市ベーレントでプレゼントしたミスリルダガーを身に着けている。

 ベヒモスの素材とミスリルから作り上げた最高のダガーは彼女のお気に入りの武器でもある。戦闘時にダガーを使う事は少ないが、時々物理攻撃を仕掛ける姿はなんとも力強い。雪の様に白い肌と黒のローブが良く似合っており、学校指定の平凡なローブなのにもかかわらず、ヴィクトリアが着れば王女に相応しい服の様にも見える。

 黒に近い紫色の髪は綺麗に手入れされており、前髪は長く伸ばして左右で分けている。今日は珍しく髪を巻いており、ゆるいカールが掛かった髪形が何とも可愛らしい。

『今日の髪形、似合ってるよ』
『ありがとう。気が付かなかったらお仕置きするところだったわ』
『全く……王女様は厳しいんだから』

 他人に聞かれて恥ずかしい言葉は念話を使って伝える。言葉に出すと少し恥ずかしい言葉も、念話だとヴィクトリアに伝えられる時がある。ヴィクトリアの左手の中指には俺とお揃いの守護者の指環が嵌っている。

 サファイアが嵌ったミスリル製の指環は俺とヴィクトリアの主従の証であったが、現在ではお互いの愛を確認し合う様な意味合いもある。恋人同士が同じ指環を身に着ける事に意味があるのだ。

 レベッカが大広間に戻ってくると、彼女はボリスと同じクラスである事を心から喜んだ。レベッカの片思いはまだ実らないまま、俺はレベッカの恋を応援したいが、彼女は奥手だからボリスとの関係は一向に変わらない。

「闘技場に向かおうか。入学式に遅れてしまう」

 仲間達と共に闘技場に入ると、すぐに入学式が始まった。
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