54 / 76
第二章「王都イスターツ編」
第五十四話「決戦」
しおりを挟む
体長三十メートル、黒い鱗に覆われた九つの首を持つヒュドラ。あまりにも巨大すぎる敵の姿を見ただけで恐怖を感じた。恐怖というよりも絶望だろうか。ヒュドラは大地を揺らしながら正門に向かって進行しており、俺達が正門を守らなければ王国に未来はない。
俺は誰よりも先に飛び上がった。竜の魔装に魔力を込めて宙を舞い、ヒュドラに接近する。ボリスはヒュドラの姿を見て愕然としていたが、ヴィクトリアに背中を叩かれてヒュドラ睨みつけた。
ヘンリエッテはヒュドラに対抗する様に、体長十メートルを超える程の特大サイズのゴーレムを作り上げた。九つの首が一斉に俺達を襲い始めると、ヴォルフ師匠が俺を追う様に飛び上がり、父が仲間達の前に立った。
「ブリザード!」
父が杖から氷の魔力を放出すると、爆発的な冷気がヒュドラの全身を覆い、敵の攻撃速度を遅らせた。ヒュドラは九つの首で同時に咆哮を上げると、父のブリザードを掻き消した。流石にSランクの魔物は魔力も肉体の強さも桁違いだ。
ララは父の隣に立ち、両手をヒュドラの頭上に向けた。上空には無数の氷柱が出来上がり、数えきれない程の巨大な氷柱が一斉に落下を始めた。Sランク・フェンリルの固有魔法であるアイシクルレイン。ララの最高の攻撃魔法だ。
ララが落とした氷柱がヒュドラの体の鱗をわずかに貫くと、ヒュドラが激高してララを睨みつけた。瞬間、ヒュドラの周囲にはどす黒い魔力が蔓延した。闇属性の魔力をまき散らして俺達の視界を奪っているのだろう。
すぐ傍にヒュドラが居るにもかかわらず、この黒い魔力のせいで俺の視界は殆どない。自分の手すら顔に近づけなければ見えないのだ。瞬間、俺の肉体にヒュドラの巨大な尻尾が当たった。
竜の魔装は非常に防御力の高い防具だが、それでもヒュドラの一撃は俺の戦意を喪失させるには十分すぎる程の破壊力があった。魔装の胸部は大きくへこみ、俺の呼吸は一瞬止まり、真っ逆さまに地面に落ちた。
仲間達から遠く離れた正門のすぐ傍にはヴィクトリアが控えており、彼女は杖の先端から聖属性の魔力を放出した。
「グランドクロス!」
ヴィクトリアはいつの間にグランドクロスを習得していたのだろうか。彼女が放った十字の聖属性の魔力がヒュドラの黒い魔力を消滅させると、俺はかろうじて地面に着地した。
ヴィクトリアが放ったグランドクロスがヒュドラの首の一つを捉えると、首から大量の血が流れた。ジークフリートは左手をヒュドラに向け、火属性の魔力を放出した。
「エクスプロージョン!」
ジークフリートが放った巨大な炎の球がヒュドラの首を爆ぜると、まずは一つ、ヒュドラの首が落ちた。今から五分間で全ての首を落とさなければ王国は滅亡する。首を落とされたヒュドラは激高しながらジークフリートに爪の一撃を放つと、父が咄嗟にジークフリートの前に立った。
「アイスウォール!」
瞬間、巨大な氷の壁が地面から発生し、ヒュドラの鋭利な爪の一撃を受け止めた。それでもヒュドラは爪に体重の乗せて無理やり氷を砕いた。父とジークフリートは何とかヒュドラの一撃を逃れたが、俺は全身に痛みを感じ、意識が朦朧として満足に動けそうにない。
ヴォルフ師匠は腰に差していた刀を引き抜くと、空中で裂空斬を放った。彼の裂空斬は風属性の魔力を秘めており、一撃でファルケンハイン城をも砕けそうな巨大な風の刃がヒュドラの首を綺麗に落とすと、ヒュドラは残る七つの首で一斉に攻撃を仕掛けた。
このままでは確実にヴォルフ師匠が殺されてしまう。瞬間、俺の体が聖属性の魔力が包み込まれ、俺は一気に体力が回復した。城壁の上に登っていたレーネが俺にヒールの魔法を掛けてくれたのだ。恐らくまだ街には無数の魔物が徘徊しているのだろう、レーネはすぐに戦いに戻ると、俺は一気に翼を広げて飛び上がった。
右の腰に差していた魔石砲を引き抜いてヒュドラに向ける。
「サンダーボルト!」
上空から雷撃が落ちてヒュドラを捉えると、七つの首が一斉に動きを止めた。ボリスはヒュドラが怯んだ一瞬の隙を見逃さず、羽根付きグリーヴに魔力を込めて一気に空を飛び、ブロードソードに雷のエンチャントを掛けた。
「円月四連斬!」
ボリスの双剣の四連撃がヒュドラの首に決まると、また一つ、ヒュドラの首が落ちた。残り六つの首が一斉に動き始めると、俺は両手をヒュドラに向けた。俺の範囲魔法で戦況を変えてみせる。あまりの破壊力の高さに、普段の魔物討伐では使用する機会すらなかった、Aランク・イフリートの最高の攻撃魔法を叩き込む。
「メテオストーム!」
俺の魔法と同時に父が杖を振り下ろした。
「ファイアストーム!」
上空から炎を纏う大岩が落下を始めると、父が放ったどぎつい炎がヒュドラの全身を包み込んだ。父の最高の援護を受けた俺のメテオストームは一気にヒュドラの肉体を捉えると、体の表面を覆っていた鱗が吹き飛び、全身を連打した。
大岩の止まる事のない総攻撃と、父のファイアストームが大ダメージを与えると、ヘンリエッテのゴーレムがヒュドラの首を掴んだ。
「ララ! 今よ!」
ヘンリエッテがララに合図をすると、地上にいたジークフリートが助走をつけてララを投げ飛ばした。ララは両手に冷気を纏わせて、一気にヒュドラの首に突っ込むと、冷気を巨大な剣に変え、ヒュドラの首に叩きつけた。
ヘンリエッテのゴーレムがヒュドラの首を掴んだ状態でララの一撃が完璧に決まると、氷の剣がヒュドラの首を切り落とした。残る首は五つ。最初の首が再生するまであと二分程だろう。
ヒュドラは恐れおののきながら爆発的な咆哮を上げると、ジークフリートがヒュドラの咆哮に合わせて咆哮を上げた。父がジークフリートに杖を向け、風属性の魔力を放出した。
「レビテーション!」
風の魔力がジークフリートの全身を覆うと、彼は自在に宙を飛び、両刃の斧に火の魔力を纏わせた。ヒュドラはジークフリートに向けて爪の一撃を加えると、ジークフリートの胸部から大量の血が流れ落ちた。
それでもジークフリートは怯む事もなく、一気にヒュドラの首の元に飛んだ。
「一閃!」
ジークフリートはいつの間に封魔石宝流剣術を身に着けていたか、炎を纏わせた垂直切りを放つと、ヒュドラの首を燃やしながら叩き斬った。強烈な垂直切りを受けたヒュドラが残る四つの首を守る様に再び黒い魔力を辺りにまき散らした。
おそらく首が再生するまで時間を稼ごうとしているのだろう。ヴィクトリアが再びグランドクロスを放つと、遂に彼女の体内から魔力が尽きた。深手を負ったジークフリートは地面に着地すると同時に倒れると、父がジークフリートに杖を向けた。
「リジェネレーション!」
ジークフリートを回復させると同時に、父がヴィクトリアに触れた。父の体内の魔力が減少し、ヴィクトリアの魔力が一気に満ちると、ヴィクトリアがヒュドラに杖を向けた。
「グランドクロス!」
ヴィクトリアは全ての魔力をこの一撃に注いだのだろう、彼女は力なく地面に倒れ、巨大な十字の刃がヒュドラの首を捉えると、聖属性の刃がヒュドラの首を落とした。父は既に全ての魔力を使い果たしたのか、俺を見つめながら小さく頷いた。
「ユリウス! 王国を、王都を守れ!」
「はい、お父様!」
ヘンリエッテのゴーレムはヒュドラに殴りかかったが、ヒュドラが鋭い爪でゴーレムを切り裂いた。ヘンリエッテは巨体のゴーレムを作り出すのに全ての魔力を使ったのか、彼女は涙を浮かべながら俺を見つめた。もはやヘンリエッテも魔力が尽きたのだろう。
ボリスは再び円月四連斬を放ったが、残る三つの首がボリスの体を叩き落した。ヒュドラは焦りを感じているのか、俺達の背を向けて逃げ出そうとした瞬間、ララが俺の前に立った。
「ユリウス! これが最後の魔法だよ!」
「ああ!」
ララが上空に冷気を集めると、両手をヒュドラに向けて振り下ろした。
「アイシクルレイン!」
ララの放った無数の氷柱がヒュドラの全身に大きな傷をつけたが、ヒュドラはこれ以上戦い続けると首が再生する前に敗北すると悟ったのだろう。慌てて俺達に背を向けて逃げ出した。しかし、既に六つの首を落とされ、大量の血を流したヒュドラの歩みは遅い。
既にこの場で動けるのは俺とヴォルフ師匠。おそらくヒュドラの首の回復まではもう三十秒もない。ボリスも魔力を全て使い果たし、慌ててマナポーションを飲んでいるが、魔力が回復する頃にはヒュドラの首が再生している。
俺が一人で二つの首を同時に落とし、ヴォルフ師匠が残る首を落とせばこの戦いに勝利を収める事が出来るが、それは絶対に不可能だ。間に合わない。どう頑張っても俺達はあと二つしか首を落とせない。
ヒュドラは首を一つ残した状態で逃亡し、首が全て回復した頃に再び王都を襲うだろう。そうすれば間違いなく王国は滅亡する。
ヴォルフ師匠がヒュドラの前に立ちはだかると、彼はヒュドラの首元まで一気に飛び上がった。
「ユリウス! 俺の攻撃に合わせろ!」
ヴォルフ師匠が流星斬の構えを取ると、俺は石宝刀を鞘に納めた。俺とヴォルフ師匠が首を一つずつ落としても結局最後にはもう一つ残してしまう。それでも最後まで挑戦する事は止めない。もしかすると街から誰かが駆け付けてくれて、最後の首を落としてくれるかもしれない。
いや、今の王都にそんな余裕はない。考えている余裕は一切ないのだ。俺はヴォルフ師匠と目配せをし、最後の一撃に全ての力を注いだ。
「封魔石宝流奥義・流星斬!」
俺とヴォルフ師匠が当時に流星斬を放つと、七連撃がヒュドラの首を同時に落とした。全魔力を使い果たしたヴォルフ師匠が落下を始めると。俺達は敗北を悟った。
「ユリウス……よくここまで成長したな」
「え……!?」
懐かしい声が耳元で聞こえた。瞬間、銀髪を綺麗に結んだドレス姿の長身の剣士が一気にヒュドラの首元に飛んだ。腰には俺が以前巻いていた漆黒の帯を巻き、ミスリル製の刀と小太刀を差している。あの後ろ姿は間違いない……。
「エレオノーレ様!」
瞬間、エレオノーレ様は爆発的な魔力を刀に注ぎ、目視すら出来ない速度で抜刀した。
「封魔石宝流奥義・流星斬!」
目で追う事すら出来ない程の、まるで強い光が七回輝いた様な超高速の連撃が決まると、ヒュドラの最後の首が落ちた。どうしてエレオノーレ様がここに居るんだ……?
俺がヒュドラの呪いを解く方法を見つけたらエレオノーレ様を迎えに行く予定だったが、氷の中で俺達の危機に気が付いたのだろうか。エレオノーレ様はやはり全盛期の力を失っており、今の一撃が相当堪えたのか、俺に優しく微笑むと同時に意識を落とした。
空中でエレオノーレ様を抱きしめて地面に着地する。ヒュドラが命を落とすと、正門からは衛兵や仲間達が駆け付けてきた。遂に俺達がヒュドラを仕留めたのだ。
「やっぱり俺の師匠は偉大だな……」
エレオノーレ様は僅かに目を開け、釣り目気味の碧眼で俺を見つめながら俺の手を握った。ずっと会いたかった。離れていてもエレオノーレ様の事ばかり考えていた。最高の封魔師であり、最高の師匠が俺達の危機に気が付いて氷の中から飛び出してきたのだろう。
「エレオノーレ様、どうしてここに?」
「夢を見たんだ。ユリウスがヒュドラに食い殺される夢をな……」
「夢ですか……? エレオノーレ様が駆け付けて下さらなかったら、きっとその夢は正夢になっていたと思います」
「夢の中で美しいフェニックスが私に語り掛けてくれたよ。間もなく魔法祭で復活すると。その時、一人の少年がヒュドラの呪いから大陸を救う事になるだろうと。私はすぐにユリウスの事だと気が付いた」
「エレオノーレ様……」
「ユリウス、私は再び眠るに就くが、今度はお前が私を起こしてくれ。もう私は指一本も動かせそうにない……」
「エレオノーレ様、魔法祭は来月です。もうすぐ呪いから解放してみせます!」
「うむ……信じているぞ……」
俺はエレオノーレ様の額にキスをすると、ララがエレオノーレ様にコールドスリープの魔法を掛けた。巨大な氷がエレオノーレ様を包み込み、再び氷の中で眠りに就いたエレオノーレ様が心地良さそうに笑みを浮かべている。
俺の師匠は偉大すぎるな。突然復活したかと思えば最後の一撃を持っていくとは。早くエレオノーレ様と一緒に時を過ごしたい。来月の魔法祭では何が何でも優勝してみせる。
ヴィクトリアが俺の手を握ると、俺は彼女を強く抱き寄せた。仲間達は静かに勝利を実感して涙を流し、ヒュドラの死骸を見つめた。左手の中指に嵌めていた錬金術師の指環が輝くと、ガチャが姿を現した。
父がヒュドラの肉体から魔石を引き抜いてガチャに渡すと、ガチャは嬉しそうに魔石を俺に差し出した。Sランク・ヒュドラの魔石。こんな忌々しいものは王国に保管しておくべきではない。ガチャで新たな道具に作り替えよう。
戦いを終えた国王陛下が駆け付けてくると、俺と陛下は見つめ合って魔石を投入した。
『Sランク 国宝級魔法道具シリーズ』
ガチャの表面に神々しい文字が輝くと、俺はレバーに手を置いた。ヴィクトリアと陛下が俺の両方の肩を手を置くと、体内に二人の神聖な魔力が流れてきた。
「魔物に襲撃された王都を修復出来る魔法道具……」
願いを込めてレバーを回した。瞬間、ガチャが強い虹色の光を放ち、地面にレジェンドカプセルを落とした。カプセルにはファルケンハイン王国の紋章であるホワイトドラゴンの紋章が描かれており、ガチャは満面の笑みを浮かべながら地面に落ちたカプセルを俺に渡してくれた。
「レジェンドカプセル! このタイミングでレジェンドカプセルを引き当てるとは、ユリウス君は本当に強運の持ち主なんだな……」
「陛下とヴィクトリアのお陰ですよ」
カプセルを開けると、中からは金色の液体が入った小瓶が出てきた。これは何らかの効果を持つ飲み物だろうか。全く正体が分からない。ありとあらゆる魔法道具に精通している父ですらこの小瓶の正体は分からないと言った。
「ユリウス、君の純粋な願いが僕に最高の魔法道具を作らせたんだよ。それは復活の聖水という魔法道具で、死者を蘇らせる事が出来る唯一の道具なんだ」
「死者を蘇らせる!?」
「ああ。死後一時間以内の者に限るけどね。その聖水を肉体に垂らせば死者を蘇らせる事が出来る。そして、その復活の聖水の使用期限はあと一時間。今から一時間以内に使用しなければただの水になる。非常に使いどころが難しい魔法道具だけど、最高のタイミングで引き当てたみたいだね!」
陛下はガチャの言葉を聞いて満面の笑みを浮かべた。今回の戦いで命を落とした者を全て救えるのだから。
「陛下! すぐに死者を蘇らせましょう!」
「ああ! すぐに街に戻るぞ! 一時間なんてすぐに過ぎてしまうからな!」
ヒュドラ討伐の喜びを噛み締める暇もなく、俺達は大急ぎで王都中を走り回り、今回の戦闘で命を落とした五百二十人の国民を復活させた。
こうしてファルケンハイン王国とヒュドラとの戦は王国が死人一人出さず、完全勝利を収めた……。
俺は誰よりも先に飛び上がった。竜の魔装に魔力を込めて宙を舞い、ヒュドラに接近する。ボリスはヒュドラの姿を見て愕然としていたが、ヴィクトリアに背中を叩かれてヒュドラ睨みつけた。
ヘンリエッテはヒュドラに対抗する様に、体長十メートルを超える程の特大サイズのゴーレムを作り上げた。九つの首が一斉に俺達を襲い始めると、ヴォルフ師匠が俺を追う様に飛び上がり、父が仲間達の前に立った。
「ブリザード!」
父が杖から氷の魔力を放出すると、爆発的な冷気がヒュドラの全身を覆い、敵の攻撃速度を遅らせた。ヒュドラは九つの首で同時に咆哮を上げると、父のブリザードを掻き消した。流石にSランクの魔物は魔力も肉体の強さも桁違いだ。
ララは父の隣に立ち、両手をヒュドラの頭上に向けた。上空には無数の氷柱が出来上がり、数えきれない程の巨大な氷柱が一斉に落下を始めた。Sランク・フェンリルの固有魔法であるアイシクルレイン。ララの最高の攻撃魔法だ。
ララが落とした氷柱がヒュドラの体の鱗をわずかに貫くと、ヒュドラが激高してララを睨みつけた。瞬間、ヒュドラの周囲にはどす黒い魔力が蔓延した。闇属性の魔力をまき散らして俺達の視界を奪っているのだろう。
すぐ傍にヒュドラが居るにもかかわらず、この黒い魔力のせいで俺の視界は殆どない。自分の手すら顔に近づけなければ見えないのだ。瞬間、俺の肉体にヒュドラの巨大な尻尾が当たった。
竜の魔装は非常に防御力の高い防具だが、それでもヒュドラの一撃は俺の戦意を喪失させるには十分すぎる程の破壊力があった。魔装の胸部は大きくへこみ、俺の呼吸は一瞬止まり、真っ逆さまに地面に落ちた。
仲間達から遠く離れた正門のすぐ傍にはヴィクトリアが控えており、彼女は杖の先端から聖属性の魔力を放出した。
「グランドクロス!」
ヴィクトリアはいつの間にグランドクロスを習得していたのだろうか。彼女が放った十字の聖属性の魔力がヒュドラの黒い魔力を消滅させると、俺はかろうじて地面に着地した。
ヴィクトリアが放ったグランドクロスがヒュドラの首の一つを捉えると、首から大量の血が流れた。ジークフリートは左手をヒュドラに向け、火属性の魔力を放出した。
「エクスプロージョン!」
ジークフリートが放った巨大な炎の球がヒュドラの首を爆ぜると、まずは一つ、ヒュドラの首が落ちた。今から五分間で全ての首を落とさなければ王国は滅亡する。首を落とされたヒュドラは激高しながらジークフリートに爪の一撃を放つと、父が咄嗟にジークフリートの前に立った。
「アイスウォール!」
瞬間、巨大な氷の壁が地面から発生し、ヒュドラの鋭利な爪の一撃を受け止めた。それでもヒュドラは爪に体重の乗せて無理やり氷を砕いた。父とジークフリートは何とかヒュドラの一撃を逃れたが、俺は全身に痛みを感じ、意識が朦朧として満足に動けそうにない。
ヴォルフ師匠は腰に差していた刀を引き抜くと、空中で裂空斬を放った。彼の裂空斬は風属性の魔力を秘めており、一撃でファルケンハイン城をも砕けそうな巨大な風の刃がヒュドラの首を綺麗に落とすと、ヒュドラは残る七つの首で一斉に攻撃を仕掛けた。
このままでは確実にヴォルフ師匠が殺されてしまう。瞬間、俺の体が聖属性の魔力が包み込まれ、俺は一気に体力が回復した。城壁の上に登っていたレーネが俺にヒールの魔法を掛けてくれたのだ。恐らくまだ街には無数の魔物が徘徊しているのだろう、レーネはすぐに戦いに戻ると、俺は一気に翼を広げて飛び上がった。
右の腰に差していた魔石砲を引き抜いてヒュドラに向ける。
「サンダーボルト!」
上空から雷撃が落ちてヒュドラを捉えると、七つの首が一斉に動きを止めた。ボリスはヒュドラが怯んだ一瞬の隙を見逃さず、羽根付きグリーヴに魔力を込めて一気に空を飛び、ブロードソードに雷のエンチャントを掛けた。
「円月四連斬!」
ボリスの双剣の四連撃がヒュドラの首に決まると、また一つ、ヒュドラの首が落ちた。残り六つの首が一斉に動き始めると、俺は両手をヒュドラに向けた。俺の範囲魔法で戦況を変えてみせる。あまりの破壊力の高さに、普段の魔物討伐では使用する機会すらなかった、Aランク・イフリートの最高の攻撃魔法を叩き込む。
「メテオストーム!」
俺の魔法と同時に父が杖を振り下ろした。
「ファイアストーム!」
上空から炎を纏う大岩が落下を始めると、父が放ったどぎつい炎がヒュドラの全身を包み込んだ。父の最高の援護を受けた俺のメテオストームは一気にヒュドラの肉体を捉えると、体の表面を覆っていた鱗が吹き飛び、全身を連打した。
大岩の止まる事のない総攻撃と、父のファイアストームが大ダメージを与えると、ヘンリエッテのゴーレムがヒュドラの首を掴んだ。
「ララ! 今よ!」
ヘンリエッテがララに合図をすると、地上にいたジークフリートが助走をつけてララを投げ飛ばした。ララは両手に冷気を纏わせて、一気にヒュドラの首に突っ込むと、冷気を巨大な剣に変え、ヒュドラの首に叩きつけた。
ヘンリエッテのゴーレムがヒュドラの首を掴んだ状態でララの一撃が完璧に決まると、氷の剣がヒュドラの首を切り落とした。残る首は五つ。最初の首が再生するまであと二分程だろう。
ヒュドラは恐れおののきながら爆発的な咆哮を上げると、ジークフリートがヒュドラの咆哮に合わせて咆哮を上げた。父がジークフリートに杖を向け、風属性の魔力を放出した。
「レビテーション!」
風の魔力がジークフリートの全身を覆うと、彼は自在に宙を飛び、両刃の斧に火の魔力を纏わせた。ヒュドラはジークフリートに向けて爪の一撃を加えると、ジークフリートの胸部から大量の血が流れ落ちた。
それでもジークフリートは怯む事もなく、一気にヒュドラの首の元に飛んだ。
「一閃!」
ジークフリートはいつの間に封魔石宝流剣術を身に着けていたか、炎を纏わせた垂直切りを放つと、ヒュドラの首を燃やしながら叩き斬った。強烈な垂直切りを受けたヒュドラが残る四つの首を守る様に再び黒い魔力を辺りにまき散らした。
おそらく首が再生するまで時間を稼ごうとしているのだろう。ヴィクトリアが再びグランドクロスを放つと、遂に彼女の体内から魔力が尽きた。深手を負ったジークフリートは地面に着地すると同時に倒れると、父がジークフリートに杖を向けた。
「リジェネレーション!」
ジークフリートを回復させると同時に、父がヴィクトリアに触れた。父の体内の魔力が減少し、ヴィクトリアの魔力が一気に満ちると、ヴィクトリアがヒュドラに杖を向けた。
「グランドクロス!」
ヴィクトリアは全ての魔力をこの一撃に注いだのだろう、彼女は力なく地面に倒れ、巨大な十字の刃がヒュドラの首を捉えると、聖属性の刃がヒュドラの首を落とした。父は既に全ての魔力を使い果たしたのか、俺を見つめながら小さく頷いた。
「ユリウス! 王国を、王都を守れ!」
「はい、お父様!」
ヘンリエッテのゴーレムはヒュドラに殴りかかったが、ヒュドラが鋭い爪でゴーレムを切り裂いた。ヘンリエッテは巨体のゴーレムを作り出すのに全ての魔力を使ったのか、彼女は涙を浮かべながら俺を見つめた。もはやヘンリエッテも魔力が尽きたのだろう。
ボリスは再び円月四連斬を放ったが、残る三つの首がボリスの体を叩き落した。ヒュドラは焦りを感じているのか、俺達の背を向けて逃げ出そうとした瞬間、ララが俺の前に立った。
「ユリウス! これが最後の魔法だよ!」
「ああ!」
ララが上空に冷気を集めると、両手をヒュドラに向けて振り下ろした。
「アイシクルレイン!」
ララの放った無数の氷柱がヒュドラの全身に大きな傷をつけたが、ヒュドラはこれ以上戦い続けると首が再生する前に敗北すると悟ったのだろう。慌てて俺達に背を向けて逃げ出した。しかし、既に六つの首を落とされ、大量の血を流したヒュドラの歩みは遅い。
既にこの場で動けるのは俺とヴォルフ師匠。おそらくヒュドラの首の回復まではもう三十秒もない。ボリスも魔力を全て使い果たし、慌ててマナポーションを飲んでいるが、魔力が回復する頃にはヒュドラの首が再生している。
俺が一人で二つの首を同時に落とし、ヴォルフ師匠が残る首を落とせばこの戦いに勝利を収める事が出来るが、それは絶対に不可能だ。間に合わない。どう頑張っても俺達はあと二つしか首を落とせない。
ヒュドラは首を一つ残した状態で逃亡し、首が全て回復した頃に再び王都を襲うだろう。そうすれば間違いなく王国は滅亡する。
ヴォルフ師匠がヒュドラの前に立ちはだかると、彼はヒュドラの首元まで一気に飛び上がった。
「ユリウス! 俺の攻撃に合わせろ!」
ヴォルフ師匠が流星斬の構えを取ると、俺は石宝刀を鞘に納めた。俺とヴォルフ師匠が首を一つずつ落としても結局最後にはもう一つ残してしまう。それでも最後まで挑戦する事は止めない。もしかすると街から誰かが駆け付けてくれて、最後の首を落としてくれるかもしれない。
いや、今の王都にそんな余裕はない。考えている余裕は一切ないのだ。俺はヴォルフ師匠と目配せをし、最後の一撃に全ての力を注いだ。
「封魔石宝流奥義・流星斬!」
俺とヴォルフ師匠が当時に流星斬を放つと、七連撃がヒュドラの首を同時に落とした。全魔力を使い果たしたヴォルフ師匠が落下を始めると。俺達は敗北を悟った。
「ユリウス……よくここまで成長したな」
「え……!?」
懐かしい声が耳元で聞こえた。瞬間、銀髪を綺麗に結んだドレス姿の長身の剣士が一気にヒュドラの首元に飛んだ。腰には俺が以前巻いていた漆黒の帯を巻き、ミスリル製の刀と小太刀を差している。あの後ろ姿は間違いない……。
「エレオノーレ様!」
瞬間、エレオノーレ様は爆発的な魔力を刀に注ぎ、目視すら出来ない速度で抜刀した。
「封魔石宝流奥義・流星斬!」
目で追う事すら出来ない程の、まるで強い光が七回輝いた様な超高速の連撃が決まると、ヒュドラの最後の首が落ちた。どうしてエレオノーレ様がここに居るんだ……?
俺がヒュドラの呪いを解く方法を見つけたらエレオノーレ様を迎えに行く予定だったが、氷の中で俺達の危機に気が付いたのだろうか。エレオノーレ様はやはり全盛期の力を失っており、今の一撃が相当堪えたのか、俺に優しく微笑むと同時に意識を落とした。
空中でエレオノーレ様を抱きしめて地面に着地する。ヒュドラが命を落とすと、正門からは衛兵や仲間達が駆け付けてきた。遂に俺達がヒュドラを仕留めたのだ。
「やっぱり俺の師匠は偉大だな……」
エレオノーレ様は僅かに目を開け、釣り目気味の碧眼で俺を見つめながら俺の手を握った。ずっと会いたかった。離れていてもエレオノーレ様の事ばかり考えていた。最高の封魔師であり、最高の師匠が俺達の危機に気が付いて氷の中から飛び出してきたのだろう。
「エレオノーレ様、どうしてここに?」
「夢を見たんだ。ユリウスがヒュドラに食い殺される夢をな……」
「夢ですか……? エレオノーレ様が駆け付けて下さらなかったら、きっとその夢は正夢になっていたと思います」
「夢の中で美しいフェニックスが私に語り掛けてくれたよ。間もなく魔法祭で復活すると。その時、一人の少年がヒュドラの呪いから大陸を救う事になるだろうと。私はすぐにユリウスの事だと気が付いた」
「エレオノーレ様……」
「ユリウス、私は再び眠るに就くが、今度はお前が私を起こしてくれ。もう私は指一本も動かせそうにない……」
「エレオノーレ様、魔法祭は来月です。もうすぐ呪いから解放してみせます!」
「うむ……信じているぞ……」
俺はエレオノーレ様の額にキスをすると、ララがエレオノーレ様にコールドスリープの魔法を掛けた。巨大な氷がエレオノーレ様を包み込み、再び氷の中で眠りに就いたエレオノーレ様が心地良さそうに笑みを浮かべている。
俺の師匠は偉大すぎるな。突然復活したかと思えば最後の一撃を持っていくとは。早くエレオノーレ様と一緒に時を過ごしたい。来月の魔法祭では何が何でも優勝してみせる。
ヴィクトリアが俺の手を握ると、俺は彼女を強く抱き寄せた。仲間達は静かに勝利を実感して涙を流し、ヒュドラの死骸を見つめた。左手の中指に嵌めていた錬金術師の指環が輝くと、ガチャが姿を現した。
父がヒュドラの肉体から魔石を引き抜いてガチャに渡すと、ガチャは嬉しそうに魔石を俺に差し出した。Sランク・ヒュドラの魔石。こんな忌々しいものは王国に保管しておくべきではない。ガチャで新たな道具に作り替えよう。
戦いを終えた国王陛下が駆け付けてくると、俺と陛下は見つめ合って魔石を投入した。
『Sランク 国宝級魔法道具シリーズ』
ガチャの表面に神々しい文字が輝くと、俺はレバーに手を置いた。ヴィクトリアと陛下が俺の両方の肩を手を置くと、体内に二人の神聖な魔力が流れてきた。
「魔物に襲撃された王都を修復出来る魔法道具……」
願いを込めてレバーを回した。瞬間、ガチャが強い虹色の光を放ち、地面にレジェンドカプセルを落とした。カプセルにはファルケンハイン王国の紋章であるホワイトドラゴンの紋章が描かれており、ガチャは満面の笑みを浮かべながら地面に落ちたカプセルを俺に渡してくれた。
「レジェンドカプセル! このタイミングでレジェンドカプセルを引き当てるとは、ユリウス君は本当に強運の持ち主なんだな……」
「陛下とヴィクトリアのお陰ですよ」
カプセルを開けると、中からは金色の液体が入った小瓶が出てきた。これは何らかの効果を持つ飲み物だろうか。全く正体が分からない。ありとあらゆる魔法道具に精通している父ですらこの小瓶の正体は分からないと言った。
「ユリウス、君の純粋な願いが僕に最高の魔法道具を作らせたんだよ。それは復活の聖水という魔法道具で、死者を蘇らせる事が出来る唯一の道具なんだ」
「死者を蘇らせる!?」
「ああ。死後一時間以内の者に限るけどね。その聖水を肉体に垂らせば死者を蘇らせる事が出来る。そして、その復活の聖水の使用期限はあと一時間。今から一時間以内に使用しなければただの水になる。非常に使いどころが難しい魔法道具だけど、最高のタイミングで引き当てたみたいだね!」
陛下はガチャの言葉を聞いて満面の笑みを浮かべた。今回の戦いで命を落とした者を全て救えるのだから。
「陛下! すぐに死者を蘇らせましょう!」
「ああ! すぐに街に戻るぞ! 一時間なんてすぐに過ぎてしまうからな!」
ヒュドラ討伐の喜びを噛み締める暇もなく、俺達は大急ぎで王都中を走り回り、今回の戦闘で命を落とした五百二十人の国民を復活させた。
こうしてファルケンハイン王国とヒュドラとの戦は王国が死人一人出さず、完全勝利を収めた……。
1
あなたにおすすめの小説
《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う
なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。
スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、
ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。
弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、
満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。
そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは――
拾ってきた野良の黒猫“クロ”。
だが命の灯が消えかけた夜、
その黒猫は正体を現す。
クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在――
しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。
力を失われ、語ることすら封じられたクロは、
復讐を果たすための契約者を探していた。
クロは瀕死のソラと契約し、
彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。
唯一のスキル《アイテムボックス》。
そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、
弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。
だがその裏で、
クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、
復讐の道を静かに歩み始めていた。
これは――
“最弱”と“最凶”が手を取り合い、
未来をやり直す物語
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はファム
前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した
記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた
村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く
ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた
そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた
私は捨てられたので村をすてる
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる